矢倉克夫の発言 (本会議)
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○矢倉克夫君 公明党の矢倉克夫です。
ただいま議題となりました特定秘密の保護に関する法律案につき、会派を代表し、質問させていただきます。
情報化社会は、経済活動の更なる創造性を育み、国民生活の利便性を向上させる一方、国民の安心、安全に係る機密事項が瞬時にテロリストを含む不特定多数に拡散してしまう危険性を増幅させました。したがって、国民の安心、安全を守るため、一定程度の情報の秘匿は必要です。他方、行き過ぎた情報秘匿は国民の知る権利を侵害いたします。権力には濫用のおそれが付きまとう、それが歴史の教訓であり、それを不断にチェックすることこそ民主主義の歩みでした。これを支える権利こそ知る権利です。
本法案は、まさにその情報秘匿の必要性と、報道の自由や国民の知る権利とのバランスをいかに図るかの観点から議論すべきものです。私は、このバランスを図るべく、有益な議論を通じ、国民の本法案に対する理解を深めるべきと考えます。この立場から幾つかお尋ねをいたします。
まず、本法案の必要性についてです。
多くの国民は、なぜ今この法案が必要なのか、総理のより明快な説明を求めています。総理は、他国から情報提供を受けるため強い情報保護法制が必要であること、これまで縦割りであった政府部内での情報共有に資することの二点を強調されました。公務員秘密漏えい罪を始めとする我が国の現行秘密保護法制の何が他国からの情報提供の妨げとなり、本法案がいかにそれを改善するのか、また、秘密保護を目的とする本法案がなぜ政府部内の情報共有に資するのか、総理の御答弁をいただければと思います。
次に、行政による特定秘密指定についてです。
重要なことは、恣意的指定の余地はない、そう言えるほどの客観ルールが存在するかです。この点、衆議院修正により、特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関する基準は、内閣が策定し、内閣総理大臣が運用改善を指示する旨明記されました。これは、特定秘密の指定について内閣総理大臣が責任を負うことを更に明確にしたものです。
総理、恣意的な秘密指定を防ぐために必要な基準とは何か、最終責任者として御答弁をお願いいたします。
関連し、特定秘密内容の定義の明確性についてお尋ねいたします。
特定秘密の定義中には、安全保障や安全を害するおそれという主観的基準が存在いたします。例えば、特定秘密たる特定有害活動防止に関する措置のうち、いわゆるスパイ活動防止措置とは、第十二条二項及び別表を併せ読む限り、我が国安全保障に支障を与えるおそれのある非公知な情報を外国の利益を図る目的で取得するための活動で、我が国及び国民の安全を著しく害するおそれがある活動を防止する措置を意味します。基準の大半が安全保障や安全を害するおそれの存否であり、判断の裁量の余地が大きく、結果、スパイ行為と言えない情報収集活動にまで影響の出る事態も想定し得ます。かかるおそれの判断基準、手順も秘密指定に関する基準に盛り込むべきと考えますが、総理、いかがでしょうか。
更に関連し、特定秘密指定の延長についてお尋ねいたします。
衆議院修正により、指定の有効期間の上限は原則六十年とされました。これは、六十年を超えれば原則公開される趣旨と理解してよろしいでしょうか。また、六十年を超えてなお秘密指定される情報として、現在の外交交渉に影響を与える情報や、六十年を超える指定を条件に外国から提供された情報など、範囲が一概に明確でないものも存在いたします。六十年を超えた指定延長が無限定に広がらないための方策について、総理、御答弁いただきたく思います。
次に、処罰範囲、特に特定秘密範囲の明確性についてであります。
総理は、衆議院本会議において、特定秘密が記録された文書にはその旨の表示がなされることから、何が特定秘密かは公務員等にとって明確、したがって、公務員の取材への対応に支障を及ぼすことはないと御答弁されました。裏を返せば、秘匿されるべき特定秘密とは、表示あるいは通知という第三条規定の処置を施した媒体に記載された情報のみであり、それ以外の情報の漏えい行為が関連情報を漏えいしたなどの理由により処罰されることはないと理解してよろしいでしょうか。総理、御答弁をよろしくお願いいたします。
関連し、過失による漏えい行為の処罰についてお尋ねいたします。
過失行為は類型化が難しく処罰範囲が広がるおそれもあり、その結果、過失処罰を恐れる公務員等が情報提供に過度に慎重となることも考えられます。処罰範囲を明確化する観点からは、故意に準ずるものとして重過失処罰に限定することも考えられますが、過失を処罰すべきとした御趣旨を森大臣、御答弁いただきたく思います。
次に、国権の最高機関たる国会との関係についてお尋ねをいたします。
衆議院修正案は、国会への特定秘密提供義務を、一定要件の下、行政機関の長に課しましたが、他方、行政機関の長が我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれのないと判断することも提供の要件としており、裁量の余地は残ります。国会法第百四条は、国政調査権に基づく情報提供要請を拒否できるのは内閣の声明があるときのみといたしますが、本法案には内閣の声明は明記されておりません。国会への情報提供が不当に妨げられることのないよういかに対処すべきか、森大臣の御答弁を求めます。
最後に、内閣の情報管理についてお尋ねをいたします。
秘密業務を行う各行政機関が、特定秘密保護法案の存在そのものを奇貨とし、情報隠しに走らないよう、各行政機関への監視を内閣が確実に行う必要がございます。内閣が行政を一元管理することができて初めて、議院内閣制下での内閣を通じた国会による行政に対する民主的コントロールが確保されます。各行政機関による情報隠しを排除することに向けて、総理の御決意をお伺いいたしたいと思います。
国民の本法案に対する不安を取り除く丁寧かつ誠実な説明が今、政府に求められております。このことを強く申し上げ、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