神本美恵子の発言 (本会議)

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○神本美恵子君 民主党・新緑風会の神本美恵子です。
 会派を代表しまして、安倍総理の施政方針演説に対する質問をいたします。
 東日本大震災と原発事故から間もなく三年。原発事故により避難生活を余儀なくされた避難生活の中で、配偶者が認知症を発症されたある女性の叫びです。
 三回目の避難先は仮設住宅。小さな部屋が二つずつ並ぶ、まるで鶏小屋のようなところでの生活。夫の入院、その看病で私自身も倒れそうである。ふるさとの家は廊下も部屋もヤギのふんだらけ。もし帰れても住むことはできない。国も県も町でさえもこの苦しみを分かっているのだろうか。仮設では主人を死なせたくない。私も絶対死にたくない。
 安倍総理の施政方針演説での、二〇二〇年、新たな東北の姿を、やればできるという掛け声が空疎に聞こえます。今も苦しい生活を強いられ、未来に希望を持つことができない被災地の方々のこうした声を総理は本当にお聞きになったことがあるのでしょうか。
 被災地における重要な産業である農業や漁業、観光業は、本格的な復興どころか、いまだ復旧の緒に就いた段階です。とりわけ、福島を始め原発事故の影響を受けている地域の現状は深刻であります。住まいの整備のみならず、復興が着実に進んでいない分野について、安倍総理はどのような現状認識と具体策をお持ちか、お示しをいただきたいと思います。
 次に、特定秘密保護法による生活への脅威についてお尋ねします。
 特定秘密保護法について、強行採決後の十二月九日の記者会見で、安倍総理は、通常の生活が脅かされるようなことは断じてあり得ないとおっしゃっています。しかし、それは法律が独り歩きする危険、特に治安、秘密に関する法律が独り歩きした戦前の教訓への無知をさらけ出しております。戦前、治安維持法に違反したとして逮捕されたのは七万件、しかし、裁判になったものはそのうちの一割でしかありませんでした。しょっぴくぞという威嚇効果が十分に発揮されていたわけです。
 安倍総理、戦前に吉田茂元総理が逮捕されたことを御存じでしょうか。一九四五年四月十五日、吉田茂さんは他の二人とともに特高によって逮捕されました。特高によれば、吉田一派は反戦分子であり、その後、二段階で近衛文麿元総理ら七人を検挙する計画でした。その罪状は、軍事上の造言飛語罪、軍機保護法違反罪でした。つまり、特定秘密保護法案に類似した軍機保護法違反で総理経験者も検挙するという計画を特高が持っていたのであります。
 今、幸いにして私たちは特高も憲兵もない社会にいます。しかし、特定秘密保護法を手にした公安警察などがテロ容疑名目でどのような動きをするか、国民の不安や疑念はこうした歴史の教訓を踏まえたものなのです。安倍総理はいかがお考えか、御認識をお聞かせください。
 次に、靖国神社参拝についてお尋ねします。
 総理、昨年末あなたは唐突に靖国神社参拝を行い、二〇一四年、新しい一年に向け、中国、韓国との関係改善の歩みを始めるべきときに、その機会を自ら潰したのであります。
 世界が驚き、批判の声を上げました。それは実に広範な世界の主要な国々からのものでした。中国や韓国、北朝鮮からの批判は予想されたでしょうが、ロシア、台湾、シンガポール、ドイツ、EU、そしてアメリカであります。台湾外交部は、日本政府や政治家は史実を直視し、歴史の教訓を学ぶべきだ、近隣国の国民感情を傷つけるような振る舞いをすべきではない、アメリカの在日大使館と国務省は、日本の指導者が近隣諸国との緊張を悪化させるような行動を取ったことに米国政府は失望しているとの談話を発表しました。
 靖国神社に関してまずお聞きしたいのは、憲法との問題です。日本国憲法第二十条及び第八十九条はいわゆる政教分離の原則をうたい、政治と宗教との関係を規定しています。今回、総理は、「内閣総理大臣安倍晋三」と札を掛けた花を参拝前に奉納され、その後、昇殿参拝されました。こうした行為は、憲法に照らし、政教分離の原則に違反する可能性があります。この点いかがお考えか、安倍総理からお聞かせください。
 私は、昨年末、民主党の未来に向けて戦後補償を考える議員連盟の一員として韓国を訪問し、歴史認識などについて韓国の議員の方たちと意見交換を行い、日常の対話の重要性について再認識をいたしました。
