大久保勉の発言 (本会議)
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○大久保勉君 民主党・新緑風会の大久保勉です。
ただいま議題となりました個人情報保護法案及びマイナンバー法改正法案について、会派を代表して質問させていただきます。
二〇一一年二月に、ダボス会議で有名な世界経済フォーラムは、パーソナルデータ・新たな資産の誕生というレポートの中で、パーソナルデータは新しい石油である、二十一世紀の価値ある資源であると表明しました。
今回の個人情報保護法の改正は十年ぶりの大改正です。この間、世界はコンピューター時代からパーソナルデータなどのビッグデータ時代に変わろうとしています。同法が個人情報の保護と利活用のために十分な対策を盛り込んだ内容になっているのか、またパーソナルデータをめぐる世界的な競争の中で日本政府の対応は十分であるかという観点で、以下質問します。
安倍内閣は、二〇一三年六月十四日に、世界最先端IT国家創造宣言を閣議決定しました。その中心的な役割を担う山口IT担当大臣の職務に関して質問します。
山口大臣の担当分野は幾つあるのでしょうか。ちなみに、内閣府ホームページ英語版に記載されている山口大臣の担当職務は七つあります。沖縄及び北方担当、消費者及び食品安全担当と続く中、IT政策は五番目に記載されております。世界最先端を宣言する国のIT担当大臣の職務がその程度の優先度であれば、世界中に間違ったメッセージを与えます。本当にIT分野で世界最先端を目指すならIT専任大臣を設けるべきと考えますが、菅官房長官に御所見を伺います。
今回の個人情報保護法案は、ベネッセ事件で名簿屋による個人情報の漏えい問題が明らかになり、その対策が盛り込まれております。個人情報の定義を明確化して一層の個人情報保護を図る必要がある一方、ビッグデータなど匿名加工したデータの利活用を促進するという二つの相反する要素に対して、いかに折り合いを付けていくかが最大のポイントです。
第三者機関である個人情報保護委員会を設置して、利害の調整を図ろうという試みは評価できますが、個人情報保護委員会の組織や機能の詳細は政省令に譲るという点は不安が残ります。また、国の各分野の主務大臣権限を個人情報保護委員会に集約して、一元的に個人情報の保護と利活用を図るとされています。極めて強い権限が個人情報保護委員会に付与されている以上、適切な説明責任が課されるべきです。同委員会の決定事項のみならず、その決定に至った同委員会の議事録は速やかに公開されるのか、山口担当大臣に質問します。
あわせて、委員長や専門委員の強い権限とバランスを取るためには、利害関係者との接触、利益相反行為に対して強い行為規制を掛けるべきと考えますが、御所見をお尋ねします。
次に、パーソナルデータの越境移転に関して質問します。
EUでは、域内の個人情報の移転を許可する国の基準として、独立性の強い情報保護機関の設置等、十分な個人情報保護制度が確立していることが条件です。そのため、EU進出の日系企業は、子会社の顧客情報、従業員情報を日本で一元管理することができず、現在、競争上不利な状態にあります。そこで、今回の改正法で、EUの十分性認定基準を取得するために今後どのような手続とどのくらいの時間が掛かるか、山口担当大臣に質問します。
次の課題として、日本人の個人情報をEUと同様に日本政府がしっかり守っていくべきという観点から質問します。
今回の法案では、パーソナルデータの越境移転に関し、企業間の契約並びにグループ企業の規則等で十分な保護が担保されておれば外国事業者への移転を認めるという仕組みを導入しています。外国事業者との契約が、日本法かEU等の十分な個人情報保護制度を持つ国の法律を準拠法としない限り個人情報保護の強制ができません。この点に関する政府の認識を山口担当大臣に質問します。
匿名加工情報に関する質問をします。
個人情報から特定の個人を識別することができる記述を削除し、当該個人情報を復元することができないよう加工すれば第三者への提供が可能となっております。個人を識別できなくても、特定の会社構成員、政党構成員、団体構成員等の匿名加工情報を第三者が知ると、当該会社、政党、団体は大きな損害を被るおそれがあります。特定の法人、団体の匿名加工情報の第三者提供は事前の承諾がある場合を除いて禁止できるか、山口担当大臣に質問します。
マイナンバー制度導入のロードマップと実施上の問題に関して質問します。
ロードマップでは、二〇一七年七月よりマイナポータルの地方自治体との連携が開始します。全国の地方自治体を巻き込む一大ITプロジェクトです。予定どおり全国の地方自治体で同時に開始することができるか、また、そのため政府はどのような対策を行っているのか、高市総務大臣に質問します。
マイナポータルで個人はインターネットを通じて簡単に公的個人認証が可能になる一方、悪意を持った第三者が侵入してくるリスクもあります。情報連携に多くの地方自治体も参加しますので、サイバーセキュリティーの点で脆弱性があると指摘もあります。政府のマイナポータル全体のサイバーセキュリティーに関して、今後の対策と必要予算、人員に対して山口担当大臣に質問します。
