溝手顕正の発言 (本会議)
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○溝手顕正君 自由民主党の溝手顕正です。
私は、参議院自民党を代表して、安倍総理大臣の施政方針演説について総理に質問をいたします。
総理は、施政方針演説で、戦後以来の大改革を掲げられました。経済再生と財政再建、社会保障改革の同時達成、農政改革やオープンな世界を見据えた改革、エネルギー市場改革、地方創生。政府・与党が取り組むこれらの改革は、少子高齢化やグローバル化など、先進国を始めとする多くの国々が直面する課題への対応でもあります。
是非、東京オリンピック・パラリンピックの開催される二〇二〇年に向け、震災からの復興と、戦後以来の大改革を成功させ、成熟国家としての歩みを進める我が国の姿を全世界に発信いたしましょう。このため、これらの諸改革に取り組む総理を我々自由民主党としてもしっかりお支えをしていく考えであります。
さて、今年は戦後七十年という節目の年であります。さきの大戦とその後の七十年の経験を踏まえて、総理がどのような談話を出されるか、各国が注目しております。最大の関心事は謝罪の有無であると報道等では伝えられていますが、果たして本当にそうでありましょうか。戦後七十年間の歩みの中で平和主義を貫いてきたことを、具体例を示しながら、国民に、世界中の人々に伝えることが大切であります。我が国の戦争に対する姿勢は一貫しております。
総理には、是非、さきの大戦への反省を明確に示した上で、対米追従とやゆされるような外交でもなく、アジアの中の日本として、戦争に向き合い、未来志向の談話を発表していただきたいと思いますが、戦後七十年を迎えるに当たっての総理の思いとはどんなものか、伺いたいと思います。
次に、衆議院総選挙後の最初の通常国会でありますので、選挙の総括について伺いたいと思います。
昨年十二月十四日の総選挙の結果、自民、公明の与党で三百二十六議席と、衆議院の三分の二を超える議席をいただきました。これまで政府・与党が進めてきたアベノミクスを始めとする各分野の政策に対し、国民の皆様の御支持をいただいた結果だと考えます。野党の一部には、選挙に大義がないなど、民主主義を理解しない暴論もありましたが、国民の皆様は冷静な判断をされたのだと思います。
総理として、この選挙の結果についてどう総括されているのか、伺います。
では、施政方針についての質問に移りたいと思います。
まずは、世論調査でも常に最大の関心事項であります経済政策についてであります。
昨日発表されたGDP速報では、消費税八%への引上げ後、初のプラス成長となりました。昨年十一月、消費税の一〇%への引上げを延期するという総理の決断も、景気回復の追い風になることと思います。しかし一方、景気の行方を左右する個人消費の伸びにはまだ力強さが見られません。一〇%への引上げ延期が経済にどれほどのプラスの効果があるのか、また個人消費の今後の予測について、政府の分析をお聞かせください。
アベノミクスを成功させるためには、引き続きプライマリーバランスの黒字化目標達成に向けた歩みを着実に進めていただきたいと考えます。その際には、単に目標実現に向けた財政指標の道筋を示すだけでなく、それを担保するための具体的な方策を提示することが極めて重要になります。また、二十八年度予算編成に円滑につなげるためには、夏までのできるだけ早い段階でこうした計画を示しておくことも必要であります。
総理は、新たな財政健全化計画についてどのようなものを策定しようとお考えでしょうか。また、その時期としてはいつ頃を想定しておられるのでしょうか。財政健全化に向けた総理の御決意を伺います。
次に、農林水産業であります。
農林水産業は、多くの地域において基幹産業になっています。まさに、農は国の本という言葉のとおりです。地方経済の活性化のためには、農林水産業の強化が不可欠であります。農地中間管理機構による農地集積、六次産業化、輸出促進策など、地域に合わせた施策を進める必要があります。
農協改革については、先日、全中の在り方を見直す改革案がまとまりました。六十年ぶりとなる大きな改革であります。総理も施政方針で言われたように、強い農業をつくり、農家の所得を増やすための改革ですから、その成果をしっかりと出していくことが肝腎です。
是非、総理自らのお言葉で、日本の農業をどのように改革していくのか、そして、その改革により、農業、農村の未来をどのように切り開いていくのかについて、丁寧に御説明いただきたいと思います。
同じくTPPについても、関係者の納得が得られるように慎重に進めていく必要があります。
我々は、従来から重要五項目の関税を撤廃しないよう求めてきました。現在、日米協議が進展していると報道されていますが、合意を急ぐ余り、我が国にとって不利な条件を安易にのむことがあってはなりません。しっかりと国益を守っていただきたいと思います。総理のTPPに対する交渉姿勢を伺います。
次に、労働規制改革であります。
