大野泰正の発言 (政府開発援助等に関する特別委員会)
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○大野泰正君 座ってやらせていただきます。
第二班の報告書ですが、ちょっと長く書き過ぎましたので途中はしょりますが、お許しいただきたいと思います。
それでは、始めさせていただきます。
ODA調査派遣第二班について御報告させていただきます。
当班は、昨年十二月六日から十二日間、ジブチ共和国、エチオピア連邦民主共和国及びマダガスカル共和国の調査に参りました。ジブチ及びマダガスカルは、ODA調査として初訪問国でありました。
派遣議員は、石田昌宏議員、小川敏夫議員、そして、団長を務めさせていただきました、私、大野泰正の三名であります。
派遣の概要につきましては、お手元に配付されております参考資料を御覧ください。また、本日は、現場に伺った肌感覚を含め、その概要を報告させていただきたいと思います。
まず初めに、開発協力に対する信頼確保とODAに対する日本国民の理解促進の重要性について指摘をしたいと思います。
今般参りました三か国は、いずれも日本に対し極めて好意的な国民感情を有しておりました。その背景には、我が国の開発協力に対する地道な努力があり、その成果の積み重ねが開発協力に対する今日の信頼を生み、その信頼が我が国への親近感を育む大きな要因になっていることは間違いありません。
こうして築いてきた信頼という貴重な財産は、今後、日本とアフリカとの関係を発展させていく大切な礎となるものであります。近年、中国などの台頭もあり、日本の存在感の低下も指摘されておりますが、このような土台を生かしていかに関係を発展させていくかが今後の我が国の大きな課題であります。
そのためには、我が国として、質の高い開発協力に更に注力するとともに、日本の開発協力が各国においてどのように役立ち、感謝、評価されているかについて国民の皆様により一層御理解をいただく努力を行っていくことも重要であると考えます。
国民の理解促進という観点から、ジブチの沿岸警備隊に対する支援について御説明させていただきたいと思います。
これは、ジブチ沿岸の安全確保のため、巡視艇の供与及び海上保安能力拡充のための技術協力を行っているものであります。昨年は、沿岸警備隊の充実強化と我が国自衛隊との連携強化などによる懸命な努力により、強力な抑止力が働き、その結果、ソマリア沖・アデン湾における海賊等の発生件数はゼロ件となっております。しかしながら、ソマリア国内の貧困など、海賊事案発生の根本原因は解決していないことに加え、対岸イエメンから多くの避難民が流入するなど、更に深刻な事態も生じております。我が国による支援の意義を考える上で、海賊等事案の発生が数字上はゼロになっても、ジブチにおいて対処すべき様々な課題が解決したわけではないことを今後とも日本国民の皆様に十分に説明し、今後の援助に対する理解を得る必要があると考えます。
次に、開発協力の効果的な実施のための課題について指摘したいと思います。
対象国が抱える様々な開発課題に対する協力が最大の効果を上げるためには、当該国の実情を踏まえた計画的、戦略的な対応が重要となることは言うまでもありません。
インフラ整備や設備、機材等の供与においても、それがオーバースペックになっていないかを含め、対象国の真のニーズに対応したものであることが求められているのは当然であり、また、その後の運用や維持管理が対象国において持続的に行うことができるものでなければ支援の効果は限られたものになってしまいます。
この意味では、ジブチにおける沿岸警備隊に対する支援のように、無償資金協力による巡視艇の供与とその運用等を含め、技術協力による沿岸警備隊の能力拡充プロジェクトを組み合わせ支援を実施することは、開発協力の効果を高める上で非常に有益な取組であると感じました。
次に、エチオピア干ばつ被害への対応について指摘をさせていただきます。
エチオピアでは、エルニーニョ現象の影響等により過去三十年間で最悪の干ばつ被害に見舞われており、二〇一六年には一千万人を超える人々が食料援助を必要とすると見込まれております。今般の調査では、同国ティグライ州を訪問し、深刻な被害の実情とともにWFPによる食料支援の実情を視察させていただきました。
とりわけ、被害の中で脆弱な立場に置かれる子供や女性に焦点を当てた支援の必要性については、ここで改めて強調しておきたいと思います。
また、今般視察を行った食料援助の配給現場では、被援助者リストをきちんと整備していたこと、さらに、コミュニティーのために働いた者にはその働きに応じて配給量を多くするなど、少しでも被援助者の自助努力を促進しようとする取組が行われていたことは大変印象に残りました。
国際機関を通じた支援は、日本として顔の見えにくい支援となる面はあるものの、その経験、ノウハウの活用によってより効果的な支援が行えるという利点があることも改めて確認できました。
