愛知治郎の発言 (憲法審査会)

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○愛知治郎君 自由民主党の愛知治郎であります。
 自由民主党を代表して、二院制について発言をいたします。
 自民党では、日本国憲法制定の経緯、その後の時代の変遷とともに生じる現実との乖離から、解釈では乗り越えられない限界など、様々な現行憲法の矛盾点が示されているところから、平成二十四年に日本国憲法改正草案を策定、提案しております。
 参議院自民党としては、今春より政策審議会において将来を見据えた参議院の在り方の検討を開始し、参議院議員選出のための選挙制度のあるべき姿とともに、中長期的に将来的な参議院の在り方についての主要なテーマを検討してまいりました。今回は、参議院自民党としての二院制についての基本的な考え方とともに、これらについても併せて報告をさせていただきます。
 まず、二院制についてでありますが、自民党としては、二院制を維持するとともに、衆議院の優越についても現行の立場を踏襲するというものであります。
 この理由としては、二つの院の相互抑制、均衡により慎重審議を実現する、第一院の審議の不十分さや欠陥を補うことができる、議院内閣制の下で国会の行政監視機能を高めるためには二院制が必要である、国民の多様な意見や多元的な価値をきめ細かに反映することができる、長期的視野に立った安定的な議論ができるなど、参議院には衆議院とは異なる役割があると考えるからであります。
 参議院自民党としては、我が国のように両院とも公選の場合、両院の機能に優劣を付けるよりも、機能のすみ分けを目指すのが妥当な選択と考えます。現行憲法を前提としつつ、憲法の許容範囲内で参議院独自の機能を付与することが適当と考えております。
 先ほども申し述べたとおり、参議院自民党としては、今般の選挙制度の改革に関する議論の中で、参議院議員の選挙制度の改革を議論するには、まずは将来的な参議院の在り方を見据えて議論すべきと考え、政策審議会の中に参議院在り方検討プロジェクトチームを設置し、参議院議員選出のための選挙制度のあるべき姿とともに、将来的な参議院の在り方について検討してまいりました。
 この方向性は、本年七月に成立した参議院の選挙制度改革に関する公職選挙法の改正の附則において、平成三十一年の参議院議員の通常選挙に向けて、選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い、必ず結論を得るものとされましたが、これは参議院の在り方を踏まえて行うこととされたことと軌を一にするものであります。
 以下、自民党としての参議院の在り方についての基本的な考え方が述べられておりますので、プロジェクトチームで検討した参議院議員選出のための選挙制度のあるべき姿について御説明をいたします。
 参議院議員選出のための選挙制度の在り方は、参議院の本来的な役割を検討した上で、そのために最もふさわしい選挙制度はどうあるべきかという視点で考える必要があります。
 そのために、衆議院と参議院の役割について比較検討すると、まず、衆議院は首班指名における優越を有しており、政権選択を通じて民意を集約する役割を持っております。また、解散と不信任決議によって常に内閣と抑制、均衡を保つ関係にあります。予算や条約に関する優越が衆議院に認められていることも、内閣と密接な関係を持つことと整合的であると考えます。
 一方で、参議院は解散がないため、衆議院ほど政権と表裏一体の関係ではありません。また、憲法上、議員の任期が六年という長期でありまして、半数改選とされていることから、議論の安定性や連続性が担保されております。このことから、中長期的な視野に立って慎重な審議を行い、多様な民意を反映する役割が求められていると考えます。参議院が良識の府と呼ばれ、党派色を薄めて、個人の識見に基づく議論を展開することや、国民の少数意見を酌み取ることが期待されているという認識も、この憲法上の位置付けから導かれるものであります。
 こうした参議院の役割を踏まえた選挙制度として、公職選挙法では、被選挙権を満三十歳以上という衆議院より高い年齢に設定し、定数も衆議院の約半数とすることで、高い識見を有する少数精鋭を選抜する仕組みになっております。同時に、地域的な多様性や専門的な知見を議席に反映させるため、地域代表的性格や職域代表的性格を重視した選出方法が取られております。
 参議院創設当時、参議院議員の選出方法を定めた参議院議員選挙法の提案趣旨説明では、地方選出議員には地域代表的性格があり、全国区を導入した理由としては、学識、経験共に優れた人材の選抜と職能代表制の有する長所を取り入れる狙いがあると説明されております。選挙区と全国比例区から成る参議院の現行制度にもこの考え方は受け継がれているとしております。
 次に、投票価値の平等としては、衆議院の場合には、上記のとおり、民意の多数派が政権を形成するという機能を持つため、民意の多数派と議席の多数派が一致する必要があります。したがって、一人一票を理想として、可能な限りそれに近づけるという、厳密な意味での投票価値の平等が求められます。
 一方で、参議院も全国民の代表である以上、投票価値の平等という要請から無縁ではありません。しかしながら、憲法上で半数改選が定められていることからも、衆議院のように投票価値の平等が厳密に求められるものではなく、直近の民意に加えて、より中長期的な視点や多様な観点からの審議も期待されているところであります。そのため、投票価値の平等に関しては、衆議院よりも緩やかな制約の下で、地域性や専門性を重視した選出方法を取ることに合理性があると言えます。
 また、中長期的な今後のテーマについてでありますが、党プロジェクトチームにおいては中長期的な今後のテーマについても議論を行っていますが、その一部を紹介いたします。
 まず、衆議院との関係について、衆議院の優越を強めるか両院対等とするか等、変更の必要をどう考えるか。予算、決算の役割分担をどう考えるか。国会同意人事について、両院で審査する必要性についてどう考えるか。内閣との関係について、参議院からの閣僚等の登用の是非についてどう考えるか。また、議員の人材として専門家、有識者であることの要件をどう反映するか。海外との関係では、議員外交を強化すべきではないか。また、この点に関連し、参議院議員の英語表記の見直しをするべきではないか。また、委員会、調査会の組織、機能の強化、見直し。参議院議員選出のための選挙制度の在り方。国民に開かれた参議院広報の在り方。また、一度も実現をしていない皇族の傍聴。国立国会図書館の機能拡充をどう考えるか等々の意見があったところであります。
 参議院自民党としては、上記に述べた参議院の在り方、あるべき姿の検討は、自民党だけで行うのではなく、全会派が参加して議論すべきと考えます。既に各会派におかれましてもそれぞれ議論が行われているものと考えますが、参議院全体として一定の結論を出すべきと思い、先般、参議院議長に、議長主導の下に全会派が参加して議論する場として参議院改革協議会の設置をお願いをしたところであります。各会派の先生方におかれましても、趣旨を御勘案の上、何とぞ対応をよろしくお願いを申し上げます。
 以上で私の発言を終わります。

発言情報

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発言者: 愛知治郎

speaker_id: 22851

日付: 2015-09-07

院: 参議院

会議名: 憲法審査会