新妻秀規の発言 (国の統治機構に関する調査会)
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○新妻秀規君 まず、決算の参議院として重要な当院での決算審議の充実について意見表明をいたします。
自民党の渡邉美樹委員は、先ほど御本人からもございましたが、民間企業の経営者の観点から国の決算の問題点を指摘しました。すなわち、本来決算をしてから予算を組むのが当たり前なのに国会では順番が逆になっているという問題提起です。これについて飯尾参考人は、他国ではITの活用により決算までの距離が短くなっているとの傾向を紹介した上で、旧来のやり方を続けている日本政府は民間に学ぶべきとの意見表明をされました。海外では四半期ごとに執行状況が報告をされ、それを基に議論をしているという国も多くなっているそうです。
決算の参議院としての役割をよりしっかりと果たすためには、当院として、政府に対し、他国の好事例や民間に倣い、IT化を促進し、会計のやり方を改善し、決算までの距離を短くするように促していくことを検討すべきと考えます。
次に、調査会及び委員会での審議結果をどう国民に分かりやすく開示していくかについて意見表明をいたします。
勝山、大山、竹中の各参考人は、調査会での調査結果及び委員会での審議の結果を国民に分かりやすく提供する工夫を求めましたが、この指摘は真摯に受け止めるべきだと思います。確かに、今でも参議院の委員会、調査会の議事録はインターネット上で公開されていますけれども、アピール性、分かりやすさで課題があることは事実です。他国の例も参考に、国民に分かりやすく提供する工夫について検討すべきと考えます。
次に、衆参の役割の違いを踏まえ、参議院の望ましい選挙制度について意見表明をします。その際、現行憲法の下での二院制、そして両院議員の国民代表原則を前提条件として考えたいと思います。
この前提条件の上で望ましい選挙制度としては、竹中参考人が提示いたしました単記式の大ブロック制を挙げたいと思います。大ブロックとは、例えば東海とか近畿とかいった方面単位の区域のことです。この大ブロック制は、かつて参議院の西岡議長が提案したものでもあります。以下に三つ理由を挙げます。
理由の一つ目は、一票の較差を是正するためです。最高裁の度重なる一票の較差への違憲状態判決を重たく受け止めなければいけないと考えますが、大ブロック制であれば劇的に一票の較差を解消できるからです。平成二十四年判決、平成二十六年判決とも違憲状態かつ都道府県単位の選挙区見直しと断じています。
最高裁のこの一票の較差についての判決の経緯を詳しく見ていきますと、昭和五十八年には参議院選挙地方区における都道府県単位の選出は立法裁量として合理的としてきました。しかし、平成十六年判決の補足意見二におきまして、都道府県単位を見直さないのは合理的ではなく、このまま一票の較差を放置すると次回は違憲判断もあり得るとの意見が提示されて転機を迎えまして、この補足意見は平成十八年判決で主流意見となりました。そして、平成二十四年判決にてこの昭和五十八年判決、つまり、都道府県単位は立法の裁量内とする判断は完全に上書きをされて、都道府県単位の仕組み自体の見直しを立法者に求める厳しいものとなりました。それがそのまま平成二十六年判決に引き継がれています。
これについて、大山、竹中両参考人とも、参議院の権限が強いからこそ一票の価値の平等が求められるようになっているとの認識を示しています。竹中参考人は、一票の較差の解決策として、ブロックごとに定数を振ればかなり一対一に近い一人一票の原則を貫く形で定数配分ができるとして、比例区をなくし、全議席をブロック別の大選挙区制に一本化した制度を提案をしています。二つの合区を含む昨年の選挙制度の改正でもまだ約三倍の較差がありますが、この大ブロック制によって選挙区での一票の較差を大幅に改善できると見込まれます。
理由の二つ目は、多様な民意を反映するためです。衆議院が政権選択の民意の集約の院なのに対し、参議院はそこでは拾えない多様な民意の反映の院であるべきと考えますが、大ブロック制なら中小政党、また無所属といった少数者が当選しやすくなります。
飯尾参考人は、衆議院は政権の安定のために多数代表制、これに対し、参議院はバランスを取るために少数代表的、少数者がたくさん出てくるような選挙制度を考えることと述べています。竹中参考人は、衆議院の選挙制度との関係も考えるべきで、衆議院の小選挙区は政権選択、参議院は多様な民意を反映させることと述べています。このように、飯尾、竹中の両参考人とも、参議院は多様な民意を反映する役割を果たすべきとの見解であることが分かります。
