松野頼久の発言 (本会議)

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○松野頼久君 維新の党の松野頼久です。
 冒頭、今回の台風十八号の被害に遭われた皆様に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。
 さて、私は、維新の党を代表して、内閣不信任案への賛成討論を行います。(拍手)
 安倍総理、あなたが、常軌を逸しているほどの情熱を傾けて、ほかの重要政策を犠牲にしてまで拙速に進めてきた安全保障法制ですが、その中身は疑問だらけで、このような問題のある法案を提出した責任は極めて重いと言わざるを得ません。
 安保法案の中身は、安倍総理が答弁すればするほど、疑問点が深まるものとなりました。
 そもそも、いかなる場合が存立危機事態に該当し得るのか。
 衆議院の答弁では唯一の立法事実とされていたホルムズ海峡の機雷掃海についても、九月十四日の答弁で、現在の国際情勢に照らせば、具体的に想定しているものではないと軌道修正。立法事実はどこにあるのか、全くわかりません。
 また、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険などという限界状況は、我が国に武力攻撃が及ばなければ生じ得ないのではないかという基本的な疑問に、明確な答えはありませんでした。
 また、国民が次々に生命を奪われている状況であれば、当然国民保護法を改正して対応するべきですが、それは行わない。しかも、他国の要請がなければ自衛権を発動できない。このように、そもそも論理が矛盾し、それについて政府の答弁も全く要領を得ないものでありました。
 他方、昨年の七月の閣議決定では、切れ目のない安全保障法制の整備をうたい、武装集団の離島上陸のようないわゆるグレーゾーン事態への対処を第一に掲げながら、今回は、そのための法案を提出せず、運用の改善で取り繕う始末です。
 第一に対処しなければならないはずの事態に法制上大きな切れ目が生じてしまっており、これでは、一体何のために安保法制の整備をしているのか、全くわかりません。
 結局、厳格な歯どめと称する新三要件は、海外派兵を事実上認める論理そのものであり、それが本質ではありませんか。
 さらに、事態認定と武力行使の判断について時の政権の裁量に任せてしまう、そして、やろうと思えば世界のどこででも何でもできてしまう、このような非常に危険な法制、そう言わざるを得ません。
 このように、安倍内閣が推し進める今回の安全保障法制は、憲法の範囲を逸脱する内容を含む、違憲性の疑いの極めて濃厚な法案です。そしてそのことは、もはや、多方面から指摘され、動かしがたい事実になりつつあります。
 六月四日衆議院の憲法審査会では、自民党推薦の長谷部恭男先生を初め、小林節先生、笹田栄司先生という日本を代表する憲法学者三人がそろって憲法違反と断じ、引き続く六月二十二日衆議院特別委員会の参考人質疑では、内閣法制局歴代長官である阪田雅裕氏、宮崎礼壹氏も違憲性を次々に指摘しました。
 こうした違憲の指摘に対して、政府・与党は、合憲性の最終的判断を有するのは最高裁だと言って反論してきましたが、今やその最高裁の長官経験者までが、集団的自衛権の行使を認める立法は違憲と言わざるを得ないと、ついに明言しています。砂川事件判決を根拠とするなどという無理のある解釈は、ほとんどの専門家から理解を得られておらず、もう限界であります。
 このように、法案の内容、合憲性に問題があるだけでなく、その質疑を通じて、安倍総理自身の憲法原理の理解や政治姿勢に大きな問題があることが白日のもとにさらされました。
 一つは、先ほどからも言われています立憲主義の理解です。
 昨年の衆議院予算委員会で、憲法の意味について問われた安倍総理は、憲法について、考え方の一つとして、いわば国家権力を縛るものだという考え方はあります、しかし、それはかつて王権が絶対権力を持っていた時代の主流的な考えであってと答弁しています。立憲主義は絶対王政のころの考え方という、常識では考えられない驚くべき見解を述べられています。
 そして、ことし五月の党首討論では、安保法制について問われ、我々が提出する法案についての説明は全く正しい、私は総理なのだからと、まるで王権が絶対権力を持っていた時代をほうふつとさせる答弁を行いました。法案も首相の権限も当然憲法に縛られるという立憲主義への理解のかけらも見られない答弁です。
 立憲主義を理解しない者に内閣総理大臣の資格はありません。
 もう一つは、国会軽視の姿勢です。
 安倍総理は、安保法制について、四月のアメリカの議会の演説で、この夏までに成就させると表明されました。法案提出すらされていない段階でこれほどの重要法案の成立を外国で約束するとは、国会審議を無視しているとしか思えません。議会制民主主義をどのように理解されているのか。
 国会軽視の姿勢は、我々が提出している法案、対案への姿勢にもあらわれています。
 我が党は、単に政府案に反対するだけではなく、安保法制について建設的な議論ができるよう、憲法適合性の高い総合的な独自案を提出した唯一の政党だと思っています。そして、国会審議の中で政府案と並行して我々の独自案について十分審議すれば、国民の理解も深まったはずです。
