石田昌宏の発言 (憲法審査会)

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○石田昌宏君 自由民主党の石田昌宏でございます。
 総論の議論が一周しましたので、私の方からは各論、特に国民同士の権利と権利の衝突ということについて考えてみたいというふうに思います。
 昨年、東京地裁はグーグル社に対して仮処分命令を下しました。ある男性が自分の名前をグーグルで検索したところ、過去に不良グループに属していたという情報がヒットしたために、これを人格権の侵害として提訴し、地裁がグーグルに削除命令をしたというものです。これはいわゆる忘れられる権利の問題として認識が広がっております。しかし、一方で、我々には知る権利があるわけです。例えば、幼い子供を持つ親にとって性犯罪の情報は公開してほしいと思うのは理解できる心情です。
 また、表現の自由との兼ね合いもどう整理したらいいのでしょうか。インターネットの普及により、昔はほぼ不可能であった、個人が世界に向けて情報発信することが今やコストもほぼゼロでできるようになりました。裏を返せば、表現の自由の下に個人が他者の権利を害する加害者にも容易になり得るということです。
 忘れられる権利、知る権利、そして表現の自由の衝突をどう考えていったらよろしいのでしょうか。
 こういった事例もあります。保育園の新設に対して住環境の悪化を唱える住民の問題です。少子化対策として保育園の新設は喫緊の課題ではありますが、子供の声がうるさい、運動会の音楽がうるさいなどという住環境の悪化を理由に近隣住民が反対を訴える例が各地で頻発しています。そして中には訴訟に発展する例もあるのです。これは、公共の利益と個人の人権の衝突というふうに整理することができると思います。
 日本国憲法では、平等権、自由権、社会権などが定められています。これらの中には、今言ったような国民同士の間での権利の衝突、若しくは公共の利益と個人の利益の衝突を起こす可能性があるものが多くあります。さらに、今後議論されると言われています新しい人権、例えば環境権とかプライバシーの権利、若しくは知る権利はまさにコンフリクトを起こしやすいような問題だと思います。
 憲法を為政者の権力を制限して国民の権利や自由を守るといういわゆる立憲主義的な観点からだけ見てしまいますと、国民と国民、若しくは公共と個人の間での権利の衝突を考えることは極めて難しくなります。ですから、国民が世界に向けて発信できるような、このことができるようになった現代社会に求められる憲法とはどうあるべきなのか、改めて考えていく必要があると思います。
 この点を踏まえ、今改めて国民同士の権利と権利の衝突ということについて私ども立法府の者たちがどのような方向を憲法として目指すべきか、改めてこの場で具体的な検討に入っていただきたいというふうに思いまして、以上を意見表明とさせていただきます。
 ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 石田昌宏

speaker_id: 31166

日付: 2015-05-27

院: 参議院

会議名: 憲法審査会