小西洋之の発言 (本会議)

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○小西洋之君 民主党・新緑風会の小西洋之でございます。
 私は、会派を代表して、議題となりました二法案について、これらの適正執行の前提となる安倍内閣の法の支配等に係る資質の観点も含め質問をいたします。
 本法案は、平成二十年の福田内閣による法案、そして事業仕分の観点等による抜本的な見直しを講じた民主党野田内閣による、通称平成二十四年法案のそれぞれが衆院解散により廃案となり、その後、第二次安倍内閣での検討を経て再提出をされたものでございます。
 こうした経緯を踏まえつつ、本法案の中身を見ると、業務の特性に着目して法人を類型化し、それに応じた目標設定や評価システムを設けることなど、改革の主要な部分は平成二十四年法案の内容が踏襲されており、全体としては評価できるものと考えております。
 しかし、詳細を検討すると、平成二十四年法案からは本来の国民本位の改革という趣旨が後退し、あるいはその実現が危ぶまれる点が多々あるものと言わざるを得ません。
 その第一が、法人の統廃合の在り方です。平成二十四年の野田内閣での閣議決定では、雇用の確保に十分配慮をしつつも、独法を百二から六十五法人まで再編することとしていたのに対し、昨年十二月の安倍内閣の閣議決定では、これらが八十七法人までの再編にとどまっております。
 本法案は、平成二十四年法案の内容とほとんど同じなのに、それに伴う全体の再編の姿がこれほど大きく違うのは一体なぜでしょうか。国民本位ではなく、天下りポストなどのお役所本位、あるいは安倍政権の基本的政治姿勢である国家本位のためでないならば、その違いの具体的な理由を、内閣を代表する立場として、菅官房長官にお答えいただきたいと思います。
 さらに、本法案を検討してみると、平成二十四年法案に措置していた役員の原則公募の定めが入っておりません。この公募については、いわゆる官僚たたきではなく、幅広く社会全体に有為な人材を求め、法人経営の改革を図る非常に重要な制度であったはずでございます。
 この点、衆議院提出段階の法案が、公募を単なる例示に格下げし、かつ、義務規定を努力規定に格下げするという平成二十四年法案よりも二段階も後退した内容であったところ、民主党を中心とする与野党協議の結果、条文修正に至ったところです。
 しかし、この修正は、主務大臣は公募の活用に努め、そして、公募によらない場合には他の必要な措置を講じるという、まるでどっち付かずの規定ぶりであり、民主党政権での国民本位の改革の趣旨が担保されたものか、大いなる疑問を禁じ得ません。
 そこで、稲田行政担当大臣に伺います。
 この衆院での修正の趣旨は、主務大臣は、まずは、公募を真にやむを得ない場合を除いて必ず実行しなければならない、そして、やむを得ず公募が実行できない場合は、その理由等について国民への説明責任を全うしなければならないという意味であると解してよろしいでしょうか。役員公募の実績等もお示しいただきつつ、担当大臣より明確な答弁を求めます。
 また、法人の長の任命に当たっては、福田内閣及び野田内閣の法案では内閣の承認手続を措置しておりましたが、今回の法案では、この主務大臣の独善、偏向を排し、公正な人選を確保するための仕組みが存在しません。
 この点、昨年のNHKの経営委員人事において、放送法上の唯一の任命権者である安倍総理の任命行為により、安保法制懇の委員である岡崎久彦氏との共著において、日本国憲法というものが日本の近代史における最大の汚点であると主張する長谷川三千子氏などのお友達が任命され、その代わりに、東日本大震災の最大の被災地である東北地方を代表する経営委員が戦後初めて空席となる、被災地切り捨ての、断じて許すことのできない事態が生じております。
 こうした安倍内閣の政治任用の実態を踏まえつつ、今回の法案では、主務大臣の任命の適正確保のための内閣の承認手続を削除した理由について稲田行革担当大臣の御見解をお伺いいたします。
 続いて、本法案における重要な改革である独法のガバナンス強化について、同じく国民本位の改革の後退の観点から質疑いたします。
 第一に、各省に設置されていた評価委員会を廃止した場合、実際の評価作業は各省の独法担当職員が担うことになると考えられますが、いわゆる身内意識による手抜き、お手盛り評価の危険性をいかなる具体的措置により排除するのか、稲田行革担当大臣の御見解をお伺いいたします。
