高田坦史の発言 (行政監視委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○参考人(高田坦史君) 参議院行政監視委員会に参考人としてお話しする機会をいただきまして、大変光栄であります。誠にありがとうございます。
 早速ですが、お手元の資料に基づきまして御説明いたします。
 最初に、私どもがどんなことをやっているかでありますが、二ページ目を御覧ください。
 中小機構は、創業から成長、発展、さらには事業承継、セーフティーネット、再生に至るまで、中小企業・小規模事業者の皆様の各々の発展段階に応じた総合的な支援を業とする独立行政法人でございます。また、東日本大震災のような職場が消滅してしまうような災害時には、働く場の確保が大変重要な復興対策の一つになりますが、仮設の商店街あるいは仮設の工場などの整備も行っております。
 私は、二〇一二年の七月から現職にありますけれども、しばらくは民間と公的機関の違いに戸惑いを感じながらやってまいりました。
 三ページ目を御覧ください。
 中小機構と前職場を比較しますと、このような違いがあろうかと思います。そして、ここに掲げた七項目全てが本委員会のテーマに関わるPDCA、すなわち改善の考え方が公的機関に定着していない、あるいは定着しにくい原因になっているというふうに思いました。
 しかし、決して改善の考え方が必要ないわけでもありませんし、PDCAサイクルを回せないわけでもないと思いまして、二〇一三年の秋より機構の第三期中期計画の策定に着手いたしましたが、PDCAの考え方を取り入れました。社内教育も主としてOJTベースに実施しております。
 一方で、二〇一四年に入りまして中小企業政策は歴史的な転換点を迎えることになります。本委員会の委員長でいらっしゃる松村先生のリードの下に、中小企業の九割弱を占める小規模事業者支援の基本法の策定作業が本格化いたしまして、六月に成立、十月に基本計画が閣議決定されました。その中で、これは多分、国のレベルでは初めてだと思いますが、PDCA手法を使って改善を積み重ね、目標を達成することが明記されました。大変すばらしいことだと私は思いました。
 そして、これがまち・ひと・しごと創生総合戦略にも生かされておりまして、国もPDCAの考え方を取り入れ、改善する仕組みを確立して、検証、改善していくとしていることは、地方創生における国の覚悟がうかがえ、大いに期待しているところでございます。
 次に、PDCAについてちょっと触れたいと思います。
 四ページ目を御覧ください。
 PDCAは、言うまでもなく、プラン・ドゥー・チェック・アクション、これの頭文字を取った改善の考え方でありますけれども、プランとは、数値化された目標の設定、それから目標を達成するための具体的な方策、これをしっかりとした仮説に基づいて企画立案することであります。ドゥーは、経営資源を配分し具体的に実行することであります。チェックは、進捗が計画どおりか確認をすること。さらに、やり方のチェックをして、必要ならばアクション段階に移りまして、仮説の修正あるいはやり方の修正をして次の期につなげるということであります。
 大事なことは、欄外にございますけれども、このプロセスを繰り返し繰り返し行って、改善を積み重ねることによってスパイラルアップしていくことであります。また、PDCAのサイクルは、短期から長期、あるいは個人そして小さな組織単位から大きな組織単位まで一連のセットとして行うことが大切なポイントであります。
 PDCAは、一言で言えば目標の必達に向けた改善のための考え方ということでございますが、やはり大切なことは、いかに実行していくかであります。PDCAはあくまで考え方であり、改善のツールにすぎないのであります。
 されど、PDCAは簡単に回せるかというと、そうではありません。確実に成果を出して改善していくためには幾つかの条件があります。そのポイントをまとめたものが五ページでございます。四つ書いてございますけれども、上の三つはプランに関わることであります。時間も限られておりますので、特に三番を御説明したいと思います。
 公的な機関は、実行行為を外部、これ多くは民間だと思いますけれども、ここに委託することが多く、そのような場合、プランの策定、つまり目標設定や仮説に基づくやり方の詳細な立案なども外部に任せることになりがちであります。その結果、どのように行われているかが分からない状態、いわゆるブラックボックス化が起こりやすくなっています。しかし、それでは、改善も含めて全て委託する、いわゆる丸投げということになり、改善の提案、議論はできません。つまり、丸投げではPDCAは回らないのであります。
 それでは、このブラックボックス化を防ぐためにはどうしたらよいか。それは、自らの組織内に現場を熟知して専門性を備えた人材を擁し、委託先と同じレベルで議論ができるようにすることが必要であると。そうしないと、改善、スパイラルアップは期待できないということになってしまいます。
