2014-05-21
参議院
江崎孝
国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会
江崎孝の発言 (国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会)
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○江崎孝君 民主党の江崎でございます。
十三人の参考人から意見聴取をしてきたところで、様々な意見を聞かせていただいて、大変有意義な調査会だったと思います。
まず、先ほど西田委員が言われた我が国がデフレに陥った要因ですけれども、まずバブル崩壊後の企業倒産、失業等の厳しい経済社会環境が、さっきおっしゃったとおり税収を減少させていく。その一方で、その環境を改善するために多額の公共事業が推し進められた。御記憶にあると思いますけれども、リゾート法という悪名高き法律がありました。国の肩代わり的役割で地方が公共事業を膨らませていって、結果的には国、地方の借金がバブル崩壊後に膨れ上がっていったわけです。
同時期に、同じように冷戦構造が終わって、本格的なグローバリゼーション、そして金融資本主義が日本に押し寄せ、企業は、国際競争力を維持しなければならないということを理由にして、日本的雇用環境の見直しを進めます。政府もこれに呼応して派遣法を改正をしたりしながら、結果的に正規職員から派遣や非正規への雇用の切替えが進んでいったということが挙げられます。バブル崩壊後の雇用環境の悪化は、そのまま派遣や非正規雇用を増やすという、こういう新しい雇用環境の悪化で引き継がれ、恒常化をすることということになりました。
国内消費の中心軸であった個人消費が衰退していくのは、これ当たり前のことであって、これに加えて、藻谷さんが指摘されたように、一九九六年から生産年齢人口が減少して、二〇一〇年からはいよいよ人口減少が始まった。これが我が国の今の消費減に拍車を掛けてきたわけであります。税収減は、特に国と地方の財政を更に悪化させました。特に地方の疲弊は御承知のとおり。
我が国は、このような現状を、一九九〇年以降、複雑な要因が絡み合って今の結果ができ上がっていると思います。
そこで、幾つかの意見を申し上げます。
本調査会での参考人質疑では、デフレ脱却と財政再建の両立のためには、積極的かつ柔軟な財政政策と、これと連携した形による金融政策の推進が必要であるとの考えが複数の参考人から示されました。特に国土強靱化に係る大規模な公共事業です。
これはちょっと私は意見が違うところなんですけれども、私は公共事業が持つ経済効果を否定する立場ではありません。特に地方においては一定の必要性を認めなければならない。しかし、先ほど述べたとおり、バブル崩壊後の公共事業の増大は、景気浮揚に結果として結び付かず、国、地方の巨額の債務残高を積み上げたことを考えれば、公共事業を景気回復の切り札とするのは危険過ぎると指摘しておきます。まずこれが第一点。
二つ目に、増税に対しての指摘もありました。確かに、法人税の増税については、私は西田委員と同じ、慎重にやるべきだというふうに思います。
また、消費税についての問題点も指摘されました。消費税の増税はやむを得ないという立場で賛成してきましたけれども、次回の一〇%アップまでには現在の消費税制度が持つ不公平性など様々な課題を解決しなければならないと改めて痛感をした次第であります。
財政再建のためには、増税ではなく経済成長を高めることを優先し、完全雇用と所得倍増による自然増収を図るべきとの考えが、これも一緒に示されたわけなんですけれども、経済成長のために更なる規制緩和という考えも意見が出されました。委員の中にはそういう考え方もいらっしゃると思いますけれども、私は、市場原理主義的規制緩和が、雇用も含め様々なものの価値を引き下げる働きをしたということも見逃してはならないと思います。これも現在のデフレの一要因です。
このことから考えても、緩和すべき規制とすべきでない規制を明確に切り分けなければなりません。特に、雇用や医療、教育、環境など、国民の生活に直結する規制緩和は慎重であるべきだと考えています。
第三に、金融緩和政策です。
金融緩和政策は、雇用、教育等との相関関係が薄いという分析がありました。したがって、景気回復のためには消費の増加を図る必要があります。非正規雇用の増加に歯止めを掛け、賃金を上げていくとともに、生産年齢人口の七〇%しか就業していない構造を変えるために、女性が働きやすい環境を整備することが重要です。国民の圧倒的多数が勤労者という事実を踏まえ、勤労者が消費を増やす政策が求められています。
第四に、その勤労者の約九割が中小企業に雇用されている実態を踏まえ、疲弊している中小企業や地域経済に対して戦略的な財政政策を行うことも指摘されました。
地方の良さを生かす地域ブランド化や高付加価値化で地域外から稼ぎ、稼いだ金を活用するという地産地消モデル、藻谷さんは里山資本主義と名付けられていましたけれども、戦略的にそんな事業を各地で実践する、そんな地域のイノベーションに対して積極的に投資する政策が重要だと思います。
最後に、地方が元気にならなければ国全体が元気になりません。東京一極集中から抜け出し、日本を多極化していく大胆な転換も指摘されました。全くそのとおりだと思います。そのためにも、国と地方との関係を見直し、地方が国をリードするという財政政策の見直しも喫緊の課題ですし、地方の自主性、独自性ある発展を国がサポートする体制の強化を進めるべきだと考えています。
加えて、医療、介護、教育、公共交通などユニバーサルサービスが重要である分野の雇用や投資を増やし、地方での就業増を図る必要があります。日本は支出の面でも公務員数の面でも一度も大きな政府になったことがないにもかかわらず、市場原理主義の大波の中で小さな政府論が台頭し、いつの間にか小さな政府シンドロームに陥り、いまだに抜け出せないでいます。そろそろ小さな政府シンドロームから脱却し、日本的な少し大きな政府を目指してもよいのではないでしょうか。
デフレ脱却と財政再建の両立に特効薬はありません。それぞれの政策をバランス良く組み立て、成長から成熟した社会へ日本をソフトランディングさせることこそが目指すべき道だと考えます。
以上です。