稲津久の発言 (本会議)
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○稲津久君 公明党の稲津久でございます。
私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案について質問をいたします。(拍手)
まず、農協法の改正についてです。
同法第一条には、「この法律は、農業者の協同組織の発達を促進することにより、農業生産力の増進及び農業者の経済的社会的地位の向上を図り、もつて国民経済の発展に寄与することを目的とする。」とあります。
このことからすると、まさに本改正案は、農業者や農業団体のみならず国民経済に直接影響を与えることを意味するものであり、だからこそ、広範な議論とともに、我が国の社会情勢にどのような影響を与えるのか、将来を見据えた取り組みが必要であると考えます。
また、本改正案は、農業の成長産業化を目指して、農業所得の向上や地域の活性化をどう図るかが目的ですが、現下の農業情勢を踏まえると、これは単に農協等の組織の見直しで可能になるものではないと考えます。
総理も、さきの施政方針演説で、農家の視点に立った農政改革として、強い農業をつくるための改革、農家の所得を増すための改革を進めると述べました。
そこで、本改正案がどのように農業の成長産業化や農家所得の向上に資するのか、安倍総理にお尋ねをいたします。
次に、攻めの農政との関連性について伺います。
林農林水産大臣は、平成二十四年十二月の政権交代後、農林水産大臣に就任され、攻めの農林水産業の推進に向けた検討を進め、農林水産業・地域の活力創造プランをまとめるなど、積極的に農林水産業の成長産業化に向けた政策実現に取り組まれてきました。
今般、第一次林農林水産大臣時代には重点化されていなかった農協法等の改正が出され、審議されることになりますが、農協法等の改正がどのように攻めの農政につながるのか、農林水産大臣の答弁を求めます。
あわせて、林大臣は、さきの所信表明において、第一に攻めの農林水産業の実行を挙げられ、その取り組みとして、需要フロンティアの拡大、需要と供給をつなぐバリューチェーンの構築、生産現場の強化を述べられました。このことと本改正案との整合性についてどう考えるのか、農林水産大臣の見解を伺います。
JA綱領の前文では、農業と地域社会に根差した組織として社会的役割を果たすと宣言しているように、農協の役割は、農業生産力や農家所得の向上であることは当然として、農村の暮らし、環境、食料など、広い意味で消費者や地域住民とも密接にかかわってきます。そこに、農協と一般の株式会社等との大きな違いがあります。
農協は、営みが農地や農村地域とかかわっていることにより、おのずと地域社会と密接に結びついてきます。また、総合事業を通じて地域のライフラインを担い、協同の力で豊かな暮らしを支える地域社会の実現に貢献していることも事実です。
こうした農協の農村地域に果たしている役割について、どのような認識をお持ちなのか、総理にお尋ねいたします。
農協は、農業者の職能組合でありますが、農村地域における公共的組織として事業展開をしており、地域のインフラに必要なサービスを提供しています。このような中で、員外利用規制や准組合員の事業利用について、今後一定のルールを導入することは必要としても、現実に即した方向性が不可欠ではないでしょうか。
単位農協や准組合員の意見、ニーズを反映しながら時間をかけて検討すべきと考えますが、総理の見解を伺います。
次に、中央会制度について伺います。
まず、監査制度についてですが、これまで中央会による監査は、単位農協の事業の企画立案、他業種との連携、経営のアドバイス機能を強化してきた面があります。一方で、公認会計士の監査は、監査報告書の作成により、財務諸表の内容が適正かどうかの意見表明です。
今回の改正後は、経営の詳細、アドバイスなどのいわゆる業務監査は誰が担うのでしょうか。また、監査費用も含めて農協の負担が増すのではないかといった懸念にどうお答えするのか、総理にお伺いします。
公明党は、中央会の一般社団法人への移行について、十分な移行期間の確保を求めてまいりました。
本改正案によると、全国中央会は、平成三十一年九月末までに、会員の意思の代表、会員相互の総合調整などを行う一般社団法人に移行することになります。条文では、社員である組合の意見を代表すること、または社員である組合相互間の総合調整を行うことを主たる目的とする一般社団法人となることになっています。
この主たる目的ではなく従たる目的として、例えば経営相談など他の業務を行うことは可能なのかどうか、農林水産大臣の所見を伺います。
次に、農業委員会制度について伺います。
農業委員会は、制度発足以来、幾度かの改正を行ってきましたが、根幹として重要視されてきたのは、農業者の公的な代表として、農業、農村の振興のために農業者が自主的に考え、決定し、実践する取り組みであり、この基本的な理念は今後も変わらないものであると考えます。
とりわけ、昨今の重要課題である土地利用型農業の構造改革は、農地中間管理機構を活用した担い手への農地の集積や遊休農地の解消を通じて農業、農村の維持発展を図るもので、そのために農業委員会の果たすべき役割は一層大きなものになっています。
農業委員会は、行政の執行機関としての業務と同時に、農業者の代表機関としての業務を担っています。農業委員会制度に基づく建議等は、代表機関としての取り組みであり、農業生産法人制度や農業者年金制度、認定農業者制度の創設など、これまでも主要な農業政策の確立に重要な役割を果たしてきました。
本改正案では、建議を規定しないこととする一方で、具体的な意見を提案しなければならないとしていますが、この変更が農業委員会の活動へどう影響するのか、総理の見解を伺います。
次に、農業委員の能力向上についてお伺いします。
本改正案は、農業委員会の組織について、委員の過半を認定農業者とし、農地利用最適化推進委員への業務の委嘱を行うことができる等の制度上の改正が主なものですが、能力向上のための研修の機会の確保や情報の掌握など、委員会自体の強化を図ることも重要であると考えます。
事務局も含め、今後どう対応する方向なのか、農林水産大臣にお伺いします。
最後に、厚生連についてお伺いします。
本改正案によると、病院等を設置する厚生連について、その選択により、社会医療法人に組織変更できる規定を置くとしています。
確かに、社会医療法人の場合、非課税措置を受けられることになりますが、救急医療や僻地医療などの不採算医療を担うことが社会医療法人の要件であり、このことは毎年の監査報告で認定されることになります。条件を満たせない場合は、当然一般の医療法人となり、一括課税の対象となることから、決してハードルは低くないと考えます。
必要な場合には地方公共団体等からの適切な支援を受け、医療サービスを安定的に提供すべきであると考えますが、社会医療法人移行の必要性について農林水産大臣の見解をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