林幹雄の発言 (経済産業委員会)

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○林国務大臣 第百九十回国会における経済産業委員会の御審議に先立ち、経済産業行政を取り巻く諸課題及び取り組みにつきまして、経済産業大臣、産業競争力担当大臣、原子力経済被害担当大臣、内閣府特命担当大臣(原子力損害賠償・廃炉等支援機構)として、所信を申し述べます。
 初めに、福島第一原発の廃炉・汚染水対策と福島の復興は、引き続き、経済産業省が担うべき最も重要な課題です。
 来月十一日には、東日本を襲った大震災から丸五年となります。昨年九月には、全町避難となっていた楢葉町の避難指示が解除されました。福島復興に向けた取り組みはこれからが正念場です。官民合同チームによる事業再開支援、イノベーション・コースト構想の具体化、企業立地による雇用創出など、福島復興に向けた取り組みを着実に進めます。
 また、福島第一原発の廃炉・汚染水対策については、昨年九月にサブドレーンが運用開始、十月には海側遮水壁の閉合工事が完了しました。引き続き、中長期ロードマップにのっとり、国も前面に立って、安全かつ着実に対策を進めます。
 第二に、アベノミクスをさらなる経済の好循環につなげ、希望を生み出す強い経済を実現します。
 アベノミクスのもとで、GDP、就業者数は増加し、賃上げ率も十七年ぶりの高水準となるなど、年明け以降の原油価格の下落や世界的な金融資本市場の変動にもかかわらず、経済の好循環は着実に回り始めています。他方、地方や中小企業を中心に、いまだ実感がないとの声があることも事実です。この経済の好循環を揺るぎないものとし、国民に広くアベノミクスの果実を実感してもらうことが最大の責務です。
 まず、デフレ脱却に向け、過去最高の企業収益を、賃上げを通じた消費拡大や設備投資の拡大に結びつけていくことが重要です。昨年末の税制改正大綱に盛り込んだ、法人実効税率二〇%台の来年度からの実現と、史上初の固定資産税の投資促進減税制度の創設によって、政府としても後押しする考えです。
 同時に、中小企業、小規模事業者、中堅企業がアベノミクスの成果を実感し、攻めの姿勢に転じることが我が国の成長に不可欠です。今後グローバル化が進めば進むほど、日本に根をおろして頑張る中小企業、小規模事業者、中堅企業が日本経済を支える屋台骨としてより重要になります。
 このため、地域のサービス業などの生産性向上を支援する、中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律の一部を改正する法律案を提出します。業種ごとに生産性向上に向けた方策をわかりやすく示した上で、商工会、商工会議所、地域金融機関などの地域支援機関が一体となって、固定資産税の軽減措置を初めとする金融、税制措置を含め、きめ細かな支援を行います。
 下請取引の適正化を図ることも不可欠です。本年度末までに、大企業一万五千社以上、中小企業一万社程度を対象に価格転嫁の状況などについて大規模な調査、三次、四次下請などの立場の弱い事業者に対する聞き取り調査を行い、きめ細かに実態を把握して、下請取引対策に万全を期します。
 また、来年四月からの消費税の軽減税率制度の導入に向け、中小企業、小規模事業者の準備が円滑に進むよう、複数税率に対応したレジの導入支援など、事業者支援にしっかりと取り組みます。
 こうした取り組みと同時に、日本が直面する中長期の構造的課題に挑み、未来を見据えた新たな国づくり、一億総活躍社会の実現に邁進します。戦後最大となる名目GDP六百兆円の達成に向け、希望を生み出す強い経済を実現することは、経済産業省の大きな使命です。
 世界に先駆けて第四次産業革命に取り組み、さまざまなイノベーションを生み出します。新産業構造ビジョンの策定を通じ、未来像を官民で共有し、自動走行やロボット、ドローン、医療・健康などさまざまな分野で、IoTを活用した、世界をリードできる先駆的事業を生み出します。
 世界最先端の研究開発環境の整備や大胆な規制緩和により、我が国に海外トップ人材や投資を呼び込む内なる国際化を進めます。また、産学連携や、ベンチャー企業の支援などを通じたオープンイノベーションの促進、知財戦略の強化、我が国発の国際標準獲得などに取り組みます。
 攻めのイノベーションを実現するためには、守りを固めることが不可欠です。独立行政法人などのサイバーセキュリティー対策強化や、人材育成、重要インフラのセキュリティー対策などに全力で取り組み、我が国の経済、産業を支えるサイバーセキュリティーを確保します。
 第三に、世界の成長を取り込んだ経済発展の実現です。
 去る二月四日、TPP協定が署名されました。昨年十二月には、日本が議長国であったITA拡大交渉が妥結しました。今後も、日・EU・EPAを初め、経済連携協定の早期妥結に全力を尽くします。
 TPPによる巨大な自由貿易圏の誕生は、多くの企業に新たな成長の機会を提供します。特に、TPPを中堅・中小企業にとってのチャンスとすることが最も重要です。今般の補正予算も活用し、支援機関を結集させた新輸出大国コンソーシアムを形成し、現地での商談や海外店舗の立ち上げなどを専門家がサポートできる体制をつくります。
