堀越栄子の発言 (厚生労働委員会)
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○堀越参考人 日本女子大学、それから日本ケアラー連盟の代表理事をしております堀越と申します。よろしくお願いいたします。
私の資料は、このA4の三枚の資料、それと新聞記事とパンフレット、この三つになっています。主にレジュメに沿ってお話をさせていただきます。
私も、雇用保険法の一部改正案についての意見と言われたのですけれども、とても全部の点からできませんので、特に介護休業の部分についてまずお話をさせていただきます。
(一)の、仕事と介護の両立の必要性については、これはもう皆さんおわかりになっているかと思うんですけれども、当事者にとって、この当事者というのは介護者、いわゆるケアラーのことです、仕事と介護の両立が図られた場合に、退職、離職を回避して就業継続が可能になる。そうしますと、収入を得ることができて、社会参加ができる。それから、若者期、中高年期、高齢期などライフステージごとの生活が安定する。就業収入の確保と、低年金、無年金の回避。それから、ウエルビーイングの増大、ウエルビーイングというのは、WHOで定義づけられていますけれども、解釈としては、体や心、社会的に良好な状態であるということになります。イギリスのケアラーアクトという介護者のための法律の中では、ウエルビーイングを確保するということが目指されています。
企業にとっては、貴重な人材の流失が回避できる。社員の安心感、企業への信頼感が増す。
社会にとっては、困窮者を減らすことによって、社会的なコスト、リスクを低減する。介護を社会全体で支えることにより、安心社会の創造につながるというメリットがあるかなと思います。
両立できない場合については、この反対になりますので、ちょっとごらんになっていただければというふうに思います。
法改正案の評価ですけれども、介護休業部分について述べますが、基本的な方向としては私は賛成をいたします。
ちょっと法案の順番ではないのですが、ポイントについて述べさせていただきます。
まず、介護休業は九十三日ですけれども、今回、分割取得が認められました。それは上限が三回というふうになっています。介護が始まったとき、終わりそうなとき、その間というふうになっていまして、調査の中で、多分、三回とると、介護休業をとった人の九割ぐらいはカバーできるということになっているのですが、私はどうかなというふうに思っています。
分割できた方が使い方の範囲は広がりますけれども、対象家族一人につき三回上限でいいのかどうか。既にもう四回とっている人がいるということと、平均で四年とか、それから、十五年ぐらい介護している人もいます、その人が三回でいいのでしょうかというその疑問があります。
それから、もう一方、介護休業の分割取得の際に、介護休業というのは、佐藤先生がおっしゃったように、段取り休暇、段取りをつけるための休業でありますので、その間、介護休業期間中に自分が介護と仕事が両立できるようなシフトがつくれるかという、そこの支援がないと休業しても意味がないということになります。
二番目の、所定外労働の免除制度の創設は、これにも賛成でして、長時間労働回避のためにとても有用であると思っています。
それから、介護休暇の一日未満、半日の単位での取得、これについても、私も要介護五の九十六の母がいますけれども、こういうとり方というのはとても助かるなというふうに思っています。
ただし、介護休暇は年五日というふうになっていまして、ケアマネジャーの人を頼んで月一回のモニタリングをしますと、例えば半日としても十二カ月で六日間かかりますので、五日というのは余り根拠がないのではないだろうかと思っています。それから、日本の場合、通勤時間が長いので、もしも一日かかるとすれば、十二日という案もあるのではないだろうかと思っています。
それから、給付率の引き上げで四〇%から六七%。これも経済的困難を回避するためにとてもいいというふうに思いますが、その次のページに行っていただきまして、社会保険料について、育休同様の免除が求められるのではないかと思っています。
それからもう一つ、介護休業取得を理由とした不利益防止のための雇用管理上必要な措置というのも、これも、結局制度があってもとれない雰囲気であるということがとても問題になっていますので、社員への周知や実効ある不利益防止はとても重要だと思っています。
ひとつこのパンフレットを見ていただきたいんですが、これは二〇一〇年の調査です。七ページをごらんください。
七ページは、介護しているケアラー自身が欲しい支援です。下の方を見ますと、とても欲しいというので、二十番、二十一番、専門職や行政職員のケアラーへの理解、地域や職場のケアラーへの理解が欲しいということで、こうした職場での制度の周知や実効ある不利益防止はとても重要だというふうに思っています。
それから、二番目の、きょう意見をというふうに言われました介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案に係る見解ですけれども、これも、基本的な方向性は賛成しています。
