輿石東の発言 (本会議)
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○輿石東君 民主党・新緑風会の輿石東です。
政府四演説に対し、会派を代表し、質問をいたします。
まず、安倍総理の目指す国及び社会像について伺います。
施政方針演説の中で、総理は、世界一を目指すという言葉を七回も繰り返し、強い日本、それをつくるのは私たち自身ですと述べられています。総理が永遠のテーマと位置付けられておられる美しい国とはどのような国なのか。そして、私たち自身が、誰かに寄りかかる心を捨ててとも述べられていますが、総理の目指す額に汗して働く人が報われる真っ当な社会への具体策とは何なのか。
あわせて、総理は、石川啄木の詠んだ「はたらけどはたらけど猶わが生活楽にならざりぢつと手を見る」という歌をどう解釈されているのか、お聞かせください。
さて、安倍内閣の最重要課題は日本経済の再生であり、大胆な金融政策、機動的な財政出動、そして民間投資を喚起する成長戦略の三本の矢で経済の再生を図るというものだと思います。まず、このことについて質問をいたします。
我が国財政は極めて厳しい状況に置かれています。国と地方の長期債務残高は、去年十二月末に九百四十二兆円と、GDPの約二倍の規模に達し、主要先進国の中では最悪の水準にあります。
こうした中で編成された平成二十五年度予算は、一般会計の総額で九十二兆六千億円となりました。しかし、その内容には不安を抱かざるを得ません。平成二十五年度予算を一か月の家計に例えれば、月給四十三万円の家庭が、約八百五十万円のローン残高を抱え、その借金返済に二十二万円、子供への仕送りに十六万円を支出しますと、合わせて三十八万円となり、残り五万円では一か月の生活はできません。したがって、そのほかに必要な支払のためのほとんどを新たな借金で賄っているという状態であります。こうしたやりくりが長続きするはずはありません。
安倍総理は、平成二十五年度予算において、税収が新規国債発行額を上回ったと豪語しておられますが、実体は見かけだけの改善にすぎません。
政府は、平成二十四年度補正予算と二十五年度当初予算を一体的なものとして編成し、切れ目のない政策対応が実施できるように十五か月予算を組んだと言われております。しかし、補正予算は、復興・防災対策の経費など、通常は当初予算に計上する経費が数多く含まれております。本来、当初予算に盛り込むべき支出を前倒しして補正予算に計上し、当初予算で必要な財源の規模を絞り込んでいるのにすぎないのであります。
補正予算で追加した約五兆二千億円の借金と二十五年度予算の新たな借金四十二兆九千億円を足し合わせれば、我々民主党政権が維持してきた新規国債発行額四十四兆円の制限を大きく上回ることは明らかであります。
十五年にも及ぶ長期のデフレから脱却し、我が国経済の再生を図ることは喫緊の課題であり、経済再生によって税収を増やさなければ財政再建も達成することはできません。一方、税収を増やしていくためには、国民生活を安定させ、安心して消費できる環境を整備しなければなりません。
民主党政権は、政治的に困難な課題ではありましたが、放置できない問題として、社会保障の充実、安定化と財政健全化を同時に達成するために、消費税率引上げを始めとする税制改革にも正面から取り組んでまいりました。このいわゆる社会保障と税の一体改革は、民主、自民、公明の三党合意によって実現したものであり、是非とも堅持していく必要があると思います。総理の所見を伺います。
政府は、平成二十四年度補正予算で五兆円を超える新たな国債発行を行いました。これでは余りに緊張感に欠ける財政運営と言わざるを得ません。政府にそうした認識はあるのでしょうか。
政府が先月二十八日提示した平成二十五年度の国と地方の基礎的財政収支、いわゆるプライマリーバランスの試算を見ても、昨年八月の二十五兆四千億円、五・二%から、三十三兆九千億円、GDP比六・九%と赤字額が大幅に悪化しております。総理、平成二十七年度赤字半減の政府目標は達成できますか。世界一を目指すといっても、借金世界一は許されないでしょう。
また、補正予算の内容も、事前防災・減災に名を借りた公共事業を重視したものとなっております。二十五年度予算の公共事業関係費五兆三千億円に対し、補正ではその約半分に当たる二兆四千億円が計上されています。
このような公共事業に偏った経済対策では、一時的に景気は回復しても、持続的な経済成長は困難であります。場当たり的な経済対策を繰り返すだけでは、かつての自民党が歩んだ道と同じであり、問題の先送りではありませんか。安倍総理の見解を求めます。
