浜野喜史の発言 (議院運営委員会)
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○浜野喜史君 民主党・新緑風会の浜野喜史です。ただいま動議が出されました件につきまして、怒りを持って反対の立場から意見表明をさせていただきます。
そもそも、国会における議院運営委員会は、議会運営に責任を持ち、一党一派に偏らず、各会派の主張に十分に耳を傾け、公正中立の立場で円満な議事運営に当たることが求められているというふうに思います。であるだけに、従来から理事会合意を大切にした運営がなされてきたものと理解をいたします。多数決で決めればよいというふうに考えるのではなくして、しっかりと合意を取り付けた運営をしていく、先人の知恵だと思います。その先人の知恵が、議会制民主主義の基盤をしっかりとしたものとしてつくり上げてきたものと理解をいたしております。
しかしながら、今国会において、この議院運営委員会は、数の力に物を言わせて、一方的かつ強引な議事運営を繰り返してきたと言わざるを得ません。議会制民主主義を揺るがしかねないゆゆしき事態が残念ながら生じていると言わざるを得ません。
さらに、反対理由を申し上げます。
理由の一つは、議院運営委員会理事会の合意を得ず、委員会の採決で法案を付託する回数、本数が余りにも多いことにも表れているように、議事運営が一方的かつ強引であるということであります。そうした強引なプロセスを経た法案が今回また上程されようとしているわけであります。
十一月五日に万国郵便条約外二条約、そして生活保護法、生活困窮者自立支援法を上程をいたしました。翌六日には電気事業法、二十二日に社会保障プログラム法、十二月二日にはアルコール健康障害基本法、原子力損害時効中断法、薬事法、中国残留邦人支援法、がん登録推進法、農地中間管理事業推進法、農業経営基盤強化促進法、独占禁止法、防災・減災国土強靱化基本法と、一日で九本の法案を委員会に付す採決を理事会での合意を得ないで行う前代未聞の議事運営と言わざるを得ません。これで今国会、七委員会十六本の法案、条約が強引な委員会採決によって付託されてきたことになります。そして、先ほどの御提案であります。
与野党間で信頼形成、合意形成する努力を怠り、短い期間にこれだけの本数の法案、条約を強引な採決により付託するという行為は、数の力に頼った余りにも不誠実な運営ではないでしょうか。
これまでも、採決で法案を付託することはありましたが、終盤国会で審議日程が過密になった際にやむを得ず行うということが通例であったと理解をします。
今国会は重要法案が多数提出されることが想定されるとともに、懸案事項が山積していたため、我々野党は早期の国会召集を求めてまいりました。国会の責任として充実した審議を行うためであります。この野党の要求を拒否して召集を遅らせてきた、短い会期を設定したのは政府・与党であり、日程が窮屈だったことは当初から誰もが分かっていたことであります。それにもかかわらず、今になって、審議時間が足りなくなりそうだから、理事会合意を得る努力をせずに、次から次へと採決で法案を付託して審議入りさせるなど、今日までの対応は言語道断であります。自縄自縛に陥った責任を野党に負わせるなど、責任転嫁も甚だしい。政府・与党としての責任感が欠如していると断定せざるを得ません。
そもそも、万国郵便条約外二条約は参議院先議の案件であり、採決により法案付託する必要など全くなかったものであります。生活保護法と生活困窮者自立支援法にしても、内々に法案を付託する条件と時期については合意してきた先議案件でありました。それ以外の法案についても、与党らしい真摯な対応が取られれば、我々としても柔軟に対応し、審議促進に協力することはやぶさかではありませんでした。むしろ審議促進とも言える建設的な審議日程を提案をしてまいりましたが、一顧だにされませんでした。強引な採決によって法案を付託することで、与野党の信頼関係を壊し、さらに採決に頼らざるを得ないという負の連鎖をつくった責任は一方的に与党の側にあるのではないでしょうか。
反対理由のもう一つは、このような委員会としての対応を繰り返していくことは、今後とも野党の質問する権利を強引に奪っていくことにつながりかねないと思うからであります。
言うまでもなく、国会における審議は、我々国会議員に課せられた最重要任務であります。特に、国民生活に重大な影響を及ぼすと考えられるものについては、様々な視点からの徹底的な検証を行った上で、足らざるを補い、必要な修正を加え、問題のあるものは廃案とすることが求められているはずであります。
社会保障プログラム法案は、今後の国民生活に直結する重要な法案であることから、野党は一致して本会議での趣旨説明と質疑を求めましたが、委員会はこれを認めず、強引な採決によって厚生労働委員会に付託してしまいました。本会議での重要法案の趣旨説明、質疑を求めることは野党の当然の権利であり、与党はこれを認めることがこれまでの通例でありました。委員会は、どのような理由でこの通例を破棄したのでありましょうか。野党の質問する権限を奪ったのでありましょうか。余りにも強引な運営であり、断じて容認できません。結果として、厚生労働委員会は紛糾し、社会保障プログラム法の審議は遅れてしまっております。この責は、ひとえに議院運営委員会においてこのような強引な議事運営を決定してきたことにあることは明白であります。
さらに、今国会の議院運営委員会におきましては、衆議院に比べて本会議にて趣旨説明、質疑を行うものが多いなどという言い訳にもならないような与党側の理由に結果的にくみしていくということになってしまいました。こうした対応や今回のような取扱いを繰り返すことは本院の存在をおとしめることにしかならないと危惧をいたします。
今、自民党、公明党におかれては、国会改革という課題を打ち出しておられますが、国会審議を形骸化させようとしていると考えざるを得ません。国会改革というなら、丁寧かつ慎重な審議ができる環境を与党として真摯に整備をしていこうとすることこそ真の国会改革ではないでしょうか。与野党の信頼関係をあえて崩し、数の力に頼って政府・与党の思うままに求める法案のみの審議を求めることが、自民党そして公明党の求める国会改革であるのでしょうか。国会改革どころか、議会制民主主義を壊そうとしていると言われても仕方がないと考えますが、いかがでしょうか。
言うまでもなく、国会は多様な民意を反映させるために各会派間の合意の下に運営されてまいりました。今後ともそうあらねばなりません。とりわけ参議院は、良識の府、熟議の府であることが国民に求められており、我々はそれを誇りに思うとともに、責任を持ってそれに今後ともこたえていかなければなりません。
今後とも、民主党・新緑風会は、今日まで先人が積み上げてきた我が国の議会制民主主義を大切にし、充実した審議を徹底的に求めてまいります。一方、問答無用の強引な議会運営は、本院に対する国民の期待を大きく裏切るだけではなく、議会政治に対する国民の不信感を増幅させるばかりであります。
最後になりますけれども、私は、我が国の社会運営制度は極めて優れたものがあると思っております。守るべきものをしっかり守り、そして見直すべきを見直す、これが今後の我が国の社会運営にとって求められていることだと思います。守るべきものはあります。そして、この議会におきましても、先人が積み重ねてまいりました議会運営のプロセス、しっかりと守っていくべきものがあると思います。それを今壊そうとしているのが先ほどの御提案だということを申し上げ、強い憤りの気持ちを込めて、反対の意見表明とさせていただきます。