山谷清志の発言 (行政監視委員会)

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○参考人(山谷清志君) 山谷でございます。
 今のお二方の参考人のお話と違いまして、私の話は評価というところに絞ってお話をさせていただきます。
 簡単に私の経歴なんですが、実は、青森市生まれで十八まで青森にいまして、その後、東京の大学に行きまして、東京で二十年、広島に八年、岩手に四年、そして今現在、京都で十一年目ということで、地方の方から東京を見た場合にどうなのかというのは案外存じておるというふうに考えております。よろしくお願いいたします。
 私のお話のレジュメはこのホチキス留め四枚紙でございまして、三枚が今日のお話の内容でございます。地方創生に向けた国と地方の取組体制と政策評価というこのタイトルでお話をさせていただきます。
 まず最初、既存の政策評価、行政評価というものがどういう状況にあるかということを四つポイントを挙げております。
 まず、多種でございます。非常に評価という名の付いているものが多うございまして、公共事業評価、行政評価、事務事業評価、男女共同参画の評価、施設評価等々非常に多うございまして、これをうまく使い分けることができるかどうかというのが今現在の評価の実務上の大きな課題になっております。
 二つ目、それに関連しまして、評価を行っている主体が複数ございます。国の政策評価は、御存じのように、各府省やっておりますが、縦割りでございます。基本は課の単位でございまして、都道府県も市町村も同じような形で、課の単位で事務事業評価というものをやっております。これも非常に細かく断片化しておりまして、ほかの課が何をしているのかよく分からないような状況にあるんではないかなと思っております。これをうまくまとめるために、都道府県、市町村では総務部とか総務課が苦労されておりますし、中央省庁では官房、それから内閣府は、御存じのように、男女共同参画とか沖縄問題とかいろいろなのを抱えておりますので、それをうまく取りまとめる、これで御苦労されているというふうになっております。
 政府全体で総覧的にレビューをしているものがあるのかといいますと、これは政策評価の制度を所管しております総務省行政評価局が、総合性確保評価、それから統一性確保評価、この二つを行っておりますが、これは実は余り数が多くはなくて、年に数本という程度でございます。
 この状況に地方創生のPDCAの政策評価が入ると、こういうふうに御理解いただければよろしいのかなと思います。
 なぜそういうふうにいろんな評価が入ってきたのかということでございますが、政策評価の歴史で四つほどポイントを申し上げたいと思います。
 基本は、橋本行革の時代でございまして、政策の立案と実施を分ける。中央省庁は政策の立案、それを実施する体制はいろいろあってよろしいのではないかと。民間にできるものは民間にという言葉もございましたし、地方分権、それから独立行政法人制度ができたのもこのときでございます。それぞれ別なシステム、評価のシステムが入りました。この橋本行革のときのキャッチフレーズ、スローガンでございますが、これはもう縦割りの排除、政策評価を使って縦割りを排除したらどうかという、こういうお話でございました。
 その政策評価が入る直前に、私、実は九六年の二月の七日にこの参議院にお招きいただきまして、参議院行財政機構及び行政監察に関する調査会、ここで政策評価のお話を申し上げて、実は政策評価というのは中央省庁の縦割りを何とか排除するために一つ考えられる工夫の仕組みだというふうにお話を申し上げた、こういう記憶がございます。
 その後どうなりましたかというのが③でございまして、実務の動向です。実は、中央省庁政策評価というのは三つの方式がありまして、総合評価、事業評価そして実績評価。実績評価というのは、目標を掲げてこれをどのぐらい達成したか、この実績を後で測定するというものでございまして、これ実は厳密に言いますと、諸外国ではこれをエバリュエーション、評価とは言いませんでメジャーメントと呼んでおります。また、当初は余り強く意識されておりませんでしたけれども、予算編成に活用したい、それから租税とか規制、新しくつくる場合にこれを事前に評価をやりたいと、こういうことで、制度を導入するときに余り考えていなかったんですが、事前評価的な色彩が強くなりました。
 この評価を導入して国の府省が政策評価をやるといった場合に地方はどういうことになるのかというのが三ページ目の図の一にございまして、公共事業評価がもう典型的な話でございますが、かつての建設省、運輸省それから通産省、公共事業をやる場合に、補助金をもらっている都道府県が基本的に実際の評価をやる、場合によっては、文部科学省、当時の文部省のように、小学校、中学校の義務教育に関するものに関しては市町村がやるというふうな、上から評価をやってくれというふうな依頼が来る、こういうスタイルでございます。これがどこまで県の責任でやるのか、あるいはどこまで市町村の責任でやるのかというのが案外分からないところでございまして、また国民一般の方々に関しても、これが何の評価で誰がこの評価を使おうとしているのかというのが実はよく分かりにくいと、こういう現状でございます。
