鈴木克昌の発言 (本会議)
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○鈴木克昌君 私は、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案につきまして質問をいたします。(拍手)
まず、大変残念なことでありますが、安倍政権の国民への不誠実な対応について申し上げなければなりません。
先日、西川農水大臣が突然辞任されました。大臣の辞任はこの四カ月で三人目であります。しかも、政治と金の問題に対し、何ら説明責任を果たさないままの辞任であります。安倍総理は、任命責任を感じているとおっしゃっていますが、もしそうであるならば、国会に資料を提出した上でしっかりと説明責任を果たすよう、本人に促すべきだと思います。
しかし、当の安倍総理自身が、予算委員会での事実無根のやじを飛ばされるなど、問題のある態度をとっておられます。昨年末の総選挙で圧倒的多数の議席を確保したからといって、国民が総理に白紙委任をしたとでもお考えであるならば、それはおごりにすぎません。総選挙における自民党の絶対得票率は二割弱にすぎず、投票率は戦後最低を記録しました。そのような事態に至ったのは、国民が今の政治にあきれているからだと私は思います。
思い起こせば、二〇一二年の党首討論で、衆議院解散と引きかえに当時の野田総理と議員定数削減を約束されたのは、当時の安倍自民党総裁でありました。しかし、総理になってから二年以上たった今も、議員定数削減という国民との約束は一向に果たされていません。
一方で、国民と約束もしていない特定秘密保護法を強行採決したり、集団的自衛権の閣議決定を強行したり、TPP交渉をろくに説明もせず推進したりするなど、安倍総理は、国民に対し、不誠実な態度に終始してきました。
そして、消費税増税の延期を口実に、野党の選挙体制が整っていないと見るや否や、急に民意を問うと言われて衆議院を解散し、約六百三十億円もの費用をかけて選挙を実施しました。
そもそも、消費税引き上げを安易に先延ばしできるような財政状況にはないにもかかわらず、延期せざるを得なかったのは、政府の政策が富める者をより富ませただけで、過度な円安、悪い物価上昇、実質賃金の低下、格差拡大を招き、国民生活を悪化させたからではありませんか。
以下、所得税法等一部改正案について具体的にお伺いしますが、論点をずらさず誠実に御答弁をいただき、国民にきちっと説明責任を果たしていただきたいと思います。
今回の税制改正において、消費税増税の際の景気判断条項をなくすということは、再来年四月に必ず増税をするという宣言にほかなりません。事実、安倍総理は、確実に実施すると繰り返し発言をしておられます。
さらに、三本の矢により消費税増税が可能な経済状況をつくり出すことができるとも断言されております。その自信には、一体どのような根拠があるのでしょうか。
昨年十一月の消費税増税の延期を表明した際の安倍総理の発言を引用いたします。消費税を引き上げることによって景気が腰折れしてしまえば、国民生活に大きな負担をかけることになります、そして、その結果、税率を上げても税収がふえないということになっては元も子もありません、経済は生き物ですと発言されています。
まさに、御指摘のとおりであります。経済は生き物です。だから、景気判断条項があるのです。安倍総理は背水の陣をしいたおつもりなんでしょうが、そうであるならば、それに巻き込まれる国民は、アベノミクス破綻処理に伴う被害者にほかなりません。
総理に就任されてから約二年間、極端な金融緩和のもと、さんざん公共事業を初め財政出動を行ってきたにもかかわらず、それでも消費税増税を行う経済状況にできなかったのに、この先どうやって消費増税を行う経済環境を整えていくというのでありましょうか。総理に明確な答弁を求めます。
逆進性対策についてお伺いいたします。
複数税率は、一見単純かつ効果的に見えますが、高額所得者ほど負担軽減額が大きくなるため、効果に疑問が呈されています。また、食料品を例えば五%に軽減するだけで三兆円もの巨額の財源が必要になるばかりでなく、対象品目の線引きが極めて不明瞭、困難であり、適正な申告のためにはインボイス制度の導入が必要となり、徴税コストに逆進するものであります。加えて、帳簿の複雑化等大きな事務負担を与えるため、特に中小企業や小規模事業者に不安の声が上がっています。
他方、消費税の払い戻しである給付つき税額控除は、必要な世帯だけに対象を絞れる制度であり、軽減税率導入に必要となるような巨額の財源も必要とせず、また利権も生じにくい、より公正なものであると有識者からも評価されています。所得捕捉が課題でありましたけれども、マイナンバー制度もいよいよ導入されます。
