志位和夫の発言 (本会議)

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○志位和夫君 私は、日本共産党を代表して、安倍内閣不信任決議案への賛成討論を行います。(拍手)
 私は、不信任の理由として、安倍政権が、国民多数の民意に背いて、次の五つの大罪を犯してきたことを厳しく指弾するものです。
 第一は、憲法違反の安保法制、戦争法を強行し、我が国の立憲主義を根底から破壊しようとしていることです。
 戦争法には、戦闘地域での米軍等への兵たんの拡大、戦乱が続いている地域での治安活動、地球のどこでも米軍を守るための武器使用、そして集団的自衛権の行使、自衛隊の海外での武力行使を可能にする四つの仕組みが盛り込まれています。そのどれもが憲法九条を乱暴にじゅうりんするものであることは、既に明々白々となっています。
 自民党などは、この間、北朝鮮が国連決議を無視した核兵器、ミサイル開発の暴挙を行ったことを利用して、集団的自衛権を備えないと北朝鮮の脅威から国を守れないなどと言い募っています。しかし、北朝鮮問題に対応するのに、どうして集団的自衛権が必要か。
 集団的自衛権の行使とは、日本に対して武力攻撃をしていない国に対して、日本の側から武力の行使をするということです。それは、相手国から見れば、事実の問題として、日本による先制攻撃となります。それは、相手国に日本を攻撃する大義名分を与えることになります。
 国民の命を守るのではなく、国民を進んで危険にさらす、ここにこそ集団的自衛権の本質がある。それは既に国会審議で浮き彫りにされたことではありませんか。北朝鮮問題を利用して戦争法を合理化するなど、論理的に成り立つものではありません。
 戦争法が三月に施行され、日本の自衛隊が戦後初めて外国人を殺し、戦死者を出す、差し迫った危険が生まれています。
 我が党は、この間の国会論戦で、南スーダンのPKOに派兵されている自衛隊の任務拡大、過激武装組織ISに対する軍事作戦への自衛隊の参加、アフガニスタンの治安部隊を支援する多国籍部隊への自衛隊の参加などが、最初の殺し、殺されるケースになりかねないことを強く警告してきました。政府はどのケースについてもその危険を否定できなかったではありませんか。日本を再び、殺し、殺される国にしてはなりません。憲法違反の安保法制、戦争法はきっぱり廃止すべきです。
 安倍政権が、安保法制、戦争法強行に際して、憲法九条のもとでは集団的自衛権は行使できないという戦後六十年余にわたる政府の憲法解釈を一内閣の専断で百八十度覆すという、立憲主義を乱暴に破壊するやり方をとったことが、日本の法治国家としての土台を根底から危うくしています。
 野党が憲法五十三条に基づいて行った臨時国会召集要求を握り潰す。放送局の電波を停止できるなどという憲法破りの発言を行った閣僚を内閣挙げて擁護する。安倍総理とその内閣には、自分たちが憲法によって縛られているという自覚が全くありません。このような内閣に国政を担う資格は断じてありません。
 さらに、総理は、憲法を改正していく、来るべき国政選挙で自民党改憲案をお示ししていきたいと公言しています。自民党改憲案は、憲法九条二項を削除し、国防軍の創設を明記し、海外での武力行使を無条件で可能にするものとなっています。緊急事態条項という事実上の戒厳令に道を開く毒薬が盛り込まれています。公益及び公の秩序の名で基本的人権を制約するものとなっています。
 憲法を憲法でなくしてしまう、憲法によって権力を縛るのではなくて、憲法によって国民を縛るものへと大変質させる、安倍政権による憲法改定の野望を絶対に認めるわけにはいきません。
 第二は、三年半にわたるアベノミクスが破綻し、日本経済と国民生活を深刻な危機に陥れていることであります。
 総理は、世界で一番企業が活躍しやすい国を目指すと宣言し、まず大企業を応援し、大企業がもうけを上げれば、いずれは家計に回ってくると言い続けてきました。しかし、現実は、それが妄想だったことを証明しました。大企業は史上最高の利益を上げましたが、労働者の実質賃金は五年連続マイナス、五%も目減りしました。
 消費税大増税路線が大きな破綻に陥っています。消費税八%への増税に際して、我が党は、景気悪化の悪循環の引き金を引くと強く警告し、中止を求めましたが、総理は、影響は一時的と言って増税を強行しました。結果はどうですか。日本経済の六割を占める個人消費は、増税実施から二年以上たっても冷え込み続けているではありませんか。二〇一四年度、一五年度と、個人消費は二年連続マイナスとなりましたが、これは戦後初めての異常事態にほかなりません。
 追い詰められた総理は、来年四月からの消費税一〇%への引き上げについて、二年半先送りする方針を示しました。これは、アベノミクスの破綻、消費税大増税路線の破綻を示すものにほかなりません。にもかかわらず、総理は、みずからの失政の責任を認めず、先送りの理由を世界経済に転嫁し、破綻した路線にしがみつき続けています。