 お戻りいただきまして、また一ページ目でございますが、地方自治体、九六年、七年ぐらいから政策評価を導入しようという、こういう動きがございまして、三重県庁、北海道庁、岩手県庁、秋田県庁そして青森県庁が政策評価を導入しました。ただし、二〇〇〇年前後から財政的に結構厳しくなりまして、政策という夢を語るよりはむしろ足下の現実を見るということで、行政評価、さらにはその先に行政経営、マネジメントという形で、私、言葉は悪うございますが、後退したのではないかなというふうに考えております。
 二ページ目を御覧いただきたいと思います。今般のまち・ひと・しごと創生総合戦略、これを評価から見たらどういうことなのかということでございます。
 仕掛けが非常にうまくできておりまして、先ほど控室で松村委員長からちらっと伺いましたら、これはどうやら経産省がかなり影響力を及ぼしていると、確かにそうだなと思います。経産省は中央省庁の中では一番政策評価に熱心な役所でございまして、いろいろ、九七年ぐらいに政策評価広報課を立ち上げて諸外国の勉強をされたりして一生懸命やられているところで、そういうところの影響が強いとこういうふうに緻密な総合的なものが、戦略がですね、できるのかなというふうに思っておりました。
 その特色ですが、これも三つございまして、①、②、③でございますが、まず一つは、異質な複数政策の多重同時展開と。様々なものが入っている。産業、教育、福祉、医療、教育、防災、様々なものが入っていて、これを同時に展開するということでございます。
 当然のことながら、それを担当するところもいろいろございます。もちろん、政策手段を複数官庁が担当しておりますので、その官庁の使い勝手のいい政策手段、補助金、減税、規制緩和、負荷、政策金融、こういうところが出てきます。そこで、この総合戦略の中では、ばらまきを防ぎ有効性を求めるということが出てくるんですが、これは、私ども評価の経験から申し上げますと、非常に難しいと思います。
 結局、補助金とか政策金融とか、政策評価って一つの何か万能の手法があるのかと申しますと実はそうでございませんで、それぞれ必要な情報、何の情報が必要なのかという、この必要な情報の求める先に応じたオーダーメードで評価システムをつくらないといけない、こういうところがございますので、例えば教育の関係の補助金と土木とか箱物の関係の補助金、同じような評価でできるかというと、これはできません。全く関係のない情報が出てくるおそれがあります。そこが非常に難しゅうございます。
 その難しさを、困難を克服するためにどうするかというのは、一つ非常に重要なポイントですが、国の総合戦略と地方の総合戦略、この調整をうまく取っていただくと、現場でどういうことになっているのか、これが国に的確な情報が上がってくる、こういうふうになろうかと思います。その意味でいいますと、評価、特に政策評価というのは情報をつくり出しそれを分析するツールだと、こういうふうにお考えいただければと思います。
 四でございますが、総合戦略と政策評価に関する確認事項でございます。これは二つございます。
 一つは、データによる政策効果の検証には時間が必要だということです。先ほども申し上げましたように、教育とか福祉とか非常に時間が掛かるものもございますので、毎年毎年というのはなかなか難しゅうございます。
 二つ目でございますが、戦略の改善を求めるPDCAサイクルは行政マネジメント型評価と発想が違うということでございます。ここ、大事なポイントでございます。つまり、行政の組織のマネジメント、お金とか人員とか、こういうマネジメントの話と、戦略をつくってその地域社会を改善する、地域社会を良くしようという、これは全く別物でございまして、戦略のPDCAサイクルというのは実は社会に向けた形で行われないといけない、つまり組織の中の話ではないということをお考えいただきたい、こういうふうに思います。
 議論の整理ポイントでございますが、矢印以下が私の提案でございます。
 まず、計画が重層化しております。したがって、先ほども申し上げたとおりに、国と地方自治体、この政策調整が必要であるという、こういうことでございます。
 二つ目、政策主体が複数化、多元化しておりますので、これをほっておいたら三重行政、国と都道府県と市町村というふうに三重行政になりますので、そこもまた一つ調整が必要になると、こういうことでございます。
 三つ目ですが、政策手段が様々なものがございますので、これについてはプログラムという考え方、政策思考が必要だと。これは何かと申し上げますと、四ページ目の図の二でございますが、ローマ数字の大文字のプログラム、ローマ数字の小文字の政策手段の選択というふうに書かれているところでございますが、例えばローマ数字のⅡであれば、政策のパッケージというのがございますけれども、あれがまさにプログラム的な発想で、このプログラムが実際のその地域社会の課題にうまくマッチして、つまり病気を改善できるかどうかという、そこを考える必要がございます。
 申し訳ございませんが、また二ページにお戻りいただきたいと思います。
 四番目でございますが、目標期間を設定すると。一応これ目標期間が二〇一五年から二〇一九年というふうに五年間設定されておりますが、やはりこれはもう少し中長期的な期間設定が必要なのかなと。しかし、それは逆に言えばエンドレスで十年も二十年も続けられるものではないんじゃないかというのがここでのことです。終わりをいつにするのか、ここをきちっと事前にお考えいただくということでございます。
