稲場雅紀の発言 (政府開発援助等に関する特別委員会)

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○参考人(稲場雅紀君) 懸念ですね。そういう意味で、直ちに今何かあるかというと、そういうわけではございません。
 ただ、やはり一つありますのは、基本的に軍への支援というものが、結局のところ、例えばイラクなんかの事例では幾つか具体的な事例があるわけですけれども、その国の特定の勢力にある程度加担してしまうということにやっぱりこれはなってしまうということで、そうすると、当然のことながら支援はやりにくくなりますよね。なおかつ、そもそもやはりそういった治安の悪いところだと日本のNGOが入れないという問題があります。
 そういうようなところで、この安全管理の面で、やはりそういう意味では、いわゆる、例えば特定の国における何らかの形での、軍事的な形での協力みたいなものが現地の目に見える形で出てきてしまうと、非常にNGOとしての中立性ということに関して現地の人たちから疑われるということになりますので、その面でやりにくくなることは、これは明確な話でございます。ですので、そういう点で、我々のそもそもの強み、日本の援助のそもそもの強みであるところの中立性というところ、また非軍事というところに関して、この旗を下ろしてほしくないというふうに思っているところです。
 あともう一つ、より具体的な影響という意味合いでいうと、こちらの二番の方の、いわゆる日本の経済成長に資する支援みたいなもの、こういったものを強調するというところの中で、例えばNGOに対して、特に民間企業との連携を徹底してくれというような形のリクエストみたいなものがどんどんたくさん来ている。
 あともう一つは、そういうようなものが必ずしも含まれない民生レベルのグラスルーツの支援というものに関して、これが、そんな支援していてもしようがないじゃないかみたいな、そういうようなところが結構来たりとかしているという意味では、より具体的に影響が及んでいるのはこちら側なんですね。どちらかというと、つまり、NGO支援も含めて何らかの経済的なリターンが我が国にあるように、それも即あるようにすべきだというような考え方がかなり強まっていることは事実で、こちらの方が逆に、NGOが例えばその国の保健問題について取り組むというようなときに、そういうようなバイアスの掛かった援助の方が選ばれて、よりグラスルーツで現地のNGOを支援するようなものというのが選ばれない、そういうような形でいうと、そちらの方がむしろ影響が強く及んでいるということがあります。
 ですので、そういう意味合いでは、NGOの援助というのは、もちろん民間セクターとの連携でより良いことができる場合には、それはそれでいいんです。ただ、そうじゃない方向の援助というのもこれは当然ありますから、そういったところもやはり重視していただくということで、そこに関して変なバイアスが掛からないようにしてほしい、これはかなり我々としての切実なお願いとしてございます。その点が申し上げたいところですね。
 あと、二番目の御質問ということなんですけれども、例えば私、保健分野、特にHIV、エイズの問題に関してずっと取り組んでまいりましたが、特にそのエイズの問題で一番影響を受けているコミュニティーというのは、その社会の中で最も差別されている人たちなんですね。例えば、セックスワーカーあるいは性的な少数者、こういうような人たちが、その国の政府あるいは社会的な状況の中で、エイズ対策の主流になるべきなのに排除されているということはよく起こっています。こういうような問題というのは典型的な問題だと思いますけれども。
 あともう一つは、やはり少数民族とかそういった人たちが排除されているケースってすごく多いので、当然のことながら、その国の開発の文脈の中で、主流の人たちがお金が欲しいからそっちがメジャーになっちゃうんですね。逆に、声の小さい人たちはマイナーになってしまうと。そういうようなところがありますので、その点、これは本当にいろんな実例がありますけれども、我が国としては、人間の安全保障で、全ての個人に焦点を当てるということになっていますので、そこを是非強調を続けてほしいなと思っております。

発言情報

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発言者: 稲場雅紀

speaker_id: 20659

日付: 2015-05-27

院: 参議院

会議名: 政府開発援助等に関する特別委員会