 総理は、世界の経済はリーマン・ショックの前の状況に似ているなどと述べましたが、そんなことを言っているのは世界の中でも安倍総理だけであります。現に、伊勢志摩サミットでも、総理のそうした主張は受け入れられず、首脳宣言には、「世界経済の回復は続いている」と明記されたではありませんか。
 リーマン・ショックのような危機というなら、世界経済ではなくて、日本経済の現状こそ当てはまります。現在の個人消費の落ち込みは、リーマン・ショックのとき以上に深く長く深刻です。アベノミクスの失政、消費税大増税の失政、総理の失政がこういう事態をつくり出したのです。
 そのことへの反省もなく、みずからの経済失政の責任を世界経済に転嫁し、破綻した路線にしがみつく、これは余りに無責任であり、厚顔無恥ではありませんか。もはや総理に日本経済のかじ取りをする資格はありません。
 消費税頼みの道は破綻が明瞭となりました。消費税一〇%への増税は、先送りでなく、きっぱり断念すべきです。
 富裕層と大企業への優遇税制を正し、応分の負担を求める、消費税に頼らない別の道への転換が必要です。経済政策のかじを、財界、大企業応援から国民の暮らし最優先へと大きく切りかえることを強く求めるものであります。
 第三は、みずから賛成した国会決議すら無視したTPP協定を力ずくで押し通そうとしていることであります。
 わずかな国会審議でも、TPP協定が二〇一三年の国会決議に二重に違反していることが明らかになりました。
 一つは、国会決議が国民に十分な情報提供を求めているにもかかわらず、異常な秘密主義で批准を強行しようとしていることであります。
 いま一つは、国会決議では、農産物の重要五項目、米、麦、豚・牛肉、乳製品、砂糖は関税撤廃を認めない、除外、再交渉としているにもかかわらず、それをじゅうりんしていることであります。
 重要五項目のうち三割の品目で関税が撤廃され、残る七割でも関税率を引き下げるなど、無傷な品目は一つもないことが明らかになりました。しかも、発効七年後には、日本だけが、残った関税も撤廃に向けた協議が約束させられました。こんな協定に調印して聖域を守ったなどと言うのは、国民への大うそではありませんか。
 農林水産業、食の安全、医療、雇用、保険、共済、政府調達などあらゆる分野で、日本の経済主権を、米国を中心とする多国籍企業に売り渡す亡国のTPP協定は撤回すべきです。国民に大うそをついた安倍政権は退陣すべきです。
 第四は、福島原発事故が収束せず、今なお福島県全体で九万人を超える方々が避難生活を強いられているにもかかわらず、原発再稼働と原発輸出への暴走を行っていることです。
 この暴走は、国民多数の声を踏みつけにしたものです。どんな世論調査でも、再稼働反対は五割から六割と揺るがない多数派です。この世論の圧力を受けて、二〇一三年から一五年までの約二年間にわたって稼働原発ゼロとなりました。日本社会は原発ゼロでも立派にやっていけることが、国民的体験を通じて明らかになったではありませんか。
 この暴走に未来はありません。とりわけ核のごみ、使用済み核燃料の問題は、文字どおり八方塞がりとなっています。原発を再稼働させた場合には、計算上わずか六年で全ての原発の貯蔵プールが満杯になります。再処理した場合には、利用目的のないプルトニウムがとめどもなく蓄積されることになります。
 原発ゼロの日本の決断こそ必要です。国民の命と安全よりも、原発でもうける巨大企業の利益を優先させる安倍政権に、国政を担う資格はありません。
 第五は、沖縄県民の意思を無視して新基地建設を押しつけてきたことです。
 元海兵隊員によって引き起こされた卑劣な蛮行に強い憤りを持って抗議します。これは基地があるゆえの犯罪です。沖縄に基地を押しつけ続けた日米両政府の責任は極めて重大です。
 日米両政府は、事件が起こるたびに、再発防止、綱紀粛正と言ってきましたが、守られたためしがないではありませんか。それならば基地撤去しかないではありませんか。少なくとも、米軍に不当な特権を与え、犯罪の温床となっている日米地位協定を見直すことは、最小限の緊急課題ではありませんか。
 ところが、安倍政権の対応はどうか。五月二十五日の日米首脳会談で、総理は、基地撤去はおろか、日米地位協定の見直しすら提起しませんでした。それどころか、この場で、名護市辺野古の新基地建設を唯一の選択肢と述べ、その推進を誓約したのです。このどこに沖縄に寄り添う心がありますか。米国に物を言えず、沖縄の怒りも痛みもわからない安倍政権には、主権国家の代表者たる資格はありません。
 今、安倍政権の暴走に反対して、戦後かつてない新しい市民運動が豊かに発展し、この運動に背中を押されて野党共闘が大きく前進しています。
 野党と市民の共闘を必ず成功させて、選挙に勝ち、自公を打ち倒し、憲法の平和主義、立憲主義、民主主義を貫く新しい政治を築くために全力を尽くす決意を表明し、安倍内閣の速やかな退陣を強く求めて、私の賛成討論を終わります。(拍手)

発言情報

speech_id: 119005254X03620160531_014

発言者: 志位和夫

speaker_id: 1300

日付: 2016-05-31

院: 衆議院

会議名: 本会議