上川陽子の発言 (本会議)

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○国務大臣(上川陽子君) 熊谷大議員にお答え申し上げます。
 まず、衆議院における本法律案についての審議と修正に関する所見についてお尋ねがありました。
 本法律案については、衆議院において長時間にわたる充実した審議をいただきました。その上で、審議において指摘された御懸念等を踏まえ修正がなされたものであり、それによって多くの方々の賛同を得て可決されるに至ったことは、大変意義のあることと受け止めております。
 次に、取調べ及び供述調書への過度の依存の問題点と、これをどのように改めるのかについてお尋ねがありました。
 取調べは、適正に行われる限り、真実の発見に寄与するものであり、刑事司法において取調べ及び供述調書は重要なものであります。しかし、現在の捜査、公判は、取調べ及び供述調書に過度に依存した状況にあり、このような状況は、取調べにおける手続の適正確保が不十分となったり、事実認定を誤らせるおそれがあると考えられます。そこで、本法律案は、このような状況を改めるため、証拠収集手段の適正化、多様化と公判審理の充実化を図り、より適正で機能的な刑事司法制度を構築しようとするものであります。
 次に、合意制度の意義、目的及び捜査・公判協力型の制度を導入する理由についてお尋ねがありました。
 合意制度は、一定の財政経済犯罪等を対象として、被疑者、被告人が他人の犯罪を明らかにするための協力をし、検察官がこれを考慮して被疑者、被告人の事件につき特定の求刑等をすることを内容とする合意ができるとする制度であります。
 この制度は、組織的な犯罪等について、手続の適正を担保しつつ、首謀者の関与状況等を含めた事案の解明に資する供述等を得ることを可能にするものであり、証拠収集に占める取調べの比重を低下させ、取調べ及び供述調書に過度に依存した状況の解消に資すると考えています。そして、我が国の刑事司法制度に協議、合意の要素を有する制度を初めて取り入れることなどに鑑みますと、まずは、証拠の収集方法として特に必要性が高い捜査・公判協力型の合意制度を導入するのが相当であると考えています。
 次に、憲法第三十八条第一項における不利益の意義及び民事上の不利益等を踏まえた刑事免責制度の運用についてお尋ねがありました。
 憲法第三十八条第一項が保障する自己負罪拒否特権の対象は、証人が刑事上の責任を問われるおそれのある事項であるとされており、民事上の不利益等に係る事項は含まれておりません。そのため、刑事免責制度により証言を義務付けられた際に、証言により御指摘のような民事上の不利益等を被るおそれがあったとしても、証言を拒むことはできません。もっとも、そのような不利益等が存するとの事情は、運用上、検察官が証人尋問や刑事免責の決定を請求するか否かを判断するに当たり、考慮され得るものと考えています。
 次に、会話傍受の制度化が本法律案に盛り込まれなかった理由及び今後の検討についてお尋ねがありました。
 会話傍受の制度化については、法制審議会においても議論が行われましたが、組織的な犯罪の捜査の際に、犯人間の謀議内容や犯意に関する証拠を収集する有用な捜査手段となり得るとの意見が示された一方で、通信傍受以上にプライバシーに対する制約が大きいものとなりかねないとの懸念を示す意見もあり、意見の集約に至らず、今後の課題とされたものであります。
 したがって、その制度化については、これらの御意見を踏まえつつ、必要に応じ、考えられる制度の在り方について検討していくのが適当であると考えています。
 最後に、証人保護プログラムの制度化についてお尋ねがありました。
 証人保護プログラムの制度化については、衆議院における修正により、必要に応じ、速やかに検討を行うこととされたところですが、御指摘のとおり、多岐にわたる諸課題に併せて対処することが必要です。制度の必要性については一定の認識が共有されているものと考えていますので、今後、関係する諸制度との調整等、制度の在り方について検討を行いたいと考えております。(拍手)
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発言情報

speech_id: 118915254X03620150821_006

発言者: 上川陽子

speaker_id: 1920

日付: 2015-08-21

院: 参議院

会議名: 本会議