 安倍総理は、中国、韓国首脳に、対話のドアは常に開いていると語っておられます。では、そのためにどのように具体的な行動を取られるのでしょうか。一月二十三日付け朝日新聞のインタビューでケネディ駐日米大使が言及したように、歴史問題に向き合うしか近隣諸国との和解はないと考えますが、今回の靖国神社参拝を踏まえて、首脳会談実現に向けた具体的な計画を安倍総理からお示し願いたいと思います。
 私たちが心して思い起こさなければならないのは、一九四〇年に開催が決定していた東京オリンピックが日中戦争の激化で開催返上に追い込まれた歴史です。こうしたことが繰り返されないように、平和と国際協調の大切さをしっかりと確認し合わなければなりません。
 次に、従軍慰安婦問題についてお尋ねします。
 籾井NHK会長の発言は無知をさらけ出すもので、国家が主導した戦時性奴隷制度は、類似のものがあったとされるドイツ以外には、確認されているのは日本だけであります。何の根拠もない持論を公の電波で展開し、再び被害者を傷つけたことは本当に許せません。籾井会長は即刻辞任すべきです。籾井会長の発言に関する安倍総理の御見解を伺います。
 韓国を訪問した際、女性家族部の長官とお会いしました。長官は、韓国の元従軍慰安婦の方々、平均年齢が八十八歳となる五十一名のお一人お一人と会って話をされたそうです。そして、従軍慰安婦の問題は、過去の問題ではなく現在の問題であり、謝罪を求めるのは過去の過ちを二度と繰り返さないために必要なことだと述べられました。この問題に国際社会からも多くの懸念が発せられています。
 国連社会権規約委員会と国連拷問禁止委員会は、昨年、慰安婦問題について日本に相次いで勧告を行っています。内閣は、これらに対して、法的拘束力がないので従う義務はないとしています。それが国連人権理事国として取るべき態度でしょうか。安倍総理の御見解をお聞かせください。
 政府は、現在、女性・平和・安全保障に関する国連安保理決議一三二五の国内行動計画の策定に努力を重ねられていると承知しております。この安保理決議一三二五の精神に基づき、従軍慰安婦問題の解決に向けた具体的な行動の計画を安倍総理からお示しいただきたいと思います。必ず韓国政府との対話の糸口がここにあると私は確信しております。
 次に、憲法改正についてお尋ねします。
 安倍総理は、今国会を経済の好循環実現国会と銘打たれていますが、施政方針演説をお聞きすると、昨年秋の臨時国会で明らかになった特定秘密保護法成立を強引に押し切った手法を今後とも安倍内閣の常套手段として、これまで培ってきた国の基本路線を変更しようとしているのではないかと危惧されます。
 例えば、安倍カラーの政策を最も象徴している憲法改正に向けて、必ずや前に進んでいくことができると信じておりますと発言されています。集団的自衛権の行使容認に向けた解釈変更によって憲法改正へ進むもくろみが読み取れます。つまり、これは、憲法改正について国民の支持を得ることが難しいので、解釈によって実質憲法改正に踏み込む姿勢を明らかにしているのではないでしょうか。この点、安倍総理の率直な御見解をお示しください。
 昨年七月に麻生財務大臣が、ワイマール憲法もいつの間にかナチス憲法に変わっていた、あの手口を学んだらどうかと発言されています。それと同じ手法、手口と理解してよろしいのでしょうか。安倍総理、お答えください。
 また、解釈改憲や憲法改正に前のめりになっている安倍総理及び政府の方針について、連立を組む内閣の一員として、太田国交大臣の所感もお聞かせください。
 次に、総理が精力的に行ったという中東・アフリカ外交についてお尋ねします。
 総理は、オマーン、コートジボワール、モザンビーク、エチオピアの四か国を訪問され、最終日に、「一人、ひとりを強くする日本のアフリカ外交」というスピーチをされました。
 私は、一人ひとりを強くするために、まず必要なことは、その人が生きるための基本的な衣食住が満たされ、基本的な人権が守られているのかを知ることから始まるのではないかと思います。訪問されたアフリカ三か国を見ると、一日一・二五ドル以下で暮らしている人の割合である貧困率は、コートジボワールは約二五%、エチオピアは約三〇%、モザンビークは実に約六〇%です。総理が訪問された国々あるいはアフリカの人々の暮らしについて総理がどのような認識をお持ちなのか、お伺いをいたします。
