溝手顕正の発言 (本会議)
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○溝手顕正君 自由民主党の溝手顕正でございます。
明日質問に立つ予定の吉田博美議員と二人で分担して、自由民主党を代表いたしまして、安倍総理の施政方針演説について質問をいたします。
本年、平成二十六年はうま年であります。安倍総理は年男で、今年還暦を迎えられるとのことであります。私も同じうま年生まれであります。総理とは一回り違うわけですが、同じうま年同士として、安倍総理にとって今年が良い年になりますよう応援していきたいと思っております。
昨年一年間、総理は休む暇もなく文字どおり駆け抜けてこられましたが、今年のお正月は少しはお休みになられたでしょうか。
本日は参議院での今年最初の質問ですので、まず総理の初夢についてお伺いいたしたいと思います。もし、お正月にゆっくり休まれて、良い初夢を見られたのであれば、ここで御披露いただきたいと思いますし、もちろんここでは言えないような夢もあるでしょうから、無理にとは申しませんので、よろしくお願いを申し上げます。
さて、昨年一年間、安倍内閣の下で三本の矢による経済再生が強力に進められた結果、我が国の経済は上向き、自信をなくしていた国民の気持ちも少しずつ前向きになってきました。
総理は、先週、スイスで開かれたダボス会議に出席し、日本の総理として初めてとなる基調講演を行いました。それだけ日本経済が世界からも注目されているというあかしだと思います。
バブル崩壊以降、日本経済に対する内外からの期待がこれほど高まったことはないでしょう。私は、これこそが安倍政権一年の最大の成果だと思っております。政権交代の成果でもあります。総理御自身は、就任以来の一年余りの政権運営をどう評価されているのでしょうか。また、今年一年をどう展望されているのでしょうか、お聞かせをいただきたいと思います。
次に、今年の日本経済について伺います。
政府は、二十六年度の名目成長率が三・三%になるという見通しを立てております。実現すれば、名目GDPは五百兆円、税収入は五十兆円という大台の達成が見込まれます。これは、平成十九年度以来、七年ぶりの数字であります。
日本経済は長期低迷が続いていましたが、三%成長が続けば、二年後の平成二十八年度にはGDPは過去最高の五百三十兆円、東京オリンピック・パラリンピックが開催される二〇二〇年にはおよそ六百兆円になります。本来、日本経済にはこのくらいのパワーがあるはずです。政府は、是非、こうした具体的な成長目標を内外にアピールして、国民に、そして世界に日本経済の復活を約束していただきたいと思います。
総理が施政方針でおっしゃったように、日本人が自信を取り戻し、二〇二〇年、そしてその先の未来に向けて進んでいけるようなビジョンを示すのが政府の役割であります。
一方で、経済成長に関しては、民間では政府より厳しい予測も目立っております。消費税の引上げによる影響をどう考えるかというその差だと思います。総理はどのようにお考えでしょうか。こういう理由で民間予測の一部より高い成長率を達成できるという御説明をお願いをいたしたいと思います。
私としては、消費税引上げによる個人消費の落ち込みを抑えるためには、給与の引上げが鍵になると考えております。また、中小企業への影響を抑えるために転嫁対策を万全にすることも重要であります。これらについて、具体策をどうするのか、お聞かせをいただきたいと思います。
また、何よりも重要なのは、消費税の引上げについて国民的な理解を得るための努力であります。増税分が全額社会保障の充実、安定のために使われます。増税になった分がどこかに消えていくわけではなく、社会保障として返ってくるのであります。今後、ますます高齢化が進む中で、社会保障に伴う負担を受け入れてもらうことは大変に重い政治課題であり、現在の政治家に課せられた最大の課題だと言ってもよいでしょう。
安倍政権であるなら、自由民主党政権であるなら安心して預けられると思っていただけるよう、政府としても丁寧に説明を行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
消費税引上げに関してもう一つ伺っておきたいことがございます。
今回、政府は、住民税非課税世帯の二千四百万人に対し、一人一万円を給付するといいます。低所得者対策の必要性はもちろんのことですが、住民税非課税世帯が二千四百万人もいるということ自体が我が国の深刻な所得格差を示しており、大きな問題ではないでしょうか。一方では、非課税世帯が余りにも多いことについて、課税の範囲が本当にこれでいいのかという気もいたします。
