松野頼久の発言 (本会議)

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○松野頼久君 維新の党の松野頼久です。
 冒頭、この法案審議に挑む我々の基本的立場と、きのうの特別委員会での強行採決について、所見を申し述べます。(拍手)
 我々維新の党は、何でも反対の野党ではありません。国政に責任のある野党として、我々は、みずからの考えをまとめた独自案を提出いたしました。特別委員会の審議を拒否したことは一度もありません。
 この維新案は、七月八日に衆議院に提出されてから、特別委員会で政府案との並行審議が行われてきました。審議時間は、多く見ても、せいぜい六時間余りにすぎません。また、自民党、公明党との協議もまだ終わっていないんです。このように、並行審議は始まったばかりで、安倍総理も石破大臣も塩崎大臣も認めるとおり、政府案への国民の理解は得られていないんですよ。
 そんな中、審議を打ち切り、強行採決を行ったことは、言語道断の暴挙であります。審議を続ければ続けるほど国民の支持が離れることを恐れたんでしょう。独自案を提出し、与党とも協議し、責任ある態度を示してきた我々野党を実質的に無視する暴挙に、厳重に抗議をするものであります。
 さて、さきの大戦が終わってから七十年になります。日本は、この間、平和国家としての道を一貫して歩んできました。その平和国家日本のあり方が、今、根本的に変えられようとしています。この戦後日本の歴史的な転換点に、国会で議論をする者の責任はまことに重いものがあると考えます。
 我々維新の党は、この日本と日本の国民を守るために我々が最善と考える、安全保障に関する独自案を衆議院に提出いたしました。
 以下、政府案の問題点を指摘し、政府案には反対、維新案に賛成する旨の討論を行います。
 これまでの質疑の最大の問題点は、憲法上禁じられてきた集団的自衛権の行使を新たに合憲と認めるために政府が示した要件です。政府は、集団的自衛権の行使を、あくまで限定的に認める、厳しい要件でのみ認める、だから合憲だと強弁してきました。
 ところが、実際に出てきた条文はどうでしょうか。集団的自衛権の限定行使の根拠になる存立危機事態の文言には、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態とあります。この文言の意味は、一体何なんでしょうか。全く意味不明であります。
 政府答弁によれば、石油の途絶に伴う事態も、天然ガスやウランの途絶に伴う事態も、サイバー攻撃でアメリカ社会が混乱して日本に危機が及ぶ事態も含まれます。このように、日本に武力攻撃の危険が当面ない事態まで含まれ得るということです。文言が極めて曖昧なため、歯どめは実質的にないのも同然です。時の政権の恣意的な判断によって、武力行使が可能になることが明らかになりました。
 これでは、多くの憲法学者も歴代の内閣法制局長官経験者も、憲法違反であるとの懸念を表明されるのは当たり前のことであります。大森元内閣法制局長官が言われるとおり、現実にはほとんど制限的な作用を果たさない、まやかしの要件を設定したにすぎない条文です。
 このため、国民の不安も高まる一方です。審議日数を重ねれば重ねるほど、今国会での法案成立に反対の声がふえています。
 その上、自衛権行使についても、地理的制約もありません。これでは、ホルムズ海峡を含む世界のあらゆる場所に、それこそ地球の裏側にまで自衛隊を出動させることになります。これまで自国防衛に徹し専守防衛の原則を守ってきた自衛隊のあり方を根本的に変えることになります。
 我々維新の党は、我が国の周辺の現状を見れば、安保法制の改革は必要だと考えています。
 東アジア地域では、中国が毎年軍事費をふやしており、東シナ海、南シナ海に海洋進出を続け、力による現状変更を試みている。北朝鮮は、弾道ミサイルに搭載可能な小型核弾頭の開発に成功したとも伝えられています。今後一層、日米同盟を強化し、自由と民主主義等の価値観を共有する諸国との連携を進める必要があります。このことは認めます。日本周辺でのこのような状況を見れば、何よりも自国の防衛を大事にしてほしい、これが国民の切なる願いのはずです。
