稲場雅紀の発言 (政府開発援助等に関する特別委員会)

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○参考人(稲場雅紀君) 「動く→動かす」の稲場と申します。よろしくお願いいたします。
 では、着席させていただきます。
 私、「動く→動かす」というちょっと耳慣れないNGOのネットワークの事務局長をやっておりますが、この「動く→動かす」について簡単に御紹介いたしますと、「動く→動かす」、つまり自ら動いて世界を動かすというような趣旨でございまして、そのような形で「動く→動かす」という名前を付けさせていただいております。
 これは、国際協力NGO七十五団体が参加をいたしまして、そして政策提言とキャンペーンということで、ミレニアム開発目標、二〇〇〇年から二〇一五年までの途上国の開発についてのグローバルな目標でありますミレニアム開発目標に関する政策提言とキャンペーンを中心にやらせていただいている、基本的には世界の貧困をなくすということをメーンに考えてやっておる団体でございます。
 私ども、ミレニアム開発目標というのが二〇一五年までということでございますので、二〇一六年以降の新しい目標であるところの持続可能な開発目標、サステーナブル・ディベロップメント・ゴールズというものがございますが、こちらのサステーナブル・ディベロップメント・ゴールズに関しまして、現在、特に政策提言、そしてキャンペーンの方を集中的にやっている最中でございます。ですので、本日に関しましては、議題もこちらの持続可能な開発目標に関するお話というものがかなり中心的な議題になるかと思いますので、そちらについての解説を中心にさせていただければというふうに思っております。
 私のこちらの発表資料の方を御覧いただければというふうに思いますけれども、この持続可能な開発目標というものがどういうものかということを申し上げますと、二〇一六年から二〇三〇年までの世界の開発問題、そして環境問題に関するグローバルな目標ということになっております。ですので、非常に重要な目標になっておりまして、現在、世界各国が国連で目の色を変えて議論をしている最中であるということでございます。
 こちらの持続可能な開発目標の中心的な肝というものを二つ申し上げますと、一つ目は、二〇三〇年までに極端な貧困のない世界というものを実現する、二つ目が、二〇三〇年までに持続可能な世界を実現する道筋を付けるということが目標になっております。これが肝ということでございます。
 これまでのミレニアム開発目標は、二〇〇〇年から二〇一五年までの十五年間で世界の極端な貧困を半分にする。そのために、基礎保健や基礎教育など社会開発を中心課題にして、人々の命を救い、途上国の国家の基盤をつくるということになっておりました。このミレニアム開発目標の下で、世界の援助の在り方が量そして質の面で大きく変わったということがございます。こういったミレニアム開発目標のインパクトというものがございますので、次の持続可能な開発目標に関しましても、世界が目の色を変えて議論をしている、非常に重要であるということは承知されるところだろうというふうに思っております。
 では、このミレニアム開発目標と持続可能な開発目標、何が同じで何が違うかという話ですけれども、共通点としましては、数値目標と期限というものを設けて達成度が測れるようにする、この点に関しましては、ミレニアム開発目標と持続可能な開発目標、これは同じでございます。しかし、中身が大きく違うということなんですね。
 ミレニアム開発目標に関しましては、途上国の貧困をなくし開発を進めるということで、途上国がメーンの目標でございました。先進国はどう支援するかということが中心でございまして、関わりは間接的なものでございました。そして、目標は八つということでかなりシンプルな目標だったということですね。
 これに対しまして、持続可能な開発目標の方はどうかといいますと、開発だけではなくて、環境問題、特に生物多様性や気候変動等、また産業の在り方、持続可能な世界をつくるということでございますので、産業の在り方というのが非常に重要になってまいります。人口の問題、エネルギーの問題、そして雇用の問題、こういったものも含めて開発目標をセットするということになっておることでございます。ですので、日本を含む先進国も直接の対象になる。この点で、今までどう支援するかという話をしていればよかったものが、我々としても、環境や産業にどう取り組むかという直接の課題として非常に大きな目標になってくるということなんでございます。目標の数としては十七個、そしてターゲットが百六十九個もあるというかなり大きな目標になるということでございます。
 次の紙の方に参りますが、なぜこのような形でMDGsとSDGs、デザインが大きく変わったのかということなんですが、MDGs、ミレニアム開発目標の方は始まったのが二〇〇〇年でございます。二〇〇〇年というのは、非常に厳しい、途上国は特に非常に厳しい状況にあった時代でございまして、特に冷戦の終了後、世銀、IMFの構造調整政策が失敗したことで貧困国が経済的に破綻をして大変悲惨な状況にあった。サハラ以南アフリカにおいては、多くの国々が国家崩壊、内戦、そしてエイズというような非常に悲惨な状況にあったわけですね。ですので、今すぐやらないと駄目だということで、とにかく貧困をなくす、社会開発にお金を集中する、そういうことで国家の基盤を再建するということが非常に重要な課題になったわけでございます。
