江田憲司の発言 (本会議)
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○江田憲司君 民進党の江田憲司です。
私は、民進党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました安倍内閣不信任決議案に賛成の立場で討論をいたします。(拍手)
安倍内閣を不信任にすべき第一の理由は、アベノミクスの破綻と、その必然の帰結たる一〇%消費増税の先送りです。そして、その先送りの理由を、みずからの経済失政ではなく、世界経済のせいにして責任を回避しようとする、その安倍総理の政治姿勢そのものです。
安倍総理、総理は二〇一四年十一月、一〇%への消費増税の延期を表明された際、再び延期することはない、はっきりとそう断言する、景気判断条項を付すことなく確実に実施する、三本の矢をさらに前に進めることにより、必ずやその経済状況をつくり出すとおっしゃった。そう、景気情勢いかんにかかわらず、財政健全化のため、国民に消費税を一〇%にするという約束をしたんです。そして、その是非を問う解散・総選挙まで断行した。
ところが、今、そのあなたが再びその消費増税を再延期しようとしているんです。信なくば立たず。総理、総選挙での公約を一体何と心得ているんでしょうか。一国の総理の言葉はそんなに軽いものなんでしょうか。身内の麻生財務大臣や稲田政調会長からさえも、増税先送りならば衆議院を解散して信を問うべきだ、そうじゃないと筋が通らないだろうとの声があったと聞いております。
アベノミクスが本当に功を奏しているなら、再延期の必要などありません。そうです、再延期なら、アベノミクスが失敗したことを総理みずからが認めたということにほかなりません。この重大な公約違反、国民にうそをついたことになるというだけで十分過ぎるほどの不信任の理由ではありませんか。
政権発足以来、あなたは、アベノミクス、アベノミクスと呪文のように唱え続けてきました。しかし、ほとんどの国民が景気回復を実感せず、生活は一向によくならないばかりか、格差や貧困が広がっている。確かに、金融緩和、第一の矢は飛びました。しかし、これはあくまでもカンフル剤です。確かに、一本打てば一時的に体はしゃきっとする。円も安くなり、株も上がった。ただ、当初から私も警鐘を鳴らし続けてきましたが、カンフル剤は二本も三本も打つものじゃないんですよ。打っても、その効果はどんどん減殺されていくんです。総理、今そのとおりのことが起こっているんじゃありませんか。
そして、財政出動、第二の矢はとんでもない方向に飛んでいる。国民の貴重な税金を、国の新陳代謝、技術革新や国民の生活に充てていけばいいものを、安倍政権は相変わらず公共事業のばらまきや使い道のない基金へのブタ積みに充てているんです。
例えば、公共事業は、安倍政権になって、補正予算を含む決算ベースで年間十兆円にまで膨れ上がりました。それまでの五兆円の倍もの額です。震災対応等である程度増額するのはやむを得ないとしても、余りにもばらまいたため消化不良を起こし、財務省によると、何と毎年二、三兆円も使い残している。こんなお金があったら、一体幾つの老人ホームや保育園が建てられるというんでしょうか。
また、たび重なる景気対策、補正予算編成等で安倍総理からの指示を受けた霞が関官僚は、もう知恵がない。とりあえず、税金を積んでおく基金を三百以上もつくった。補正予算の規模、見ばえのための苦肉の策です。その結果、支出されないで残ったお金が毎年数千億円オーダーで国庫に返納されています。
こんな税金の無駄遣いをしていて、総理、一体あの八%への消費増税は何のためだったんでしょうか。消費税収は社会保障に充てると言っていたじゃありませんか。
こうした国民を欺く予算編成、税金の無駄遣いをしていることも大きな不信任の理由です。
そして、致命的なのは、肝心かなめの第三の矢が飛んでいないことです。規制改革を初めとした成長戦略、今回のサミットでも指摘された構造改革政策が全く進んでいない。これではアベノミクスが行き詰まるのは自明のことでしょう。
何のことはない、アベノミクスとか三本の矢とかという巧みな言葉で一くくりにしたネーミングに、多くの国民も含め、これまでさんざん惑わされてきましたが、その中身は、金融、財政、構造改革という、いわばこれまでどの政権もとってきた当たり前の政策手法ばかり。それが、いつものことですが、自民党の支持基盤や利権におもねり、既得権益の壁が打ち破れなかった結果、安倍政権でもその限界を露呈してしまったということじゃないですか。
思い起こせば、二〇一二年十一月の党首討論でも、安倍総理は、来年の通常国会において定数削減と選挙制度改革を行っていくと約束しました。それが今国会の公職選挙法の改正まで引き延ばされ、おまけに、アダムズ方式の採用による抜本改革は二〇二二年、十年先に先送りですか。一体、そんなときまで安倍政権は続いているんですか。消費増税の再延期も二〇一九年十月では、あなたはとうに総理・総裁の任期を終えているんじゃありませんか。無責任きわまりない。
公約違反の、消費増税や選挙制度改革の先送り。総理、綸言汗のごとしという言葉を御存じですか。一国のトップが一度口にした言葉は訂正したり取り消すことができないということ。私も自民党の総理にお仕えしたことがありますが、当時の自民党宰相には、最低限、国のトップとしての矜持というものがありました。
そして、今回は、やってはならない伊勢志摩サミットの政治利用です。アベノミクスの失敗を認めたくない安倍総理は、事もあろうに先週のサミットで、今日の世界経済はリーマン・ショック並みの危機に陥るリスクがあると主張し、それを消費増税再延期の理由にした。
