那谷屋正義の発言 (本会議)

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○那谷屋正義君 民主党・新緑風会の那谷屋正義です。
 まず、私の方からも、六月一日に御逝去された町村前衆議院議長の御冥福をお祈りしたいと思います。
 さて、私は、会派を代表いたしまして、ただいま議題となりました学校教育法等の一部を改正する法律案について質問いたします。
 本題に入る前に、新国立競技場の建設計画見直しについてお伺いいたします。
 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京大会の開催に向け、現在、千六百二十五億円もの概算工事費を投じ、今日の新聞では二千五百億円程度に膨らむ可能性もあると報じられている中で、新国立競技場の建設が進められております。
 しかし、五月十八日、下村文部科学大臣は建設計画を見直す方針を明らかにされました。さらに、東京都に対し約五百億円の負担を要請され、安倍総理には東京都が約五百八十億円を支出すべきと文書で提出されたとの報道もありました。それに対して舛添東京都知事は、総工費など開示されていないと文部科学省の対応を批判するなど、深刻な亀裂が生じつつあります。
 オリンピック・パラリンピックの開催は、日本の価値を高め、再発進するとともに、東日本大震災からの復興を確かなものとする絶好の機会であります。また、オリンピック・パラリンピックの意義をレガシーとして後世に伝えていかなくてはなりません。このような混乱した事態のまま建設を進めれば、新国立競技場が負の遺産にもなりかねません。
 オリンピック・パラリンピックの開催に向け、新国立競技場の建設、東京都との協議を今後どのように進めるお考えか、下村大臣の見解を求めます。
 さて、安倍政権は、経済再生と並ぶ我が国の最重要課題として教育再生を掲げています。しかしながら、その実態は、トップダウン型のマネジメントを推し進める教育委員会改革、公設民営学校の創設を可能とする国家戦略特区法案、財政制度等審議会における度重なる教職員定数削減の提案など、経済優先、効率化重視の教育改悪ともいうべきものです。
 こうした流れの中で提出された本法律案は、小中一貫教育を行う義務教育学校を創設するというものですが、その真の目的は、学校の統廃合を促進し、教職員定数を削減するなど、教育予算の削減を狙ったものではないかとの疑念を抱かずにはいられません。
 安倍政権は、国際競争力を強化するために人材を育成することこそが教育であるとして、子供を国家の材料として捉えてはいませんか。経済界の意向を最優先する余り、子供の人間的な成長という視点が置き去りにされてはいないでしょうか。
 下村大臣、政府が断行する教育再生は、子供の学びや育ちを最優先にしたものであると胸を張って言うことができますか、明確な答弁を求めます。
 義務教育学校が制度化されると、義務教育段階において、現行の小学校、中学校と並んで別の種類の学校が併存することになります。このような義務教育の複線化が学校間格差や地域間格差につながり、公教育の平等性、教育の機会均等を阻害することが懸念されます。
 義務教育段階においては、どの地域においても、どの学校においても、ひとしく学びが保障されることが原則であると考えますが、下村大臣の見解を求めます。
 義務教育学校の創設については、平成二十四年の中央教育審議会の作業部会の議論においても、子供たちの人間関係の固定化やエリート校化につながるとの懸念も指摘をされ、制度化に至らなかった経緯があります。
 昨年の中央教育審議会答申では、設置者が地域の実情を踏まえて小中一貫教育が有効と判断した場合に円滑に導入できる環境づくりのための制度化としていますが、これまでも、全国で千百三十校が既に一貫校としてある中、小中連携の取組は地域の実情に合わせて行われてきております。現場は、子供たちの学びの継続について配慮し、工夫してきています。
 学びの節目、子供の負担、教職員の多忙化、免許の在り方等、課題が山積しています。先行事例に関する教育学的、心理学的側面からの十分な検証、分析もない中で、拙速に義務教育学校を制度化する必要があるのでしょうか。
 義務教育は子供が生きるための基礎を培う場であることから、その制度改正に当たっては、より慎重に判断すべきであると考えますが、下村大臣の明確な答弁を求めます。
 我が国では、急速な少子高齢化、人口減少を背景に、学校規模の縮小、統廃合が問題となっています。小学校同士又は中学校同士の横の統合については地域住民の反対が強いことから、小中一貫教育を行うという名目で小学校と中学校による縦の統合を進め、地域住民の反対をかわそうとしているのではないかという声も多く出ています。
 文部科学省は、本法律案提出に先立ち、約六十年ぶりに統廃合の基準を見直すとともに、学校の適正配置についての手引を公表しています。
 下村大臣、義務教育学校の制度化が学校統廃合の促進を狙いとするものではないと言い切れますか、お答えください。
 政府は、義務教育学校の創設の根拠として中一ギャップの解消を掲げています。しかしながら、中一ギャップの原因の一つとされる小学校と中学校の学習環境の違いに着目するのであれば、義務教育学校を創設しなくとも、小中学校の教育課程を連携していくことなどの対応により中一ギャップを緩和することは可能です。
 一方で、小学校から中学校への環境の変化は子供の成長にとって必要であるという考え方があります。小学校六年生は最高学年として下級生の憧れの存在となり、リーダーとしての自覚や役割を持ちます。そして、中学一年生になり、中学生らしさを期待される中で、小学生とは異なる自分を意識し振る舞うようになります。小学校から中学校に向けての不安や期待は、子供の発達や成長を促す好機でもあるのです。また、中学校に進学し、新たな環境や人間関係の中で、新しい自分になりたい、再出発したいという子供がいることも忘れてはなりません。