インターネット等のサイバー空間での個人情報保護に関して質問します。
近年、日本国内でもインターネット検索、電子商取引、SNS等の利用が進み、私たちのパーソナルデータが知らず知らずに蓄積されています。
二〇一〇年十月、当時グーグル社のCEOであったエリック・シュミット氏は、米国の経済誌のインタビューの中で、我々はあなたがどこにいるか知っている、どこにいたかも知っている、あなたが考えていることもおおよそ把握していると語りました。また、米国シリコンバレーの格言には、あなたがそれにお金を払わないなら、あなたはもはや顧客ではなく、あなたが商品として売られるだけだというものがあります。
インターネット検索、電子商取引、SNS等は、一握りの米国巨大IT企業が独占しており、全世界のパーソナルデータがそれらの米国企業に集積されつつあります。個人情報保護やEU域内のIT企業の育成の立場から、EUはこのことに強い危機感を持ち、その結果、前述の十分性認定取得基準や忘れられる権利の裁判、グーグル社に対する独占禁止法の適用とつながっております。このようなEUの危機意識を日本国政府も共有すべきと考えますが、菅官房長官に御所見をお尋ねします。
さらに、忘れられる権利確立のために民法等関係法令を将来改正すべきと考えますが、上川法務大臣の御所見をお尋ねします。
また、EU同様に、インターネット検索等、日本における独占禁止法適用の可能性とその要件に関して杉本公正取引委員長にお尋ねします。
安倍首相は、本年三月二十七日、参議院予算委員会で、政府のインターネット検索利用に関して、検索ワードやアクセス先等を大量に収集し分析することにより、政府組織の傾向が推定される可能性があることが指摘されていることは承知しており、情報の適正管理の在り方について不断の見直しを行うことは極めて重要であると答弁されました。後日、質問主意書で明らかになったことは、インターネット検索の利用について、閲覧履歴データの削除等、いわゆるクッキーに対する取扱規則は作成しておらず、またインターネット検索利用に対する取扱ガイドラインも作成していないことです。
予算委員会での安倍総理や菅官房長官の懸念表明にもかかわらず、これらの点に対して何ら対策を打てていないのは政府の怠慢ではないのでしょうか。早急に関係者に具体的な対策を練るように指示すべきと考えますが、菅官房長官の御所見をお尋ねします。
今年の税制改正で、電子書籍や音楽ダウンロード等、インターネット配信に関する消費税に関して、国内事業者と海外事業者の不公平が是正されることとなりました。具体的には、国内外判定基準を変更し、海外事業者の日本国内居住者のインターネット配信に消費税を課税することとなりました。昨年秋に、私ども民主党並びに野党各党が共同して議員立法を参議院に提出したことで、政府に対応を迫った一面もあります。
税法上の国内外判定基準の見直しと同様に、インターネット検索、電子商取引、SNS等に関する日本国内利用者のパーソナルデータ取得に関して、グーグルや他のIT企業の利用規約の準拠法を日本法と定めるように強制することが可能であるか、山口担当大臣に質問します。
もしこのことが可能でないとするならば、どのような立派な個人情報保護法制を作ったとしても、インターネット等サイバー空間では絵に描いた餅にすぎないと指摘しておきます。
最後に、政府の対応に苦言を申し上げたい件があります。
四月二十二日、ドローンが官邸屋上のヘリポートに落下していることが明らかになりました。今、政府・与党は、ドローン運航規則等法的対策を取るべく、ドローンに対するまさに泥縄の対策を行っております。
私は、この事件の一か月以上前の三月九日にドローンに関する質問主意書を提出しました。ドローンを使った航空撮影、警備及び配達等、商業利用を検討する動きもあり、航空法、道路交通法、民法、個人情報保護法及び電波法等、既存の法体系との調整を速やかに行う必要が生じていることを指摘して、三項目の質問を行いました。
それに対する安倍総理の答弁は、いわゆる小型無人機の日本国内での販売及び利用規模について、全体としては把握していないと他人事のような回答で、また、米国連邦航空局が平成二十七年二月十五日に小型無人機に関する規則案を公表したことについては承知しているが、政府としては、いわゆる小型無人機に関する法整備及び規制については、ロボット新戦略において、運用実態の把握を進め、公的な機関が関与するルールの必要性や関係法令等も含め、検討を進めていくと、世界最先端IT国家の対応とは思えないほど具体性に欠くものでした。
ドローンの急速な技術革新や利用規模等への不十分な認識と法的対策の遅れが今回の事件を誘発したという認識が政府にあるのか、菅官房長官に質問します。
今回の事件に関して、あつものに懲りてなますを吹く方式の過剰規制となり、日本の技術革新を止めることにならないように政府・与党に警告して、私の代表質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣山口俊一君登壇、拍手〕