櫻井充の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○櫻井充君 民主党・新緑風会の櫻井充です。
私は、会派を代表して、ただいま議題となりました特定秘密保護法案について質問させていただきます。
本題に入る前に、国家戦略特区法案に関して質問いたします。
この法案は、現在、参議院で審議中です。であるにもかかわらず、甘利担当大臣は、講演で民間有識者に関して言及いたしました。これは参議院軽視ではないかと思いますが、安倍総理の御見解をお伺いしたいと思います。
さらに、その有識者の中に竹中平蔵氏が入っておりました。彼は、郵政民営化を主導するなど、問題の多かった人物だと私は認識しております。なぜ竹中さんが有識者なのか、私には全く理解ができません。甘利大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
では、本題に入ります。
昨日、政府原案及び自民、公明、日本維新の会、みんなの党による修正案は、審議がまだ不十分であったにもかかわらず、衆議院特別委員会で強行採決され、衆議院本会議を通過いたしました。政府・与党の乱暴な態度は極めて遺憾であると申し上げなければなりません。
さて、我々は、国家が秘密を持つという必要性は認めています。そして、その秘密を適切に管理しなければならないことは当然のことですが、一方で、国民の皆さんには知る権利があり、そのバランスを取っていくことが、このかじ取りを行っていくことが国会の役割だと、そう認識しています。
今回の政府から提出されている法案と民主党が衆議院で提出した対案では、大きく二つの相違点があります。一つは、国会と行政機関との力の関係であり、もう一つは国民の皆さんの知る権利です。
政府の原案では、行政の力が限りなく強く、また、国民の皆さんの知る権利を抑え込んでいます。一方、民主党の対案は、国会の権限を強化し、国民の皆さんの知る権利を保障しています。この点だけでお分かりいただけるかと思いますが、民主主義の原理、国民の代表たる立法府の機能という両面において、民主党の対案の方がはるかに優れているということです。
さて、現在、我が国の国家秘密は、自衛隊法で規定される防衛秘密、日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法で規定される特別防衛秘密、いわゆるMDA秘密、そして、政府のカウンターインテリジェンス機能の強化に関する基本方針に基づき運用されている特別管理秘密の大きく三つに分類されています。この国家秘密の運営管理上、問題がなかったわけではありませんが、比較的うまく運用されていたと考えています。
これまでの国家秘密の管理運営上、現在の体系にどの点に具体的に問題があり、法律改正が必要だったのか、この点について安倍総理に御説明いただきたいと思います。
また、森大臣は、十一月十四日の特別委員会の審議において、諸外国から言われてこの法案を作るわけではございません、必要に鑑みて政府としてこの法案を提出するわけでございますと答弁されています。しかし他方で、私たちの対案に対する与党のコメントで、米国当局より、防衛秘密を含めて国の安全保障に関する統一的な情報保全法を求められているという現実があるという指摘があり、森大臣の答弁とは異なっております。十分に納得いく御答弁をお願いしたいと思います。
更に申し上げれば、森大臣は、民主党案では防衛秘密、MDA秘密、特別安全保障秘密、三つの概念に分けられており、統一的な情報保全を求められているという点において問題であるとコメントしていますが、政府原案でも、MDA秘密は単独で残し、防衛秘密と特別管理秘密の一部と更に新しい領域を加えて特定秘密と定義しており、統一的な情報保全にはなっておりません。明確な御答弁をお願いしたいと思います。
次に、国会と行政の関係についてお伺いいたします。
憲法四十一条により、「国会は、国権の最高機関」であると保障されています。しかし、今回の政府の原案では、行政側が必要であると判断した場合に国会に提出できるという規定になっております。これでは、行政側の判断次第で国会に情報が提供されないことになってしまいます。