 五番目、結果の重視の難問、つまり誰の結果なのかということでございます。その地域に住んでいらっしゃる方の結果でございますので、中央官庁の結果でもないし、都道府県の結果でもないし、市町村の結果でもないんではないかというのがここでございます。住民視点で政策評価をやっていただくと。
 六番目ですが、そのためには人材育成、これ必要でございます。
 先ほど後藤参考人のお話からもありましたように、実は七番目が非常に重要なポイントでございまして、小規模町村の場合は行政評価を担当している職員さんがいない、いても、議会事務局、公平委員会、その他いろんな仕事と兼業でやっていらっしゃると。これが非常に多うございまして、私、岩手県におりましたときに、岩手県内、当時五十八市町村ございましたんですが、やっぱり人材不足でございました。そこで、NPOを立ち上げて、政策評価専門のNPOというものを立ち上げましていろいろ地域活動をしていた経験がございますが、今現在でもこれは変わっていないというふうに言われております。人材不足です。
 三ページ目、御覧いただきたいと思いますが、まとめでございます。
 この場にお呼びいただきましたのでそれに関係したお話をさせていただきたいんですが、参議院の行政監視委員会の関与というのが非常に重要ではないかというふうに私は思っています。
 まず一番最初は、まさにその参議院行政監視委員会がこの総合戦略を監視する、これが一番正しい正統な方法であると。諸外国でも、アメリカでもイギリスでも、政策評価を入れている国々は、やはり国会、議会がやっておられます。しかも、解散のない六年という任期、これが非常に重要でございまして、落ち着いて継続的に監視ができる、こういうことになろうかと思っております。
 参議院独自の評価として何が考えられるかというのが、このMアンドEと書いてあるものでございまして、メジャーメント・アンド・エバリュエーションでございます。メジャーメントは、先ほどのPDCAサイクルに似たようなものであるというふうにお考えいただければいいと思います。
 メジャーメントをやってエバリュエーション、非常に分かりにくいので簡単な例えを申し上げますと、年に一度定期的に健康診断をします。そのときに血糖値とか尿酸値とか体重とかを測定します。測定して安全圏内に収まっていたらそれでオーケーですと。しかし、何か大きな変動があったり問題があった場合には病院に行って診療を受けていただく。この診療の部分がエバリュエーションで、年に一回の定期健康診断がメジャーメントだと、こういうふうにお考えいただければよろしいのかなと思います。
 したがって、市町村が出してこられたデータ、あるいは都道府県が出してこられたデータを御覧になられて、そこの大きな変動あるいは数字が全然変わらない場合におきましては、やはり参議院のエバリュエーションというのが必要なのではないかなと思っております。
 したがって、もし現状と同じ評価、屋上屋を架すならば、更に地方にとっては負担になりますので、評価疲れということが発生するということでございます。
 ポイントはどこにありますかといいますと、四ページ目の図の二の国と地方自治体と、縦系列でプラン、ドゥー、チェック、アクションと並べておりますが、この国と地方の間に両方に向いた白抜きの矢印がございますが、まさにここを見ることが非常に重要なポイントではないかなと、こういうふうに考えております。この両方を見るというのが調整ということで、国と地方のうまく情報が流れて現状が把握できるのではないかなというふうに考えております。
 恐縮でございますが、三ページ目にお戻りいただけますでしょうか。
 五番目でございますが、評価から実施を見直す、プラン、ドゥー、チェック、アクション、まさにそれと同じことでございますが、評価をやって実施プロセスにどんな課題があるのかということを御覧いただければよろしいのかなと思っております。
 サンプリング的に地域を調査する実態活動というのは実は結構時間が掛かりまして、五年から十年というのがあります。非常に抽象的な話を申し上げて恐縮でございますので、分かりやすい具体例を出しますと、私どもは、実は文部省の科学研究助成をいただきまして男女共同参画政策の実態調査というものを評価の視点で分析いたしました。この三月末に本が出ますが、実はこれが、政策目的としては誰も反対しません。国の省庁、もちろん国会議員の皆様方も誰も反対しません。しかし、現場の都道府県、市町村では何が起きているかと。評価の方法を選択した間違いのためにこの男女共同参画政策そのものが失敗していると、こういう結論の本でございまして、もし御関心があれば事務局に一冊お届けいたしますので、御覧になっていただければと思いますが。
 まさに、すばらしい政策、すばらしいコンセプトで進められるとしても、その実態を知るための評価のメカニズムをしくじってしまうと実はその本来の政策を潰してしまうことがよくあると。これがこの総合戦略に発生しなければ、創生戦略に発生しなければいいなというふうに若干の懸念を持っておりますが、その部分にはこちらの参議院の行政監視委員会の先生方に御尽力いただいて、そうならないように、どうぞよろしくお願いいたします。
 私の方からは以上でございます。

発言情報

speech_id: 118914281X00120150323_015

発言者: 山谷清志

speaker_id: 11513

日付: 2015-03-23

院: 参議院

会議名: 行政監視委員会