下村博文の発言 (文部科学委員会)
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○下村国務大臣 第百八十七回国会において各般の課題を御審議いただくに当たり、一言御挨拶申し上げます。
初めに、広島での大規模な土砂災害を初め、全国各地で甚大な被害をもたらした平成二十六年八月豪雨や先般の御嶽山の噴火などによって亡くなられた方々の御冥福を謹んでお祈りするとともに、被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げます。今後とも迅速な災害対応に努めます。また、火山研究のさらなる充実強化に向けた対応について検討を進めてまいります。
二〇二〇年は、東日本大震災からの復興を世界に示すとともに、日本が今後進む方向性を形づくる大きな転換点です。グローバル化が進展する中、少子高齢化を乗り越え、我が国が世界に伍して成長、発展していくために必要なのは、全ての人たちで子供、若者を支えることにより、一人一人の能力、可能性を最大限伸ばし、それぞれの夢にチャレンジできる社会を実現することです。
そのために私は、二〇二〇年のビジョンとして、家庭の経済状況や発達の状況などにかかわらず、学ぶ意欲と能力のある全ての子供、若者や社会人が質の高い教育を受けることができる社会の実現を掲げます。さらにその先のビジョンとして、誰もがいつでも希望する質の高い教育を受けられる生涯学習社会を目指し、その実現に取り組んでまいります。
私は、ビジョンの実現を通じ、日本の将来を明るく活力あるものにすることにより、我が国の未来を担う若者全員が、みずからの人生に誇りを持ち、幸福であると思える社会の実現を目指して、文部科学行政の充実に全力を尽くします。
大震災の爪跡は、いまだに被災地に大きな影を落としています。学校の復旧、就学支援、児童生徒の心のケア、学習支援等を初め、復興を支える人材育成や大学、研究所による地域再生への貢献など、被災者の心に寄り添った復興に全力を尽くします。東北地方における医学部新設については、準備が円滑に行われるよう着実に取り組みを進めます。
原子力災害からの復興のため、六月に公表した廃炉に関する加速プランに沿って、国内外の英知を結集して取り組みます。原子力損害賠償については、迅速、公平かつ適正な賠償に万全を期すとともに、原子力損害の補完的な補償に関する条約の締結と所要の国内法の整備を行うための準備を進めます。
日本の将来を担う子供たちは国の一番の宝です。教育は国の根幹を形づくる最重要政策です。教育再生のための施策を実行に移し、世界トップレベルの学力と規範意識を備えた人材を育成します。
これからの時代に求められる資質能力を育成するためには、知識、技能の習得に加え、子供たちが主体的、協働的に学ぶ課題解決型授業への飛躍的な発展が必要です。小学校英語の早期化、高等学校の日本史の扱いなど地理歴史科の改善や新科目「公共」の創設など、次期学習指導要領の検討に着手します。全国学力・学習状況調査の活用、高等学校教育の質の確保、向上、言語活動や理数教育の充実、ICT活用の促進に取り組みます。
障害のある子供たちのため、教職員の専門性向上、通級による指導の充実、拡大教科書等の普及充実、学校施設のバリアフリー化等の必要な教育条件を整備し、特別支援教育を推進します。
いじめは絶対に許されません。いじめ防止基本方針をもとに、総合的な対策の実施を進めます。体罰についても、禁止の徹底を図ります。心と体の調和のとれた人間を育成するため、道徳の時間の新たな枠組みによる教科化に取り組むとともに、「私たちの道徳」の活用を促します。
これら教育再生への取り組みを担うのは、教員と多様な専門性を持つスタッフが一つのチームとして力を最大化する学校です。新たな教職員定数改善計画案を策定し、教職員の質と数の一体的な強化を図ります。養成や採用、研修等のあり方の見直しや、教員の専門性にふさわしい勤務や処遇等のあり方の検討にも取り組みます。
大学力は国力そのものです。国立大学改革プランに基づいて国立大学の改革を実行します。世界トップレベルの大学力の実現や世界を牽引するリーダーの養成を目指し、スーパーグローバル大学への重点支援など、大学の徹底した国際化を推進します。
