笠井亮の発言 (本会議)
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○笠井亮君 私は、日本共産党を代表して、TPP、環太平洋連携協定及び関連十一法案について質問します。(拍手)
ことし二月、米国、日本など十二カ国が署名したTPPに対して、参加各国で国民の反対の声が沸き上がり、発効の見通しは立っていません。
ところが、安倍内閣は、早期発効に向けた機運を高めていきたいなどと、前のめりに批准を強行しようとしています。
TPPは、参加各国が関税を原則撤廃するもので、農産物輸入が完全に自由化され、農林漁業と国民の食料に大打撃となるものです。
さらに、非関税障壁撤廃の名のもと、食の安全、医療、金融、保険、官公需、公共事業の発注、労働など、国民生活のあらゆる分野で規制を取り払っていくものです。
安倍内閣が、その交渉内容や国民へのリアルな影響も明らかにせず、批准に向けてひた走るなど、断じて許されません。総理の明確な答弁を求めます。
TPPは、国会決議に明確に違反するものです。
二〇一三年の国会決議は、農産物の重要五項目、米、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖は、関税撤廃を認めない、除外または再協議にするとしています。
自民党は、この決議を守ることを国政選挙の公約にしたはずです。
ところが、今回のTPPでは、安倍総理自身も聖域とした重要五項目のうち三割の品目で関税が撤廃され、米でも、関税ゼロの特別輸入枠まで新設されました。
わずかに残った関税も、発効七年後には、撤廃に向けた協議を約束させられました。
これは明白な国会決議違反、公約違反ではありませんか。
国会決議はまた、交渉により収集した情報は、国会に速やかに報告し、国民への十分な情報提供、幅広い国民的議論を行うことを求めています。
ところが、安倍内閣によるTPP交渉は、入り口から出口まで徹底した秘密交渉が貫かれ、日本の参加条件とされた日米二国間の並行協議でも、何が話し合われ、日本が何をどう受け入れたかもわかりません。これも国会決議違反です。
しかも、協定は日本語が正文になっていません。附属書などを含む全文の和訳の国会提出が求められているのに、英文八千四百ページのうち六千ページ分もの和訳が提出されていません。
安倍内閣が、甘利前大臣のもとで秘密裏に進めてきた内容を含め、交渉の全経過を国会と国民に報告することを初め、十分な情報開示を行うことを強く求めます。
TPPは、暮らしと経済のあらゆる分野で、国民の利益と経済主権を多国籍企業に売り渡すものになっています。
米国を代表する百八の多国籍企業、業界団体が名を連ねたTPPのための米国企業連合は、米政府に要求書を出し、例外を設けることは、米国の農業者、製造業者、サービス業者が新しい市場に事業を拡大する機会を制限すると、専ら多国籍企業の利益拡大の立場から日本に市場開放を求めてきました。これこそ、TPPの真実ではありませんか。
日本でTPPを強く要求したのは、日本経団連など財界や多国籍企業だけであります。JA組合長の九三%は国会決議が守られていないと表明し、各県医師会や子供を持つ親からも懸念の声が相次いでいます。
国民の側からTPPを結んでくれなどという声は上がっていないではありませんか。
農業の関税撤廃をめぐって、安倍政権は、百五十六のタリフラインの関税を維持したなどと言います。
しかし、段階的関税削減を含めて八二%以上の撤廃は、日豪EPA、経済連携協定やウルグアイ・ラウンド農業合意をはるかに上回るもので、史上最悪の農業潰しにほかなりません。
日本共産党は、昨年十月の大筋合意後、全国での農業調査を行いました。ある自治体からは、TPPで離農が波を打って押し寄せるのではないかとの心配を聞きました。あるミカン農家は、父親が地域の農家から信頼されて託してくれた園地を自分の代でだめにするわけにはいかないと涙まじりに語りました。
総理は、こうした声をどう受けとめますか。
今、政府が行うべきは、農産物の価格保障と所得補償を組み合わせ、安心して再生産できる農業をつくることであり、国民への食料の安定供給、食料自給率を引き上げることこそ最大の責任ではありませんか。
TPPの大きな眼目は、進出する多国籍企業の利益を保証する非関税措置の撤廃です。すなわち、あらゆるサービスが規制緩和の対象となり、緩められた規制をもとに戻せない仕組みや、企業や投資家が損害を受けたとすれば、ISD条項を用いて相手国を訴えられる仕組みまで盛り込んでいます。
このもとで、遺伝子組み換え作物や輸入食品の急増で食の安全が脅かされかねません。製薬企業が薬価決定に影響力を及ぼして薬価が高どまりし、労働分野では、賃金低下、非正規雇用の増加、労働条件の悪化がますます進行するのではありませんか。
政府や自治体が発注する建設事業などでは、国際入札の義務により地産地消の取り組みができなくなり、地域の仕事が奪われることになりませんか。
将来の保険医療制度などの協議や日本郵政における保険商品販売など、既に米国の要求に応えている金融、保険では、TPPをてこに継続的に米国の利害関係者が日本に物を言える仕組みを盛り込んでいるではありませんか。
加えて、TPPが発効した途端、協定に基づく各種委員会が立ち上がり、日本に再交渉を迫る仕組みまで盛り込まれています。
まさに、幅広い分野で、今後の国民生活と営業を脅かすことは明白であります。
次に、TPPの経済効果についてです。
安倍内閣は、貿易や投資拡大でGDPを十四兆円押し上げる一方、農業への影響は、牛肉、豚肉、乳製品等三十三品目が千三百億円から二千百億円の生産減となるだけと、極めて過小に評価しています。
また、TPPは八十万人もの新しい雇用を生み出すと吹聴しています。しかし、この八十万人は、ある分野で雇用が失われても、労働者は他の分野へ自由に移動できるので、結果として失業は起きないという、全く現実とかけ離れた想定ではありませんか。
総理、農業への影響、非関税措置撤廃への影響について、なぜ責任ある試算を示さないのですか。TPPがもたらす深刻な打撃をないものと描くまやかしの試算で国民を欺くことは、断じて許されません。
日本が進むべきは、経済格差を拡大するTPPではありません。国民の懐を暖める経済への抜本的転換とともに、アジアと世界で、各国の経済主権、食料主権を尊重しながら、平等互恵の経済関係を発展させる貿易・投資のルールづくりの先頭にこそ立つべきであります。
真の国益に反するTPPは、徹底審議の上、批准でなく撤退を、関連十一法案の廃案を強く求めて、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