 今回アフリカで行われている政府と企業とが一体となった開発は、目新しいものではなく、現地では中国の二番煎じと呼ばれ、かつての日本の東南アジア進出を想起させるものです。私には、日本もまた、金もうけを追求する企業のためのフロンティアとしてアフリカを見ているのではないかと思えるのであります。
 モザンビークには、様々な天然資源が豊富にあり、既に日本企業も進出しています。今回、日本はモザンビークの北部にあるナカラ回廊と呼ばれる幹線道路網を含む総合開発のために七百億円の政府開発援助の供与を新たに約束しました。しかし、この地域では、二〇〇九年に決定した、このナカラ回廊の走るモザンビーク北部三州、日本の耕地面積の三倍に当たる一千四百万ヘクタールの農業地域を対象地域にした日本・ブラジル・モザンビーク三角協力によるアフリカ熱帯サバンナ農業開発プロジェクト、プロサバンナ事業と呼ばれるプロジェクトが進んでいます。そこには四百万人以上の住民がいて、そのほとんどが小規模農民です。
 昨年、TICADⅤの直前の五月にモザンビークの広範なる農民・市民社会組織二十三団体から、九月には日本の市民社会三十六団体から、事業の民主的手続や法の遵守に疑問を呈する緊急停止の要請が出されています。総理は、この度の訪問で、モザンビークの大統領にこうした懸念の声をどのようにお伝えになったのか、お伺いします。
 さらに、現在、プロサバンナ事業のブラジル側コンサル機関が、開発プロジェクトが進んでいる同じ地域を対象に三十万ヘクタールの土地への二百億円規模の投資を世界中から集めています。住民のための政府開発援助事業を請け負いながら、同じ地域で投資集めをするという利益相反状態にあります。プロサバンナ事業は、日本、ブラジル、モザンビーク政府による三角協力によるものですから、日本政府がこの状況を放置すべきではないと考えます。住民の利益を無視し、世界の巨大アグリビジネスの便宜を図るようなODAの在り方は間違っていると言えるのではないでしょうか。
 たくさんの企業を引き連れ、大規模開発に巨額の借款による援助を表明した今回の総理のアフリカ訪問で、地道な援助を続けることで培われてきたアフリカの人々との信頼関係は失われていないのでしょうか。新たな開発によって腐敗と人権侵害が拡大するのであれば、それは積極的であれ何であれ、平和主義の実現のためではなく、総理の独り善がりにしかすぎないのであります。安倍総理のお考えをお聞かせください。
 次に、人口減少問題についてお尋ねします。
 総理は、経済対策により持続可能な経済成長を確保してまいりますと明言しています。しかし、現在我が国の置かれている状況、急激な人口減少を迎えることを考えた場合、持続可能な成長は幻想ではないのか、疑問を持たざるを得ません。
 人口減少は、当然のことながら六歳から十四歳までの就学人口、そして十五歳から六十四歳までの生産年齢人口の減少を伴ってまいります。
 就学人口の減少が激しい地域では、学校の統廃合が進められ、そのため、地域社会の中心としての小学校の消滅が現実化しています。小学校は、子供を通じ住民同士が身近に顔を合わせ語り合うことができ、あらゆる地域活動などを行う際に使われる拠点です。それだけに、学校の統廃合等により学校が消滅すれば、地域のコミュニティーもなくなり、その地域はますます人口減少につながっていきます。
 二〇一三年三月時点の住民基本台帳によると、生産年齢人口は初めて八千万人台を割り込み、全体の六二%まで縮小したと報道されています。生産年齢人口の減少は日本経済の潜在成長率を押し下げる要因となります。また、これらの世代は働き、税金を納めていますので、この世代の減少は経済的にも大きな影響を与えます。
 一方、六十五歳以上の人口は増え続けており、高齢者を支える働き手の数は、二〇一〇年段階では二・八人で一人を支え、二〇六〇年には一・三人で一人を支えるようになり、年金問題など社会保障の在り方にも大きな影響を与えます。
 このように、人口減少の問題は日本の方向を考える上であらゆる分野に影響を及ぼす重要な大きな問題として横たわっているのですが、残念ながら総理の施政方針演説からはそうしたことが聞き取れませんでした。これからの日本は経済の好循環によりバラ色と聞こえましたが、本当にそうでしょうか。人口減少問題について、安倍総理の御見解をお聞かせください。