何よりも、格差是正に有効な税制であると思われますが、なぜ税制抜本改革法第七条に基づき検討を進められないのか、財務大臣に答弁を求めます。
次に、法人税改革についてお伺いいたします。
経済の好循環の着実な実現に資する措置として、稼ぐ力のある企業の税負担を軽減するため、法人実効税率を引き下げるとしています。
一見正しいことのように思えますが、稼ぐ力という面では必ずしも強くはないけれども、地域の雇用や、そして地域を支えている企業も数多くあるのであります。また、これから成長し稼ぐ力をつけていくと思われる企業も多くあります。
そうした企業に対して、法人事業税の外形標準課税の拡大、特に賃金が大宗を占める付加価値割を倍にして増税を行うことは、経済の好循環と矛盾をしませんでしょうか。
一応、賃上げをした企業には配慮するとして、法人税の所得拡大促進税制要件緩和をしたり、給与等支給額の増加分を付加価値割の課税ベースから控除する措置を入れたりするとしています。
しかし、そういった措置を入れたとしても、外形標準課税の拡大は、例えば人材を重視し、リストラなどをなるべく行わずに、多くの雇用を抱えて頑張ってきた企業の足を引っ張ることになりませんか。総理の答弁を求めます。
法人実効税率は二〇%台まで引き下げることを今後目指すとされていますが、そのために、中小企業への対象拡大も含め、これ以上外形標準課税を拡大させたり、中小企業の軽減税率を縮減、廃止したりすることは、成長戦略に反し、実施すべきではないと考えますが、総理のお考えを伺います。
そもそも、復興法人特別税を前倒し廃止して、法人実効税率を昨年四月から既に引き下げていますが、目に見える効果があったのでしょうか。総理の明確な答弁を求めます。
次に、贈与税について伺います。
民主党は、一部の高齢者に滞留している資金を若年世代に移転し、経済を活性化する観点から、生前贈与を進める贈与税の非課税措置を拡大する一方、相続税の増税を進めてきました。
しかし、その際に配慮してきたのは、世代内格差とのバランスであります。世代を超えた格差の再生産を促し、ひいては格差の固定化につながるような税制のあり方は、到底公平なものとは言えません。
今回、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税について、一千万円の非課税措置を創設し、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置を三千万円に拡充するとしています。もともと、贈与税には年間百十万円の非課税枠もあります。
相続や贈与については、世代内格差の是正を図る機会としても捉えるべきであり、今後、そういった視点から税制措置を講じていくべきと考えますが、総理のお考えを伺います。
次に、自動車関連税制について伺います。
本改正案において、自動車重量税については、いわゆるエコカー減税について、燃費基準の移行を円滑に進めるとともに、足元の自動車の消費を喚起することにも配慮した経過的な措置を講ずるとされております。
引き続き、手厚い配慮を期待するところではありますが、例えば、昨年の軽自動車税の見直しによって、自動車ユーザーに大きな負担増加となっている状況は看過できません。とりわけ、地方においては、自動車はぜいたく品ではなく、まさに生活の足として日々の暮らしに欠かせないものであります。
安倍内閣が地方創生を目指すのであれば、補助金や商品券をばらまくのではなく、まずは、地方で暮らしている皆様の負担をできるだけ軽くすることを考えるべきではありませんか。にもかかわらず、軽自動車税の増税は堅持したまま、自動車取得税廃止は延期するなど、地方に配慮した内容に全くなっていません。
与党の税制改正大綱においては、消費税率一〇%の段階の車体課税の見直しについては、平成二十八年度以後の税制改正において具体的な結論を得るとされておりますが、自動車取得税は速やかに廃止し、車体課税の抜本的見直しを行うべきであります。
総理とともに、地方の現状を踏まえた地方創生大臣のお考えを伺います。
今国会に提出された税制改正法案からは、経済再生、財政健全化という言葉は躍っていますけれども、個々の措置には矛盾が多く見られます。
決定的なのは、格差是正の観点がすっぽりと抜け落ちているところであります。頑張った人が報われない、それどころか、頑張ろうとすることさえかなわない人が多く存在するような社会では、真に活力ある社会たり得ません。
民主党は、機会の不平等を解消する税制改革に取り組み、格差是正と経済成長、財政再建を同時に実現していくことを国民の皆様にお約束し、私の質問とさせていただきます。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