井上哲士の発言 (本会議)

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○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 私は、国家安全保障戦略、防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画について、日本共産党を代表して質問いたします。
 初めて作られた国家安全保障戦略には、積極的平和主義が掲げられましたが、国の最高法規である日本国憲法への言及は一切ありません。憲法に反する集団的自衛権の行使を容認し、従来の専守防衛の建前さえ投げ捨てて海外での武力行使に踏み出すものではありませんか。
 この間、総理は、集団的自衛権行使を容認するため、一九五九年の砂川事件の最高裁判決を持ち出しています。しかし、砂川判決が述べた固有の自衛権に集団的自衛権が含まれているという議論は通用しません。砂川裁判とは、在日米軍の駐留の違憲性が争われたものであり、当時、検察、弁護団、裁判官のいずれも、自衛権とは日本が侵略された場合の個別的自衛権であることを当然の前提として議論していました。
 一審では違憲判決が下り、異例の最高裁への跳躍上告が行われました。その際、判決に驚愕した駐日米国大使が最高裁長官と秘密裏に話し合っていたという、司法の独立を揺るがす事実が二〇〇八年以来、アメリカの解禁文書で明らかになっています。その下での最高裁判決は、在日米軍が憲法九条二項の言う戦力に当たるかどうかを判断したものの、日本独自の自衛力の保持については判断していません。しかも、集団的自衛権は行使できないという政府の憲法解釈もこの判決以降に確立したものであります。その判決を集団的自衛権行使の容認に利用するのはもってのほかではありませんか。
 戦争放棄、戦力不保持、交戦権否定を定めた憲法九条の下で、集団的自衛権行使など認められません。それを閣議決定で覆すのは立憲主義を否定するものであります。直ちに憲法解釈変更の検討を中止することを求めます。
 次に、防衛大綱について伺います。
 大綱は、米国の海兵隊をモデルとした水陸機動団を創設するとし、水陸両用車両やオスプレイなど、米海兵隊と同様の装備を導入するとしており、一四年度予算に経費を計上しています。既に、昨年五月には陸上自衛隊三十名が米海兵隊の研修を受け、部隊創設の準備をしていると報道されています。
 そもそも海兵隊機能とは何でしょうか。モデルとしている米国の海兵隊は、過去の戦争の事例が示すように、真っ先に敵地に攻め込む殴り込み部隊です。なぜ自衛隊がそのような機能を持つことが必要なのでしょうか。島嶼防衛といいますが、軍事には軍事というのは、軍事的緊張の拡大と悪循環をもたらすものでしかないのではありませんか、お答えください。
 敵基地攻撃能力の保有の検討について聞きます。
 新大綱は、いわゆる敵基地攻撃能力の保有の在り方について、検討の上、必要な措置を講ずるとしています。日米間でどのような役割分担をし、我が国がどのような攻撃能力を保有しようというのですか。
 そもそも、敵基地攻撃能力は憲法の下に認められるはずがありません。政府も、従来、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とならないとの方針の下、攻撃的兵器、侵略的兵器は持たないとしてきたのであります。仮定の事態を想定して、その危険があるからといって、平生から他国を攻撃するような攻撃的な脅威を与えるような兵器を持っているということは、憲法の趣旨とするところではない、これが政府の見解です。
 もし日本が敵基地攻撃能力を保有することになれば、周辺諸国は日本の方針の大転換だとみなすのではありませんか。憲法に反して軍事的緊張を高める危険な検討は直ちにやめるべきではありませんか。明確な答弁を求めます。
 新大綱は、グレーゾーンの事態に度々言及し、シームレスかつ機動的に対応し、持続的に対応し得る態勢を確保するとしています。グレーゾーンとは一体何ですか。
 総理も出席した安保法制懇の会合では、潜水艦の領海侵入で退去要求に応じないケースや、領海内の海上や離島で武装集団が船舶や民間人に不法行為に及んだケースを議論したといいますが、実際に一体どのような事態があるというのですか。仮定の事態を基に自衛隊の軍事的対応を広げることなど許されません。周辺諸国との様々な問題は、話合いによる平和的、外交的手段で解決を図るべきではありませんか。
   〔副議長退席、議長着席〕
 今必要とされているのは、北東アジアに平和的環境をつくる外交努力です。日本は、元々、中国、韓国とは経済的にも文化的にもつながりの深い、切っても切れない関係です。にもかかわらず、総理の歴史認識に端を発する問題で両国とは十分に話合いもできない事態に陥っていることをどう認識され、どう打開するつもりですか、お答えください。
 政府は、一日、武器輸出を全面的に禁じてきた武器輸出三原則等を廃止し、武器輸出を包括的に推進する防衛装備移転三原則を閣議決定しました。武器輸出三原則は、政府も、憲法の平和主義にのっとったものと繰り返し答弁し、一九八一年の衆参本会議で日本国憲法の平和理念に基づくものと決議し、国是としてきたものです。
 総理は、新原則で平和国家の理念は変わらないと言いますが、新原則では、基本理念から日本国憲法が消え、国連憲章を遵守するとなっています。これは国連加盟国として当然のことであり、日本は、単に国連憲章を守るだけでなく、更に先駆的な憲法九条に基づく平和国家として武器輸出を禁止してきました。基本理念は根本的に変わっているのではありませんか。
 新原則では、紛争当事国や国連決議に違反する場合は輸出を認めないとしています。この新原則で輸出が禁止されるのはどの国ですか。一方、従来の三原則では輸出が禁止されてきた国際紛争のおそれのある国が削除されたのはなぜですか。世界各地で武力行使をしてきたアメリカや軍事紛争を繰り返してきたイスラエル等にも、現に国連決議がないとして輸出を可能にするためではありませんか。
 総理は、これまでの三原則に例外が認められ、穴が空いてきたと予算委員会で答弁されました。新原則では、これまで積み重ねてきた例外の実例を踏まえ、新たなルールを決めたといいます。しかし、やるべきことは、抜け穴を塞ぎ、国際紛争を助長しないために武器輸出を禁止するという原則に立ち戻ることです。
 武器輸出三原則の撤廃は、財界の一貫した要求でした。政府は、昨年、初めて防衛産業の国際競争力の強化を掲げました。この間、例外措置も積み重ねながら、F35戦闘機の共同開発への参加、イギリスの艦船へのエンジンの提供、インドへの救難飛行艇の輸出を進め、トルコ軍戦車のエンジンの共同開発も浮上しました。新原則による武器輸出の解禁は、防衛産業の要求に応え、武器輸出で成長する国を目指すものにほかならないのではありませんか。
 日本は、戦後、武器を輸出してこなかったことで小型武器の輸出規制の論議でも国際社会をリードしてきたと外務省自身が繰り返し強調してきました。防衛産業の要求に応え、武器輸出を拡大することは、こうした積極的役割や国際的信頼を掘り崩すことになるのではありませんか。答弁を求めます。
 憲法の平和原則を乱暴に踏みにじり、軍拡と海外派兵を推し進め、海外で戦争をする国をつくろうとする時代錯誤のこの危険な戦略と計画に厳しく反対し、その撤回を強く求め、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 井上哲士

speaker_id: 20704

日付: 2014-04-04

院: 参議院

会議名: 本会議