大学の教育研究活動を支えるには、財政基盤を確立した上で、めり張りある配分を行うことが重要です。国立大学法人運営費交付金や施設整備費補助金、私学助成を安定的に確保するとともに、改革を進める大学を重点的に支援します。法科大学院については、法曹養成制度関係閣僚会議の決定を踏まえ、教育の改善充実に向けた取り組みを早急に進めます。
学制改革については、小中一貫教育の制度化を初め、発達に応じた教育の充実、さまざまな挑戦を可能とする制度の柔軟化、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化などに取り組みます。多様な価値に対応した公教育が可能となるよう、国家戦略特別区域での公立学校運営の民間開放に向けた準備を進めます。不登校などの課題を抱える子供たちのために、フリースクールなど多様な場で自信を持って学べる環境を整えます。高大接続については、大学入学者選抜のみならず、高等学校教育や大学教育のあり方も含めた一体的な改革を進めます。
いわゆる貧困の連鎖によって子供たちの将来が閉ざされてはなりません。子供の貧困対策に関する大綱を踏まえ、幼児教育の段階的な無償化、スクールソーシャルワーカーの配置拡充、地域による学習支援や家庭教育支援の充実に取り組みます。高校生等奨学給付金や、経済的に修学困難な専門学校生への支援などによる教育費の負担軽減を目指します。大学等奨学金事業の有利子から無利子への流れを加速するとともに、所得連動返還型奨学金制度の導入に向けた取り組みを進めます。
子供たちがこれから活躍する舞台は世界じゅうにあります。外国語教育の強化、スーパーグローバルハイスクールの整備、国際バカロレア認定校の大幅増に向けた取り組み、十一月に愛知県名古屋市、岡山市で開催されるユネスコ世界会議を通じたESD、持続可能な開発のための教育の推進などを進めます。
留学生交流は倍増を目指します。留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」を展開し、官民が協力した海外留学支援の充実等を図ります。あわせて、学生宿舎等の整備、海外拠点の構築や就職支援の充実等により、優秀な外国人留学生の受け入れ環境を強化します。
人口減少などの我が国が直面する課題を解決するには、個性あふれる地方の創生が重要です。安全、安心な環境が構築された学校を中核として地域のあらゆる力を結集し、地域の未来を牽引する取り組みを進めます。とりわけ、地域や企業の協力を得て、土曜日や放課後の教育活動が全国各地で展開されるよう取り組みます。
活力ある地方の創生に大学はもっと貢献できます。地域の中核的存在である大学等が地域に必要な人材を育成する取り組みを推進し、理工系人材の戦略的育成の取り組みを集中的に進めます。大学、専門学校、社会教育施設等における女性や高齢者を含む社会人の学び直しの環境を充実をします。
教育への投資は未来への先行投資です。その充実を図るには財源の確保が不可欠です。教育行財政のあり方について、これからの時代に求められる創造的な能力などを高めるための教育の革新や生涯現役、全員参加型社会を実現するための教育のあり方とあわせて、教育再生実行会議で検討を進めます。
青色発光ダイオードを世界で初めて実現し実用化に導いた、赤崎勇氏、天野浩氏、中村修二氏の日本人三名のノーベル物理学賞の受賞が決定したといううれしいニュースがありました。改めて、我が国の学術研究、技術開発の水準の高さを世界に示してくれました。
科学技術イノベーションは成長戦略の重要な柱です。我が国が成長を続けるための鍵は、イノベーションの創出による国際競争力の強化と、それを支える人材の育成です。その中核を担う文部科学省として、世界で最もイノベーションに適した国を目指し、第五期科学技術基本計画の策定に資する総合的な政策の検討を進めます。
最先端の知識や技術を結集して人類未到の研究課題に挑み、世界最高水準の科学技術を振興します。
多様な基礎研究や国が取り組むべき基幹的な技術開発を推進し、それらの成果に基づく大学発ベンチャー創出など、研究成果の実用化を着実に進めます。国立研究開発法人をハブにした産学官の人材の循環、研究開発力を駆動力とした地方創生を推進します。
