牧山ひろえの発言 (本会議)

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○牧山ひろえ君 民主党・新緑風会の牧山ひろえです。
 私は、会派を代表して、ただいま議題となりました持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論を行います。
 我が国は、国民皆保険制度の下、五十年以上も、誰もが安心して医療を受けることができる医療制度を実現してきました。本法案は、国民皆保険制度を支える重要な基盤である国民健康保険について、国民皆保険の実現以来、半世紀ぶりの改革を行うものです。
 また、それだけにとどまらず、医療保険全般、患者負担の見直し、患者申出療養の創設等、国民にとって非常に重要な内容が数多く含まれています。にもかかわらず、たった二週間しか審議が行われていません。また、委員会審議においては、政府から、改正後の諸制度の詳細は法律制定後に検討するという答弁が繰り返され、制度の内容について明らかにされないままでした。これでは、国民のための熟議が尽くされたとは到底言えません。
 また、平成二十五年に自公政権が提出した社会保障制度改革プログラム法案には、高齢者医療制度と年金制度の抜本改革が盛り込まれなかったため、民主党は同法案に反対いたしました。そのプログラム法案に基づいて提出された本法案にも、高齢者医療制度の抜本改革が盛り込まれていないことは大きな問題です。
 そもそも、後期高齢者医療制度を現役世代の医療保険とは別建ての制度にしたことが、保険者間や世代間の対立を助長していると思われます。
 また、今後、少子高齢化の進行により、高齢者の比率が高まる一方で、支える側の現役世代が減少していく中、保険料収入と公費だけでは自立し得ず、現役世代に過度に依存することになる高齢者医療制度が果たして持続可能と言えるのでしょうか。
 以下、本法案の問題点を個別具体的に申し述べます。
 まず、後期高齢者支援金の全面総報酬割の導入についてです。
 国民健康保険は、加入者の所得水準が低いなど、財政基盤に構造的な課題を抱えており、国民健康保険に対する財政支援は必要であると考えます。しかし、全面総報酬割の導入は、本来国が行うべき財政支援を現役世代から成る各保険者に肩代わりさせる構図になっています。一般会計からの法定外繰入れや保険料収納率など、国民健康保険の運営面における問題の改善が十分になされていない中で、全面総報酬割により生み出される財源を国民健康保険に投入しては、負担が増える被用者保険側の納得は得られません。
 持続可能な医療制度、そしてそれを支える健康保険制度を維持するためには、費用負担についての各保険者の理解と納得が何より重要であるにもかかわらず、現役世代の拠出金負担に上限を設けるなどの負担構造改革については極めて不十分です。
 また、高齢者医療に係る健康保険組合の拠出金負担は約五割に迫っています。保険者が自らコントロールできない拠出金の割合が高い状況では、保険者として効率化などの努力を行ったとしても、その効果が発揮できず、重要な保険者機能が損なわれます。このまま配慮不十分なままの負担増が続けば、健保組合の解散や協会けんぽへの流出が増加しかねません。
 そもそも、被用者保険の財政持続可能性が確保されて初めて国保や後期高齢者制度の持続可能性が確保されます。ですので、本来ならば企業や国民がどの程度の負担に耐えられるかという検証から制度設計すべきところ、今回の改正法ではその点が看過されており、取れるところから取るというだけのつじつま合わせの見直しとなっているのが大きな問題です。
 次に、協会けんぽに対する国庫補助の見直しについてです。
 協会けんぽの法定準備金を超過する準備金の一六・四%相当の国庫補助が減額されます。協会けんぽは被用者保険のセーフティーネットである一方、加入者の大半は中小企業の事業主や従業員であり、財政基盤が脆弱です。全国平均保険料率は一〇%に達しており、中小企業の経営や加入者の生活に大きな負担となっています。協会けんぽの準備金が法定準備金を超過しているのは、保険料率の引上げなど協会けんぽの努力のたまものでもあります。協会けんぽの準備金に余裕ができたなら、国が召し上げるのではなく、保険料率の引下げに用いるべきです。
 次に、国民健康保険組合の国庫補助の見直しについてです。
 現行三二%である国民健康保険組合への定率補助が、加入者の所得水準に応じて一三%から三二%の補助率に変更されます。所得水準の低い国民健康保険組合への支援は必要ですが、民主党政権時の行政刷新会議の事業仕分の結論に基づき、所得水準の高い国民健康保険組合の国庫補助率はゼロにすることも含めて検討するべきであり、改革として不徹底と言えます。
 次に、患者負担の見直しについてです。
 今回、入院と在宅療養との公平性を図るため、入院時の食事代が見直されます。平成三十年度には、現在と比べて一食当たり二百円の負担増となります。入院時の食事は治療の一環であることを鑑みると、指定難病に指定されていない疾病の患者が長期入院する場合など、負担が重くなる方に対する更なるきめ細やかな配慮が必要であると考えます。
 また、紹介状なしで大病院を受診する場合に定額負担が導入されるとされています。限りある医療資源を効率的に活用し、医療機関の間の適切な役割分担を図るためには一般的にはやむを得ない側面もあるとはいえ、実質的な医療負担増となる措置だけに、低所得者の受診抑制につながらないように、また、定額負担が適切でない例外事例など、慎重にして緻密な制度設計が望まれます。
 しかしながら、政府は、制度の枠組みについては法律制定後に検討するとして、特に定額負担を求めないケースについての具体的な説明が不十分です。国民の負担を重くする内容であるにもかかわらず、法案審査の前に制度の枠組みが決定していないのは国会軽視と言わざるを得ません。
 次に、患者申出療養についてです。
 患者申出療養制度において何よりも重要なのは、安全性と有効性が確保されていること、そして将来の保険収載を前提としていること、この二点であると考えます。
 患者申出療養については、臨床研究中核病院の申請後、原則六週間で安全性、有効性等が審査されることになります。現行の先進医療では審査に六か月程度を要しているにもかかわらず、患者申出療養ではなぜこれほど大幅に期間を短縮することができるのでしょうか。また、これで本当に適切な審査が行われ、安全性、有効性が確保されるのでしょうか。
 さらに、患者申出療養により医療事故や副作用等が発生した場合の対応については今後検討することとされており、患者が申し出たことを理由に患者に過重な責任を負わせることにならないかと危惧しております。情報や知識にギャップがある中で、患者側が適切な医薬品や治療方法を申し出ることができるのかというインフォームド・コンセントの問題に関しても不安が残ります。
 保険収載については、現在の先進医療の実績から考えても、どの程度その見込みがあるのか全く保証されていないと言わざるを得ません。
 このように、本法案は多くの問題を抱えております。最も問題なのは、国民の生命、生活に関わる大改正であるにもかかわらず、関係者の納得が十分に得られていない内容や法律制定後に検討される内容が多い上に、国から国民に対して真摯な説明が行われていないことです。
 持続可能とは名ばかりの、医療保険制度への信頼を損なうような政府・与党の姿勢に抗議し、私の反対討論を終わります。(拍手)

発言情報

speech_id: 118915254X02120150527_017

発言者: 牧山ひろえ

speaker_id: 9631

日付: 2015-05-27

院: 参議院

会議名: 本会議