日本経済再生に向けたアベノミクスの三本の矢の一つが大胆な金融政策です。政府は、去る一月二十二日、日本銀行との間で共同声明を発表し、デフレからの早期脱却と持続的な経済成長実現に向けて一体となって取り組む決意を明らかにされました。
物価上昇率の安定目標二%は政府も共有する、しかし、達成するための手段の選択は日銀の専権事項であると政府は国会のやり取りの中で繰り返し答弁されています。しかし、総理や財務大臣の発言からは、日銀の独立性を尊重するというよりも、むしろ二%の物価目標が達成されなければ日銀の責任と言わんばかりの責任逃れの姿勢であります。
経済構造の改革を図る、成長戦略を推進する、これらがなければ十五年に及ぶ未曽有のデフレを克服することはできません。総理にその決意があるか、お伺いをいたします。
政府、日銀の共同声明で物価目標二%が掲げられました。マーケットは政府、日銀の政策判断を好感し、株価の上昇、行き過ぎた円高の是正と、我が国の経済は一転して景気の回復基調に入ったかのように思われております。しかし、つい先日、二月二十六日には、イタリアの政治状況が混迷しそうだというだけで、円が一時的に四円も高くなり、株価も下落をしました。
マーケットは水ものであり、本当に景気は上向いていくのでしょうか。今あるのは、実体のない不安定な期待感だけではないかと懸念いたします。値上げの春などとの声も聞こえてまいります。物価だけが上昇し、賃金の上昇が付いてこなければ、国民の生活はかえって苦しくなるだけではありませんか。総理の考えを伺います。
これまでのところ、政府の政策は、アベノミクスの三本の矢のうち金融政策と財政政策に依存するにとどまっています。最後の矢である民間投資を喚起する成長戦略はどうやって実施されますか。
長引く円高とデフレ不況から脱却し、雇用や所得を継続的に拡大していくためには、実効性のある成長戦略を策定し、着実に実行に移していかなければなりません。成長戦略がなければ、一時的で中身のない、見せかけだけの経済成長で終わってしまいます。総理は、いかなる成長戦略によって我が国経済を再生させようとお考えですか。その筋道をお示しください。
安倍総理は、大胆な規制改革に取り組むとの決意も示されております。その際、雇用関連、エネルギー・環境関連、そして健康・医療関連を重点分野として指定し、規制改革を推進するように指示を出されました。
規制改革は、これまでも歴代の内閣が既得権益と闘いながら取り組んできた分野であります。業界団体が反発する規制改革、果たして安倍内閣としてどこまで手が付けられるのか、その決意を示していただきたいと思います。
厳しい財政状況にある我が国において、予算の無駄な執行は厳に戒めなければなりません。参議院は、決算重視の参議院として、予算の審査と並んで決算の審査を重視して取り組んでまいりました。
私たちは、これまでも内閣に対して決算の早期提出を求めて実現させてまいりました。また、自らも早期審査に努め、その結果を政府の予算編成に反映させるべく、引き続き決算審査の充実に努めてまいります。こうした参議院の役割についての総理の認識を伺います。
平成二十三年三月十一日という日を決して忘れることはできません。余りにも多くの尊い命が奪われ、いまだに三十万人を超える被災者が住み慣れた町を離れ、仮設住宅等で避難生活を送っております。
こうした中、安倍政権発足から二か月もたたないうちに政権内部でスキャンダルが発覚し、国土交通省の大臣政務官が辞職をしました。一刻も早く被災前の暮らしを取り戻そうと懸命に頑張っている被災者の皆さんにどう説明されるのか、総理に伺います。
東日本大震災によって、改めて私たちは、四方を海に囲まれ、地震から逃れられない土地に暮らしていることを思い知らされました。私たちは、今度の大震災から何を学び、これからどのような心構えで毎日を過ごせばよいのか、改めて総理の考えを伺います。
大震災以降、民主党政権としては、復興基本法の成立や復興庁の設置を始め、四次にわたる補正予算に加え、今年度予算でも、当然必要な財源を手当てしてまいりました。しかし、被災者の孤立防止、心のケアを始めとするきめ細やかな被災者支援、また住宅再建や高台移転、瓦れきの処理、産業雇用への取組など、いずれもまだ道半ばであります。また、既に地価高騰で生活再建に壁といった声も聞かれてきます。
真に被災者のためになることであれば、私たちも惜しみなく協力してまいります。厳しい状況の中でも、あしたに向かって復興に力を尽くしている被災者のために、政府の今後の取組を伺います。
また、安倍政権として、大震災によって起きた福島第一原発の事故の現状をどう把握しておられるのか、認識を伺います。