今国会には、昨年廃案となった労働者派遣法の改正案や労働時間の規制改革などの法案が提出される予定です。労働規制の改革については、国民の間に誤解や不安もあるため、丁寧に説明して理解を求める必要があると考えます。特に、若い人の長時間労働や低賃金労働に対する防止策もセットで示し理解を求めるべきだと考えますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。
さて、世界を見渡せば、経済の先行きは順風満帆とはいきません。特にヨーロッパでは、ギリシャで緊縮財政に反対する新政権が誕生したことが大きな波乱要因となっています。また、中国は、成長率の低下や不動産の値下がりなど、景気減速の傾向が見えております。ロシアは、言うまでもなく原油価格の低下で苦しい状態です。
このように、世界経済には懸念材料も多々ありますが、我が国としては、これらをいかに乗り越えて成長を続けていけるのか、これから正念場を迎えると言えましょう。
先週、トルコで開催されたG20では、日本経済はユーロ圏と並んで回復が緩慢だと指摘されました。総理として、世界の経済情勢と我が国の取るべき道をどうお考えか、伺いたいと思います。
次に、社会保障、医療について伺います。
将来にわたって持続可能で誰もが安心できる社会保障、医療の提供は、少子高齢社会を迎えた我が国にとって最大の政治課題とも言えます。
昨年の消費税引上げ延期は、先ほども申し上げたとおり、景気対策の観点から必要であったと考えます。しかし、引上げ分は全て社会保障に使うという約束でありましたので、延期によって社会保障改革に影響が出ることは避けられません。
社会保障改革への影響について、何が予定どおり実施できて、何ができないかを明確にし、国民の皆さんの不安を取り除く必要があると考えます。政府の対応を伺います。
社会保障の中でも、特に年金制度に関しては、若い人を中心に将来への不安が払拭できていません。年金財政の更なる健全化と透明化が必要と考えます。
政府は、今年四月から、マクロ経済スライドを初めて適用します。反発もある中で、年金の将来を考えた勇気ある決断であり、高く評価したいと思います。今後、デフレの場合、マクロ経済スライドをどうするのか、高所得者への年金課税の在り方をどうするのかなど、更なる課題もあります。安心で持続可能な年金制度の確立に向けてどのように取り組んでいくお考えなのか、伺います。
医療費の増大は、先進国に共通の課題であります。しかし、我が国は、医療費の中で薬剤費の割合が多いことが他国と異なる特徴であります。医療費に占める薬剤費の割合は、欧米では一割台でありますが、我が国では二五%前後だといいます。
中でも、大きな利益の出る新薬は、外資系の製薬企業が高いシェアを占めているというように伺っております。例えば、一定の条件を満たした新薬の薬価を加算する新薬創出加算の対象は、上位を外資系がほぼ独占をいたしております。
国内企業の競争力が弱い原因は、規模が小さく、数が多過ぎるためだとも指摘されております。国内製薬企業の統合を更に進め、競争力、コスト削減を推進すべきであります。以前、菅官房長官もそのような趣旨の発言をされていますが、御見解を伺います。
また、iPS細胞に代表される再生医療も国際競争の激しい分野であります。将来、最先端の医療を受けるために他国に特許料や使用料を払うといった事態にならないよう、国としてしっかり支援する必要があると考えます。具体策をお聞かせください。
次に、防災、国土強靱化について伺います。
最近、管理者不明のインフラが各地で見付かっています。例えば、高速道路をまたぐ跨道橋のうち、台帳に載っていない橋が多数あるとのことであります。全国の跨道橋の七%は、できてから一度も点検されていないという恐ろしい事態も明らかになっています。
もし事故が起こっても誰の責任か分からない、こんな事態があってはいけません。少なくとも、誰も管理しないインフラがなくなるよう、全国的な調査を徹底して行い、保守管理に漏れがないようにすべきです。政府の対応方針について伺います。
次に、都市型災害への対応です。
本来、都市というのは、比較的安全だから人が集まって住み始めた場所です。京都、大阪、名古屋など、昔の大都市は風水に基づいて場所を選び、町がつくられました。東京はただの荒れ地だったそうですが、徳川幕府が長い時間を掛けて立派な都市をつくりました。
それがいつの間にか都市ならではの災害を生むようになってしまったのですから、これは人災と言うほかはありません。豪雨による地下街の水没、地震による埋立地の液状化、そして山際ぎりぎりまで宅地を開発した結果、土砂災害も頻発しております。昨年の私の地元広島県で起きた土砂災害は、皆様の記憶にも新しいことです。
こうした大災害でなくても、雪が降ると交通が乱れ、雨が降ると冠水するのは日常茶飯事であります。都市災害の対策については、住宅、土木、交通など個別の観点だけではなく、都市全体を俯瞰した総合的な観点から取り組むべきだと考えます。政府の取組をお聞かせください。