 ところが、それから十五年たちますと、サハラ以南アフリカなど多くの国々で国家基盤が再建をされ、そして経済成長もできるというような状況になってまいりました。一方で、この十五年間で深化したことというのは、先進国、新興国、途上国それぞれで貧富格差が拡大したということです。例えばアラブの春などを御覧になってもお分かりのとおり、大学教育を受けても失業して、あしたの世界に希望が持てないという若者が中東、アフリカには膨大にいる、その結果として各国が非常に治安が悪くなる、そういうような状況がございます。こういうような形で貧富格差と不安定化というものが一体化している。二つ目ですけれども、気候変動が深刻化している。これ、非常に重要な問題で、我が国でも多くの水害が起こっているように、気候変動の問題が非常に深刻化している。三つ目に、いわゆるこういう慢性的な危機というものが深化しておりますので、これに対してどのように持続可能な世界を目指すのかというもう一つの新たな視点というものが必要になったわけでございます。そういうようなところで、こちらの持続可能な開発目標をつくっていこうということになったわけです。
 基本的に、その持続可能な開発目標の問題設定というのは、全て日本で私たちが直面している問題でございます。そういうようなところもございますので、この持続可能な開発目標ということで、地球一個分の生活というものを目指していかなきゃいけない、持続可能な世界への移行と極度の貧困の解消というこの二つを目標として、世界が二〇一六年から三〇年までの十五年間でしっかり進んでいくということが何よりも大事だということで、こちらの持続可能な開発目標というものが今議論をされている、その大体八合目まで来ているということになっております。
 どのようにこの持続可能な開発目標が決まっていくのかということで、資料の最後から二番目の紙の方を見ていただければと思うんですけれども、今どのような状況になっているのかということなんですが、現在、政府間交渉ということで、こちらのスライドの「イマココ」と書いてあるところに来ています。つまり、大体九合目までぐらいのところに進んできているんですけれども、これまでのプロセスは市民社会の参加の下に非常に民主的に行われてきました。途上国も先進国も対等な形で議論に参加をして、そして昨年の七月に報告書が出て、それを基に今この十七のゴール、百六十九のターゲットということで進んでいるという状況でございます。
 しかし、その中でも、なかなかまだ詰め切れていないところがかなりありまして、特に重要なポイントというのは、この持続可能な開発目標というところに関して、お金をどのようにあてがうかというようなところで、これで、七月にエチオピアのアジスアベバで国連開発資金会議というものが行われるということになっております。その中で、例えば民間資金をどのように投入するのか、またODAをどのぐらいのレベルまで上げるのか、さらには新しい形での国際的な資金メカニズムというものをつくるのか、こういったようなところに関しまして、今、七月に向けて話が進んでいるところでございます。その上で、九月に国連総会ポスト二〇一五サミットでこの目標を決めていくということになっております。
 最後に、このSDGsに関しまして、我が国としてどのような可能性があるのか、そして我が国としてどんな責任があるのかということに関しましてお話をして終わりにしたいと思います。
 一つは、我が国の可能性としてありますのは、技術革新による持続可能な世界実現への貢献ということでございます。実際に、いわゆる地球一個分の世界を目指すということですので、省エネルギー、リサイクル技術の開発、さらに、例えば全ての人が健康にアクセスできる、保健にアクセスできるということでいえば、医薬品やエイズワクチンなどの新しい医療保健技術の開発ということも非常に重要な課題になってまいります。これはまさに先進国である我々ができることでございますので、こういった技術革新による持続可能な世界実現への貢献というものは非常に大きな可能性ということが言えるかと思います。
 あともう一つは、課題先進国としての日本ということで、高齢化や公害というものに直面してきた私たちがその政策的な新しいアプローチというものをグローバルにどのようにつくって伝えていけるのか、この辺が可能性ということになるかと思います。
 もう一つ、我が国の責任ということなんですけれども、一つは、ODAのGNI比〇・七%という昔からの目標というものになるべく近づくということが非常に重要なポイントでございます。二つ目に、テロ、紛争などの根源をなくすための格差拡大などに切り込むような支援というものをどのようにできるのか、これが二つ目。最後に、人間の安全保障に基づく国際協力の強化、特に、いわゆる貧富格差を是正できるような強力な行政システムの構築を途上国で行うに向けてどういう形で我が国の知見というものを伝えることができるか、こういったところが我が国の責任ということになるかなというふうに思っております。
 まさにこのSDGsというもの、なかなか日本では注目がされていないわけですけれども、今まさに国連でこの議論をされているところですので、是非、国会議員の先生方におかれましても、このSDGsについて注目をお願いしたいと思います。
 どうもありがとうございました。

発言情報

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発言者: 稲場雅紀

speaker_id: 20659

日付: 2015-05-27

院: 参議院

会議名: 政府開発援助等に関する特別委員会