井出庸生の発言 (本会議)
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○井出庸生君 維新の党、信州長野の井出庸生です。
刑訴法等の一部を改正する法律案の修正案に対し、賛成討論をいたします。(拍手)
五月十九日、私は、この場所で、政府原案を、取り調べ可視化は全事件のわずか三%、にもかかわらず司法取引導入、そして通信傍受捜査の大幅拡大であると厳しく批判をしました。
村木厚子さんが巻き込まれた郵便不正事件、十二人の無罪判決を出した鹿児島志布志事件などに端を発し、刑事捜査の出直しが求められた本法改正議論は、冤罪防止のための成果が求められたはずでしたが、捜査権限の焼け太りと批判された政府原案へ姿を変えたのでした。
私たちが合意した修正案も、残念ながら、政府原案を大きく変えることはできませんでした。
取り調べの可視化のさらなる拡大は附帯決議にとどまり、多くの方が望んだ全事件、全過程の可視化は引き続きの課題となりました。また、冤罪被害者から強く改善が求められた保釈の考慮事情の改正、いわゆる人質司法をなくすことについても附帯決議。今後、主に重大事件を対象に拡充される証拠開示制度について、今、重大事件で再審を求めている人たちに十分な証拠が開示されていないという喫緊の課題についても、附帯決議で改善を求めるにとどまりました。
捜査権限の焼け太りの象徴である通信傍受捜査の大幅拡大は、対象犯罪の拡大のみならず、本法案の成立によって、通信データを通信事業者から各都道府県警察に伝送し、警察施設で立会人もなく通信傍受が実施できることになります。
私たちは、警察施設での通信傍受の見送り、少なくとも第三者による立ち会いの維持を最後まで求めてまいりました。
結局、修正案でも、警察施設での通信傍受は解禁され、警察内部で捜査の実施状況を指導することとなりました。指導する警察官がこれまでの立会人のように通信傍受の一部始終に立ち会うものと考えておりますが、期待する答弁が得られておらず、指導する警察官が通信傍受の全ての時間に立ち会うことを強く強く求めます。
新たに導入される司法取引については、国際サッカー連盟の幹部ら十四人がワールドカップ開催や放送権などをめぐって賄賂を受け取るなどした事件など、個別の事件で成果が見られる一方で、アメリカでは冤罪の原因の一五%が司法取引にあるという指摘もされ、慎重な制度設計が求められてきました。
修正案では、司法取引で他人の犯罪を告発する被疑者、被告人と、告発される側の被疑者、被告人の犯罪の関連性を考慮するなど、当然のことが法文に追加されたにすぎません。
さらに、司法取引こそ録音、録画すべきとの多くの意見が与野党から上がりましたが、附帯決議で記録、保存を求めるにとどまりました。
本法案に課された冤罪防止策を政府原案以上に進めることがかなわず、捜査権限の焼け太りに対する歯どめもわずかと言わざるを得ません。
それでも我々が修正案に賛成をするのは、たとえ歯どめにならない歯どめであったとしても、法律を修正し、厳正かつ慎重な刑事捜査の実施を求めるからであります。取り調べの可視化などを一層進め、適正な捜査、裁判での的確な立証を求めることは、もはや言うまでもありません。
さて、本法案附則九条、三年後の検討条項は、この法案の主要部分の見直し、また、再審を求めている人への証拠開示など、残された課題についても検討することと修正されました。後の検証に資する詳細な分析を行っていくことを政府に求めます。
捜査権は、治安維持のために必要である一方、その焼け太りは国民にとって大きな不安、脅威であります。重大事件の検挙率が高いこと、犯罪発生率が低いことなど、世界でも治安のよい日本の捜査機関が、これまで限定的な捜査手法と厳正な手続で安心、安全な国家の形成に努めてきたことは、勤勉な国民性の象徴であり、高く評価されるべきことです。国民のプライバシー、人権保護が最大限尊重され、かつ、犯罪を予防、解決してきた日本の刑事捜査のよい部分をこれからも守り続けていくことを強く望みます。
最後に、合同勉強会で問題意識を共有し、議論を掘り下げてくれた民主党、日本共産党、そして慎重審議に応じた政府・与党に敬意を表し、今後も刑事司法制度の不断の改革に向けて微力を尽くしてまいります。
ありがとうございました。(拍手)