 次に、教育についてお尋ねします。
 安倍総理が掲げる教育再生とはいかなるものでしょうか。
 民主党は、経済格差や貧困の連鎖を防ぎ、教育格差を生まないために、チルドレンファースト、社会全体で子育て・教育を支える政策を進めてきました。しかし、安倍政権になってからの施策は、希望する全ての子供たちに後期中等教育の機会と学習権を保障するための高校授業料実質無償化制度への所得制限の導入、少人数による一人一人の子供たちに行き届いたきめ細かな教育を実現するための三十五人以下学級の計画的、段階的実施の中断、そして二〇一四年度予算での教職員定数の縮減などであります。実に、この定数縮減は一九五八年の義務標準法制定以来初めてのことであります。これらの施策を後退させ、教育条件、環境整備のための予算を減らすことが、安倍総理の言う教育再生なのでしょうか。
 総理は、施政方針演説で、国際的な学力調査で日本の学力が過去最高となったのは、全国学力テストを受けた世代で、公教育の再生の成果だと述べています。余りにも表層的、短絡的な評価ではありませんか。
 学力とは何か。一九九六年、ユネスコは、学習の四本柱、知ることを学ぶ、為すことを学ぶ、共に生きることを学ぶ、人として生きることを学ぶを提起しました。今年度から悉皆調査に戻され、学校ごとの結果公表も可能とされようとしている全国学力テストで測られる学力とは、四本柱のうちの知ること、つまり知識習得の部分だけではないでしょうか。
 言うまでもなく、教育の目的は、教育基本法第一条、人格の完成を目指すものであります。人格の完成を目指す教育は、地域に暮らす様々な人々との現実生活に根差して、異文化や価値の多様性、人権、平和、民主主義を尊重し、次の世代の共同体を担う成熟した市民を育てることと考えます。共に生きる、人として生きることを学ぶことこそが、今日ますます重要になっていると考えます。
 過度の競争が子供に重い負担を強いて、いじめ、精神障害、不登校、自死などを助長している可能性があり、見直すべきとの勧告が国連子どもの権利委員会から繰り返し日本政府に対して表明されていることを総理は御存じでしょうか。一面的な学力測定で、過度の競争や序列化を招く悉皆調査による全国学力テストは廃止すべきと考えますが、安倍総理の御見解をお聞かせください。
 また、教育再生を最重要課題に挙げるのであれば、全ての子供が家庭の経済状況にかかわらず最良の教育を受けることができるよう、国の責任で十分な教育予算を確保し、公教育の充実に努めるべきであると考えますが、安倍総理の御見解をお聞かせください。
 安倍内閣は、教育再生のもう一つの側面として、教科書検定基準の見直し、道徳の教科化を進めようとしています。これは、戦前の、国家に奉仕する人間づくりのための国定教科書や修身科の復活につながるのではないかと私は危惧しております。安倍総理の御認識を伺います。
 昨年の十二月、中央教育審議会は、今後の地方教育行政の在り方についての答申を行い、教育委員会制度について、首長と教育長の権限を強化するとしています。
 そもそも、教育委員会制度は、政治的党派性や政治イデオロギーから教育が中立的に運営されるよう、首長から独立した合議制の執行機関に位置付けられ、政治的中立を確保しつつ公正な教育行政を行うことが要請されています。
 一九七六年の最高裁判決にもあるように、教育には政治的影響が深く入り込む危険があることから、教育行政の中立性を制度的に担保することが求められ、今日まで六十五年有余を経ています。教育基本法第十六条においても、「教育は、不当な支配に服することなく、」と、その中立性が制度的に強く要請されているところであります。
 さらに、公正さと政治的中立性を確保するため、地方自治法で規定される行政委員会に位置付けられているのであります。そして、教育委員は、教育行政に公正な民意を反映することを踏まえ、地域の教育をめぐって大所高所から意見を闘わせるために地域の各界各層から選ばれた多様な人材によって構成され、地域の教育政策の基本方針を決定する仕組みになっております。
 教育委員会は、首長、教育長の権限強化ではなく、政治的中立を担保し、合議制の執行機関としての機能強化を図るべきであると考えます。安倍総理が施政方針で述べている教育委員会制度の改革は、どういう方向で改革をされるのでしょうか。総理の見解をお伺いしたいと思います。
