井上英孝の発言 (憲法審査会)

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○井上(英)委員 維新の党を代表いたしまして発言させていただきます。維新の党の井上英孝でございます。
 先週の参考人質疑は大変興味深く、我々の議論にとって多くの示唆を与えてくれるものでありました。改めて参考人の先生方に感謝を申し上げるとともに、参考人質疑の内容も踏まえつつ、維新の党を代表して、本日のテーマに関する我が党の考え方をお伝えしたいと思います。
 まず、現行憲法の制定過程に関しては、GHQの影響下でつくられたという事実は当然承知をしております。しかし、我が党内の議論においては、戦後七十年がたとうとする現在、こうした押しつけ憲法論というような制定経緯に関する議論を行っていても生産性がないのではないかという意見があります。
 維新の党は、効率的で自律分散型の、時代に合った統治機構というのを確立する統治機構改革を憲法改正によって実現することを党の基本政策として掲げております。
 日本は今、経済のグローバル化と大競争時代の荒波の中で、新陳代謝がおくれ、国力が停滞あるいは弱体化し、国民は多くの不安を抱えております。我が国がこの閉塞感から脱却し、国民の安全、生活の豊かさ、伝統的な価値や文化などの国益を守り、かつ国の将来を切り開いていくためには、統治機構改革によりこの国の形を変えるという必要があると我々は考えております。
 したがって、私たちは、制定経緯における事実は事実として重く受けとめた上で、今なすべきことは、統治機構改革によりこの国の形を変えるべく、憲法改正に向かって進んでいくことであろうというふうに考えております。
 立憲主義と関連して、先週の参考人質疑では、三人の参考人の先生方全員から、現在審議中の安保法制は違憲であるという発言がございました。
 維新の党は、限定的集団的自衛権と言われるものの中に、実質的に個別的自衛権と言って差し支えないものが含まれていると考えております。
 すなわち、自衛権は、自国に対する武力攻撃が発生したか否かで個別的、集団的で区別されてきたため、その区分に従い、日本政府は、個別的自衛権の行使のみを合憲と解釈してまいりました。
 一方、瞬時の対応を必要とする弾道ミサイルへの対処に関しては、しかるべき根拠があって、我が国に飛来する蓋然性が相当に高いと判断される場合には、我が国が武力攻撃を受けていない状況下であっても、自衛権を発動して迎撃することが許されるとしてまいりました。
 したがって、仮に我が国が武力攻撃を受けていない状況下で、我が国に戦禍が及ぶ蓋然性が相当に高く、国民が深刻な犠牲をこうむることになる場合には、自国と密接な関係にある他国に対する攻撃を我が国の武力行使によって排除することは、従来の憲法解釈の範囲内として許容されるものと考えているところであります。
 しかしながら、現在審議が行われている政府提出の安保法制につきましては、例えば、存立危機事態の想定事例として政府が挙げているホルムズ海峡における機雷除去について、我が国に戦禍が及ぶ蓋然性が相当に高いとは言えないのではないかということ、また、重要影響事態における後方支援のうち、弾薬の提供や戦闘行為のために発進準備中の航空機への燃料補給などについては、武力行使の一体化と解される可能性があり、これらの点などについて憲法上疑義なしとはしないと考えるものであります。
 維新の党は、今般の安保法制への対応をいまだ決めておりませんが、これまでの政府の説明について疑問も残る中で、さらに十分な説明が必要であるというふうに考えておりますし、また、今審査会におきましてもこのような議論が続けられているということで、何らかの決着をつけるべきではないかというふうに思いますし、ぜひとも提案をさせていただきたいというふうに思います。
 また、憲法八十一条で、憲法の最終的な有権解釈権は最高裁判所に与えられております。しかしながら、これはよく指摘をされるところですが、最高裁判所は、付随的違憲審査制をとっている関係で、具体的な訴訟がなければ違憲審査を行うことができないなどの制約もあり、現在、違憲審査制度において積極的な役割を果たせているとは言えません。そうであるために、今回のように、一内閣の恣意的な憲法解釈の変更により、これまで通用していた憲法解釈が覆されて、法的な安定性が損なわれることになるのです。裁判所の持つ憲法解釈の権限はきちんと行使されるべきだと考えております。
 このため、維新の党は、抽象的な憲法解釈の権限を有する憲法裁判所の設置を主張しております。
 一方で、憲法裁判所という現行の裁判所制度と全く異なる制度を導入するためには憲法改正が必要であり、相当程度の検討の時間が必要になると考えられます。そこで、同時に、現行の憲法八十一条を活用して、違憲立法審査制度を活性化させるということも一案ではないかと考えております。
 この点に関連し、先日の憲法審査会では、笹田参考人から、特別高裁の制度及びカナダの照会制度が紹介をされました。特別高裁の制度は、最高裁の上告審としての負担を軽減し、違憲審査により集中できるような環境を整えるものであり、照会制度は、政府が最高裁判所に法律などの憲法解釈に関する勧告的意見を求めるということでありました。
 これらは、いずれも憲法改正を必要とせず、現行憲法を前提としながら、法律により現行の違憲審査制の改善を図ろうというもので、検討に値するものであるというふうに考えます。
 最後に、立憲主義に関連し、九十六条の憲法改正手続について申し上げます。
 憲法保障の観点からは、硬性憲法であることが重要であると言われます。しかしながら、我が国の憲法改正手続は、これまでにこの憲法審査会でも再三議論になったように、衆参各院総員の三分の二の賛成に加えて国民投票を必要とするという、諸外国と比べても最も厳しい部類に属する、硬性の中でも硬性な憲法と言えると思います。その結果として、我が国は、現行憲法制定後七十年近く、一度の憲法改正も経験しておらず、国民が憲法についてみずから判断するという機会を一度も持つことができませんでした。
 こうした観点から、維新の党は、憲法改正の発議要件を緩和するということを提言しています。
 先週の参考人質疑では、過去に九十六条改正は裏口入学であるとの発言を行っていた小林参考人に対し、この点について問うたところ、裏口入学とは、九十六条の改正自体を指していたのではなく、あまたある憲法改正事項のうち、まず九十六条から改正しようという政治的な姿勢を批判しようとして発言したものであり、九十六条改正自体は選択肢の一つであるとのお話も伺ったところでございます。
 いずれにいたしましても、このような憲法保障をめぐる諸問題を初めとする憲法改正に向けた議論の深掘りを進め、国民の皆様に直接判断していただく機会を早急に整えていくべきであると考えております。
 以上でございます。

発言情報

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発言者: 井上英孝

speaker_id: 5641

日付: 2015-06-11

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会