大ブロック制であれば、竹中参考人が述べているように、中小政党も無所属も当選しやすい。また、この多様な民意の反映は、参議院の度重なる議論、例えば、昭和六十三年の参議院制度研究会、平成十二年の参議院の将来像を考える有識者懇談会、そして平成十七年の参議院憲法調査会の下での二院制と参議院の在り方を考える小委員会の検討で大方の同意を得ている意見でもございます。
理由の三つ目は、参議院は、政党ではなく人物本位の選出をすべきなので、単記の記名式を導入すべきと考えます。
飯尾参考人は、参議院の選挙のときに人物本位で選ぶ選挙への移行を一つの案として提示をしています。竹中参考人は、ブロック別にする場合にも比例代表制と大選挙区制に行くという二つのオプションがあるが、比例代表制にすると政党に所属している人しか当選できない、多様な意見の最たるものは個人、政党に所属しない人、大選挙区制だと当選のハードルが低くなるので無所属でも当選しやすくなると述べています。飯尾、竹中両参考人とも、参議院は政党よりも人物本位と求めています。
なお、議員個人の意見を重視という観点は、さきに述べました昭和六十三年、平成十二年、そして平成十七年の参議院自身の検討にて大方の同意を得ている意見でもございます。
最後に、なぜ参議院を地域代表の院にすることに反対するのかについて意見表明をいたします。
岩崎参考人、大山参考人は、参議院を地域代表の院にすることを提唱していますが、これから述べますように課題は多く、個人的には賛成できません。
岩崎参考人の提案は、現行憲法の下での国民代表の原則の下では一票の較差が必ず問題になるので、憲法を変えて参議院を地域代表の院にする、そして、参議院議員の選出方法は必ずしも直接選挙によらなくてもよいのではとのことでありました。
参考人の念頭にあるのは、その参考人の著書からアメリカのような連邦制国家と想定しますが、日本は連邦制国家ではありませんし、また、アメリカでは州それぞれが別個の国のような独自性と歴史を持っていますが、日本の都道府県はそうではありません。こういう根本的な違いがあるので、アメリカ上院における州と同じ地域代表の性格を参議院における都道府県に当てはめるのはやはり無理があると考えます。
また、直接選挙ではなく間接選挙か任命制もあり得るのではという提起については、第二院の議員を選ぶ権利を国民に放棄させることになりまして、国民の支持が得られるかどうか疑問が残ります。
大山参考人の提案は、現行憲法を変えるA案と現行憲法の下でも可能なB案の二つございます。
A案は、都道府県を全て二人区にしまして男女各一名を選出をする、四十七都道府県掛ける二の定数九十四、若しくはその倍数の百八十八にするというものです。これは人口比例原則を無視した制度なので憲法を変えることが必要とのことです。
B案は、拘束名簿式比例代表制と都道府県代表を選ぶ都道府県単位の小選挙区制を併用する案です。都道府県の小選挙区の候補者は全て比例代表との重複立候補とし、各政党の名簿への議席配分は完全に比例代表としますが、先に小選挙区の候補者は当選となるので、残りの数を名簿登載順で当選とするという提案です。政党の議席配分は完全に比例代表となるので、都道府県代表は比例代表で決まった当選者の中から、我々の都道府県はこの人を指名しますよという形になるということです。一人名簿を認めることが可能で、無所属の当選でも可能ということでした。
A案については、参議院が本来果たすべき多様な民意が反映されず、問題が多いと考えます。参考人質疑でも、民主党の石橋通宏委員より、衆議院にない制度を使って参議院が多様な民意を反映するのが参議院の意義と考えたときに、参議院を都道府県二人区案としたときに多様な民意を反映できないのではないかと指摘したのに対し、大山参考人は、衆議院が現状の小選挙区中心の選挙制度を維持しているときに参議院を二人区にしたら、おっしゃるとおりと発言されております。
B案においては、現行憲法の下でも実施可能であり、比例代表なので得票数に応じた議席配分になり、小政党でも議席の獲得が可能になるという点では多様な民意の反映がある一定程度確保ができ、検討の余地はあると考えますが、以下の理由で課題が残ります。
まず第一に、このB案では、これまで参議院自身が昭和六十三年、平成十二年、十七年と積み重ねた議論のうち、議員個人の意見を尊重するという大方の合意が政党の名簿では実現できず、また第二に、どのみち政党ごとの議席配分は拘束名簿式比例代表制で決定するので、小選挙区での選挙は形骸化する懸念があるからです。
以上で意見表明を終わります。ありがとうございました。