森本真治の発言 (本会議)
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○森本真治君 民主党・新緑風会の森本真治です。
七月の選挙において民主党の一員となり、本日、こうして歴史と名誉ある参議院の演壇に立たせていただき、改めてその責任の重さに身の引き締まる思いです。
民主党は、本年二月に制定されました新たな綱領におきまして、生活者、納税者、働く者、そして消費者の立場に立つ党であると再確認されました。国民の暮らしを守る力となっていくという決意を持って、ただいま議題となりました消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案につきまして、会派を代表して質問いたします。
まず、消費者被害の防止が成長戦略につながるという観点からお伺いします。
本法律案は、多人数にわたる消費者被害を救済するためのものであると承知いたしております。消費者被害につきましては、平成二十年版国民生活白書では、最大約三兆四千億円と見積もっております。三兆円という金額は、平成二十五年度政府経済見通しにおける民間最終消費支出の一%程度の金額であり、この金額が消費者被害ではなく健全な消費に回れば、その経済効果は極めて大きいものと考えます。
消費者被害の防止こそ、景気浮揚、成長戦略の第一に掲げられるべきものではないでしょうか。消費者被害を防止、回復して健全な消費を拡大していくという点において、本法案は安倍内閣の提唱する成長戦略に大いに資するものとも言えます。消費者被害の防止の経済効果についての認識を森大臣にまずお伺いします。
次に、本法案の審議が遅延していることの認識についてお伺いします。
先述のような重要な法案にもかかわらず、安倍内閣においては、本法案の国会提出が自民党の党内調整がまとまらずに四月十九日まで遅延し、しかも、衆議院での審議も進まずに二国会で継続審査となった後、やっと本院に送付されてまいりました。法案提出から既に半年が経過しております。このような遅延状態を見ると、安倍内閣は本当に本法案を成立させる意思があるのかと疑わしくなります。
森大臣に、本法案の審議がここまで遅延したことについての反省を求めるとともに、今国会での成立に向けた意気込みを改めてお伺いします。
次に、具体的な消費者被害の防止についてお伺いします。
本法案による制度は、消費者被害が生じてから、それを事後的に回復させるというものであります。もちろん、事後の救済をしっかり行うことも重要ですが、起きてしまった消費者被害への対応という意味では、本制度は最後に出てくる伝家の宝刀ともいうべきものであります。望ましいのは、事前に消費者被害を防止することであり、この法律が使われない状態が最善であることは論をまちません。
しかし、消費者被害の状況は依然深刻であり、先日発表されました消費生活年報では、高齢者の消費生活相談が十年前の約二・五倍となり、トラブルの内容も多様化しているとの分析がなされております。
このような高齢者における消費者被害の増加傾向に対し、政府はどのように分析し、どう対応しようとしているのか、森大臣にお伺いします。
次に、地方消費者行政と国民生活センターの充実強化についてお伺いします。
消費者被害の防止については、地方自治体の第一線で活躍する消費生活センターなどでの相談業務の充実強化を図る等、地方消費者行政への支援、てこ入れが不可欠と考えますが、地方消費者行政に対する支援について森大臣の考えをお伺いします。
あわせて、衆議院の修正におきましては、本法施行前に生じた消費者被害については、消費者の被害が積極的に回復されるよう、国民生活センター、地方の消費生活センター、消費者被害救済委員会等による裁判外紛争解決手続の利用促進を図る旨の規定が追加されております。本修正により、これら裁判外紛争解決に携わる諸機関の連携を図ることが求められ、また、国も積極的にこれらの機関を支援する必要があると考えますが、この点について森大臣の見解をお伺いいたします。
なお、消費者相談の中枢である国民生活センターにつきましては、裁判外紛争解決機能のほか、最近では直接相談を復活させるなど、被害防止に向けた体制を強化しており、その重要性が更に高まっております。国民生活センターにつきましては、その組織形態について検討中と承知しておりますが、当面、国としてセンターをどのように拡充強化していくのか、森大臣にお伺いします。
次に、具体的な法案の中身について伺います。
本制度において特定適格消費者団体は極めて重要な位置を占めておりますが、特定適格消費者団体に指定されるであろう現存の適格消費者団体の財務能力等は極めて厳しいものがあります。
