渡邉美樹の発言 (国の統治機構に関する調査会)

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○渡邉美樹君 自由民主党の渡邉美樹でございます。
 当調査会では、「二院制議会における今日の参議院の役割」について、これまで六名の参考人に意見をお聞きし、それぞれ積極的な意見交換、質疑がなされてきました。六名の参考人との議論を踏まえて、会派として取りまとめた意見ではございませんが、私なりの意見を申し上げさせていただきたいと思います。
 先進各国において二院制の国は数多くありますが、二院制を採用する理由として、下院とは異なる役割を上院に持たせるということは多くの国で共通したことでございます。
 岩崎参考人は、カナダを例に、カナダは上院の役割を熟慮の議院とし、下院を補完することとした、中長期的視野による立法活動、下院通過法案に対する大局的観点からの再検討等の役割を持たせた、そのためには議員の見識、専門性、中立性、独立性が必要であり、政権から距離を置く議員で構成される必要があった、そのため、選出方法は選挙によるものではなく任期を定めない任命制を採用したと述べられています。
 しかし、我が国日本におきましては、選挙制度並びに議事手続等において衆議院と参議院の両院が類似しており、実際の審議内容も似通っていることから、参議院は衆議院のカーボンコピーであるといった批判の声が様々な有識者から聞こえてまいります。当調査会におきましても、複数の参考人から、参議院は独自性を発揮できていない、このままでは参議院はその存在意義を問われ続けることになると厳しい意見もございました。私も三年前に参議院議員にならせていただきましたが、衆議院と同じような議論が繰り返される今の参議院の在り方には大変疑問を感じております。あえて誤解を恐れずに極論を言わせていただければ、今のままの参議院は必要ないというのが私の率直な意見でございます。
 私は、選択肢は二つしかないと考えております。一つは、先ほど申しましたように、参議院を廃止し一院制に移行するというものです。しかし、一院制への移行は大幅な憲法改正が必要であり、憲法改正には参議院の三分の二以上の賛成となります。それは参議院議員が自らを否定することであり、現実的には難しいと思われます。もう一つの選択肢は、衆議院のような与野党対決色を薄めて、参議院の役割を政策の有効性評価、行政監視、決算といった機能に特化するというものです。こちらが現実的かつ望ましい姿だと私は考えております。
 勝山参考人も、参議院がその独自性を発揮するために、与野党対立から距離を置いた客観的な立場での行政監視が参議院の持つ機能として重要であると述べられました。政策評価や法律の施行状況の調査は議員の本来の責務である、政策の実施を承認し、その実施状況を監視して是正を図るのは議会の職務であるとも勝山参考人は述べられました。
 この行政監視についての私の意見を述べさせていただきたいと思います。
 私は行政監視委員でもあります。一昨日も質問をさせていただきました。私が大きな危機感を持っておりますのは、この国の行政にはマネジメントが欠如しているということでございます。
 マネジメントが欠如しているということは、具体的には次のような状態を指します。ビジョン、目標が欠如している、目標を達成するための具体的なKPI、キー・パフォーマンス・インディケーターが設定されていない、目標達成のための責任者が不明確で目標が未達でも誰も責任を取ろうとしない、PDCAを回すスピードが遅くPDCAが形式的になってしまっている、目標達成のための効率的な組織体制になっていない、同じような機能を持つ組織が乱立し責任の所在が不明確になり、非効率になり予算の無駄遣いが行われている。
 日本経済が力強く好転しないのも、地方創生や財政再建が思うようにいかないのも、私は行政のマネジメントの欠如が大きな原因の一つだと考えております。
 確かに、各省庁では、毎年原則として全ての事業で行政事業レビューを行っております。この行政事業レビューでは、外部有識者も参加し、外部の客観的な視点で事業の有効性を評価する仕組みになっております。しかし、実際に一つ一つの行政事業レビューの議事録を拝見すると、外部有識者からの本質的な問題提起や改善提案がされているにもかかわらず、そのような本質的な意見が行政事業レビューシートに必ずしも記載されておらず、事業の見直しに反映されていると言えない案件も多々見受けられます。
