山本順三の発言 (本会議)
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○山本順三君 自由民主党の山本順三です。
私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました平和安全法制について安倍総理の答弁を求めたいと思います。
衆議院では百十六時間もの審議が行われましたが、野党各党は、これが戦争法案である、徴兵制につながるなど情緒的な議論に終始し、時間は長くとも法案の必要性や中身についての真正面からの議論は十分ではありませんでした。これこそが、国民に法案の中身が伝わらず、理解を妨げた原因ではないでしょうか。
戦後七十年、我が国は平和国家として確固たる歩みを進めてまいりました。その矜持を持ちながら、更なる時代の変化に対応するのがこの平和安全法制です。
我が国の平和と安全にとって必要なものは、平和外交と抑止力の二つです。平和外交には、安倍総理がこれまで積極的に取り組まれてまいりました。もう一方の抑止力を高める、このことについては、今回の平和安全法制が極めて重要であるということであります。アメリカが世界の警察官の座を降り、世界情勢が流動化する今、日米同盟を強化し、抑止力を高める、それ以外にどんな方法があるのでしょうか。
民主党の皆さん、反対ならば、堂々と対案を出され、現状を見据えた徹底的な議論を尽くそうではありませんか。それが政権担当能力を示す野党第一党としての責任であります。それをせず、強行採決と称し、十分な審議時間を確保した採決を批判しても、自らの身に跳ね返るだけです。民主党政権でも数多くの強行採決があったことを指摘した上で、質問に移ります。
法案への賛否を議論する前提として、核実験、ミサイル開発を続ける北朝鮮、強引な海洋進出を進める中国、ISILのような国際テロ組織の活発化など、現在の安全保障環境について正確に認識する必要があります。当然、野党も認識されていると思いますが、我が国が置かれた安全保障環境の変化について、特に北朝鮮の動向及び中国の東シナ海、南シナ海での活動状況を含めて、総理の説明をお願いをいたします。
次に、こうした現状への対応策として、なぜ現在の法制では十分ではなく、切れ目のない平和安全法制整備が必要なのか、特に、個別的自衛権の拡大ではなぜ対応できないのか、国民の皆さんへ向けて丁寧な説明を求めます。
集団的自衛権については、衆議院の地方参考人質疑において、慶応大学の細谷教授からこんなお話がございました。かつてベルギーは中立を掲げ、周辺国の善意のみを信じ、軍事ではなく外交だけに頼って自らの平和を維持しようとしました。しかし、二度の大戦で、真っ先にドイツの侵略を受けてしまいました。そのため、ベルギーは、集団的自衛権の組織であるブリュッセル条約やNATOの創設で中心的な役割を果たしました。まさに戦争の反省から集団的自衛権の必要を知ったわけです。
現在では、世界のほとんどの国が集団的自衛権の行使を認めています。それがもし戦争につながるのであれば、世界は戦争国家だらけです。我が国の集団的自衛権行使は諸外国に比べ極めて限定的ですが、集団的自衛権を行使できる国は全て戦争国家なのか、本来なら野党各党にお伺いしたいところでありますが、総理にお伺いをいたします。
集団的自衛権以外でも、平和安全法制で可能となる活動は全て世界の主要国は当たり前に行っているものです。かつて湾岸戦争時に九十億ドルを拠出した日本の対応について、当時の国際社会の反応がどのようなものであったか、是非思い出していただきたい。日本は、国際社会における責任ある国家としてその役割をしっかりと果たしていかなければなりません。今回はそのための法整備でありますが、各国はどのように評価しているのか、実際の反応を伺います。
今回の法整備には、国際的な評価とは別に、国民の間に不安の声があるのも事実ですから、その不安を払拭するために何点か質問いたします。
まずは、アメリカの戦争に巻き込まれるのではないかという不安の声です。ホルムズ海峡にとどまらず、地球の裏側まで戦争に行くのではないか、テロ組織に狙われる国になるのではないかといった声もあります。
衆議院では、存立危機事態の定義について様々な議論がありましたが、集団的自衛権の行使が認められるには厳格な要件があります。一つ、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があるとき、二、他に適当な手段がないと限られるとき、そして三番目は、必要最小限度の行使しか認められない、いわゆる武力行使の新三要件です。また、国際平和支援法に基づく他国軍への後方支援についても、例外なく国会の事前承認が必要であるという歯止めがございます。
歯止めというのは、強ければいいというものではなく、強過ぎると抑止力がそがれるというジレンマがあります。また、自衛隊員のリスクが高まるという議論も相当ありましたが、集団的自衛権によって抑止力を高めることは、先ほどのベルギーの例のように、国全体として戦争に巻き込まれるリスクを減らすのです。
こうした諸々の事情を説明せず、単に戦争に巻き込まれるという不安を一方的にあおっている一部野党の宣伝活動や報道、大変これは無責任であります。平和安全法制は戦争のリスクを減らすということを総理からも明確に御説明願いたいと思います。
次に、今回の法案が憲法違反ではないかという声もあります。我が国は、これまでも自衛隊法、PKO法、周辺事態法など数々の安全保障法制を整備してまいりました。そのたびに憲法違反だという主張がなされてきましたが、本当にそうだったでしょうか。
朝日新聞が調査したその結果で、回答した憲法学者の六割以上が、自衛隊は憲法違反かその可能性があると答えたそうです。自衛隊自体が違憲であれば、PKO法も周辺事態法も今回の平和安全法制も全て違憲となってしまいます。そうした前提を説明せずに、今回の法案だけが違憲であるかのような主張をすることは、これは一方的な情報操作ではないでしょうか。
そもそも、法律が違憲であるかを決めるのは、憲法学者でも内閣でも国会でもなく、最高裁です。その最高裁の唯一の判断は、憲法九条が禁止している武力の行使には自衛の措置は含まれないという砂川判決です。今回の法案は、集団的自衛権の行使を極めて限定的に認めることで、憲法に合致するものとなっています。こうした理解でよいのか、政府の見解をお聞かせいただきたいと思います。
次に、今回の法案は徴兵制につながるという声もあります。これこそは、なぜそうなるのか全く理解ができない、根も葉もない、悪意に満ちた感情的、扇動的論理であります。大前提として、徴兵制は憲法上認められません。安倍総理も、これは何度も説明をしてこられました。憲法を改正するつもりだろうと言われますが、自民党の憲法改正草案でも徴兵制など全く考えておりません。
また、自衛隊には多くの志願者がいます。最新の防衛白書によれば、採用の倍率は、職種にもよりますが、主な種目では三・六倍から五十八倍に上ります。事実として、徴兵制の必要は全くないのであります。
今回の法案は、他の主要先進国はどこでもやっている活動を一部可能にするものです。