つまり、処遇改善の費用を国が支給するというものでして、今行われているものについては、介護あるいは障害等々、いわゆる直接処遇をする職員について処遇改善の給付をするということです。
実は、私も社会福祉法人の理事と評議員と二カ所でやっていますが、これは本当に困りました。つまり、チームで働いているわけですね。職場の中で、確かに直接に処遇する職員の方は大事ですけれども、職場の中に差を持ち込むということが、職場運営にとって問題があるという判断もあったかと思います。私のかかわっている社会福祉法人では、そのため、本部から持ち出しをして、そのときに、当たらない事務職の人等も含めて支給をするということをいたしました。
ですから、今回の、事業所によって、全職種に給付するのか、あるいは介護や障害の職種なのかというのを選べるということについては、とてもいいのではないかというふうに思っています。額についてはちょっと問題があるかと思いますが、制度上はとてもいいのではないかというふうに思っています。
そこにサービス分野と書き過ぎたんですけれども、就労支援の職員にも出ているんですが、東京都の単独事業については該当しなかったという意味でちょっと書きました。
それから、介護休業については、介護に直面してからの事後対応型の制度です。ですから、事前教育を含む総合的な事前対応モデルがこれからは必要なのではないかということを考えています。
この点で六点申し上げたいんですけれども、一つ目は、介護休業の対象者像を、イメージを二十代、三十代にも広げてほしいと思います。
中高年が老年代を、あるいは老老介護が言われますが、十代、二十代、三十代でも介護をしている若年者はふえています。あるいは、学生の相談もありますが、就活の時点から就業を諦めるという若者たちも出ています。離職、退職に追い込まれる若者もいますから、若者世代も視野に入れて、全世代対応型のことを考えていただきたいというのが一点です。
二点目は、介護者教育をしていない。
最低限四十歳からは、保険料を払っているわけですから、しかも、介護者になる可能性があるので四十歳から被保険者になりました、ということで、介護をすることになった場合に、介護の知識だけではなくて、どのようなリスクが生じることがあるのだろうか、あるいはどんな制度が使えるのかも含めて、そういう研修等々が必要です。
これは、大企業はできるかもしれないけれども、中小企業等、研修機会を持つことが不可能な場合には、自治体と連携をして、地域での研修を可能にする取り組みが求められると思います。
あと、年代にかかわらず、子供でも介護をしているヤングケアラーというのはいますし、今調査をしているんですけれども、小学生でも親の介護をしている子供がいます。学校に行けなかったり、親が心配でうちにいたり、小さい自分の妹、弟の面倒を見たりということで、学習に問題が起こったり、洗濯がちゃんとできていなくてにおってしまったりとか、栄養状態が悪いとか、いろいろなことがありますので、そういうところの教員に対する教育も実は必要なのではないか、そういうこともあります。
三ページ目ですけれども、介護の多様化に対応するということで、遠隔地介護、複数介護、ダブルケア。
今、結婚年齢が遅くなっているので、育児と介護をしている人が、就学前の子供を持つ人の六%ぐらいはおります。それから、家族の形態、世帯構成が変わっているので、介護休業の対象家族の同居、扶養要件が決まっていますが、これでいいのかというと、漏れる人が大分出てくるのではないかと思います。
四番目については、先ほど申し上げました。
五番目について、介護休業、先ほど申し上げた段取り休暇ということですので、そのアピールをすべきだということと、ただ一方で、それは地域での介護条件が整わないととても大変なことになってしまうということがありますので、特に総合相談の受け入れ体制をつくるということがあります。
このように、介護者支援、ケアラーの支援は総合的、包括的ケアシステムの中で行う必要がありますので、介護者支援をぜひ制度化、法制化も含めて、していただく必要があるというふうに私たちは考えて活動をしています。
介護保険制度や障害者総合支援制度があっても、家族の介護、看護は必要です。介護休業が取得できたとしても、介護者には日常的に大きな負担がかかりまして、仕事と介護と生活、三つです、それがトリプルで成り立つということを考えるための国のバックアップというものがとても大事だと思っています。
最後に、佐藤先生はケアマネジャーの役割がとても大事ということをおっしゃって、それはそうなんですが、ケアマネジャーは介護が始まってからの役割になりますので、その前から考える必要があるかなというふうに思います。
ケアマネジャーは要介護者の味方です。それは必要な役割です。でも、介護する側の味方が、同じ要介護者の味方が介護者の味方というのは、ちょっと引き裂かれる感覚になるのかなと思うので、私はその辺の制度設計についてはもう少し考えた方がいいかなと思います。
必要なことは、要介護者、介護が必要な人にはケアプランを立てていますが、介護者、ケアラーにはライフプランが必要だということですので、そこを強調して問題提起にかえさせていただきます。
どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)