この総理の認識に対しては、即座にイギリスのキャメロン首相やドイツのメルケル首相から異議が出たと海外メディアが報じています。政府部内からも、サミット直前に発表された月例経済報告の認識と違う、安倍総理が国内政局のために意図的に都合のよいデータをつまみ食いしただけだとの批判が出ている始末です。
サミットという首脳会議の場で、しかも議長として、日本国の品格をおとしめた安倍総理に、恥ずかしいという思いを抱くのは私一人だけでしょうか。
民進党は、現下の日本経済の現状を直視し、強い者をさらに強くすれば弱い者にもそのおこぼれが行くだろうというトリクルダウンのアベノミクスではなく、財政では、介護や子育て、教育支援などを初め、人への投資を通じた公正な分配の実現により、普通の人から豊かになれる、幸せになれるボトムアップ型の経済政策に転換すべきだと考えています。もちろん、構造政策、成長戦略では、規制改革による新規参入、起業促進、イノベーションなどによる生産性の向上を図っていかなければなりません。
そして、増税に耐え得る経済体力をつけた上で、二〇一九年四月には消費税を一〇%にする法案を今国会に提出しました。その間、徹底した行財政改革、身を切る改革を断行し、必要な財源を生み出しながら、子育て支援や低年金者対策を初めとした社会保障の充実は予定どおり実施し、軽減税率にかえて、給付つき税額控除、総合合算制度を実現する。
安倍総理の言う二年半の増税延期なら、二〇二〇年度の基礎的財政収支の黒字化目標の達成は困難でしょう。にもかかわらず、我々より半年あえて増税をおくらせるのは、国益よりも選挙、その年の夏にある参院選前には増税したくないという党利党略だと断じざるを得ません。
安倍内閣を信任すべきでない第二の理由は、この内閣が、違憲の安保法制の強行により、我が国の国是、すなわち憲法の平和主義と立憲主義をないがしろにしようとする言語道断の内閣だからです。しかも、それは、戦後レジームからの脱却を唱えてきた安倍総理の確信犯的な所業なんです。
その安倍安保法制は、言うまでもなく欠陥、矛盾だらけ。例えば、安倍政権はあくまで自国防衛のための集団的自衛権と言い募りますが、そんな概念は国際法上ありません。集団的自衛権とは他国防衛の権利です。これが、国際司法裁判所のニカラグア事件判決を初め、国際法の常識なんです。しかし、安倍政権は、今回の集団的自衛権はあくまで自国防衛のためとし、憲法が許容する必要最小限度の武力行使だから合憲というトリックを使った。
しかし、本当にそうなら、日本が存立の危機にあるのに、それが限定的であれ集団的自衛権と位置づけられるため、ニカラグア事件判決も要件とする他国からの要請がないと自衛隊が出動できなくなる。どこの国に、自国が深刻な危機に直面しているのに、他国からの要請がなければ何もできないなんという国があるでしょうか。この一点をとってみても、今回の法制が深刻な欠陥、矛盾を抱えていることがわかるんです。
存立危機事態という概念自体も、幸福追求権が根底から覆されるなどという曖昧な言葉を使うから、武力攻撃以外の経済的要因、ホルムズ海峡の閉鎖というケースも入ってしまう。後方支援する地域もより前線に近づき、武器弾薬の提供や戦闘機への空中給油までできるようになると、明らかに敵はそこを狙う。兵たんをたたけが戦争の常識、鉄則だからです。そうなると、自衛隊も応戦せざるを得ない。重要影響事態法で後方支援は地球の裏側まで可能となりますから、自衛隊が、他国、例えば米国の戦争に巻き込まれる危険性も格段に高まるんです。
こうした違憲の、国際法の常識もわきまえない、従来の政府解釈すら踏みにじる安倍安保法制は白紙に戻し、民進党は、改めて、中国の海洋進出や北朝鮮の核ミサイルの脅威から国民の生命財産、領土、領空、領海を守る対案を国会に提出いたしました。しかし、安倍政権、与党自民党は、あれほど対案を出せ出せと言っていたのに、この国会で一顧だにしませんでした。今でも、国民の過半数はこの安保法制に反対です。
総理、国会での対案審議を通じて、国民の理解を深めようとする努力をなぜされなかったんですか。これだけでも内閣不信任の理由は十二分にあると私は考えます。
そして最後に、安倍内閣による言論統制です。ことしの春、安倍政権に批判的なニュースキャスター、コメンテーターが続々と番組を降板しました。その全てを安倍内閣、与党自民党の圧力の結果だとは言いません。しかし、放送局の監督官庁である総務省のトップ、高市総務大臣が予算委員会という公の場で堂々と、政治的中立性に関連して、放送局への電波停止の可能性にまで言及した。これをメディアへの圧力と言わずして何と言うんでしょうか。
こうした言論統制、表現の自由や報道の自由が危機にさらされている状況も、安倍内閣になってから特に顕著です。極めてゆゆしき事態だと断ぜざるを得ません。
そうです。これはいつか来た道ではないのでしょうか。戦前、言論統制、言論弾圧、大本営発表のもとにひたすら戦争への道に突き進んだ、あの悪夢を二度と繰り返してはいけません。我々は、この国の将来のために、子や孫のために、二度と戦争への道を歩んではいけないんです。
我々民進党は、こうした安倍強権政治に対峙し、この国の道筋に誤りなきよう、国是たる平和主義と民主主義、立憲主義を徹底的に守り、持続的な景気回復を実現し、将来の社会保障に全きを期する。そのために、来るべき参院選を全力で戦い抜くことをここにお誓い申し上げ、私の賛成討論といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)