このように、住民税非課税世帯が非常に多いことは様々な観点から考えるべき問題を含んでいると思いますが、総理としてはどうお考えになるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
更に申し上げれば、今回の簡素な給付措置では、年金生活者と給与生活者との間で、給与生活者の方が不利になってしまうという問題もあります。つまり、同じ収入でも、年金生活者は給付がもらえ、給与生活者は給付がもらえない場合があるのです。
この例に限らず、我が国の社会福祉政策では、頑張って働いている現役世代が不利な扱いを受ける場合が多いと指摘されております。若い世代が希望を持てる社会に、そして働く意欲を持てる社会にするため、改善すべき大きな問題だと思います。政府としてはどう対応していくのか、お考えを伺いたいと思います。
将来に希望が持てる社会という意味では、もう一つ、財政問題について伺いたいと思います。
国の借金が一千兆円を超えたということは周知の事実でありますが、このまま借金が膨らみ、将来の世代が借金を返すためだけに働くというような国になってはなりません。
二十五年度補正予算案では国債を追加発行せず、二十六年度予算も国債発行を前年度より減らすなど、財政健全化に向けて着実に前進していることは評価できます。二十七年度までにプライマリーバランスの赤字を半減するという財政健全化目標も達成できる見通しとなっていると思います。しかし、三十二年度に黒字化するという目標の達成はまだ厳しいと伺っております。
将来にできるだけ負担を残さないように、我々世代の責任として財政再建を更に進めていく必要があると考えますが、総理の御決意をお伺いいたします。
次に、成長戦略について伺います。
政府は、先週、成長戦略の実行計画について閣議決定をいたしました。また、今国会には成長戦略関連の法案が三十三本も提出されると聞いております。アベノミクスの三本目の矢である成長戦略がいよいよ実行段階に入るわけです。
総理は、ダボス会議で、今後二年間で岩盤規制を打ち破ると宣言されました。総理自身がドリルになるという表現は、自ら先頭に立つという意気込みの表れだと思います。
私は、成長戦略に関し、三つのことを申し上げたいと思います。
一つは、成長戦略は大企業だけのものではないということであります。規制改革を実行される中で、大企業はもちろんですが、中小企業やベンチャー企業がより活動しやすい環境を実現し、活力ある経済を実現してほしいと考えております。この点で現在検討している具体策があればお聞かせください。
二つ目に、成長戦略は日本企業だけのものでもありません。我々自由民主党は、政権公約で世界で一番企業が活動しやすい国を掲げました。世界で一番と言うからには、外国人にとってもビジネスがしやすい環境をつくる必要があります。世界から企業が集まってこそ本物の国際競争力が生まれます。この点で我が国はまだ遅れていると言わざるを得ません。
外国人が日本でビジネスをする際の障壁は、我々日本人には気付きにくいものであります。例えば、会社をつくるときの諸官庁への届出、事業を行う許可の申請など、我々日本人にとっても大変ですが、外国人にとっては細かい部分で更にハードルが高いものになっております。
当事者である外国人の意見を聞くため、アドバイザー会議をつくるなど、外からの視点を入れてその改革を進めるべきだと考えますが、いかがでございましょうか。
三つ目は、成長戦略は、企業だけでなく個人が潤わなくてはなりません。支持者の方々とお話をしていると、企業の減税ばかりではなく、個人の所得を増やしてほしいという意見をよくいただきます。これも国民の偽らざる声であり、特に消費税引上げを機に、そうした声が更に強くなるに違いありません。
企業減税も規制改革も、最終的には国民のためになってこそ意味があります。そこが見えにくくなれば国民の支持は得られません。安倍政権の成長戦略が個人所得の向上にどうつながっていくのか、分かりやすい説明をお聞かせください。
日本経済に関しましては、もう一つ大きな問題があります。それは、昨今の貿易赤字であります。かつては黒字が当たり前であった我が国ですが、東日本大震災以来、大幅な貿易赤字が続いています。特にこの一年余りは、円安の影響で輸入価格が上がる一方、輸出が回復しておらず、赤字幅が増え続けています。昨年の貿易赤字は十一兆円と過去最大でありました。