 第二に、業務報告書への法令遵守等の体制の記載とともに、監事による不正事実の報告義務が措置されましたが、今般の厚労省所管法人の入札事案からも危惧されるように、実務上の報告窓口である各省の独法担当職員による隠蔽等の危険はないのか、さらに、最終的な大臣への報告やその指示内容は闇に埋もれることなく公表されるのか、これらの対処策について稲田行革担当大臣の御見解を伺います。
 以上、本法律案について、安倍内閣の改革姿勢、主要制度に係る法令解釈及びその運用の在り方、さらには、法令遵守等のガバナンスの確保の在り方等について質問をいたしました。
 しかし、以上の全ての質問及び今後の法案審議の大前提として、国会による発議及び国民投票という憲法第九十六条の改正手続を無視して、閣議決定のみで最高法規である憲法の解釈改憲を強行しようとする安倍内閣においては、そもそも、適正な法令解釈や、昨年のNHK人事にあったような独善、偏向なき適正な制度執行が確保されるのか、さらには、憲法規範を破壊し、社会の遵法精神を破壊しようとする、まさにその当事者が、まるで漫画の世界のごとく、国民に法令遵守を指導することができるのか、何より、立憲主義や法の支配、国民主権、議院内閣制を否定しようとする内閣が真に国民本位の改革を実行できるのか、この代表質問の場で徹底的に明らかにする必要があります。
 まず、菅官房長官に伺います。
 こうした本法成立後のその適正執行を担う安倍内閣の資質について、自らどのような評価及び認識でいるのか、真摯なる答弁をお願いいたします。
 さて、安倍内閣がその真の姿として、また法案審議の前提として、主権者国民及び国会を尊重し、立憲主義及び議院内閣制を遵守する意思があるかについて、より明瞭に追及いたしたく、議場の先輩、同僚議員の皆様に、ちょうど今から六十年前の一九五四年六月二日にこの本会議場で全会一致で可決されたある決議文を朗読をさせていただきます。「自衛隊の海外出動を為さざることに関する決議 本院は、自衛隊の創設に際し、現行憲法の条章と、わが国民の熾烈なる平和愛好精神に照し、海外出動はこれを行わないことを、茲に更めて確認する。 右決議する。」
 これは、自衛隊創設に当たり、自衛隊の海外出動、つまりは、自衛隊の海外派兵たる海外における武力行使はこれを行わない、すなわち、自衛隊による集団的自衛権の行使はこれを許さないという憲法第九条の解釈を、我らが参議院が確定した決議であり、当時の鶴見祐輔議員は、その趣旨説明演説において、その内容を以下のように明瞭に述べています。
 何ものが自衛戦争であり、何ものが侵略戦争であったかということは、結局水掛け論であって、歴史上判明いたしません。ゆえに我が国のごとき憲法を有する国におきましては、これを厳格に具体的に一定しておく必要が痛切であると思うのであります。自衛とは、我が国が不当に侵略された場合に行う正当防衛行為であって、それは我が国土を守るという具体的な場合に限るべきものであります。幸い我が国は島国でありますから、国土の意味は、誠に明瞭であります。ゆえに我が国の場合は、自衛とは海外に出動しないということでなければなりません。いかなる場合においても、一度この限界を越えると、際限もなく遠い外国に出動することになることは、先般の太平洋戦争の経験で明白であります。それは窮屈であっても、不便であっても、憲法第九条の存する限り、この制限は破ってはならないのであります。外国においては、今日の日本の戦闘力を利用せんとする向きも絶無であるとは申せないと思うのであります。さような場合に、憲法の明文が拡張解釈されることは、誠に危険なことであります。ゆえにその危険を一掃する上からいっても、海外に出動せずということを、国民の総意として表明しておくことは、日本国民を守り、日本の民主主義を守るゆえんであると思うのであります。
 以上、すなわち、この自衛隊の海外出動を為さざることに関する決議は、日本国民を守り、日本の民主主義を守るために、憲法第九条の明文が拡張解釈されるその危険を一掃する、つまり、内閣による解釈改憲の危険を許さず、これを絶対に封じるために、国権の最高機関たる参議院において、国民の総意として全会一致で可決されたものであります。
 そして、憲法第九条の拡張解釈による自衛隊の海外出動たる海外派兵、すなわち、集団的自衛権の行使はこれを絶対に許さないというこの本会議決議は、その後の本院における自衛隊法などの審議の際に、繰り返し繰り返し、必ずと言ってよいほどその趣旨が政府との間で確認されてきたものでございます。