なお、干ばつ被害に対する対応としては、食料援助のほか、被害の発生を事前に予測し早期の対応を可能とする気象予測システムや被害を最小限に抑えるための農業技術指導、さらには国際的な気候変動への対応など、多面的な取組が必要であり、被害予防体制の前進が図られることを期待したいと思います。
次に、教育に対する支援の重要性について指摘を行いたいと思います。
今般の調査では、ジブチにおいて貧困層が多数居住する地区に初めて建設されたフクザワ中学校を、またマダガスカルにおいては教室の増設を行ったナニサナ高校を視察いたしました。
いずれの学校でも、私どもの訪問を生徒さんたち始め職員さんや地域の方々が感謝の気持ちを込めて笑顔いっぱいに歌やダンス等を披露して歓迎してくださいました。それぞれの生徒が目を輝かせて学校生活を送っている姿が今も大変強く印象に残っております。
教育は、一人一人の能力を育み、その未来を切り開くとともに、その国、社会全体の成長、発展につながるものであります。途上国における我が国の教育支援の意義は極めて大きいと考えます。また、その国の未来を担う子供たちが日本に対する関心を高めてくれることは、我が国との交流の人的基盤をつくっていく上で非常に重要であり、教育者の相互交流も含めた支援を今日まで以上に拡大していただけたらと強く感じた次第であります。
次に、国際協力を担う人材の確保に関し、指摘を行いたいと思います。
今般の調査では、青年海外協力隊員のほか、国際機関の邦人職員さんやJICA関係の皆さんと、また現地で活躍する日本企業の関係者の皆様と懇談する機会をいただきました。
国際協力を担っていける人材をいかに確保していくかは今後の大きな課題であり、今後とも、青年海外協力隊員に関しては、特に厳しい条件のアフリカ地域においては、派遣地での安全とともに生活環境の確保、さらには帰国後の就業支援の充実等に一層取り組んでいただくことを要請したいと思います。
また、日本は、国際機関への財政貢献の大きさに比べ、その邦人職員数が少ないことが指摘されています。国際機関で働く邦人職員は、国際機関の活動をモニタリングするという意味でも意義があり、また、国際機関において重要なポストを占める邦人職員が増えるほど、その意思決定に対する我が国のプレゼンスが高まります。エチオピアにおける懇談では、国際機関に対する拠出金の支出に関し戦略的拠出方法を推進し、邦人職員の昇進を後押しするなどの対応が重要との指摘もなされていました。外務省でも、そのための取組は徐々に進んできてはおりますが、更に推進していくことが今後の我が国にとって大変重要であると考えます。
次に、我が国企業の海外展開について御報告させていただきます。
アフリカ地域は、過去十年でも平均六%の成長と目覚ましい経済発展を遂げていますが、日本企業の進出は余り進んでおりません。
今後、日本企業のアフリカ展開に向けた取組を更に積極的に進めていくことが求められますが、幸い、今般訪問した三か国は、これまでの開発協力を背景とした我が国に対する信頼関係に加え、エチオピアでは国を挙げて取り組んでいるカイゼン・プロジェクトもあり、日本企業進出に堪え得る土壌は、地理的要因はあるものの、整いつつあると感じました。
最後に、本年はTICADⅥがアフリカで初めて開催されることを踏まえ、新たなアフリカとのパートナーシップのために、今回の調査を踏まえ提言させていただきます。
今般の三か国の調査において常に目にしたものは、とりわけインフラ整備等における中国のプレゼンスの大きさでありました。
アフリカ地域が貧困削減等の大きな開発課題を抱える中で、国際社会としてその支援が広がることは望ましいことでありますが、我が国は、今日までも、これからも、人間の安全保障、自助努力支援等の考えの下、高度な技術に係る協力や、これまでの経験を踏まえた日本の良さを生かしたきめ細かな支援をより一層推進していくことが必要であります。
また、アフリカでは人口の六割が農業に従事していますが、質の高い成長の支援とともに、その成長を農村部にも波及させる取組の重要性もより一層高まっていることを強調しておきたいと思います。
そして、今回初めてアフリカに訪れたことで地勢的にも実感したことは、中国の新シルクロード構想の海路部分の要衝が今回調査したジブチを始めとするいわゆるアフリカの角と呼ばれる地域であり、その戦略的重要性についてであります。今回の調査で、私は、今後、日本として、インド洋沿岸地域の包括的な安全保障戦略の必要性を強く感じました。是非、環インド洋の安全保障戦略の中でのODAの在り方も含め、今後の進め方を考えていただきたいと思います。
以上が第二班が調査から得られた所見であります。
終わりに、今回の派遣に当たり御尽力いただいた外務省及び在外公館を始めとし、出会った全ての皆様、そして、どんな状況にも私どもを寝食を忘れてサポートしていただいた院の職員の皆様に改めて心から感謝を申し上げ、報告とさせていただきます。
ありがとうございました。