小西洋之の発言 (憲法審査会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○小西洋之君 民主党の小西洋之でございます。
 憲法と参議院という命題に対し、まず踏まえるべきは、日本国憲法においては、参議院議員も衆議院議員と同じく、憲法の目的価値である第十三条の個人の尊厳の尊重を主柱とする国民の自由と権利について、公共の福祉の調整原理の下に最大の尊重をもってその実現確保に取り組む唯一の立法機関の構成員であるという点で何ら変わるものではないということであります。すなわち、参議院議員も国民への憲法保障について衆議院議員と同一の責任が付与されているのであり、この点は、憲法において、参議院に属する議員もひとしく第九十九条の憲法尊重擁護義務を負い、また一部国会の権能において衆議院の優越等を定めつつも、国民主権の原理の最たる発現である第九十六条の憲法改正発議において参議院は衆議院と対等の権能が定められていることからも明らかであります。
 この点、我が党の二〇一三年二月の新綱領においては、民主党が政治を担うに際して国民の皆様のために何を根源的な価値とし、それをどのような社会において実現しようとしているのかについて、まさに憲法十三条の理念の具現化ともいうべき、一人一人がかけがえのない個人として尊重され、多様性を認めつつ互いに支え合い、全ての人に居場所と出番がある、強くてしなやかな共に生きる社会、すなわち共生社会をつくることを目指すとしています。
 さらに、新綱領には、その前提として、このような憲法十三条の理念に基盤を置く価値と社会を実現するための憲法原理について、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の基本精神を具現化する、自由と民主主義に立脚した真の立憲主義を確立する党として日本国憲法が立脚し採用する諸原理を保持するとともに、その本来趣旨の実現を図るとの憲法観に立つことが規定されています。すなわち、憲法における国民のための至高の価値と憲法が立脚し採用する立憲主義や基本原理は論理必然的に一体のものであり、この体系的な保持こそがその国における国民の人権保障や公権力の暴走抑止の実効性を決定付けるものとなるのであります。
 この点、民主党においては、個人の尊厳の尊重という憲法の目的価値とそれを実現する社会の在り方を見据え、その基底にある憲法の諸原理が十全にその趣旨を発揮することこそがその基盤であり推進力になるとの認識を踏まえつつ、さらにそれらをより豊かに深化させた内容として党綱領を定め、これを民主党に参画する全国会議員が共有し、体現を目指す憲法観としているのです。
 他方、憲法上の参議院及び衆議院の権能の差異に着目してみると、法律案の議決、予算の議決、条約の承認、内閣総理大臣の指名等において衆議院の優越を定め、内閣の信任、不信任の決議において衆議院のみの権能を認め、他方、第五十四条において緊急集会の権能を参議院のみに付与しているところです。
 こうした我が国の二院制の憲法上の在り方について、民主党は、二〇〇五年憲法提言において、二院制を維持しつつ、両院の機能、役割分担を明確にし、議会の活性化につなげることが基本的に必要であり、その際には、予算は衆議院、決算と行政監視は参議院といった役割分担を明らかにすることなどの見解を示しているところです。
 なお、二院制の運用に係る重要な問題として、いわゆるねじれ問題があります。憲法が定める二院制という制度に内在するねじれ問題をめぐっては、法律案の議決など衆議院が優越の権能を行使できる場合と、憲法の規定上そうした権能が及ばない議決事項の場合など、いずれにおいても、場合によっては慎重審議の確保などの本来の二院制の趣旨を超えて、国政の停滞や混乱、あるいは国民からの二院制、ひいては議会政治そのものへの不信を生じさせるおそれもあるなどの指摘が本審査会でも議論されてきたところです。
 こうしたねじれ問題への対処としては、憲法第五十九条二項の、衆議院のいわゆる三分の二の再可決要件の見直しなど、憲法改正に至る事項を含めて様々に議論をされてきたところですが、当問題をめぐるこれまでの議会の経験等から得るべき教訓としては、憲法第五十九条三項に定める両院協議会の運用の改革について不断の取組を行っていく必要があるということであります。
 この点、二〇〇九年に両院協議会の議事録の公開が実現したことは一つの前進であり、今後とも、憲法の定める二院制の機能を適切に発現あらしめるために、両院協議会の在り方について、その更なる公開を含めた開催方法、委員の構成と人数、議長の選任方法といった組織の在り方、議事の進め方、採決ルールなどの事項について、党派を超えて真摯な議論を続けていくことが必要であると考えます。
 さて、憲法と参議院という命題に向き合うときに、これらの整理に加えて、我が参議院が憲法の定める二院制の下で、良識と理性により律せられる国政審議の場として機能する良識の府としてあるべく、自らを自覚し、立法府の一翼としてその伝統ある営みを積み重ねてきたその在り方と憲法問題の関係について考察する必要があると考えます。
 すなわち、憲法と参議院という命題を考えるときに、我ら参議院が国民の個人の尊厳原理に根差す憲法保障を実現し、その前提である日本国憲法が立脚する立憲主義、法の支配、あるいは恒久平和主義等の基本原理の確保とそれらの本来趣旨の具現化を図るために、一、これらについての自らの審議機能を充実強化すること、二、議院内閣制の本旨として、党派を超えてこれらに係る内閣監督機能の十全なる遂行を確保していくことが参議院の良識の府としての在り方に照らし最も本質的かつ重要なことであると考えます。
 この点、我が参議院においては、まさに憲法問題について良識の府と称されるにふさわしい各種の決議などの取組がるる実践されてきたのであります。このうち、この場で同僚委員の皆様と共有させていただきたいものは、さきの第百八十六回国会の改正国民投票法採決に当たり、本憲法審査会で可決された附帯決議であります。
 この附帯決議においては、第一項及び第二項において、立憲主義及び国民主権、基本的人権の尊重、恒久平和主義の基本原理に基づいて、徹底的に審議を尽くすこととするとともに、さらには、安易な憲法改正論議を抑止するために、第三項において、憲法改正原案の目的が立法措置によって可能とすることができるかどうかについて、徹底的に審議を尽くすこととされています。すなわち、まさに現在及び将来への国民への憲法保障と、その前提である憲法が立脚する諸原理の本来趣旨の確保等のための良識の府における我が憲法審査会の在り方が本附帯決議に示されていることを、同僚委員の皆様とともに誇りを持って受け止めたいと考えます。
 最後に、日本国憲法について広範かつ総合的に調査を行い審議することを国会法上の任務とする我が憲法審査会が、本附帯決議の趣旨等を十全に踏まえ、良識の府参議院における国民への憲法保障並びに立憲主義と法の支配のとりでとしてその権威ある活動を積み重ねていくことを同僚委員の皆様にお訴えし、私からの意見表明とさせていただきます。

発言情報

speech_id: 118714183X00320141112_007

発言者: 小西洋之

speaker_id: 27444

日付: 2014-11-12

院: 参議院

会議名: 憲法審査会