井上英孝の発言 (憲法審査会)
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○井上(英)委員 維新の党の井上英孝です。
維新の党の現行憲法に対する考え方、そして認識をお伝えしたいと思います。
まず初めに、維新の党は、統治機構改革により、この国の形を決める仕組みをグレートリセットすべきであると考えています。
我が国は今、経済のグローバル化と国際競争の荒波の中で、新陳代謝がおくれ、国力が停滞あるいは弱体化し、国民は多くの不安を抱えています。我が国がこの閉塞感から脱却し、国民の安全、生活の豊かさ、伝統的な価値や文化などの国益を守り、かつ国の将来を切り開いていくためには、より効率的で自律分散型の統治機構を確立することが急務であると考えます。
このような統治機構を確立するため、まず、国と地方の役割を抜本的に見直す必要があります。国の役割を外交、安全保障、マクロ経済政策などの国家的に取り組むことがふさわしい課題に集中させる一方で、地方にできることは地方に任せるべきです。
住民に身近な課題は基礎自治体が担うとともに、広域地方政府として道州制を導入し、権限と財源の地方への移譲、さらには規制緩和を図り、国からの上意下達によらない、地域そして個人が自立できる社会システムを確立するのです。道州制は、地域、個人の創意工夫、民間の自由な競争によって経済社会の活性化を促す成長戦略として可能性を有していると考えます。
国家的課題に取り組むためには、国においては、首相公選制を導入し、政治主導の体制整備を図るべきです。あわせて、米国会計検査院型の強力な会計検査機関を国会に設置するとともに、財政運営のコントロールと財政健全化を盛り込むべきです。
また、道州制の導入とあわせて、国会を一院制とすべきであると考えます。
次に、日本国憲法の平和主義は、我が国の領土、領海、領空、国民の生命財産を守るためだけではなく、今日の日本の国際的地位にふさわしい貢献を国際社会全体の平和に対して積極的に行うことも含意していると考えます。しかし、同時に、みずからが国際社会の脅威にならないための歯どめもしっかりかけておく必要があります。
その意味で、我が党は、自衛権の再定義を主張しています。
すなわち、自衛権は、自国に対する武力攻撃が発生したか否かで個別的、集団的が区別されてきたため、その区分に従い、日本政府は、海外派兵を禁止する憲法の趣旨から、認められるのは個別的自衛権のみとしてきました。
しかし、同時に、瞬時の対応を必要とする弾道ミサイルへの対処に関しては、我が国に飛来する蓋然性が相当に高いと判断される場合、自衛権を発動して迎撃することが許されるとしてきました。
したがって、仮に我が国が武力攻撃を受けない状況下であっても、我が国に戦禍が及ぶ蓋然性が相当に高く、国民がこうむることとなる犠牲も深刻なものになる場合には、自国と密接な関係にある他国に対する攻撃を我が国の武力行使によって排撃することは、我が国の現実に即した憲法解釈として許容されるものと考えており、これをあえて集団的自衛権の行使と呼ぶ必要性はないと考えております。
ただ、ただいま述べたような自衛権の再定義を行う場合においては、昨年七月一日の閣議決定による憲法解釈の変更のように、政府内部のみの議論によって恣意的な憲法解釈を行うような運用は避けなければなりません。政府の恣意によって憲法秩序が揺らぐことのないようにするため、世界各国の憲法に倣って、抽象的な憲法解釈の権限を有する憲法裁判所を設置し、最終的な憲法判断を担わせることが必要であると考えています。
もちろん、維新の党が提唱する統治機構改革を実現するためには、憲法改正が必要です。しかしながら、現行の憲法改正手続は厳格に過ぎて、主権者である国民の皆様に案を提示し、その手で意思決定をしていただく機会を奪うような結果になっています。そこで、憲法改正発議要件を緩和することにより、憲法改正原案を提示する機会をふやし、国民的な憲法議論を喚起しやすくする必要があると考えます。
また、維新の党は、国民が直接的に主権を行使し、この国の方向性を決める国民投票がいつでも行えるようにするため、昨年六月の改正国民投票法の提出、成立に尽力してまいりました。改正国民投票法が成立した結果、いつでも憲法改正の発議をすることが可能な環境が整っております。
しかしながら、現行制度で国民投票権年齢が十八歳となるのは改正国民投票法施行後四年を経過する平成三十年六月からで、それまでは二十とされています。維新の党を初めとする超党派で提出している選挙権年齢を十八歳に引き下げるための公職選挙法等改正案の早期成立を図り、選挙権年齢の引き下げと同時に国民投票権年齢も引き下げられるようにする必要があると考えます。
また、成年年齢等についても、期限を明確に設定した上で、引き下げに向けた必要な措置をとるべきであると考えます。
また、日本国憲法は、憲法施行後六十八年たった今も一度も改正されておらず、現実に即した条文が整備される必要があります。
自然による大災害や感染症のパンデミック、また有事の際などにおいても、国民主権や基本的人権の尊重が侵されることなく、憲法秩序を維持し、権力の濫用を防ぎつつ、国民の生命や国土を守るべく国として最善の対処をするために、緊急事態条項を検討することは喫緊の課題であると考えます。
特に、国会議員の任期満了直前や衆議院解散中において大規模な自然災害が発生したときの国会議員の任期延長制度等の創設は、早急に検討すべきであると考えます。大規模な自然災害が発生したときに、迅速かつ適切に復興のための立法措置をとることは立法府の責任であり、立法府の機能を維持するとともに、国民の参政権を担保することは喫緊の課題であると考えます。
なお、環境権を憲法に盛り込むことについては、その方向性には賛成です。しかしながら、環境権条項として具体的にどのような規定を憲法上に設けるかについては、さらに議論を詰める必要があると考えています。
いずれにいたしましても、このような憲法改正については、国民の皆様に直接判断していただく機会を早急に整えていくべきであると考えております。
以上でございます。