 ここに記した条件を整えるためには、欄外にございますが、危機感の共有化が必要でありますし、リーダーの強い意思、志が必須だろうというふうに思います。
 次、六ページでございますが、ここには中小企業の支援ネットワークをまとめてございます。
 中小機構は、下から二つ目に書いてございますけれども、唯一の公的な実行、実施機関であるというふうなことでありますが、我々だけでは実行できないことがたくさんありまして、ブルーでスクリーントーン化したところに掲載いたしました会員組織あるいは支援機関の皆様に実行を委託して、連携して支援に当たるということになります。全国三百八十五万社の皆様が支援対象だと考えますと、支援機関との有機的な効果的な連携の実を上げることが必須となります。
 次に、私ども中小機構のPDCAの例を御説明いたします。七ページを御覧ください。
 ここには、弊機構の基幹事業であります小規模事業者のための共済の事例であります。
 最初に、この事業の説明をいたしますと、下の囲みにございますように、小規模企業共済とは極めて商品力の強い制度であります。現在、加入者は約百二十三万人ということで、大変大勢の方に御利用いただいておりますけれども、小規模事業者の皆様は三百三十四万社いらっしゃいます。したがいまして、これ、百二十三万ということでも、三分の一強しか加入していないというふうなことにもなります。
 共済制度そのものは会員相互の互助制度ですが、運営は我々公的機関が税金によりやっておるわけですから、私は、この未加入の方々が制度を知っていて加入しないならば仕方がない、しかし、もしそうでないとしたら公平ではないし問題だと考えております。実際に私がお会いした未加入の方々は、ほとんどがそんなに良い制度なら是非入りたいとおっしゃるわけで、知らないことが未加入の大きな原因だと考えるようになりました。そんなことから、機構発足後十年間でほとんど増えていなかったものを、二〇一九年までに加入者数を大幅に増やすことを目標に掲げて活動しておるわけでございます。
 そして、この業務の内容でございますけれども、この二つ目の目標の下に書いてありますが、中小機構は企画だとか預り金の運用、管理業務をやり、新規客加入の促進活動は、ここに書いてあります商工会、商工会議所、金融機関の皆さん、要は先ほど御説明した代理店に当たる方々に委託しております。この委託業務になっている新規加入促進業務のPDCAの例を次の八ページに示しております。
 ちょっと細かくて恐縮でございますが、時間の制約もございますのでポイントのみに絞らせていただきます。プランとドゥーは御覧いただいたとおりであります。チェックのところでありますけれども、目標に対して未達という状態だということであります。なぜ未達なのか、やり方のチェックをすると幾つか改めるべき点が出てきました。
 まず一つ目、一方的なお願いになっている。二つ目、担当のB君はお役立ち情報、これは機構の他の事業や新しい施策情報など銀行側に役立つ情報のことを言っておりますが、このことをB君は理解していないと。それから三つ目、活動量が少な過ぎる。まだ着任して一年というふうなことだとすると、このレベルの活動では十分ではないんではないかということで、この信頼関係が銀行の方とできていないのではないかということであります。四番目、窓口担当者は他の業務とのプライオリティー付けに悩んでいるようだ。これは、決める権限は上司にあって、ほかの仕事がいろいろ上司からも出ているということのようでありました。そのほか、元々小規模事業者の皆様が御存じないことが未加入の原因であるということだとすると、小規模事業者に直接共済のメリットをアピールした方が窓口に来てくれるのではないかというふうなこともありました。
 次のアクションでは、変えなければいけないポイントでどのように変えるのかを実行計画にまとめます。さあ、これで来週から新しいやり方で目標必達に向けてスタートということでありますが、ここでのポイントは、元々未達なんですから、これまでのやり方を継続しても目標達成は難しいという当たり前の判断をしっかりすることだと思います。やり方を具体的に議論して変えることであります。
 次に、九ページを御覧ください。
 これは、PDCAがうまく回らない原因は幾つかありますけれども、自己完結型の仕事が多い民間ではよくありがちな原因を分かりやすく説明したものがネットに出ておりましたので御紹介いたします。これは目標の共有化ができていない、要は、納得とまでは言わなくても、合意した目標に十分なっていないという例であります。
 次の十ページですが、先ほどちょっと触れましたが、第三期五か年計画に、三つの基本姿勢として三番目に、改善する、これを明記いたしました。これは三期中期計画の中に書いてございます。
 次に、誠に僣越とは存じますけれども、地方創生に向けた中小機構の視点での御提案をさせていただきたいと思います。