そもそも、全国では現在、十一しか適格消費者団体はありません。また、それらの団体の多くは年度の経常収入が二千万円にも満たず、常勤の職員を置いている団体も少ないことが財務諸表から見て取れます。本制度につきましては、乱訴のおそれが一部指摘されておりますが、適格消費者団体の現状からすれば、乱訴のおそれよりも、本来起こされるべき訴訟すら提起されない懸念の方がむしろ大きいのだろうと思われます。
衆議院での修正におきましては、特定適格消費者団体への支援の在り方について速やかに検討を加える旨の条項が附則に加えられましたが、政府におきましては、どのような体制でどのような検討を加えるのか、また、検討の内容として、適格消費者団体のより一層の設立を促す施策についても検討してしかるべきと考えますが、この点についても検討を加えるのか、森大臣にお伺いします。
なお、消費者契約法に基づき、適格消費者団体は消費者全体の利益擁護のために差止め請求訴訟を起こせることとなっていますが、消費者被害の未然防止の観点からは、差止め請求訴訟の遂行に係る部分についても国は一層の支援を行うべきと考えますので、その点につきましても併せて森大臣にお伺いをいたします。
次に、支払義務に係る請求及び損害の範囲等の見直しについてお伺いします。
本制度で被害回復の対象となる損害からは、いわゆる拡大損害、逸失利益、人身損害、慰謝料が除かれております。これらの損害につきましても、今後、本制度の対象としていくか検討する旨が修正で追加されました。政府としてはどのような体制で検討していくのでしょうか。また、検討に当たりましては、裁判事例、被害事例を集積して、それを分析していくことが不可欠と考えますが、そのようなデータベースを構築して一般に公開していく考えはあるのか、併せて森大臣にお伺いいたします。
次に、個別の被害消費者に対する債権確定手続段階での通知の費用についてお伺いします。
共通義務が確認された後、特定適格消費者団体は被害消費者に対して様々な形で債権確定手続に参加するよう通知・公告を行うわけですが、この費用は特定適格消費者団体の負担となります。既に申し上げましたように、適格消費者団体は財政力が弱いものが多く、通知費用負担が大きいために訴訟提起を諦めるような事案が生じては本末転倒と考えます。
債権確定手続で通知・公告が行われるということは、消費者被害の発生が確定し、事業者側に責任が認められている状態ですから、その内容が広く国民に承知されて被害者救済が図られることは当然であると考えます。その点からも、通知・公告費用については国が支援することには十分な理由があると思われますが、この点についても検討していくのか、森大臣にお伺いいたします。
次に、本制度に基づく仮差押えのための担保金についてお伺いします。
特定適格消費者団体が、損害回復のために事業者の資産を差し押さえるに際しては、民事訴訟での通例によれば、差押資産額の二、三割程度の担保を立てる必要があるとされております。被害額が大きければ、当然差押資産額も大きくなり、その結果、必要となる担保金も多額に上ることとなります。その結果、被害総額が大きい、救済の必要性がより高い事案ほど担保金が跳ね上がって差押えがしにくくなるという矛盾した状態になります。
訴訟当事者の公正を図る意味から、担保を立てる必要性は理解しますが、担保を立てるに当たって、国が無利子融資する等の何らかの支援をしないと、仮差押えの制度の実効性が損なわれ、ひいては消費者の被害回復が不十分になる懸念があります。
こうした点について、森大臣はどのように考え、また今後の検討事項に入れていくのか、お伺いします。
次に、悪質業者による財産の隠匿・散逸防止及びそれらに対する行政による経済的不利益賦課制度の創設についてお伺いします。
冒頭、本制度は消費者被害回復のための伝家の宝刀と申し上げましたが、実のところ、本制度だけでは悪質事業者による消費者被害の回復は極めて難しいと考えます。本制度により消費者被害を回復できる相手は、ほとんど善良な事業者だけではないでしょうか。そういう意味では、悪質事業者からの消費者被害回復が更に検討されてしかるべきと考えます。
悪質事業者の財産の隠匿を防止し、それらに対して懲罰的な課金を行うことは、被害者救済以上に、悪質事業者に対する抑止効果という点で大変威力を発揮するものと考えますが、このような制度の検討、さらに導入に向けての森大臣の見解をお伺いします。
以上、質問してまいりましたが、消費者被害が少額であっても着実に回復できる制度の導入は、国民経済に大変良い影響を与えることが確実であり、本法の速やかな可決、成立を強く望みます。
ただ、最初に申し上げましたとおり、消費者被害は生じないようにすることが最善であり、そのためにも、消費者庁、国民生活センター、地方の消費生活センター等で消費者行政を推進する体制の一層の充実が望まれるところであります。
消費者被害の根絶に向けた体制整備についての森大臣の決意を最後にお伺いし、質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣森まさこ君登壇、拍手〕