我が党がこの問題点を指摘し、一説では、伊吹衆議院議長の御指導もあって、四党の修正案では、附則に、特定秘密の提供を受ける国会におけるその保護の方策については、国会において検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとするという記述が追加されました。政府原案よりは一歩前進とは思いますが、特定秘密を提供するかどうかを行政の長が定めるという根幹は全く変わっておりません。この法案が閣議決定されるときに、大臣の皆さんは、これが本当に立法府と行政府のあるべき姿と判断されたのでしょうか。
民主党は、この点に大きな問題点があると考え、国会法の改正案を衆議院に提出いたしました。しかし、この改正案は委員会でいまだ審議されることなく、特定秘密保護法案だけが参議院に送られてまいりました。
是非、心ある国会議員の皆さんにお願いしたいことがございます。それは、立法府が主体的に政府から秘密の提供を求めることができるようにするために国会法の改正が必要だということです。これは、与党、野党の問題ではありません。立法府と行政府の闘いなんです。是非、心ある参議院の皆さん、このことについて御賛同いただきたいと思います。
繰り返しになりますが、行政府の言いなりになるのか、国会が、すなわち主権者たる国民の代表である国会議員が行政の情報を管理するのか、極めて重要な内容です。この点に関しては、内閣総理大臣として、また国会議員たる安倍晋三衆議院議員として、それぞれの立場から御答弁いただきたいと思います。よろしくお願いします。
民主党の国会法改正案では、国会側から行政機関の長に情報を提供させるようにしています。もちろん、国家機密上難しいものもあると思います。こういった場合には衆参の議長及び副議長が判断することとしており、官僚が情報をコントロールするのではなく、国会が行政をコントロールする仕組みとしております。この民主党の対案についての総理のお考えをお伺いしたいと思います。
行政によるコントロールはこれだけではございません。特定秘密の運用基準について有識者の意見を聴くこととしていますが、これは、総理が任命権者であり、NHKの同意人事で見られるように、総理がよく知っている人、共感を持つ人だけを任命することが可能です。これでは、特定秘密の範囲は時の権力者によって恣意的に広げられるおそれがあります。
民主党案では、情報適正管理委員会を設置することを提案しています。そして、この委員会の人選は、国会が指名し、それに沿って内閣総理大臣が任命するというものであり、国民の代表者が人選を行うという点で政府の提出案とは根本的に異なっております。この我が党の提案に対して、安倍総理はいかがお考えでございましょうか。
また、四党の修正案では、総理の関与を強める条文が追加されました。修正提案者によれば、総理が第三者機関的に関与するという趣旨だとのことですが、内閣総理大臣は元々行政の長であり、行政を束ねている人であります。なぜこの総理が第三者と呼べるのか、私には全く理解ができません。ここで言う第三者とは何か、そして、行政の長でもある総理大臣がなぜ第三者と呼べるのか、さらに、総理大臣御自身、内閣総理大臣が第三者的に秘密保護に関与することが可能とお考えなのか、安倍総理の御見解をお伺いしたいと思います。
次に、特定秘密の取扱いと公益通報者保護制度との関係についてお伺いいたします。
政府案では、心ある官僚が、ある情報に関して特定秘密には当たらないと考えた場合でも、それについて申し出る手だては規定されていません。これに対して民主党案では、先ほど申し上げた情報適正管理委員会に申し出ることを義務付けるとともに、同委員会で処理することとしています。このときの官僚からの申出は、公益通報者保護制度と同じように扱われ、申し出た官僚が不利益を被ることはありません。このシステムがあれば特定秘密の範囲が拡大されることを抑制できると思いますが、この点についての総理の御見解をお伺いしたいと思います。
次に、特定秘密の範囲に関して質問いたします。
