船田元の発言 (憲法審査会)

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○船田委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、今国会で最初の実質的な審議を行うに当たりまして、今後の憲法審査会で議論すべきことを述べさせていただきます。
 その前に、昨年の通常国会において、年齢問題を初めとした憲法改正国民投票法の改正を多くの政党の御協力により成立させることができ、また、それに関連する公職選挙法の改正案を同様の枠組みで今国会に提出できたことに、改めて敬意と感謝を申し上げる次第であります。
 公務員の運動規制のあり方など、残された問題、宿題についても鋭意検討を続けるほか、公選法改正案の速やかな成立、また、主権者教育のあり方など、この枠組みを使いながらしっかりと取り組んでいきたいと存じております。
 さて、本題に入ります。
 まず、憲法改正議論の前提となる憲法観でございます。
 私たちは、現行憲法は戦後のGHQの強い影響下で制定されたという歴史的な事実は否定できないと考えております。しかし、同時に、平成十七年にまとめられた衆議院憲法調査会報告書においては、そのことばかりに拘泥すべきではないという意見が多数を占めたことも大切にしなければいけないと考えます。
 一方、七十年近くにわたり我が国の形を築いてきた現行憲法は、既に国民生活に定着したものとなっていますが、この間の国内外の情勢が大きく変化する中、現実と乖離した条項が指摘されていることも事実であります。また、新たにつけ加えるべき案件も多数ございます。
 憲法を改正できるのは、主権者たる国民であり、その国民を代表する国会であります。時代にマッチした前向きな改正を議論し、結論を導き出すことは、我々国会に課せられた重要な責務であると認識しなければなりません。
 さて、政府の統治を憲法に基づき行う原理、あるいは憲法は権力を縛りつけるものという立憲主義の思想は、憲法の役割を考え、憲法改正を考える際の重要なベースであることは論をまちません。我々憲法改正に携わる者は皆、この立場を常に踏まえておかなければならないと思います。
 しかし、同時に、日本国の憲法としては、我が国の国柄や国の形、さらには国民としての規範や理念を表現することも大変重要な要素であると考えています。しかも、これらは決して立憲主義と対立する概念ではありません。諸外国の憲法を見ましても、前文や第一条などに、神についての言及があったり、国家統治の理念をうたったり、歴史や文化への誇りを述べたりしたケースが散見されることは皆様も御承知のとおりだと思います。
 次に、今後の改正の議論における基本的な原則を確認しておきたいと思います。
 第一は、我々は何でも改正できるという立場ではなく、改正についてはおのずから限界が存在するということであります。
 具体的には、三原則と言われている国民主権、平和主義、基本的人権の尊重であります。これらは、言うまでもなく、人類普遍の原理であり、何人もこれを侵すことはできません。
 第二は、改正における議論は常にオープンでなければならず、改正に反対する政党も決して排除してはならないことであります。
 改正を最終的に決めるのは国民であり、国民にその判断材料を示すためにも、民主主義の手続は丁寧に踏んでいかなければいけないと考えます。
 第三は、改正に対する議論では、各党会派が平等に扱われるべきということであります。
 他の委員会では所属議員の数に応じて質疑時間が比例配分されますが、憲法審査会では、この前身の調査会以来、中山太郎元会長がつくられたよき伝統として、議員数の多寡にかかわらず平等に時間配分されてきました。今後とも、このよき伝統を守らなければならないと思っております。
 さて、その上で、我々が今後議論すべきことは、憲法の全てにおいて改正すべき点を洗い出すことに尽きるわけですが、とりわけ、昨年十一月六日に本日と同様の形式で行われました自由討議の中で、各政党を代表する発言者が共通して取り上げましたのが、緊急事態条項、環境権を初めとする新しい人権、そして財政規律条項の設定などでありました。これらのテーマを優先的に議論してはどうかと考えております。
 特に、緊急事態条項におきましては、今後高い確率で起こると指摘されるいわゆる東京直下型地震などの大規模自然災害発生時などに国会議員の任期が延長できることなど、憲法においてあらかじめ規定しておくことが急務となっています。このような措置は、防災における最大の課題でもあり、統治システム整備の基本でもあります。しかも、これは憲法によってのみ規定できるものと考えております。
 ちなみに、駒沢大学名誉教授西修先生の調査では、一九九〇年から二〇一四年までに新たに制定された百二カ国の憲法のうち、国家非常事態に関する規定は一〇〇%に達しているとのことであります。
 これらのテーマを初めとして、改正を要する、あるいはつけ加えるべき項目について、深掘りの議論を行い、深化させていくべきと存じております。
 なお、私は全国で憲法に関する勉強会に招かれる機会が多いのでありますが、多くの方々から質問されるのは、自民党の改正草案がそのまま原案になるんですかということであります。しかし、これは明らかに誤解であります。
 もちろん、我々は、自民党草案が改正の理想的な方向を示していると考えておりますが、そこから個別にテーマを取り上げて議論の場に提供していくつもりであります。しかし、実際は、衆参両院議員の三分の二以上の合意を得るために大いなる妥協を続けることとなり、結果として、草案はもとの姿ではなくなると考えております。それぞれの政党がそれぞれの考え方を積極的に提案し、粘り強く妥協点を見出していくことこそ民主主義の原点ではないかと考えるからであります。
 最後に、我々憲法審査会のメンバーは、党派の垣根を越え、憲法改正に向けて、幅広い合意を得ながら、静かでオープンな環境のもとで、真摯で前向きな話し合いを続けてまいりたいと存じております。
 御清聴ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 船田元

speaker_id: 31837

日付: 2015-05-07

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会