 TPPは、農業を成長産業とするチャンスでもあります。関係省庁の英知を結集し、新商品開発の促進、コンビニエンスストアなどの小売流通業者などと連携した販路拡大などにより、農産物の輸出力強化に取り組みます。
 また、我が国が世界の成長エンジンであるアジアに位置するという地の利を生かし、アジアの課題にともに向き合い、ともに成長していくことが重要です。急成長するアジアでは、エネルギー、都市、交通などにおけるインフラ建設や産業人材育成が急務です。ERIAを活用しつつ、質の高いインフラパートナーシップを着実に実施し、二〇二〇年までに約三十兆円のインフラ受注を目指します。また、アジア域内の二十大学程度に寄附講座の設立を行うほか、AOTS、HIDAが培ってきた研修生ネットワークを強化することなどを通じ、アジアの人材育成に貢献しつつ、企業の海外進出を支援していきます。
 インバウンドも重要です。外国人観光客は、我が国経済の起爆剤となる存在です。我が国の地域には魅力的な観光資源がまだまだあります。外国人目線に立った観光地づくりを行うため、ファイナンスやマーケティングなどの支援を行い、強靱な観光産業を育成し、地域経済を活性化します。
 第四に、責任あるエネルギー・環境政策を推進してまいります。
 昨年末、COP21でパリ協定が採択されました。全ての国が参加する、公平で実効的な枠組みに合意したことは、大きな歴史的転換点です。エネルギー・環境分野の革新的な技術開発を強化し、我が国の強みを生かしたアジア太平洋地域などでの国際貢献を進めます。五月のG7エネルギー大臣会合においても、世界経済が直面するリスクに対応したエネルギー安全保障の強化に向け、議長国として議論をリードします。
 国内においては、四月からいよいよ電力の小売が全面自由化され、全ての家庭や事業所で、自由に電力会社や料金メニューを選べるようになります。今後も、電力システム改革を着実に実行しつつ、昨年夏に決定したエネルギーミックスの実現を進めます。エネルギーへの投資を大胆に拡大し、経済成長とCO2排出抑制を両立していくため、徹底した省エネと再エネの導入拡大などを柱とするエネルギー革新戦略をこの春までに取りまとめ、成長戦略や地球温暖化対策計画の策定に貢献します。
 再生可能エネルギーについては、国民負担を抑制しつつ、最大限導入を進めます。国民負担の増大の懸念や電力系統への受け入れ制約の発生といった課題に対応するため、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法等の一部を改正する法律案を提出しました。
 原子力については、原発依存度を可能な限り低減させることが基本方針です。同時に、資源に乏しい我が国が、経済性、気候変動の問題にも配慮しつつ、エネルギー供給の安定性を確保するためには、原子力はどうしても欠かすことができません。そのため、国民の原子力に対する懸念に真摯に応え、その信頼を高めてまいります。安全性を全てに優先させ、原子力規制委員会によって新規制基準への適合を認められた原子力発電所に限り、地元の理解を得ながら、再稼働を進めます。
 また、高レベル放射性廃棄物の最終処分についても、国が前面に立って取り組みます。国民や自治体との対話を丁寧に重ね、冷静に受けとめていただける環境を整えた上で、平成二十八年中に科学的有望地を提示することを目指します。
 使用済み核燃料の再処理などについては、電力自由化後も必要な資金が確保され、着実かつ効率的に実施される体制を整備するため、原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律の一部を改正する法律案を提出しました。
 足元の資源価格が低迷し開発投資環境が厳しさを増す中においても、石油、天然ガスなどの中長期的な安定供給に必要な開発事業を着実に進めるべく、積極的な資源外交とともに、JOGMECを通じた我が国企業への投資資金供給を進めてまいります。また、メタンハイドレートを含む国内資源の調査、開発を進めます。
 このほか、期限の到来のため、京都議定書に基づくクレジット取得業務を廃止する、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法の一部を改正する法律案を提出しました。
 今こそ、日本経済の成長軌道の確立に向け、目線を上げて挑戦するときです。今後とも、経済産業行政を取り巻く諸課題の解決に邁進してまいります。
 高木委員長を初め理事、委員各位の御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。

発言情報

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発言者: 林幹雄

speaker_id: 17007

日付: 2016-02-24

院: 衆議院

会議名: 経済産業委員会