市田忠義の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○市田忠義君 私は、日本共産党を代表して、安倍総理に質問します。
 政府が平和安全法制の名で提出した一連の法案は、衆議院での論戦を通じて、憲法が禁じている自衛隊の海外での武力行使を進める憲法違反の戦争法案であることが明々白々となりました。圧倒的多数の憲法学者、歴代の元内閣法制局長官、日本弁護士連合会など専門家を始め、国民の多くが憲法違反の立法反対の意思を明確に示しつつあります。
 内閣が違憲立法を国会に提出し、それを批判する国民多数の声を踏みにじって衆議院での採決を強行したことは、憲法と国民主権のじゅうりんそのものであり、立憲主義の原則に反する歴史的暴挙と言わなければなりません。
 総理は、PKO法のときも日米安保条約改定のときも反対論があったと述べました。国民多数が反対しても法案を強行するつもりですか。国民はいずれ怒りを忘却する、あなたがそう思っているとするなら、これほど主権者国民を侮辱する言葉はありません。自分だけが正しいという独善の最たるものであり、独裁への道ではありませんか。
 法案は、米国が、世界のどこであれ、アフガニスタン戦争、イラク戦争のような戦争に乗り出した際、自衛隊がこれまで戦闘地域とされてきた場所まで行って、弾薬の補給、武器の輸送などの軍事支援、兵たんを行うこととしています。総理は自衛隊が攻撃されたら武器を使用することも認めました。
 陸上自衛隊幕僚監部が作成したイラク復興支援行動史には、イラク戦争でサマワに派遣された自衛隊が一触即発の危険に直面したことが生々しく書かれています。当時の責任者は、そこでの活動は純然たる軍事作戦であったと述べています。なのに、なぜただの一人も戦死者が出なかったのか。行動史は、活動地域が非戦闘地域とされたこと、任務が人道復興支援活動であったことが隊員の安全を確保する基盤だったと述べています。この二つの安全基盤を取り去って、戦闘地域で自衛隊が武器の輸送、弾薬の補給などの兵たんを行えば、相手方から攻撃される現実的危険が格段に高まることは明らかではありませんか。
 現にアフガンでは、米軍の戦闘部隊への兵たんを行っている国際部隊が度々攻撃され、多くの戦死者を出しています。攻撃を受ければ応戦し戦闘になる。もし他国の国民を殺すことになれば、日本国民もまた憎悪の対象とならざるを得ません。現地に派遣される自衛隊員だけではなく、国民を脅威にさらすことになってしまうではありませんか。
 PKO法の改定は何をもたらすか。形式上停戦合意がされてはいても、なお戦乱が続いている地域に自衛隊を派兵して治安活動をさせる。武器使用基準も、任務遂行のためのものも認めるなど、格段に拡大しようとしています。
 米軍主導の掃討作戦と事実上一体化し、三千五百人もの戦死者を出したアフガンの国際治安支援部隊、ISAFのような活動への参加を総理は衆議院での答弁で否定しませんでした。ISAFは、昨年十二月、アフガンの治安部隊を支援するRS任務、確固たる支援任務に移行しましたが、今なお四十二か国、一万三千人以上が参加しています。米国がRS任務への参加を求めてきた場合、政府は拒否できますか。
 そして、集団的自衛権行使の容認であります。
 日本政府の憲法九条に関するこれまでの全ての見解は、この六十年間一貫して、海外での武力行使は許されない、集団的自衛権の行使は憲法違反であるということを土台として構築されてきました。ところが、昨年七月の閣議決定とそれを具体化した戦争法案は、この立場を百八十度転換させました。それは日本の防衛とも国民の安全とも全く無縁のものであります。アメリカが無法な戦争に乗り出した場合でも、自衛隊が参戦し、ひたすら米軍の手足となって海外で武力行使を行おうとするものにほかなりません。そのことは、総理が何にも先んじてこの夏までの成立をアメリカの議会演説で約束したことを見ても明らかではありませんか。
 現行憲法が持つこの七十年の重みをもう一度かみしめるべきであります。戦後、一人の外国人も殺さず、一人の戦死者も出さなかったのは、日米同盟や軍事的抑止力のおかげではありません。世界に誇るべき日本の宝、憲法九条が存在し、平和を希求する国民の世論と運動があったからであります。
 世界の紛争地で多くの日本人ボランティアの皆さんが医療や生活支援の活動をされています。これらの人々が共通して語っておられるのは、日本の自衛隊はこれまで一発も外国人に銃弾を撃っていない、一人も殺していない、だから海外でのボランティア活動ができるということでした。総理は、憲法九条が国際貢献活動の安全の担保として機能してきたことをお認めにならないのですか。
 集団的自衛権行使が憲法九条の下では認められないということは、我が国において確立した法解釈であります。宮崎元法制局長官は国会で、集団的自衛権の行使容認は、限定的と称するものも含めて、従来の政府見解と相入れないものであって、これを内容とする今回の法案部分は憲法九条に違反し、速やかに撤回すべきものであると厳しく批判しました。本来、政府案は国会に提出できる内容ではなかったのであります。政府自らこれまでの法解釈を覆す内容の法案を国会に提出する、これはクーデターともいうべき法体系の破壊ではありませんか。
 総理は、集団的自衛権について、戦争を未然に防ぐためのものだと言います。これほどの欺瞞を私は知りません。阪田元法制局長官は国会で、集団的自衛権を行使するということは、進んで戦争に参加するということ、敵となる相手国に我が国領土を攻撃する大義名分を与えるということにほかならない、国民を守るというより、進んで国民を危険にさらすという結果しかもたらさないと指摘しました。総理はこの指摘をどのように受け止めていますか。
 政府は、これまでの憲法解釈を変更する唯一最大の理由として、安全保障環境が根本的に変化したことを挙げています。
 私たちの住む北東アジアには、北朝鮮問題や領土に関する紛争問題などが存在しています。しかし、軍事対軍事の悪循環に陥ることが最も危険であります。イランの核問題も軍事に頼らない外交努力で解決されようとしています。北朝鮮問題でも、六か国協議の枠組みに立ち返るなど、外交的解決に徹するべきであります。専ら軍事に依存するのではなく、平和の環境をつくり出すための憲法九条の精神に立った外交戦略こそ求められているのではありませんか。
 戦争への道は、言論の封殺をもって進められた、これが戦前、我が国がたどった歴史的事実であります。憲法違反の戦争法案をごり押しする安倍内閣の下で、自民党の一部議員によるメディアへの恫喝が表面化したことは、決して偶然ではありません。
 今、参議院は、違憲立法の成立に手を貸すのかどうかが鋭く問われています。
 自民党の谷垣幹事長は、国会を取り巻く強行採決反対、戦争法廃案の声について問われ、そういえばかすかに気配を感じていないわけではないと述べられました。しかし、政府・与党がどんなに耳を塞ごうとも、国民の声を遮ることは絶対にできません。国中に国民の声をとどろかせて、海外で戦争する国、殺し殺される国にしないために、若者を再び戦場に送らないために、希代の悪法、戦争法案を廃案に追い込むために全力を尽くすことを誓って、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 118915254X03420150727_029

発言者: 市田忠義

speaker_id: 16179

日付: 2015-07-27

院: 参議院

会議名: 本会議