 にもかかわらず、政府・与党は、我が党の案を十分に審議しないまま政府案の採決を強行したばかりか、我が党の独自案について、採決すら行いませんでした。対案を出せ、出せば真摯に対応するとおっしゃっていたのは、全くうそだったのでしょうか。このような姿勢は、対案の提出による建設的議論と国民の理解をないがしろにし、議会制民主主義を否定するものであります。
 こうした根本原理の理解だけではなくて、政治姿勢としても、安倍政権の安保法制に関する答弁や発言は終始真摯さに欠け、国民の不安と不信を増幅するものでありました。
 衆議院の法案審議では、安倍総理自身、早く質問しろよとのやじに始まり、その後も安倍総理の自席からのやじはたびたび問題になりました。総理は、その都度、形ばかりの釈明を行うのみで、傲慢な姿勢ばかりが目につきました。
 こうした姿勢を模倣したのか、中谷防衛大臣は、法案への理解不足から答弁がたびたび二転三転し、あげくの果てには、現在の憲法をいかに法案に適応させればいいかなどと、立憲主義の理解に全く欠ける驚くべき発言をし、礒崎総理補佐官は、法的安定性は関係ない、このように発言をし、戦後一貫して積み上げてきた専守防衛を初めとする憲法解釈の重みを全く感じていないことが露呈をされたのであります。
 安保法制について国民の理解が得られないのは、まさに法案の違憲性と総理の憲法原理への無理解、そして総理や大臣の傲慢な答弁姿勢に原因があると考えます。
 実際、安保法制の理解度について、審議入りの時点の五月の世論調査では、よく理解をしているとある程度理解をしているの合計が五三・五%でしたが、参議院での審議が進む中で、直近の八月の世論調査では、よく理解しているとある程度理解をしているの合計が四八・三%と、五ポイント以上も下落しているのです。国民の理解は深まらず、むしろ今国会での強引な法案成立に反対する声が日増しに高まっているではありませんか。
 安倍内閣の暴走は、安保法制だけではありません。安保法制と並んで安倍総理の責任が重大と考えるのが、原子力発電所の再稼働の問題です。
 八月十一日、九州電力川内原発第一号機の原子炉が起動し、再稼働が始まりました。
 しかし、福島第一原発の事故から四年たった現在でも、避難指示区域から避難して故郷に戻れない方は十万人以上に上っているんです。世論調査でも、原発再稼働に反対している声が賛成の二倍以上あり、国民の理解が得られているとは到底言えない状況です。
 維新の党は、当面、原発再稼働に厳格な条件を法定することが必要だと考えています。
 現状では、原発再稼働を誰がどのように決定するのかという判断と責任の主体が明確でなく、二番目としては、自治体任せとなっている防災計画の実効性も疑われ、同意が必要な自治体の範囲も法定されておらず、最終処分の方法のめども立っていません。さらに、火山の噴火、事故対応設備等に関しても、専門家から投げかけられている不安も払拭できていません。
 結論ありきで原発再稼働に突き進むかのような安倍内閣の姿勢には、大変な危惧を覚えています。再度の過酷な事故を起こしてしまったら、日本の国家としての信用はそれこそ地に落ちるということを肝に銘じなければなりません。
 再稼働決定のプロセスと責任の所在を明確にせず、国民の生命と健康よりも経済の論理を優先させ、安全対策に真摯に取り組まない安倍内閣の姿勢を信任することは到底できないものであります。
 さらには、二千五百二十億にも上る巨額の建設費が問題視され、計画が白紙撤回された新国立競技場の問題。事務方が事実上更迭されていますが、これは政治問題である以上、下村文科大臣は責任をとらなければならない。
 また、百二十五万件にも及ぶ年金情報の流出問題についても、年金機構だけではなくて、大臣を初めとする厚労省上層部に問題があったことが、検証委員会の報告書で明らかになりました。しかし、大臣は、検証委員会の報告が出たらボーナス返上などの責任のとり方を検討すると答弁しながら、本日まで何ら責任をとっていません。
 これらの問題は、原発再稼働と同様に、安倍内閣の無責任体質をあらわすものであります。
 以上、国家国民の命運を左右する最重要法案である安保法制について、憲法原理の理解を欠き、誠実さにも欠ける答弁を繰り返すこと。我々のような建設的な野党の提案にも全く法文修正も行わないどころか、対案の採決すら行わず、違憲の法律を制定するという、憲政史上大きな汚点を残していること。また、国民を守るという国家の第一の責務よりも経済の論理を優先し、原発の安全対策に真摯に取り組まないこと。さらには、問題を起こした大臣についても、責任をとらせず、無責任政治の悪弊を拡大させていること。安倍内閣総理大臣初め政権の責任は極めて重く、不信任に値せざるを得ません。
 最後に一言申し上げます。
 安倍政権、そして自民党のやりたい放題を許しているのは、一強多弱と言われている私たち野党の側にも責任があります。
 今や国民は、安倍政権にかわる、信頼に足りる、現実的な改革勢力の誕生を求めています。それは、我が党が結党当初から一貫して目指してきた目標であり、我々の信ずる国益でもあります。
 今こそ、身を捨てて、理念と政策を軸とした政権交代可能な改革勢力の結集に意を決して取り組む、このことを、この場をおかりして国民の皆様とお約束をし、内閣不信任案に賛成する立場の討論といたします。
 ありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 118905254X04720150918_014

発言者: 松野頼久

speaker_id: 11305

日付: 2015-09-18

院: 衆議院

会議名: 本会議