田城郁の発言 (国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会)

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○田城郁君 民主党・新緑風会の田城郁です。
 この間の当調査会での議論と私の支援者や町の声などを総合すると、結論的に言えば、私は、デフレ脱却のためには世帯当たりの可処分所得を上昇させ、一定レベル以上の収入確保と雇用の安定化が必要であり、労働力を新たな産業に流動させる政策を取る場合には十分な教育とセーフティーネットを充実させる政策を同時に取ることで、とにかく市民、働く者の心の安定、生活の安定を確保することが必要であると考えます。いつも追い詰められた心理状態の人間の集団が持てる力を発揮することはできないし、結局は社会の力が落ちてしまうことであり、国力の低下につながると考えるからです。
 GDPの六〇%を占める個人消費を伸ばすことが、ひいては税収を伸ばし、財政再建につながると考えます。仮に一〇%に消費税を上げたとしても、借金は減りません。先ほど藤巻先生もおっしゃったように、三〇%まで上げないと一千兆円の借金は減り始めないということであります。
 アベノミクスは一定の評価を得ているとは思います。しかし、働く者、市民の側からすれば、その恩恵を受けているのはごく一部の株をたくさん持っている人や都市部に不動産を持っている人たちで、一般庶民、特に地方にはその実感は全く感じられないと訴えております。これは幾つかの世論調査の中でも明らかです。私の周りの知人、友人も、アベノミクスは、変化は起きたが、私たちは全く関係ないと口をそろえて訴えます。この事態は、要するに、世の中の大部分を占める庶民の購買意欲は低位安定で、実需がつくり出せていない実態が実感として生々しく語られているということだと思います。
 さらに、消費増税されたこれからの状況では更に悪化していくことが予想されます。そのそばから法人税減税をするなど言語道断だと、私も西田先生と同じ考えであります。ここはやはり世帯当たりの可処分所得を、特に若い人の可処分所得を上げていくことがいよいよ重要であると思います。
 藻谷浩介先生は、一九六五年から七〇年が就業者数の増加のピークであり、生産年齢人口の波が上げ潮期特有の人口ボーナスを最大限受け入れてきた時代だと分析しております。好景気をつくり出すのは、生産年齢人口をいかに多くつくり出すかということだということです。
 何としても、可処分所得を上げて、不安定な雇用をなくし、あるいはセーフティーネットを充実させて、特に若者が人生設計を立てられる、結婚し、子供を産み育て、車を買い、家を求めることのできる、要するに人としての営みをでき得る状況をつくり出し、生産年齢人口の増加につなげていかなければならないと考えます。
 安倍首相は、民主党時代に株価は上がりましたか、民主党時代に賃金が下がったじゃないですか、安倍政権になって失業率は低下したじゃないですかというふうに常々お話をされております。そして、今春闘は、安倍政権の働きかけの結果もあって、何年かぶりにベアを実施した企業がございました。官製賃上げだというやゆする論調もありますが、政府の働きかけが功を奏した面は大きいとも思います。
 官製賃下げなどが行われないように、今春闘はあくまでも例外としなければならないとは思いますが、中小企業はまだまだ交渉中のところもありますから、現時点で今春闘の評価についての言及は避けますが、いずれにしても、イザナギ景気を超える景気と言われた二〇〇二年から二〇〇七年の景気上昇局面においても、ベアゼロ更新が続くとともに、定期昇給さえも見送られてきたなど、長年にわたる賃金低下の影響もあり、一回ぐらいの賃上げが実施されても生活に余裕など生まれないのが現状であります。
 家計は疲弊しているのです。春闘交渉のこぼれ話などを聞くと、企業も嫌々ベアを実施しているところも多いようです。しかし、来年も再来年も賃上げは実施されなければなりません。疲弊した家計に活力を付け、安定雇用、低賃金を克服し、実需をつくり出していくことがデフレ脱却の必要要件であると考えます。
 私は、今後、企業が思うような賃上げをしないのであれば、政府によって可処分所得を上げる政策を充実させるべきだと考えております。民主党政権時代の子ども手当や高校の無償化、農家への戸別所得補償制度等、可処分所得を上げる政策を取ることで家計に余裕が生まれ、心にも余裕が生まれ、子供を計画的にもうけることにもつながると考えます。
 事実、民主党政権の後半二年で、減少し続けていた出生率が、僅か〇・一ポイントではありますが、上昇に転じた事実があります。子供が生まれれば、成長に伴い必然的に洋服や靴も毎年買い換えなくてはいけない、子育て用品、スポーツ用品から塾等の教育費など実需が生まれます。人間がゼロ歳から二十歳に成長する過程での経済効果は、五十代、六十代の二十年間の比ではありません。
 また、若者の非正規雇用の拡大、低賃金も少子化の原因になっていることは明らかです。私の周りでも、結婚しても家族を養う力がない、彼女の両親に結婚の挨拶に行ったら非正規を理由に断られたなどという話を本当によく聞きます。また、非正規から晴れて正規社員になったグループ会社の若者は、年収が五十万から六十万逆に下がって二百四十から二百五十万になってしまったと、人生設計について何も考えられない思考停止状態ですという言葉も聞きました。
 このような若者のひどい現状からすれば、アベノミクス三本の矢である民間投資を喚起する成長戦略の中の、労働法制を岩盤規制と規定し、安倍首相自身がドリルとなって岩盤を壊す規制緩和を推し進め、世界一企業が活動しやすい日本をつくるという方針は、この状況を更に悪化させるだけであると思います。
 したがって、私は、冒頭でも述べたように、デフレ脱却のためには、世帯当たりの可処分所得を上昇させ一定レベル以上の賃金上昇と雇用の安定化が必要であり、労働力を新たな産業に流動化させる政策を取る場合には十分な教育とセーフティーネットを充実させる政策を同時に取ること、とにかく働く者の心と生活の安定を確保するということが必要であると考えます。
 以上です。

発言情報

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発言者: 田城郁

speaker_id: 26936

日付: 2014-05-21

院: 参議院

会議名: 国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会