國定勇人の発言 (文部科学委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○國定参考人 皆さんこんにちは、三条市長の國定と申します。
本日は、文部科学委員会にお招きをいただき、私どもの小中一貫教育の取り組みを通じて小中一貫教育制度の優位性についてお話をさせていただく機会を頂戴しましたことに対しまして、委員各位に心から感謝を申し上げたいと思います。
私は、今回の学校教育法等の一部を改正する法律案、小中一貫教育学校等の制度化につきまして賛成の立場で意見陳述をさせていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
皆様方のお手元に「三条市における小中一貫教育の取組」という資料が配付されているかと思います。これに沿いまして話を進めさせていただきたいなというふうに思っております。
まず、一枚おめくりいただきまして一ページでございます。
もともと、小中一貫教育を三条市の中で導入をしていこうという一つの大きなきっかけになりましたのは、何かが、あるタイミングで事象が発生したということではなく、戦後の我が国の社会情勢の大きな変化の中で、教育行政もその社会情勢の変化に合わせていかなければならないのではないかというのがそもそもの動機でございました。
ここにも記載のとおり、私どもの地域も含めまして、核家族化がもう本当に進展をしております。どころか、私自身もそうでありますけれども、核家族化が成立してから二世代、三世代という形でもう既にそれが定着をしてしまっている。私自身も核家族で育ちましたし、そして、私自身もまた、自分の子供を核家族の中で育てなければいけないという状況。
そしてまた、地域コミュニティー、これが私たち地方都市の中でもやはり脆弱化をしている。そうした中で、昔であれば、隣近所のおじさんやおばさんからいわば叱られながら育つことができた世の中の環境が、今では、こうした地域コミュニティーの脆弱化によりまして、ほかの人から声をかけられると、それはもう悪い人なんだというふうな教育を施さざるを得ないというような状況の中で、かつての、つまり、大家族であり、あるいは地域そのものがみんなで子供を支えていくというような、もともと戦後教育の背景、基盤となっていた事象が、特にここ近年は大きく変貌を遂げている。これに対してどういうふうに教育環境を変化させていかなければいけないのか。これが一番の私どもの問題意識でございました。
今ほど申し上げましたように、核家族化の進展あるいは地域コミュニティーの脆弱化、こうしたことによって、子供が本来成長をしていく中で獲得していかなければいけないさまざまな刺激やあるいは摩擦というものが、ここにもありますように、なかなか機会として得ることができない。
異世代間のコミュニケーション機会の喪失であったり、あるいは、近所の子供の顔がわかる関係の希薄化であり、あるいは、子供自身が他人と接する機会そのものが減少しているという中で、どこが最終的にそうした子供たちにしっかりとした生きる力を育ませるよりどころになるのかということになりますと、これはもうもはや教育現場しか残されていないという中で、せめて学校現場の中では、小学校一年生から中学校三年生の義務教育課程九年間にもわたる、他世代、異世代と子供の社会の中では言ってもいいぐらいの子供の社会というものを改めて再構築をする中で、子供たちの生きる力、これをしっかりと得てもらうようなそうした教育をしていかなければいけないということで、二ページのところにも書いてございますとおり、小中一貫教育というものを私どもとして選択をしたということでございます。
狙いは、ここに書いてございますとおり、私どもはこの小中一貫教育の導入の狙いというのは学力の向上というところに求めているのではなく、生きる力そのものについて醸成を図っていくことができるような基盤として現時点では最善、最良の方策が小中一貫教育なのではなかろうか。つまり、ここにも記載のとおり、たくましく、健やかに生きる力を育成していく、あるいは、心身の発達を考慮した見通しのある連続性の確保をしていく、そして、中学校区で一体となった教育環境づくり、こうしたことによって、下に書いてございますとおり、総体として、生きる力を育成する基盤を施していくということでございます。
こうした理念の中で、私どもは、平成二十年に小中一貫教育の基本方針を定めさせていただき、平成二十三年度からはモデル地区における試行的取り組み、そして、平成二十五年度から全市一斉の小中一貫教育のスタートということで歩みを進めてきたところでございます。
もちろん、小中一貫教育の本質は、カリキュラムを初めとするソフト面そのものにもあるわけでございますけれども、それに加えまして、やはりハード面でも環境整備をしていくことが大切でございます。
次のページにお進みいただければというふうに思っておりますが、教育環境の校舎の整備ということでは、市内の中学校区のうち、二つの中学校区で一体校を実現させております。それ以外は連携型の教育ということで進めているわけでありますけれども、そのうち大崎中学校区におきましては、平成二十九年四月の開校を目指し、一体校としての整備を今進めているところでございます。
そして、先ほども申し上げましたが、基盤そのものとしてのよりどころとなります教育カリキュラム、これにつきましても、小中一貫教育全体を見通したカリキュラムを策定し、その中で小中乗り入れ授業やあるいは合同授業等々の、小中一貫教育ならではの取り組みをこれまでも展開をしてきたところでございます。
こうした私どもの取り組みの中で、ようやく少しずつではありますけれども、成果が見え始めているのではなかろうかというふうに考えてございます。
