上川陽子の発言 (本会議)

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○国務大臣(上川陽子君) 矢倉克夫議員にお答え申し上げます。
 まず、従来の刑事司法の在り方を変える本法律案の狙いについてお尋ねがありました。
 現在の捜査、公判は、取調べ及び供述調書に過度に依存した状況にあり、このような状況は、取調べにおける手続の適正確保が不十分となったり、事実認定を誤らせるおそれがあると考えられます。本法律案は、このような状況を改め、より適正で機能的な刑事司法制度を構築するため、証拠収集手続の適正化、多様化と公判審理の充実化を図ろうとするものです。
 次に、取調べの録音・録画制度の趣旨及び運用についてお尋ねがありました。
 取調べの録音、録画には、被疑者の供述の任意性等についての的確な立証に資する、取調べの適正な実施に資するという有用性があり、これらはいずれも重要なものであると考えています。本制度は、これらの録音、録画の有用性を我が国の刑事司法制度に取り込むことによって、より適正、円滑かつ迅速な刑事裁判の実現に資することを趣旨とするものであり、真犯人の適正、迅速な処罰とともに、誤判の防止にも資するものと考えています。
 本制度の運用に当たっては、以上のような趣旨を踏まえて、条文の規定に従って適正に録音、録画を行うべきものと考えています。
 次に、取調べの録音、録画の今後の拡大についてお尋ねがありました。
 検察においては、平成二十六年十月から、運用による取調べの録音、録画を拡大し、事案の内容や証拠関係等に照らし、被疑者の取調べを録音、録画することが必要と考えられる事件については、罪名を限定せず、録音、録画の試行の対象としています。今後とも、本法律案の録音・録画制度の対象とならない事件も含めて、積極的に録音、録画に取り組んでいくこととしているものと承知しております。
 そして、本法律案の附則においては、本制度について、施行後三年が経過した後に必要な見直しを行う旨の検討条項を設けています。見直しの方向性については定められていませんが、運用によるものを含め、取調べの録音、録画の実施状況等を勘案しつつ、制度の趣旨を十分に踏まえて検討を行うことが重要であり、これまでの経緯等を踏まえると、取調べの録音、録画についての取組が後退するようなことはないものと考えています。
 次に、合意制度の下での合意に基づく供述の裏付け証拠の収集の在り方についてお尋ねがありました。
 合意に基づく供述については、裁判所に警戒心を持って評価されることから、裏付け証拠が十分にあるなど積極的に信用性を認めるべき事情がない限り、信用性は肯定されないと考えられます。そして、既にある証拠に合わせて供述を求めることは可能であることから、合意に基づく供述が既に収集されている証拠と整合するというだけでは足りず、合意に基づく供述を得た上で更に捜査をしたところ、捜査官の知り得なかった事実が確認され、あるいは供述中の重要部分について裏付け証拠が新たに得られたなどの事情がなければ、積極的に信用性を認めるべき事情があるとは言えないと考えられます。
 検察においては、これらを踏まえ、合意に基づく供述について十分な裏付け捜査を行うこととなるものと考えています。
 次に、合意の経緯を示す記録の保管の在り方についてお尋ねがありました。
 一般に、捜査において重要な事項については適切に記録がなされるのが当然であって、現になされているものと承知しております。合意制度における協議についても、自由な意見交換などの協議の機能を阻害しないとの観点をも踏まえつつ、その過程で重要なポイントとなる事項については当然に記録がなされ、これが適切に保管されることとなると考えています。この点については、御指摘をも踏まえて、検察内部の指示文書等により周知徹底がなされるようにしたいと考えています。
 次に、特定電子計算機を用いる通信傍受の手続において、現行法で立会人が果たしている機能がどのように確保されるのかについてお尋ねがありました。
 この手続では、立会人の役割のうち、傍受のための機器に接続する通信手段が傍受令状により許可されたものに間違いないか、許可された期間が守られているかをチェックする点は、通信事業者が、傍受令状により許可された通信手段を用いた通信を、許可された期間に即して特定電子計算機へ伝送することにより担保されることとなります。
 また、傍受が適正に行われたかどうかを事後的に検証できるようにするため、傍受をした通信等について全て録音等の記録がなされているかや、該当性判断のための傍受が適正な方法で行われているかをチェックし、裁判官に提出する記録媒体の封印を行う点は、特定電子計算機が、傍受をした通信を自動的に、かつ改変ができないように暗号化して記録することによって担保されます。
 このように、立会人がなくても通信傍受の適正を担保できる手当てがなされています。
 最後に、犯罪被害者保護に向けての取組についてお尋ねがありました。
 犯罪の被害に遭われた方々やその御家族、御遺族の方々の声に真摯に耳を傾け、その保護、支援に取り組むことは極めて重要であると考えています。犯罪被害者等基本法の理念にのっとり、犯罪被害者やその御家族、御遺族の方々に寄り添い、その権利利益の保護を図るための各種制度を適切に運用し、きめ細やかな対応に努めてまいります。(拍手)
   〔国務大臣山谷えり子君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 118915254X03620150821_019

発言者: 上川陽子

speaker_id: 1920

日付: 2015-08-21

院: 参議院

会議名: 本会議