この原因として、製造業の海外移転が進んだ結果、円安になっても輸出が増えなくなったとも言われております。一方で、円安が続けば製造業の国内回帰が強まるという見方もあります。
政府は、この大幅な貿易赤字、そして経常赤字を一時的なものだと考えているのか、あるいは今後も続く構造的な問題だと考えているのか、どちらでしょうか。また、構造的な問題だとお考えなら、どのように対応するお考えでしょうか、伺いたいと思います。
燃料の輸入額が増えていることも貿易赤字の一因であります。燃料の輸入量を減らすこと、輸入価格を下げること、この両方を追求していく必要があります。
燃料の輸入を減らすためには、現実問題として、原発再稼働の問題に決着を付けるしかありません。今すぐ別のエネルギー源を見付けることは不可能であります。原発がなくても電気は足りているではないかという声もありますが、その裏では、膨大な燃料費を海外に払い続けているわけであります。今の状態をいつまでも続けるわけにはいきません。政府の原発再稼働に関する方針はいかがなものでございましょうか、伺いたいと思います。
燃料の輸入価格に関しては明るい兆しもあります。シェール革命によって国際的なエネルギー事情は大きく変わろうとしています。燃料の価格低下、調達先の多様化、新たなエネルギー資源の開発、海運、造船を始めとする関連産業の発展など、我が国にとって大きなチャンスでもあります。また、エネルギー革命は、経済や安全保障環境にも大きな変化をもたらす可能性もあります。こうした変化に我が国としても適切に対応しなければなりません。
省庁の縦割りを超えた政府全体としての戦略が必要だと考えますが、政府にその戦略があるのか、お伺いいたします。なければもちろんつくっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
次に、地方財政の問題について質問をいたします。
私は広島県の三原市で市長をしておりました。東京などの都会のマンションと比べ、田舎の家は一軒当たりの行政コストが非常に掛かります。これまで日本のインフラ整備は、人が住んでいる限りはどんな山奥でも電気、水道、道路を引こうとしてまいりました。これはある意味では平等ではありますが、そのために効率的な行政運営を犠牲にしてきた面もあると思います。今後、更に過疎化が進めば、こうしたインフラを整備し、維持するコストが負担し切れなくなることは明らかであります。したがって、生活のインフラを町の中心部に集約していくことは不可避であると考えます。
こうしたことを言うと、もちろん強い反対もありますが、これが我が国の現実であります。生活インフラの集約化、効率化について国としての明確な方向性を示すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
また、地方交付税についても伺います。
地方交付税の財源は、所得税、法人税、消費税などの一定割合だということで法律で定めております。つまり、所得税や法人税の税収が変われば地方交付税の総額も変わります。
しかし、成長戦略の文脈で法人税減税などを議論する場合に、それが交付税に与える影響については余り考慮されていないように受け止めております。もちろん、実際には十分理解されていることだと思いますが、地方行政出身者としては気になるところであります。法人税を下げたら自動的に交付税が減るということでは地方が困ります。そうした点は議論されていると思いますが、念のため伺いたいと思います。
次に、第一次、第二次安倍内閣が共に重要課題と位置付ける教育再生について伺います。
総理は、世界トップレベルの学力と規範意識を身に付ける機会を保障することが教育再生の大目標だと、国会でも教育再生実行会議でも繰り返しおっしゃっています。
この目標のうち、学力の面で、国際学力テストで日本の子供たちの成績が向上するなど、既に脱ゆとり教育の成果が出始めております。次は規範意識や道徳心の育成について本格的に取り組む時期ではないかと思っております。内閣の重要課題としてこれをどのように進めていくのか、お考えを伺います。
歴史や文化の教育も重要課題と考えます。
先日、政府が高校日本史の必修化を検討しているという報道がありました。小中学校でも歴史は学びますが、高校生という、世の中のことがある程度分かる年齢になってから改めて我が国の歴史を学ぶことは非常に意味があると思います。是非必修化を行ってほしいと考えますが、総理としてはどのようにお考えか、お聞かせください。