次のページをごらんいただければと思いますが、不登校の子供たちの数を見ましても、実際、小中一貫教育の取り組みを始めてから、ごらんのとおり、基本的には減少傾向にございます。もちろん、小中一貫教育を始めたからすぐに効果があらわれるのかというと、これは、やはりもう少し長い目で見ていかなければいけないということではありますけれども、それでもこの短期間の間で、形として、数字としてあらわれるような状況になってきているところでございます。
そしてまた、生きる力そのものをはかるハイパーQUテストというものがあるわけでありますけれども、この社会性育成能力につきましても、徐々にではありますけれども、向上の兆しが見え始めているということでございます。
そして、こうした子供たちの心の安定、生きる力の育みというものが、結果として学力の向上にも資しているということが下のグラフからも見てとれるかというふうに思っております。
そこで、この委員会で御審議いただいておりますこの学校教育法の一部改正によります小中一貫教育の制度化についてのメリットを最後にお話しをさせていただき、意見陳述とさせていただこうというふうに思っておりますが、最後のページをごらんいただきたいと思います。
私は、今回の小中一貫教育の制度化によりまして、大きく分けて二つのメリットがあるものというふうに認識をしております。
一つ目は、統治機構の明確化でございます。
これは、一体校でも生ずることでありますし、連携型であればもっと生ずることであるわけですけれども、御案内のとおり、私どもは今まで、制度化しない状態の中で小中一貫教育の取り組みをしてまいりましたが、どうしても現行法制上の中での運用ということになりますので、例えば一つの中学校区に二つの小学校があるということを想定したときには、三人の校長先生がいらっしゃいます。それぞれの学校にはそれぞれの学校の授業計画がございます。
小中一貫教育を実現していくためには、この三校の授業計画のすり合わせが求められるわけでありますけれども、現行法制上、この三人の校長の立場は全くイコールでございます、対等の関係でございますので、仮にこの三人の校長の間で対立的な状況に陥ったときには、調整を図ることができずに、結果として、望ましい小中一貫教育のカリキュラム、運用を施すことができないわけでございますが、今回の制度化によりまして、小中一貫教育学校であれば校長は一人になることができます。
そして、小中一貫教育学校を準用する形での小中一貫教育型小中学校におきましても、中教審の答申によれば、この中学校の校長先生、小学校二人の校長先生の中で、例えば最終的に調整権を誰か一人に与える、それによって、意見が対立したときにも、最終的にはその最終調整権の発動をする中で望ましい小中一貫教育の運用を確保することができるということで、これは本当に、制度化なくしては実現することのできない最大のメリットだというふうに捉えているところでございます。
そして、何よりももう一つ大切なことは、制度に対する信頼感がこれによって醸成されるということでございます。
先ほど、天笠先生からも御紹介いただきましたとおり、この小中一貫教育は、それぞれの地域がそれぞれの思いの中で自発的に取り組んできたところから出発をしております。ただし、ほかの地域に比べますと、小中一貫教育という特色立った取り組みをするわけでありますので、どうしても親御さんの中には、地域の皆さんの中には、本当に小中一貫教育で大丈夫なのかというふうに不安を持たれる方が必ずいらっしゃいます。
私ごとで大変恐縮でございますけれども、私自身、今は三期目でありますが、二期目の市長選挙のときには、この小中一貫教育が最大の争点となりました。
このように、実際に私たちが私たちの信念で進めていくとしても、やはり、法制上のバックアップがある、これは、地域が小中一貫教育を自発的に取り組んでいくという意味においても非常に力強い援軍になるというふうに感じているところでございます。
ですので、ぜひとも法制化を実現化していただきたいというふうに思っておりますし、小中一貫教育に実際に取り組み始めて一番思いますのは、これもまた天笠先生からも御指摘いただきましたとおり、基本的には、子供たちの生きる力を醸成するというその一点のみをもって小中一貫教育の取り組みを私どもは進めてきたわけでありますが、結果としては、小学校の教員の小学校の教員だけが持っている独特の文化、そして、中学校の教員の中学校の教員のみが持ち得る独特の文化というものが現実的には存在している中で、小中一貫教育を進めていく中で、この両者の文化が明らかに異なっている教師群がそれぞれまじり合い、お互いのよさをお互いのよさとして認め合う、こうした形が、関係が今構築されようとしております。
今、この状態になって初めて先生方から口々に発せられるのは、実は小中一貫教育を始める前までは、中学校の先生からすると小学校の先生はふがいない、小学校の先生からしてみると、何で中学校の先生はあんなにドライなんだ、あるいは中学校でいじめが起こったときに、中学校の先生はそれを自分ごととして捉えずに、小学校のときにこの子をしっかりと教育しなかったからこうなってしまったんだというふうに言う一方で、小学校の先生は、自分たちは一生懸命育てて送り出したつもりなのに中学校の先生は何をやっているんだという基本的な不信感、これが根強く存在しているわけでありますけれども、これが本当の意味で氷解できたんだということを最近私にも市内の小中学校の先生方、かなりの皆さんが異口同音におっしゃっていただくようになりました。
こうした、本当に小学校と中学校の先生が互いに信頼感を持ち合いながら同じ子供を見ていく、これが小中一貫教育導入のもう一つの副次的な効果だということを最後に申し添え、意見陳述とさせていただきたいと思います。
御清聴いただきまして、まことにありがとうございました。(拍手)