さまざまな分野の基盤となる新たな世界トップレベルのスーパーコンピューターの開発や、研究施設、設備の産学官への幅広い利用を着実に進めます。健康・医療戦略推進本部の方針に基づき、iPS細胞を初めとした医療分野の研究開発を強力に推進します。理化学研究所については、抜本的な改革に取り組んでいるところであり、引き続き信頼回復に努めます。
宇宙・航空については、新型基幹ロケット、国際宇宙ステーション計画、安全保障、防災に貢献する衛星、次世代航空機技術等の研究開発に取り組みます。
原子力については、日本原子力研究開発機構が安全最優先の信頼される組織となるよう必要な取り組みを着実に実行します。特に「もんじゅ」については、安全に運転管理する体制を整え、廃棄物の減容化や高速増殖炉の研究成果の取りまとめにつながるよう取り組みます。高レベル放射性廃棄物や高温ガス炉の研究開発、ITER計画についても着実に進めてまいります。
海洋資源調査研究や、地震・防災、構造材料の研究開発を進めます。
科学技術イノベーションの中核を担うのは人材です。特に、グローバルに活躍できる人材の確保が重要です。初等中等教育段階からの人材育成、多様なキャリアパスの整備、出産、育児等に係る女性研究者などへの支援を強化します。研究不正の防止についても着実に取り組みます。
文化とスポーツが持つ、人々を引きつけ感動させる力は、人々の心を豊かにし、困難な問題に連帯して取り組む活力ある社会の構築に不可欠なものです。私は、国家戦略としてこれらを振興します。
文化財を核とした地方の創生を進めます。地域に点在する有形無形の文化財をパッケージとして日本遺産に認定する仕組みを創設するなど、従来の保存優先の支援を見直し、文化財を総合的に活用する取り組みを強化します。実演芸術やメディア芸術等の幅広い芸術の振興を図り、日本文化の魅力を国内外に積極的に発信します。我が国の文化と日本語の大切さを再認識し、歴史と文化をとうとぶ心の育成を図ります。
二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会は、我が国が活力を取り戻す弾みとなるものです。東京大会に向けた取り組みが、大会後も持続し、その後の社会の発展の原動力となるレガシーとして次世代に引き継がれていくものにしなければなりません。
大会を東京だけのイベントにすることなく、ホストシティ・タウン構想を推進し、大会開催の効果を全国に波及させていきます。特に、東日本大震災の被災地については、見事に復興をなし遂げた姿を世界に向けて発信していかなければなりません。被災地を走る聖火リレーを行うなど、復興五輪として、大会が復興の後押しとなるよう取り組みます。大会を日本全体のスポーツと文化の祭典と位置づけ、二〇二〇年に向け、史上最大規模で、魅力あるプログラムを全国津々浦々で展開していきます。国内の強化拠点や海外選手団のキャンプ地などが広く全国で展開されるよう取り組みます。大会が円滑に運営できるよう、政府全体として、交通インフラやバリアフリー環境の整備、地震、津波等に対する防災対策、ボランティアの育成確保、環境保全などに万全を期します。
東京大会の前年には我が国でラグビーワールドカップが開催されます。両大会の一体的な準備に配慮しつつ、国立霞ケ丘競技場の改築などのインフラ整備や競技者の育成強化などに取り組みます。今国会において、両大会の円滑な準備と運営に資するよう、所要の法整備を行うための準備を進めます。
大会後も見据え、学校体育の充実、地域スポーツや障害者スポーツの推進を通じ、国民が生涯にわたってスポーツに親しむ機会の充実を図ります。スポーツを通じた健康増進や地域活性化など、スポーツの効果をさらに高めていくための体制を構築するため、スポーツ庁の設置に向けて取り組みます。
一人一人の国民が、二〇二〇年、さらにその先を見据えた夢を語り、新たなチャンス、可能性に挑戦しよう、そう思えるような大きなムーブメントをつくっていきたい。我が国は世界で一番一人一人の能力、可能性を伸ばせる国だ、日本は世界で最もチャンスにあふれる国だと誰もが誇りに思える国をつくっていきたい。
私は、新しい日本を創造するため、文部科学行政全般にわたるさまざまな政策を力強く進めていくことはもちろん、オールジャパンで日本の再生を実現することができるよう各般の改革に全力で取り組んでいく決意です。
引き続き、関係各位の御指導、御鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。(拍手)