 私は、大きくは三つの方法があるというふうに考えております。本日は二つの考え方をまとめてありますが、一つは需要をつかんで売上げを拡大していくこと。これは中小企業の皆さんのことを言っておりますが、地元の市場が縮小しているなら、域外の需要、域外の市場、大都市、あるいは海外需要ということになるかもしれません、これをつかむことであります。
 二つ目は、直接人口を増やす策を講ずることにより地域市場の縮小を食い止めることであります。この策には大きく二つありまして、一時的な滞在ではありますが観光客を増やすこと、そして定住人口を増加させることであります。
 十一ページを御覧ください。
 一つ目の域外の需要をつかむことということですが、人口の減少、市場の縮小、売上げ減少の悪循環、この負のスパイラルを断ち切るにはどうしたらよいのか。コントロール不可能なことを言っても仕方がありませんので、中小企業の売上げが減っている原因が市場縮小ということであれば、地域外の需要を獲得していく努力をもっとしましょうということであります。
 実は、これまではデパートとかスーパーとか実際の店舗、ここに商品を置いてもらうことは、売場の面積の問題、限られているということもあったり、あるいはコストのことも掛かったりして極めて限定された企業しかやってこれませんでした。それが、現在はネット上の仮想商店街があります。誰でも出店でき、地域外の消費者、需要者にダイレクトにアプローチすることができるわけであります。もちろんこの延長線には巨大な海外市場あるいは海外需要があります。ICTの活用、Eコマースに積極的に取り組み、域外の需要を獲得し、地域にお金を落とすことによって市場縮小を食い止め、さらには拡大もしていくことをトライしましょうということであります。
 ちなみに、Eコマースでありますけれども、現在総市場が、これは小売の、あるいは卸売等の総市場でありますが、日本は三百兆円ございまして、この三百兆円の約三%強、これに当たる十兆円ぐらいが今やEコマースの規模であります、現時点でありますけれども。十年後の二〇二五年には、二〇%の六十兆円は十分可能性があるとも言われております。
 この具体的な数字はともかくも、高齢化の進展だとかスマートフォンの普及などもろもろの要因、さらには米国、中国におけるEコマースの普及状況、これを総合勘案いたしますと確実な成長分野であることは間違いないと思われます。
 済みません、一ページ飛んで十三ページを御覧ください。
 十三ページに、早くから域外需要獲得のためにEコマースの促進に熱心に取り組んでいらっしゃる沖縄の事例を御紹介してあります。説明は、時間も限られておりますので割愛させていただきます。
 済みません、一ページ戻りまして十二ページを御覧ください。
 ここに、二つ目の直接人口を増やすことによる市場拡大策の考え方をまとめてあります。人口が一人減少することにより百二十万円の需要が失われる。海外からの旅行者は一人当たり平均約十五万円のお金を落としていくという観光庁の調査結果があります。八人海外から観光客が来れば、定住人口の一人分はカバーできるということであります。
 昨年、海外旅行客、千三百四十万人来日、二兆円消費という実績がありますが、しかしながら、日本に観光客が来ても、ブランドである京都に行って、東京で買物して帰ってしまうのでは困ります。地方に足を伸ばしてもらうためには、地方のコンテンツ、これはもう自然の景観であるとか温泉であるとか食だとか物産、あるいは文化、人々のおもてなしなど、もうあらゆるものが外国の人たちには魅力的に感じられるようであります。これらをしっかりと発信して海外の人たちに知ってもらわなければなりません。
 知ってもらうことの重要性を証明する事例として、逆のアウトバウンドの例ですが、フランスのモンサンミッシェルの特集をテレビで流したところ、モンサンミッシェルへの日本人観光客が急増したと伝えられております。また、日本でも良い例があります。北海道は、これ実は約二十年前から、テレビ局がリード役となり、自治体と民間が一体となって取り組み、成果を出しております。数字を御紹介しますと、海外からの観光客が、二〇〇〇年、二十万人だったものが、二〇一三年には百十五万人に、五倍以上に増加しております。
 次に、その下の定住人口の増加ということでありますけれども、これを社会的な流入増という視点に絞ってみますと、その方法としては、すぐにこれは、普通は地域の魅力を高めていくが出てまいりますけれども、もちろんこれは必要なことでありますが、時間が掛かります、時間が必要です。灯台下暗しということでもありませんが、現時点でも十分魅力があるのに、地域の皆さんが気付いていないだけということはないでしょうか。その魅力を発信していけば若者の東京圏からの流入も可能性があるとしたら、それをトライしませんかということであります。
 あちこち飛んで申し訳ありませんが、十四ページを御覧ください。

発言情報

speech_id: 118914281X00120150323_011

発言者: 高田坦史

speaker_id: 12840

日付: 2015-03-23

院: 参議院

会議名: 行政監視委員会