民主党案は、防衛秘密とMDA秘密に関しては現行法を生かし、特別管理秘密の一部、すなわち外交と国際テロに関して外国の政府等との情報共有に必要かつ不可欠な情報に限定し、特別安全保障秘密と定義し法制化いたしました。このことにより、新しい制度での国家秘密は限定されます。しかし、政府案では、行政の長の判断で特定秘密を規定することができるので、恣意的に特定秘密が拡大するおそれがあります。衆議院の審議で、政府からの説明では、この法律の目的は外国との情報共有の促進でした。であるとすれば、特定有害活動や国内のテロリズムまで特定秘密の中に加える必要はなく、民主党案のように範囲を限定すべきだと考えますが、総理の御所見をお伺いしたいと思います。
次に、政府案と民主党案の大きな違いである国民の知る権利に関して質問いたします。
政府原案はもちろん、四党の修正案によっても国民の皆さんの知る権利は保障されておりません。
第一に、政府案、修正案では、処罰の対象行為が曖昧なことです。両案共に、秘密を扱う業務者による漏えい行為とともに、情報を取得しようとする者に対しても厳しい罰則を科しています。その中で、修正案二十四条はスパイ行為などの目的に絞りましたが、二十五条においては、共謀し、教唆し、又は扇動しただけで処罰の対象となり、結果として秘密漏えいの事実がない場合でも逮捕され処罰されるおそれがあると法律家は指摘しております。これでは、取材や報道の活動が萎縮するでしょうし、公務員側が厳罰を恐れて情報提供しなくなれば、国民が知るべきことも知らされず、知る権利が侵されることになります。
民主党案では、二十四条は全文削除し、秘密の取扱者への罰則は現行の自衛隊法並みとし、また、不正取得への新たな罰則も全文削除して、現行の国家公務員法の範囲内としています。
政府・与党は、情報漏えいを防ぐためには、情報を漏らす側だけではなく取得する側も厳罰化する必要があるとの認識なのでしょうか。そして、政府案、修正案の罰則がないと情報漏えいを防げないとお考えなのでしょうか。安倍総理の御所見をお伺いしたいと思います。
第二に、現行の防衛秘密でも言えることですが、特定秘密の文書も、現行の公文書管理法のままでは、恣意的に廃棄され、国民が将来的に検証することができません。このことは、現に政府資料が廃棄されているという事実が証明しています。二〇〇七年から二〇一一年までの五年間で、約三万四千件の防衛秘密が破棄されています。私たちは、将来歴史的にきちんと検証できるように、いかなる秘密も公文書として適正に管理されるべきだと考え、公文書管理法の改正案を提出いたしました。
民主党案では、MDA秘密も含む全ての行政が扱う情報が公文書として管理下に入ることになります。将来、文書が検証されることになれば、恣意的な特定秘密の指定を極力抑制でき、また歴史の検証が可能になると考えております。改めて、公文書管理法の改正について総理のお考えをお伺いしたいと思います。
報道機関が実施している世論調査によれば、多くの国民がこの法案の内容を十分に理解できず、また慎重に審議するべきであるという声が圧倒的です。また、国会と行政のかかわり方の見直しや、第三者機関の役割や権限に関して法的根拠が必要になる等、法律案の更なる修正の必要性も指摘されております。要するに、欠陥法案だということです。それにもかかわらず、政府・与党は、国民の不安を無視し、無理やり衆議院を通過させました。しかも、情報公開法の改正は置き去りにされたままです。なぜこの秘密保護ばかり急ぐのでしょうか。どれほどの緊急性があると総理が認識されているのでしょうか、お伺いいたします。
最後に、総理は、国民の皆さんがなぜこの法案に不安を抱えているとお考えでしょうか。そして、この不安に対して政府は十分な説明を行っているとお考えでしょうか。正直にお答えいただきたいと思います。
安倍政権の支持率は、今は高いかもしれません。しかし、国民の皆さんの声を無視して暴走することになれば、早晩退陣に追い込まれることになるでしょう。参議院選挙までは、経済対策を中心に政策をつくって国民の皆さんの高い支持を得たのかもしれません。しかし、参議院選挙が終わってから、本性を現し、右傾化の危うい道を歩むのではないかと、国内だけではなくて海外からも不安視されております。我々民主党は、安倍政権の暴走をきちんとした形で食い止めていく、このことを国民の皆さんにお誓い申し上げまして、私の代表質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