 日本を守るために必要な日米のチームワークの強化、一方で、あらゆる法律に当然必要な憲法の適合性、この二つを両立させるため、維新の党は、武力攻撃危機事態という概念を提示しております。
 すなわち、条約に基づき、我が国周辺の地域で、現に日本を防衛している外国軍が攻撃を受け、我が国に戦火が及ぶ、すなわち我が国が武力攻撃を受ける明白な危険があるときに限り、日本が自衛権を発動できることとしました。
 維新の党案は、明確な文言により、自国防衛を徹底して行うという安全保障上の哲学を法律の条文に具体的に書き込みました。他国防衛を目的とする集団的自衛権は認めません。認めるのは、我が国を防衛する外国軍への第一撃を我が国自身に対する武力攻撃の明白な危険があるとして自国防衛のために行使される自衛権です。
 この維新案の武力攻撃危機事態の要件を、憲法学者や内閣法制局長官経験者も、従来の憲法解釈の枠内にあるものとして合憲と評価しています。
 また、自衛権行使につながる防衛出動は、幸い一度も下令されたことはありません。しかし、それだけに、この国会承認は極めて重い意味を持ちます。
 したがって、国会承認については、審査をより厳格で実質的なものにするために、特定秘密を含む情報の提供を受ける専門委員会を国会に設けることを目指しています。
 政府提出の重要影響事態法案は、周辺事態法の周辺の概念を放棄して、法律上、まさに地球の裏側にまで自衛隊が派遣できるようになります。その上、武力行使と一体化しかねない弾薬提供や戦闘作戦のために発進準備中の航空機への給油等を可能にしています。
 これに対して、維新案では、周辺事態法の周辺の概念を維持しています。日米安保条約の極東条項に関する政府の統一見解、つまり、大体においてフィリピン以北並びに日本及びその周辺の地域であって、韓国及び台湾地域を超えることはありません。極東周辺の南シナ海は、我が国防衛に密接に関連している場合には、活動範囲に含まれると考えています。しかし、常識的には、中東やアフリカ等は含まれていません。維新案では、弾薬の提供も行いません。
 次に、国際平和支援法案についてです。
 維新案は、我が自衛隊の後方支援する多国籍軍の国際法上の正当性を何よりも大切にしています。これまで特措法で対応してきた内容で、国際的にも国内的にも正当性のある法理を恒久法としています。それ以外の場合には、その都度、特措法を制定して、国民に同意を求めることを原則としました。
 維新案では、国連憲章第七章の決議に基づく多国籍軍のみを支援対象としています。国際法上、武力行使を伴う軍隊を他国領土に派遣できるのはこの決議があった場合のみという原則を遵守したものであります。政府案による、国連総会でのいわゆる関連決議による多国籍軍への支援は、必要ならば特措法で対応します。また、活動地域は、従来どおり、非戦闘地域のみとしています。
 次に、領域警備について、政府案では、日本周辺の領海、領空でのいわゆるグレーゾーンの警備への法的な対応がなされていません。そこで、維新の党は、民主党と共同で、領域警備法案を提出いたしました。
 政府は、海上警備行動等の下令の迅速化のために、電話による閣議決定を行うなど、わずかな運用変更にとどめています。維新・民主党案では、海自が、あらかじめ海保と協力するための仕組みとして海上警備準備行動を創設するなど、迅速に対応できるようにしました。領域警備は、警察機関が第一義的な対応をするという原則を堅持しながら、自衛隊の能力を最大限活用していくことを目指しています。
 最後になりますが、我々維新の党は、今後も、責任ある野党の立場で、安保法制の議論に挑んでいきます。冒頭申し上げたような、昨日の委員会採決の暴挙に対してさえ、維新の党は、みずからが出した法案の採決には出席し、政府案の強行採決のみ、抗議の意思を示すために退席をいたしました。
 特別委員会での強行採決について、改めて厳重に抗議し、同委員会での対応同様、維新の党は、独自案の採決には出席して賛成し、政府案の採決には抗議の趣旨で退席することを表明し、私の討論といたします。
 ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 松野頼久

speaker_id: 11305

日付: 2015-07-16

院: 衆議院

会議名: 本会議