黒田東彦の発言 (財政金融委員会)
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○参考人(黒田東彦君) まさに、昨年十月末の追加緩和を決めた際は、相当いろいろな議論がございました。
これはその後の議事要旨で公表されておるとおりでありますけれども、何と申しましても、昨年の夏場以降、消費税率引上げの需要面での弱めの動きといったことと原油価格が大幅に下落したということを受けて、実際の消費者物価上昇率もどんどん下がってきていたわけですが、そういうことが物価上昇期待、あるいはその先には、当然ですけど、賃金とか企業の価格設定行動も含めてデフレマインドの転換というものが遅延するリスクがあるということで、そのリスクに、英語で言うとプリエンプティブというんでしょうか、に対応するということで量的・質的金融緩和を拡大したわけであります。そのときに、それに対しては当然いろんな議論がありまして、石油価格が下落して足下で物価上昇率が下がっても、いずれ上がっていくからここで更に追加的な措置をとる必要はないのではないかという議論もありました。
そういうことの結果、多数意見で拡大ということが決まったわけですが、原油価格の下落は、委員御指摘のとおり、日本経済にとって大きなプラスになることは間違いないと思います。ただ、その下で、日本の場合は米国の場合と違いまして、米国の場合は、よく言われていますように、二%の物価安定目標の周りに物価上昇期待がかなりアンカーされていると。それに対して日本の場合は、九八年以来十五年続いたデフレの下で物価上昇期待がゼロないし若干のマイナスのところにあったものを、だんだんだんだんこの二%に向けて引き上げていく過程にあったために、足下で大幅に物価が下がっていくと、これは、消費税の影響もあったでしょうし原油価格の大幅な下落の影響もあったと思いますけれども、そういったことで、物価上昇期待等に影響が出るおそれがあったために、それに事前に対応しようということで決まったわけでして、いろんな御意見が政策委員会の中でもありまして、かなり激しい議論を闘わせた結果としてこういう決定がなされたということであります。