 例えば、平成十七年十二月十二日のイラク人道復興支援活動等に関する特別委員会における当時の安倍晋三官房長官、すなわち現在の安倍総理は、本決議の趣旨を問われ、自衛隊を海外に派遣をして、そしてこの自衛隊が言わば武力行使をするということを念頭に置いているのではないかと、このように思いますと、明快に本決議が自衛隊の海外における武力行使、すなわち、集団的自衛権の行使を禁止したものであるとの認識を答弁をしております。
 同様の政府答弁は、平成二十年代の新テロ特措法、イラク特措法、旧テロ特措法、周辺事態法制、PKO法に係る審議等々、その数は優に数十回を超え、まさに憲法第九条の解釈に係る本決議は、参議院と政府の間で積み重ねられた法規範に匹敵する、内閣を揺るぎなく強固に拘束する立法府としての決議であります。
 ここで、安倍内閣を代表して、菅官房長官にお尋ねします。
 安倍内閣として、この自衛隊の海外における武力行使、すなわち、集団的自衛権の行使はこれを許さない、そして日本国民と日本の民主主義を守るために、そうした内閣による憲法九条の拡張解釈は断じてこれを許さないという参議院の確固たる本会議決議を前にして、それでもなお安倍内閣の閣議決定だけで憲法九条の解釈改憲を強行することが許されるとお考えですか。
 そのような蛮行は、国権の最高機関である参議院を否定し、議院内閣制を否定し、さらに、山崎正昭議長以下二百四十二名の全参議院議員と、それらを選出した主権者国民を否定する、断じて許されない行為との認識はございませんか。
 本日二十八日、明日二十九日と、衆参で解釈改憲問題の集中審議がなされます。しかし、かつての六〇年安保改定では百五十五時間、PKO法案では百九十三時間、周辺事態法制では百六十一時間の衆参の国会審議を行っています。
 これらを含め、これまでの全ての安全保障法制の審議は、集団的自衛権の行使は憲法違反であるとの前提の下に行われております。この前提そのものを解釈の変更により覆そうとするのであれば、その憲法九条の解釈の変更案を、紙芝居ではない、集団的自衛権行使の具体的かつ詳細な政策的必要性とともに、衆参の国会に提出して、その新たな解釈の論理的整合性や、これまでの国会論議との整合性について、憲法審査会や特別委員会などの場を含め、まずは徹底的に数百時間以上の審議を受けるべきではないでしょうか。それが自称闘う政治家である安倍内閣総理大臣の取るべき道であり、何よりも、それが国民のために立憲主義を守る内閣の責務であるとは考えないのでしょうか。
 以上、全ては本法案審議の前提となる事項でもありますが、これらについて、参議院本会議場の演壇の上で、内閣として、三権の長たる議長以下、本日ここに集う全参議院議員に対し、そして主権者国民に対し、逃げることのない、明確な菅官房長官の答弁を求めます。
 最後に、日本国憲法の前文においては、日本国民は、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定するとあります。
 この趣旨は、我らが日本国民は、国家による戦争の惨禍から永久に国民自身を守るために、そのことを目的として、国民主権原理を憲法に採用したことを意味します。すなわち、憲法九条の内閣による解釈改憲は、憲法第九十九条の憲法の尊重擁護義務に違反するのみならず、この憲法前文の恒久平和主義に立脚した国民主権原理を否定する憲法違反行為そのものであり、まさに立憲主義そのものを否定する空前絶後の蛮行でございます。
 先輩、同僚議員の皆様におかれましては、閣議決定はもちろん、この本会議場で議決する自衛隊法改正等の法律によっても、なお奪うことのできない自衛隊員や国民のかけがえのない命がある、それを決めることができるのは、主権者国民の国民投票による憲法改正でしかない。
 このまさに立憲主義の原理そのものを破壊しようとする安倍政権の、一部識者の弁によれば政治的クーデターともいうべき過ちから国民を守り、その国民の擁護者として、今こそ我々良識の府たる参議院の存在意義とその真価が問われておりますことを、本法案審議の前提の観点を深く深く込めながら、改めて更に深く深く皆様にお願い、お訴え申し上げまして、私の質疑とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣稲田朋美君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 118615254X02520140528_005

発言者: 小西洋之

speaker_id: 27444

日付: 2014-05-28

院: 参議院

会議名: 本会議