 一つ例を挙げますと、平成二十六年度の中小企業庁において、中小企業・小規模事業者海外展開戦略支援事業を行っています。これは中小企業の海外展開を支援するために補助金等を出す事業でございます。
 この事業に対して平成二十七年度に行政事業レビューが行われ、外部有識者から次のような意見が出ております。中小企業基盤整備機構とジェトロで役割が重複しているのではないか、ジェトロの本来的機能やリソースの見直しが必要なのではないか。この二つの指摘は、この支援事業の妥当性だけを評価したものではありません。中小企業基盤整備機構とジェトロの本来的機能やリソースの見直しを示唆しているものであります。しかし、この指摘を基にこの二つの組織の本来的機能やリソースの見直しは全く実施されておりません。
 また、総務省の行政評価局においても、毎年行政評価等プログラムに基づいて政策評価や行政評価が実施されております。しかし、アベノミクス新三本の矢、希望を生み出す強い経済、GDP六百兆円、夢を紡ぐ子育て支援、希望出生率一・八、安心につながる社会保障、介護離職ゼロやプライマリーバランスの黒字化といった政府目標を達成するために必要十分な政策評価、行政評価が行われているとは思えません。
 今本当に必要なことは、過去の延長線上に解を見付けることではなく、現状肯定ではなく現状否定から入らなければ政府目標を達成することはできないということです。行政の現状否定から議論ができるのは官僚ではなく政治家だと思います。今こそ、参議院における政策評価、行政監視機能が強く発揮されなければならないと私は強い問題意識を持っております。
 しかしながら、参議院における行政監視委員会は、直近三年間では、平成二十五年に五回、平成二十六年に五回、平成二十七年に四回しか開催しておりません。予算委員会が同じく直近三年間で毎年二十回以上開催されているのと比較すると、参議院として行政監視に注力しているとはとても言えない現状だと思います。これでは、国民から政治の怠慢だとお叱りを受けても仕方のない状況だと思います。
 また、元企業経営者の視点から言わせていただくと、国の決算の仕組みは明らかに問題があります。上場企業であれば、月次決算や予算管理という仕組みの中で予算項目ごとに費用対効果や妥当性を検証し、その結果を踏まえて次年度の予算を作成します。つまり、この国の決算と予算編成はそのようにはなっておりません。
 この点について、飯尾参考人は次のように述べられました。IT化が進むと決算までの時間はどんどん短くなるというのが各国の傾向である、海外では決算の仕組みを電子化し、四半期ごとに執行状況の報告があって、それを基に議論するという国も増えてきている、しかし日本はいまだに紙の時代のやり方で、一年で締めて、それから決算が出てくるということになっている、日本はどこから手を付けてよいか分からないから明治以来のやり方をいまだにやっている、アメリカでは十年以上掛けて決算システムを転換した、大きなシステムなので転換には十年以上掛かる、政治も行政も民間企業から学ぶべきところはたくさんあるとおっしゃいました。
 国の決算のシステムは諸外国に大きく差を開けられてしまっております。決算がスピーディーに行われていないということは、結果として多くの政治行政に、税金を使わせてもらっている、一円も無駄にしないという感覚の欠如をもたらし、予算は水膨れ化し、財政再建が遅々として進まない大きな原因になると私は考えます。
 参議院には解散はなく六年の任期を全うできるからこそ、本来であれば、決算システムの改善のような期間の長いテーマもじっくり取り組むことができるはずです。
 一票の較差ばかり話題になりますが、国民の最大多数の幸せのために参議院の役割はどうあるべきか根本から議論すべき時期であると私は考えています。参議院の役割が明確になれば、選挙制度もそれに合わせて変更があってしかるべきです。同時に、憲法四十三条等の改正の要否についても議論されるべきだと思います。
 今回の調査会の「二院制議会における今日の参議院の役割」の議論を決してこれで終わらせることなく、私たち参議院議員自らが積極的にこの問題に取り組んでいくことへの必要性を訴え、私の意見表明とさせていただきます。
 以上です。

発言情報

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発言者: 渡邉美樹

speaker_id: 16934

日付: 2016-04-06

院: 参議院

会議名: 国の統治機構に関する調査会