 施政方針では、若者を伸ばす教育再生と称し、英語教育の強化などを始め、子供たちへの学力向上が提起されていますが、教育の向上には、本人の努力はもちろん、学校、家庭・保護者、地域との連携が欠かせません。特に、いじめなどの問題の解決や子供たちの安全を確保するには、地域などとの連携協力が必要になっています。
 今のような少子化の時代、子供たちに特に必要なことは、人とのコミュニケーション能力、共に生きる力を育て伸ばしていくことです。そのためには、地域の人とのつながりを深めながら、子供たちが地域に愛着を持てるような活動や体験を意図的に仕組んでいくことが必要です。
 人間形成に欠かせない学校教育は、今日、公教育制度として機能しながら、地域との密接なつながりにより、充実した教育活動が可能になっています。その中で、地域住民の方々が有する経験や知恵は学校教育推進にとって有力な力となり、それが、自分たちの学校、この町の学校という愛着を生み、長期にわたって学校を支える強力な力となるものと考えられます。施政方針は、こうした視点を欠落して教育の再生を提起していると指摘せざるを得ません。安倍総理の御見解をお聞かせください。
 今、政府は、国家戦略特区における規制緩和の一つに、公立学校運営の民間委託を認める公設民営学校の設置を検討することを正式に決定しています。これは、教育を民間にとってのビジネスチャンスとして積極的に教育の私事化を進めようとしているものです。こうした動きは、ますます子供たちと地域を、学校と地域を遠ざけることにならないか、憂えているのは私だけでしょうか。安倍総理の御見解をお聞かせください。
 次に、雇用分野について質問をいたします。
 安倍総理の雇用制度改革は、新たな成長分野での雇用機会の拡大を図る中で、成熟分野から成長分野への失業なき労働移動を進めるため、雇用政策の基本を行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型へと大胆に転換するとしています。就労者の約九割が雇用者である雇用社会日本において、新たな成長分野での雇用機会の拡大に先行して雇用労働分野の規制緩和を進め、労働者に犠牲を強いて世界で一番ビジネスがしやすい国にすることが幸せな国民、労働者の暮らしにつながるのか、大変疑問であります。雇用の規制緩和がもたらす労働者の犠牲について、安倍総理の御見解をお示しください。
 ILOのガイ・ライダー事務局長は、雇用の規制緩和を成長をもたらす魔法のような解決策として捉えるのは間違っている、雇用の規制緩和や流動化が成長につながったケースもないと述べています。
 雇用労働分野の規制緩和が経済成長をもたらすのか、私には疑問であります。それどころか、労働者を痛め付ければ消費が縮小することは明らかであり、デフレ解消と矛盾する政策ではないでしょうか。
 いわゆるブラック企業問題、長時間労働など、労働者の雇用環境は悪化しており、特に過重労働、低賃金、不安定雇用の結果生じている過労死、自死は大きな社会問題であり、社会の損失ではないかと思います。総理はいかがお考えでしょうか、お伺いいたします。
 質問を終えるに当たって、ノンフィクション作家の保阪正康さんが色紙に揮毫する言葉を安倍総理にお伝えしたいと思います。
 それは、「前事不忘 後事之師」という言葉であります。これは、日中国交正常化交渉時、当時の周恩来首相が挨拶の中で使われた言葉でもあります。読んで字のごとく、前のことを忘れず、後の戒めとするという意味ですが、私は、二度と危うい歴史を歩んではならない、そのためにも、歴史を直視し、戦禍の記憶を記録に残し、次代を担う世代に議論を通じてしっかりと伝えていく必要があるという思いが込められた言葉だと思います。
 どうか総理には、この「前事不忘 後事之師」を受け止めていただきたい、そのことをお願いしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 118615254X00220140129_002

発言者: 神本美恵子

speaker_id: 20014

日付: 2014-01-29

院: 参議院

会議名: 本会議