今年十二月に国連気候変動枠組条約の第二十一回締約国会議がフランスのパリで開催されます。この会議では、二〇二〇年以降の世界の気候変動・温暖化対策の大枠が決まる予定です。
福島原発事故以来、我が国の温室効果ガスの削減目標は不透明なままです。世界が納得する削減目標を打ち出し、COP21に明確な態度で臨む必要があります。そのためにも原発の再稼働は避けて通れません。電力のほとんどを火力に依存する現状では、温室効果ガスの削減には限界があります。
これまで、川内原発一、二号機と高浜原発三、四号機が安全審査に合格しています。実際の再稼働は来年度になると伺っていますが、これらの原発を始め、今後の再稼働に向けた政府の方針を伺います。
昨年十二月、トヨタが世界に先駆けて燃料電池車「ミライ」を発売し、大きな話題となりました。走る際にCO2を一切出さない究極のエコカーと言われる燃料電池車ですが、普及に向けた課題も多いと聞きます。
特に、燃料を補給する水素ステーションが普及しなければ、日常生活に使える乗り物にはなりません。エネルギー基本計画では、二〇一五年内に水素ステーションを百か所程度整備するという目標を立てていますが、まだ半分にも達していない状況です。
ここで政府が水素ステーションの普及を後押ししなければ、他の自動車メーカーの参入が難しくなります。燃料電池車は本当に未来の車のままで終わってしまいます。政府の目指す水素社会の実現も幻となりかねません。水素ステーションの普及目標を達成するための支援策を伺います。
最近の原油価格の下落は、エネルギー輸入国である我が国にとって、原油安は良いニュースです。しかしながら、我が国はその恩恵を実際どの程度受けられているのでしょうか。世界の原油相場は、昨年夏の百ドル超から、およそ半分になりました。原油安のメリットが、ガソリン価格や電気料金など我々の生活に正しく反映されなければなりません。
一方で、世界を見ると、原油安によって利益を受ける国や企業もあれば、不利益を受ける国や企業もあります。原油が余りにも安いと世界経済にとってリスク要因にもなります。
こういったことも踏まえ、昨今の急激な原油安のメリットを最大限生かすとともに、リスクを最小限にとどめるため、政府が取るべき方策について伺います。
次に、外交・安全保障について伺います。
冒頭にも触れましたように、今年は戦後七十年という節目ですので、良くも悪くも我が国と周辺国の外交関係に注目が集まります。領土、領海への野心を隠さない中国、まだ首脳会談を行っていない韓国、原油価格の下落で経済的に苦しいロシア、拉致問題の再調査を約束しながら進展がない北朝鮮など、様々な課題がある中、これら周辺国との外交をどう進めていくのか、お考えをお聞かせいただきたい、基本方針について伺います。
シリアで起きた湯川遥菜さん、後藤健二さんの拘束・殺害事件は、我が国の外交・安全保障や危機管理の在り方に大きな課題を投げかけました。我が国には何ができて何ができないのか、あるいはまた、今後何ができるようにするべきなのか、事件の教訓と、今後我が国が取るべき方策についてお考えを伺います。
また、特に、海外において日本人が拘束された場合に自衛隊が救出できるのかという点は、国民的にも大きな関心事項だと思います。人質の救出は、憲法が禁じる国際紛争を解決するための武力行使には当たらないはずです。自衛隊が単独で動く以外にも、現地政府と共同で、あるいは米軍と共同など様々な状況が考えられます。政府としてはどのように検討するか、お伺いをいたします。
最後に申し上げたいと思います。
総理は、来年夏の参議院選挙後に憲法改正の発議と国民投票を行いたいという意向を表明されています。そのためには、参議院選挙までに国民の皆様の理解を得ておく必要があります。
どの項目をどう改正すべきか、我々も憲法審査会などで議論を深めていきたいと考えます。憲法を改正する最終的な権限は、政府でも国会でもなく、国民にあります。国民的な議論を喚起することも我々の役割だと考えます。
我が国の憲法がどうあるべきか、政治家や国民が大々的に議論するのは、大日本帝国憲法の制定時と日本国憲法の制定時に続いて、史上三回目となります。まさに歴史的な議論になるわけでありますから、後世に恥ずかしくない堂々とした議論をしたいものであります。
総理は、施政方針で、知と行は二つにして一つという吉田松陰の言葉を引かれましたが、彼はこうも言っております。国家とともにという志がないならば、人ではないと。これは国民全てに当てはまる言葉ですが、最もかみしめなくてはならないのは、我々政治家でありましょう。
議場においでの皆さん、国民の代表として、国家のために何ができるのか、国家のためにどんな憲法が必要か、真剣に考え、議論しようではありませんか。私は、このことを皆様に呼びかけまして、質問を終わりたいと思います。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