そうした中で、除染作業員への不払や、手抜き除染など、原発事故で被害を受けた方々の心を踏みにじるような問題も次々に明らかになっております。今後、政府はこれらの問題にどのように取り組んでいかれるのか。
あわせて、今後原発をどうするか。総理は、施政方針演説の中で、安全が確認された原発は再稼働しますと述べられていますが、このことも含め、日本のエネルギー問題に今後どう対処されていくおつもりか、考えを伺いたいと思います。
次に、外交防衛問題についてお尋ねします。
総理は、さきの日米首脳会談を受け、日米同盟の信頼、強い絆は完全に復活したと宣言され、また、環太平洋経済連携協定、TPP交渉参加の道筋を付けられました。
総理は、参議院選挙までは安全運転と称していますが、総理の狙いは、集団的自衛権の憲法解釈を見直し、日米協力ガイドラインの再改定、防衛力の増強、武器輸出三原則の更なる緩和を進め、日米同盟の強化の美名の下に対米追随外交に先祖返りしようとしているのではありませんか。さらに、国防軍の創設を盛り込んだ憲法改正へと導き、総理の言う強い日本をつくることにつなげようとしているのではありませんか。
また、総理は、危機突破内閣を標榜し、国益を守る、主張する外交を取り戻すと声高に主張しています。さきの訪米では、政策演説において、日本は二級国家にはならない、日本は強くあり続けなければならないと表明されました。総理が否定する二級国家とはどのような国なのか、総理が目指す強い日本とはどのような国なのでしょう。
また、総理は、河野談話作成の経緯について言及され、靖国神社への参拝に意欲を示しておられます。これに対して、近隣諸国はもとより、米国やオーストラリアからも日本の右傾化ではないかと懸念する声が上がっております。総理は、大局的な見地から、安全運転に徹し、村山談話や河野談話の継承を明確にされ、歴史認識問題におけるタカ派的な色彩を抑制して、現実主義的な外交路線を堅持するお考えはありませんか。
安倍総理から、外交防衛問題の取組姿勢についての認識をお示し願います。
TPP交渉参加問題についてお尋ねします。
安倍総理は、日米共同声明を踏まえ、聖域なき関税撤廃が前提ではないとの認識に立ったと表明しておられます。これに対し、拙速に交渉に参加すれば国益を損なうとの懸念も根強いものがあります。何より、国民への情報提供など、国民の目線に立って国益を守ること、TPPに参加する国々や国民にとって共に利益となる枠組みになることが重要であります。また、日中韓FTAや東アジア地域の包括的経済連携などへの取組も大切であります。
安倍総理に、TPP交渉への取組や国民への情報提供、農業分野を始めとする国内対策の方針について見解を伺います。
そして、総理は、日米首脳会談で緊密な日米同盟が完全に復活したとされております。総理が進めようとしている防衛計画の見直し、防衛力の増強、集団的自衛権の行使に向けた憲法解釈の変更、日米防衛協力ガイドラインの見直しなどの動きについては、国防費を削減している米国のアジア太平洋地域への関与を支えていくものではないかとの指摘があります。また、アルジェリアにおける人質事件を契機とした日本版の国家安全保障会議、NSCの創設の動きや、自衛隊による在外邦人救出のための自衛隊法改正の検討などと併せ、安倍総理には軍事力偏重の傾向がうかがえるとの意見もあります。さらに、普天間飛行場移設問題に関連して、沖縄県知事に対して、名護市辺野古沖の埋立認可申請を行う動きが伝えられております。
他方、日米首脳会談では、基地負担の軽減やオスプレイ配備問題に対する沖縄県民の切実な声をどのように米側に伝えたのか。総理から、日米首脳会談に関連する安全保障、防衛問題に関する諸懸案に対する認識をお聞かせいただきたいと思います。
中国との間では、沖縄県の尖閣諸島をめぐり、緊張が続いています。大局的な見地から関係改善に努めなければなりません。総理は日中首脳会談の開催に意欲を示しておられますが、大切なことは、我が国が冷静に対応し、中国を挑発しない姿勢を貫くことであります。野田内閣は国が島を所有して安定的に管理する自制の利いた措置をとりましたが、安倍内閣もこれを継承し、また、事態のエスカレート防止のため、緊急連絡体制の構築を急ぐべきであります。
総理は、日中平和友好条約締結三十五周年の今年、首脳会談の開催と戦略的互恵関係の再構築に向けて知恵を絞るべきであります。総理の御認識をお聞かせください。
北朝鮮の核、ミサイルの開発は、我が国の安全保障上、重大な脅威で、政府は、関係諸国や国連安保理と連携し、北朝鮮に対話と圧力の両輪で北朝鮮の拉致・核・ミサイル問題の解決に全力で取り組むべきであります。総理の御決意を伺います。
