長妻昭の発言 (憲法審査会)
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○長妻委員 本当に、皆様の熱心な御議論に敬意を表します。
まず、憲法の三原則、国民主権、平和主義、基本的人権の尊重、憲法改正に当たっては、この三原則を本当の意味で崩さないということをやはり確認する必要があるんじゃないかというふうに思います。それを確認した上で、この三つの骨格にかかわらない改正を議論する、その是非についてという理解でいいのかどうかということ。
そうすると、いきなり個別案件に入るのではなくて、改正法がもうできた後の、今回、議論第一回目という理解でありますから、改正について、まず大枠について議論するという必要があるんじゃないのか。つまり、この改正をすることがどれだけ必要性があるのかという観点の、大枠の議論という意味です。
例えば、最高裁の判例で、憲法については積み上げがあらゆる分野でかなり進んでおります。公共の福祉についても、制定当時は意味がわからないという話もありましたが、今はかなり緻密に理論が積み上がっております。
そして、法律で可能な分野も大変多くあるわけで、災害について、かなり緊急事態の条項についても法律が成立をしております。
あるいは、解釈によって時代に合わせていく、こういうことも、さきの集団的自衛権、我々は立場は違いますけれども、与党は、できるんだということで、時代に合わせるということもやられておられる。
そういう意味からいうと、経験主義的に憲法を捉えるのか、規範的に捉えるのか、ここを、大枠をもう一回整理する必要があるんじゃないかと思います。
そして、その次に、では、解釈によってどこまで実際に憲法が今回変わったのかということも検証する必要があるんじゃないか。
集団的自衛権の話は先ほど北側先生からありましたけれども、例えば、憲法の大原則である専守防衛、この専守防衛は今回与党によって変えられたのかどうか。専守防衛の定義は、防衛白書によると、相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使する云々、こういう記述がございますから、私の理解では、これも変えたというふうに思うんですけれども、それがはっきりしない。
あるいは、憲法のもう一つの大きな原則でいうと、宮沢元総理も国会で答弁されておられましたけれども、海外での武力行使をしないという大原則がある。ただ、この大原則を今回変えたことになったのかどうかもはっきりしない。
そして、安倍総理は最近の国会で、他国の領域での武力行使はしない、これは集団的自衛権の新三原則でも変わらない、こういうふうにおっしゃっているわけでありますけれども、ホルムズ海峡の一番狭いところでは、これは公海というのはないわけでありまして、他国の領域でありますから、それとの整合性で、実際、解釈を変えたのか変えないのか、こういう検証も必要じゃないか。
そして、三番目としては、明治憲法下も一応立憲主義と言われておりましたけれども、なぜその歯どめがなくなってさきの戦争に突入していったのか。明治憲法におけるそのメカニズムというか、不備というか、どこに問題があったのかという検証をやはりきちっとしておかないと、改正のときに大変これは資する議論になるんじゃないかと思います。
そしてもう一つ、マスコミの一部報道でありますけれども、お試し改憲。うまい表現を言うなと。お試し改憲という報道がありまして、つまり、本丸は憲法九条なんだけれども、易しいところ、国民の皆さんが理解するようなところ、ここでまずはやっていこうと。まさかこういうことはないと思いますので、私もちょっと半分はそういうふうに感じているんですけれども、これについて反論があれば与党からお話をお聞かせいただきたい。
最後に、これは武正委員もおっしゃられましたけれども、安倍総理が、今回のこの憲法は、たった八日間で、GHQの憲法も国際法も全く素人の人たちがつくり上げた代物だ、こういうような発言があって、これについて私は疑問なんです。これは、一九四六年の二月三日から十日の話を安倍総理は八日間とおっしゃっていると思いますが、これについては、内閣の憲法調査会小委員会という一九六一年の報告書に、憲法研究会案はGHQ案の作成に当たっては相当程度において参照されたことは明らかということで、つまり、在野の憲法学者による憲法研究会案というのがその前提にあって、それがかなり参照された。あるいは、帝国議会で多くの修正を経て、一九四六年六月に起草されて帝国議会に提出されて、そして、施行が御存じのように一九四七年五月三日でありますので、八日間でつくり上げた代物ということについても、きちっとした再認識、この審査会での意識の共有というのを正確にやはりする必要があるんじゃないかというふうに申し上げたいと思います。