また、歴史と併せて、年中行事、風習、食文化など日本文化を学ぶことも必要だと考えます。そうした内容を教育課程に入れることを検討してはどうかと考えますが、いかがでしょうか。御見解をお聞かせください。海外に旅行あるいは赴任してみて、自らの知識不足を感じ、恥ずかしい思いをしないようにしたいものであります。
次に、教育委員会改革について伺います。
昨年、教育再生実行会議が、教育委員会の責任体制を明確化し、首長の権限を強めるという教育委員会の改革案を打ち出しました。いじめや危機管理といった問題は、学校現場では日々起こっています。月に一度か二度、数時間集まるだけで非常勤の教育委員会が最終責任を持つというのは、現実的ではありません。こうした現状を考えると、教育再生会議の改革案は正しい方向性だと思います。
責任体制の明確化に加えて、いじめ問題への対応などを見ると、学校や教育委員会の透明化も必要だと考えます。身内をかばい、不祥事を公にしない学校や教育委員会の体質は、関係者以外との接触が少ないという閉鎖性や、県内の同じ大学の出身者ばかりという同質性など、様々な問題があると考えます。
このような学校や教育委員会の体質をどのように変えていくのか、具体策を伺います。
憲法改正について伺います。
先週の日曜日になりますが、我々自由民主党は第八十一回となる党大会を開催いたしました。そこで採択した運動方針では、憲法について、主権在民、平和主義、基本的人権の尊重の基本原理を継承しつつ、時代に即した現実的な改正を行う、党是である憲法改正の実現に向けて、党全体として積極的に取り組むとしております。
一方で、連立与党を始めとする各党の皆様、そして何よりも国民の皆様の御理解と協力がないと憲法改正は成し遂げることができないことは言うまでもありません。憲法のどの部分をまず変えるべきかという論議も、まだまとまっているとは言えません。
総理は、施政方針演説で、憲法改正には一言触れられただけでした。しかし、本来総理は、憲法改正について、私のライフワークだ、何のために政治家になったのかと語るなど、強い意欲をお持ちのはずです。総理は、今後、憲法改正に向けた動きを具体的にどのように進めていくお考えか、伺います。
次に、普天間問題について伺います。
昨年末、沖縄県の仲井眞知事は、普天間飛行場の五年以内の運用停止、早期返還について、政府挙げて取り組んでほしいと要請し、普天間飛行場の移設先である辺野古沿岸部の埋立てを承認いたしました。これは、安倍総理を始め、政府を挙げての取組の熱意が知事に伝わったものだと考えます。
一方で、先週、名護市長選挙が行われ、移設に反対する現職候補が勝利いたしました。地元自治体の協力を得ることが難しい状態になったわけですが、しかしながら、基地負担の軽減には強い決意で取り組み、普天間基地の固定化は絶対にあってはなりません。総理は、今後、どのようにこの問題を進めていくお考えか、伺います。
総理は、施政方針演説で、東京オリンピック・パラリンピックが開催される二〇二〇年について何度も言及されました。
私は前回のオリンピックのとき大学生でありました。当時、まさかもう一度東京でオリンピックが見られるとは思っておりませんでした。前回の東京オリンピックが開催されたのは一九六四年、今からちょうど五十年前であります。当時の我が国は、人口九千七百万人、GDPは三十兆円でした。国家予算は三兆円台であります。来年度は、社会保障関係費だけで三十兆円を超えます。当時のGDPより多い金額であります。五十年間でGDPは十六倍、国家予算は三十倍、社会保障関係費は実に七十倍になりました。当時とは全く違う状況で次のオリンピックが開催されます。
我々は、超高齢化社会の中で新しい国の形をつくっていかなければなりません。それには大きな困難も伴うでしょう。
今、東京都において都知事選挙の最中であります。その中で、国の根本的な政策ともいえる原発問題が争点として取り上げられています。
エネルギー問題は、原発即廃止で解決できるというような単純なものではないと考えます。更に十分な検討と時間が必要だと考えております。
どんな状況に直面しても、歯を食いしばって努力をし、あらゆる困難を乗り切ってきたのが日本人であります。震災からも戦争からも不死鳥のようによみがえり、繁栄を築いてきました。先人の偉大な努力に学び、新たな困難を乗り越えていくことが我々に課せられた使命だと考えます。
本当の意味で戦後を脱却し、新しい日本の行方を示すことが安倍総理に求められていることだろうと考えます。その使命を先頭に立って実現をしていく御決意をお伺いいたしまして、私の代表質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