朴槿恵新大統領が就任した韓国との間には竹島問題という難しい問題もありますが、大局的な観点から未来志向の関係を築き、北朝鮮問題に共同して対処していかなければなりません。総理の御認識をお聞かせください。
ロシアのプーチン大統領は北方領土問題の取組に意欲を示していますが、その解決に向けた構図を日ロ両国で描くべき時期が今まさに到来していると思われます。総理の御見解を伺います。
次に、選挙制度改革についてお尋ねします。
昨年十一月十四日の党首討論において、野田前総理と安倍総理は、定数削減をこの通常国会で実現することを約束されました。これは大変重い国民との約束であります。
自民党も、二〇一〇年の参議院選挙で、衆参の国会議員定数を三年後、すなわち今年の夏までに一割削減することを約束され、さらに、さきの総選挙公約でも、衆議院の定数削減については、三党合意に基づき、選挙制度の抜本的な見直しについて検討を行い、次期通常国会終了までに結論を得た上で必要な法改正を行いますと訴えられております。
先月二十二日の自民、公明、民主三党幹事長会談において、我が党から今国会で法改正を行うことを確約するよう強く求めましたが、自民党は、今国会での実現に後ろ向きな姿勢を示し、協議会の設置も拒まれたと聞いております。これでは到底、今国会の実現などおぼつかないのではないでしょうか。
残された時間は余りなく、責任ある与党として、会期末までに定数削減をどのような道筋で実現していこうとしているのか、総理、自民党総裁にお尋ねをいたします。
国会同意人事の在り方について伺います。
国会同意人事については、事前に人事情報が意図的に報道されることにより、国会における審議を形骸化させ、事実上、政府が提案を議会に追認させようとする場になってはいけないということから、事前報道された人事案は受け付けないことになった経緯があります。
去る二月十九日に、与野党協議の結果、新たなルールが導入され、同意人事案件の内示までのあらゆる過程で情報管理の徹底を図ることを政府に求める、また、人事案件内示前に人事案が報道された場合、内示後、政府に対し、情報漏えいがなかったか否かを調査させ、各院の議院運営委員会理事会に報告させるものとするとなっております。
今回の日銀総裁人事についても、政府関係者による情報漏えいがなければ知り得ないと考えられる人事情報が乱れ飛んでおります。さらに、そうした報道を受け、名前が出ている方々が取材に対し、既に国会が同意し、その任に就いたかのような対応ぶりの報道もされております。市場も反応しているとの報道さえあります。
このように、国会を軽視、無視する政府関係者による人事情報の漏えいに対し、安倍総理はどのように認識されているのか。事実関係を政府として徹底的に調査し、議院運営委員会に報告するとともに、二度とこのようなことがないようにどのような対応を取られるのか、お答えをいただきたいと思います。
人づくりなくして国づくりなし。教育は未来への先行投資とも言われています。経済再生と並んで安倍内閣挙げての最重要課題であり、施政方針演説の中でも、総理自身、子供が主役の教育再生と総理が位置付けられた教育問題について伺います。
まず、教育の現状と課題について、総理の御認識をお聞かせください。
次に、ひな祭りも過ぎ、三月を迎えた子供たちにとっては、進級、卒業という別れの時期にもなります。深刻な社会問題となっているいじめ、体罰の問題について伺います。
いじめあるいは体罰に耐えられず、自ら命を絶った子供たちの報道には言葉もありません。どんな教育改革よりも、どんな政策よりも、今必要なのは、子供たちが安心して毎日を過ごすことのできる環境を、心の居場所を探すことだと考えます。全ての子供たちに出番と居場所のある楽しい学校にしなければなりません。一人の大切な命を救えずに、声高に教育改革を唱えるほどむなしいことはないと思います。
安倍内閣の教育再生実行会議は、二月二十六日、いじめの問題等への対応について、道徳を教科にという提案をしました。私たち民主党も、二月十二日、いじめ対策推進基本法を取りまとめました。しかし、今、いじめたら怒られる、それを理解してもらうには怖い先生が学校にいないと駄目、武道家、一番いいのはボクシング、空手、柔道、プロレス、いないなら警察OBを雇う、今の時点ではこれしかないと思います、こんな耳を疑いたくなるような文部科学副大臣の発言をめぐって委員会でも紛糾しています。総理の教育再生への見解を伺います。
今を生きる私たちは、あしたに、未来に責任を持たなければなりません。共に生きる共生社会を目指し、政治も経済も教育も、全ては子供たちの笑顔のためにあることを信じ、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