平沢勝栄の発言 (憲法審査会)
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○平沢委員 自民党の平沢勝栄でございます。
先週のこの憲法審査会に三人の先生方が来られまして、現在審議中の安保法制につきまして、集団的自衛権行使の一部容認は、従来の政府見解の基本的な論理の枠内では説明がつかず、違憲としたわけでございます。
従来の政府解釈の基本的論理というのは、次のとおりでございます。
まず第一に、憲法第九条は、国民の生命、自由及び幸福追求の権利を定めた憲法十三条とあわせまして整合的に解釈しますと、自国の平和及び安全を維持しその存立を全うするための必要な自衛の措置は禁止されていないということでございます。
第二に、自衛権発動としての武力行使も無制限のものではなく、あくまで外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される急迫不正の事態に限って、必要最小限の範囲内で認められるとしていることでございます。
昭和四十七年に、政府は、集団的自衛権と憲法との関係に関する政府見解を出しましたが、その中で、当時の安全保障環境をこの基本的論理に当てはめ、その結果、いわゆる集団的自衛権、つまり他国防衛のための集団的自衛権行使は認められないとしてきました。この当時は、急迫不正の侵害に該当するのは、我が国が直接武力攻撃を受けた場合しか考えられなかったからであります。
しかし、日本を取り巻く国際情勢は、この四十年間の間に大きく変わりました。今回は、この間の安全保障環境の変化を踏まえまして、現在の安全保障環境を基本的論理に当てはめてみた結果、他国に対する武力攻撃であったとしても、我が国の国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される急迫不正の事態に該当する場合があり得るとの結論に至ったわけでございます。
以上、見ましたように、今回の憲法解釈の変更は、昭和四十七年見解の基本的な論理は一切変えていませんので、従来の憲法解釈の基本的な論理との整合性は保たれており、法的安定性を損なうものでは全くないと考えております。
三人の参考人の先生方が安保法案を違憲としたことにつきまして、私たちは、参考意見として謙虚に傾聴する必要があると思います。しかし、同時に、今回提出された安保法制につきましては、合憲と考えておられる学者が大勢おられることも事実です。
いないと言われる方もおられますので、名前を言わせていただきますと、例えば、日本大学の百地章先生、駒沢大学の西修先生、日本大学の小林宏晨先生、中央大学の長尾一紘先生、日本大学の青山武憲先生、防衛大学の松浦一夫先生、近畿大学の石田栄仁郎先生、麗澤大学の八木秀次先生、日本大学の池田実先生、東裕先生などなどでございます。これらはいずれも、名前を出すことについて御了解をいただいた先生方でございますけれども、そのほかにも、合憲と思いますけれども名前を出すことは差し控えさせてほしいと言われる方も大勢おられました。これは、憲法学界の独特の空気を反映しているのではないかと思いました。
いずれにしましても、私たちは憲法学者の意見に耳を傾けなければなりませんが、先ほど来出ていますように、最終判断は、学者ではなく、最高裁が行うわけでございます。
もし学者の意見に従って戦後の行政、政治が行われていたら、日本はとんでもないことになっていたことは間違いありません。その一番いい例が、先ほど来出ています自衛隊でございます。
自衛隊について、多くの憲法学者は最近まで違憲と言っていましたけれども、私たちの先輩は、そこを解釈で見事に乗り切って、今日に至っているわけでございます。もし自衛隊がなかったら、今日、日本は、国際的な信用、地位を大きく失って、急激な変化に全く対応できなかったことは間違いありません。
拉致事件でも、北朝鮮の不審船を見つけては追跡し、そのままUターンして引き返すことを長年日本は繰り返してきたわけでございます。その間に多くの同胞が拉致されました。諸国民の公正と信義に信頼して、日本の安全と生存を守ると憲法学者は言ってきましたが、それが間違いであったことは明らかとなりました。
ちなみに、多くの憲法学者は、北朝鮮が拉致などするわけがないと言っていた方もおられるわけでございます。
憲法があって国があるわけでなく、国があって憲法があるわけでございます。私たちは、憲法栄えて国滅ぶの愚を犯してはなりません。憲法を取り巻く社会情勢は大きく変わっています。憲法の基本的原理は維持しつつも、その範囲内で解釈を柔軟に変更していくことは当然のことと考えます。
以上、私の意見表明とさせていただきます。