上川陽子の発言 (本会議)
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○国務大臣(上川陽子君) 真山勇一議員にお答え申し上げます。
まず、基本的人権に関する憲法の規定の解釈の在り方についてお尋ねがありました。
憲法を始めとする法令の解釈は、当該法令の規定の文言、趣旨等に即しつつ、立案者の意図や立案の背景となる社会情勢等を考慮し、また、議論の積み重ねのあるものについては全体の整合性を保つことにも留意して論理的に確定されるべきものです。基本的人権に関する憲法の規定の解釈についても同様であり、政府が自由に解釈を変更することができるという性質のものではないと考えています。
次に、捜査、起訴、公判は全て法と証拠に基づいて行い、不偏不党で一切の政治性、恣意性を排除し、国策捜査、政治裁判を許さないという検察の立場に変わりはないかとのお尋ねがありました。
検察は、常に法と証拠に基づき、厳正公平、不偏不党を旨として、刑事事件として取り上げるべきものがあれば適切に対処しており、何らかの政治的意図に基づいて捜査、公判を行うなどということはないものと承知しており、今後もその立場に変わりはありません。
次に、取調べの録音・録画制度の対象事件について、将来的に拡大されるのかとのお尋ねがありました。
本法律案における取調べの録音・録画制度の対象事件は、制度の対象とならない事件についても検察等の運用による取調べの録音、録画が行われることをも併せ考慮した上で、録音、録画の必要性が最も高いと考えられる類型の事件としたものです。制度と運用とを併せて見ると、取調べの録音、録画の範囲は必ずしも狭いものではないと考えています。
他方で、本法律案の附則においては、本制度について、施行後三年が経過した後に必要な見直しを行う旨の検討条項を設けております。見直しの方向性については定められていませんが、運用によるものを含め、取調べの録音、録画の実施状況等を勘案しつつ、制度の趣旨を十分に踏まえて検討を行うことが重要であり、これまでの経緯等を踏まえると、取調べの録音、録画についての取組が後退するようなことはないものと考えています。
次に、取調べの録音・録画制度について、機器の故障があった場合の取扱いについてお尋ねがありました。
本制度においては、記録に必要な機器の故障その他のやむを得ない事由により記録をすることができないときを取調べの録音・録画義務の例外事由としています。機器が故障して修理に相当の時間を要し、他の機器も使用中であるなどのやむを得ない事情がある場合にこの例外事由に該当し得るものと考えられます。このような場合にまでなお録音、録画を義務付けるとすると、機器が使用できるようになるまでの間、およそ取調べができないことになり、限られた身柄拘束期間の中で機動的に行われるべき捜査に支障が生じることとなりかねません。したがって、この例外事由を設けることは不可欠であると考えています。
次に、合意制度における協議の記録の作成、保管に関し、規定を設けるべきではないかとのお尋ねがありました。
一般に、捜査において重要な事項については適切に記録がなされるのが当然であって、これを義務付ける明文規定がなくとも、現に適切になされているものと承知しています。
これと同様、合意制度における協議についても、自由な意見交換などの協議の機能を阻害しないとの観点をも踏まえつつ、その過程で重要なポイントとなる事項については当然に記録がなされ、これが適切に保管されることとなると考えています。したがって、協議の過程についての記録につき、特に法律上明文で規定する必要はなく、適切でもないと考えています。
次に、協議、合意についての事実関係を裁判所に示すことを義務付けるべきではないかとのお尋ねがありました。
合意制度については、いわゆる巻き込みの危険に対処するための制度的な手当ての一つとして、合意に基づく供述が他人の公判で用いられるときは、検察官に対し、当該他人の公判で合意内容書面の取調べを請求することを義務付けることとしており、合意の内容は裁判所に示されることとなります。
これにより、合意に基づく供述の信用性は厳しく吟味されることとなる上、協議、合意の経過が供述の信用性等に関連する場合には必要に応じてその立証がなされることとなりますので、御指摘のような義務付けまでは必要ないものと考えています。
次に、被疑者、被告人の事件と解明の対象となる他人の事件との関連性についてお尋ねがありました。
衆議院における修正により明記された「当該関係する犯罪の関連性の程度」は、検察官が合意をするか否かを判断するに当たっての考慮事情の一つとされています。この修正により、合意制度が利用される場合として基本的に想定されるのが、被疑者、被告人の事件と他人の事件との関連性が認められる場合であることが示されることになったと考えていますが、必ずしも被疑者、被告人と他人とが共犯関係にある場合に限られるわけではないと考えています。
例えば、被疑者、被告人が同一の組織内の異なる犯行グループに属する他人の刑事事件について証拠を提供することができる場合なども考えられ、被疑者、被告人の事件と他人の刑事事件との関係性の内容や程度は事案によって様々であると考えています。
次に、立会人を置かずに通信傍受を行う手続を導入する必要性等についてお尋ねがありました。
現行の通信傍受法においては、通信事業者にとって立会人や傍受の実施場所の確保が大きな負担となっており、そのことが通信傍受を迅速に行う上での障害ともなっている事情があります。新たに導入する特定電子計算機を用いる通信傍受の手続は、こうした通信事業者の負担を軽減するとともに、捜査状況に応じた機動的な傍受を行うことを可能とするものであります。
この手続では、捜査官が傍受又は再生をした通信は、特定電子計算機により全て自動的に暗号化をされて、改変不可能な形で記録媒体に記録され、裁判官に提出されます。そして、捜査官がどのような傍受を行ったかはこの記録媒体を通じて全て客観的に検証可能となりますので、立会人を置かなくても傍受の手続の適正が担保されることとなります。
次に、立会人を置かずに傍受をした通信の記録が改ざんされていないことを確認できるための措置についてお尋ねがありました。
新たに導入する特定電子計算機を用いる通信傍受の手続においては、捜査官が傍受又は再生をした通信は、全て特定電子計算機により暗号化をされて、改変不可能な形で自動的に記録媒体に記録され、裁判官に提出されます。この暗号化の技術により、立会人が封印を行う場合と同様に、記録に改変等がないことを担保できることとなります。
次に、証拠の一覧表の交付制度に関し、捜査当局が恣意的に証拠を破棄する懸念はないかとのお尋ねがありました。
証拠の管理、取扱いは適正に行うべきであり、これをみだりに破棄すると犯罪となり得るものであり、許されないことは当然です。この点は、証拠の一覧表の交付制度を導入するしないにかかわらず、当然のことであると考えています。
次に、証拠が特定秘密に係るものであった場合の取扱いについてお尋ねがありました。
本法律案の証拠の一覧表については、証拠が特定秘密に係るものであるかどうかによって取扱いを区別することとはしておりません。本法律案においては、証拠の一覧表に記載しなければならない事項を規定した上で、例外として、これらの事項を記載して交付することによって、例えば供述者に対する加害行為がなされるおそれがあるときなど、一定の事由に該当するときに限って当該事項だけを記載しないことができることとしており、これらの規定に従った取扱いがなされることとなります。
最後に、刑事手続全般における特定秘密の取扱いに関する現時点での政府の検討状況についてお尋ねがありました。
刑事手続における特定秘密の取扱いについても、憲法、刑事訴訟法等に定める適正手続の保障の下で行われることは当然のことであり、検察当局においては、通常の刑事手続制度の枠内で適切に対処することとなると考えています。(拍手)
〔国務大臣山谷えり子君登壇、拍手〕