 九年間の小中一貫教育に当たっては、人間関係が固定化することによる悪影響も課題として指摘をされていますが、どのような対応策をお考えでしょうか。下村大臣の見解をお聞かせください。
 続いて、教職員の負担軽減について伺います。
 文部科学省の調査によれば、小中一貫教育の課題として、教職員の負担感、多忙感の解消、小中の教職員間での打合せ時間の確保、小中合同の研修時間の確保が上位に挙げられており、制度導入に伴う教職員の負担軽減は重大かつ喫緊の課題です。義務教育学校に限らず、新しい制度を導入すれば、必ず教職員の負担は増え、多忙化に拍車が掛かります。現場の教職員の方々からは、これまでも、小中一貫校設置に当たって、十分な支援体制もないまま現場に丸投げされているという悲鳴にも似た声が寄せられています。
 本法律案においては、教職員の負担軽減策に関しては何の対策も示されておらず、学校現場は不安でいっぱいです。教職員配置の充実や負担軽減策、設置に当たっての指針や手引の作成などが必要と考えますが、いかがですか。下村大臣、教職員の負担軽減に向けてあらゆる支援策を講じていく決意がおありかどうか、お聞かせください。
 中一ギャップの解消も含め、現在指摘されている義務教育段階での課題は、教員の負担を軽減するとともに、教員が一人一人の子供と向き合う時間的、精神的余裕を取り戻すことで初めて解決されるべき課題です。
 政府が義務教育学校創設の効果として掲げる学力の向上については、六三制という制度の問題ではありません。少人数学級やチームティーチングの推進等により、授業の質を高めることこそが重要なのです。
 その一方で、我が国の教員の勤務時間は、OECDの調査からも明らかなように、国際的に見ても非常に長いことが知られています。近年、いじめ問題や、特別支援教育、貧困家庭への対応など、学校現場を取り巻く環境は複雑化、困難化しており、教員の多忙化はますます加速しています。
 冒頭に申し上げましたとおり、財政制度等審議会において、平成三十六年までに約四万二千人の教職員の合理化が可能との試算が示されましたが、これは学校現場の実情を無視した机上の空論にすぎず、怒りを禁じ得ません。
 また、政府は、教職員の負担軽減のため、チーム学校を推進し、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の外部人材を活用するとしていますが、万が一にも、教育予算削減のために非常勤の外部人材を安く使えばよいという思惑があるとすれば言語道断です。義務教育費の安易な削減は我が国の将来に禍根を残すことになります。
 衆参両院の委員会で教職員定数の充実に関する決議が採択されました。そのことの重みも踏まえ、下村大臣の決意をお尋ねいたします。
 続いて、教員免許についてお伺いします。
 本法律案においては、義務教育学校の教員免許について、小学校と中学校の免許状を両方持つことを原則としつつ、当分の間は、小学校の免許状で小学校段階に相当する前期課程の、中学校の免許状で中学校段階に相当する後期課程の指導を可能とするとの経過措置を設けるとともに、もう一方の免許状が取得しやすくなるよう取得要件の緩和を検討するとしています。
 このような措置は、今回の制度設計自体が万全ではなく、時期尚早であることを露呈しており、教員免許制度の形骸化や信頼性を損なうことにつながるのではないでしょうか。教員免許とはそんなに軽いものなのでしょうか。
 今後、一方の免許状のみを持つ教職員に対し、併有を強制する動きにつながりかねないと考えますが、下村大臣の見解を伺います。
 また、この際、予算と労力を浪費するだけで、結果として教員になろうという意欲をそぐことにもつながっている教員免許更新制の廃止についても検討すべきであると考えますが、下村大臣の見解をお聞かせください。
 近年、教育格差の解消が重要な政策課題となっていますが、私は、義務教育学校の制度化が更なる教育格差の拡大を引き起こすのではないかとの疑念を払拭することができません。
 教育課程の特例を活用して実施されている小中一貫教育の先行事例を見ると、小学校高学年での教科担任制の導入や習熟度別授業の導入に加え、英語教育の早期実施など学習内容の前倒しが行われている例もあります。
 政府は、義務教育学校は就学指定の対象とし、入学者選抜は行わないと説明していますが、特に、学校選択制の下で義務教育学校が設置された場合には、中高一貫教育を行う中等教育学校と同様に、法令上は学力検査は実施しないとされているにもかかわらず、事実上の入学試験を行うエリート校となる可能性は否定できないのではないでしょうか。
 下村大臣、そのような心配は杞憂であると断言することができますか、明確にお答えください。
 学校は地域コミュニティーの核となるべきものです。民主党は、地域全体で子供の学び、育ちを応援していくことが重要であると考えています。
 地域において義務教育学校を設置する場合には、自治体は、地域の方々との意見交換を十分に行うとともに、説明責任をしっかりと果たさなくてはなりません。学校統廃合と併せてトップダウンで設置の判断が下されるなどということのないよう制度的な担保が必要であると考えますが、下村大臣、具体策をお示しください。
 終わりに、政府に対しては、義務教育学校の制度化が教育の機会均等を阻害し、格差を拡大する教育改悪とならないよう、あらゆる措置をお願いするとともに、地域の子供は地域で育てるという理念を具現化する契機となるよう、また、現場で頑張る教職員を後押しする制度となるよう、私も引き続き全国の教育関係者とともに努力していくことを表明して、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣下村博文君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 118915254X02420150605_010

発言者: 那谷屋正義

speaker_id: 27698

日付: 2015-06-05

院: 参議院

会議名: 本会議