末松信介の発言 (本会議)

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○末松信介君 自由民主党幹事長代理の末松信介でございます。
 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました安倍内閣総理大臣の外交報告及び麻生財務大臣の財政演説について質問をいたします。
 参議院自民党として本年最初の質問となりますので、国政上の課題に対する安倍総理の基本姿勢を伺いたいと思います。まずは、第三次安倍改造内閣の目玉である一億総活躍社会の実現に向けた、いわゆる新三本の矢から質問をいたします。
 最初の矢は、GDP六百兆円に向けた経済政策です。
 今から六十年前の昭和三十一年、経済白書は、もはや戦後ではないと書きました。前年の実質GNPが戦前を超えたことによって、戦後復興が終わったとみなされた記念すべき年だったのです。当時の名目GNPは約九兆円でした。
 それから六十年がたち、我が国経済は大きな成長を遂げ、今日の繁栄を築いてきました。途中、失われた二十年と言われた停滞もありましたが、今、総理が進めるアベノミクスによって、我が国の経済は再び成長軌道に乗ろうとしております。内閣発足から約三年で日本の株価は二倍以上になり、アメリカやドイツがこの間一・五倍に伸びたのと比べても顕著であります。
 また、労働市場では完全雇用が実現されました。有識者や専門家の間では、どんなに景気が良くても失業率は三・四%以下にはならないと言われてきました。しかし、現在の日本の失業率は、二〇一五年十月の値で三・一%と、超完全雇用状態にあります。日本は、世界の先進工業国で、唯一、完全雇用を実現した国とも言えるのです。
 物価も、食品とエネルギーを除く消費者物価指数は、五年前のマイナス一%からプラス一%に改善、実質賃金も四か月連続プラスとなり、失われた二十年の中でようやく経済再生への一歩を踏み出すことができたところであります。
 しかし、中小企業が大半を占める地方には、景気回復の実感はいまだ伝わっておりません。個人消費を本格的に回復させるために、大企業の賃上げ機運を中小企業や地方にも波及させる必要があります。そのためにも、より一層緊張感を持った、そして謙虚な経済政策、政権運営が求められると思います。
 以上の問題意識より、本年最初の質問として、総理の日本経済に関する現状認識と、GDP六百兆円に向けた具体策についてお伺いをいたします。
 次に、希望出生率一・八に向けた少子化対策です。
 今から二年ほど前、私が参議院外交防衛委員長を務めておりました頃、スウェーデン議会のウルバン・アーリン外務副委員長と会談する機会がありました。アーリン氏は、今ではスウェーデン王国議会議長になられました。つい先日来日され、総理も懇談されました。
 スウェーデンは人口九百六十万人という小さな国ですが、一人当たりのGDPは世界で七位と、同二十七位の我が国を大きく上回り、ボルボ、イケア、H&Mなど、世界的な企業が生まれています。私がアーリン氏に、日本は人口減少社会です、人口が少なくても、質の高い、強い国家をつくるにはどうしたらよいかと尋ねると、女性の労働市場への進出が大切であるとの答えが返ってきました。
 スウェーデンでは、男女の労働者比率はほぼ同数、男女の給与格差は一〇〇対八八だそうです。それに対し、我が国は一〇〇対七一と、大きな差があります。さらに、育児休業の取得率は男女共に八割程度、育児給付も充実していて、子育てしながら働ける仕組みが整っています。こうした結果、スウェーデンは世界的にも出生率回復の成功例になっています。
 もちろん、スウェーデンの十倍以上の人口を有する我が国では、同じ政策を取ったとしても、その効果の現れ方、スピードは大きく異なるでしょう。しかし、世界の先進事例も参考にしながら、我が国なりの工夫をしなければならないと思います。
 希望出生率一・八に向けた少子化対策と女性活躍の更なる推進について、総理の方針をお伺いします。
 次に、第三の矢である介護離職ゼロについて伺います。
 親の介護のために仕事を辞めるいわゆる介護離職をゼロにするためには、解決すべき深刻な問題が存在をしております。それは、介護の働き手不足です。既に、介護施設の中には、職員不足でフル稼働できず、ベッドを空けてしまっているところも出てきています。
 その介護人材の不足をもたらす大きな要因として、処遇の問題、そして一七・七%という施設系介護職員の高い平均離職率が挙げられます。施設系介護職員の平均賃金は二十一・九万円。全労働者平均三十二・四万円と比較しても十万円以上も低くなっております。親の介護のために仕事を辞める介護離職をゼロにするためには、まずは介護現場で働く方の離職率を下げる介護職離職をゼロにする必要があります。そのためにも、賃金や就労環境の向上が必要であります。
 また、施設で働くのは介護職員だけではありません。施設には、看護師、事務職、送迎ドライバー、給食スタッフなど、様々な職員の方がおられます。こうした方々の処遇には介護報酬の在り方いかんが大きな影響を及ぼします。
 介護離職ゼロに向けた介護人材確保と介護施設の充実方策について、総理のお考えをお伺いいたします。
 次に、震災復興について伺います。
 東日本大震災から間もなく五年となります。私は神戸の出身ですので、同じ被災地として東北の皆様の苦労は痛いほど分かるつもりです。
 折しも、今年三月で五年間の集中復興期間が終わり、次の五年間である復興・創生期間に入っていきます。被災地の自立と地方創生のモデルとなるような復興をという願いを込めた命名とのことですが、この復興・創生期間においてはどのような課題に重点的に取り組んでいくのか、総理の具体的な策をお伺いをいたします。
 次に、消費税の軽減税率について伺います。
 来年四月の消費税率一〇%への引上げと同時に、食料品と新聞に軽減税率を導入することになりました。我が国では初めてのことですので、事業者にも消費者にも混乱が生じないように、しっかりと準備をする必要があります。
 特に、食料品を扱う中小の商店やスーパーなどに対しては、丁寧な説明と支援策が必要です。インボイス制度の導入までは経過措置がとられることになっていますが、実施状況を慎重に検証しながら、問題があれば柔軟に対応していく姿勢が必要と思います。
 軽減税率導入に伴う中小事業者への支援について、基本的な方針を財務大臣にお伺いをいたします。
 次に、総理の外交政策について伺います。
 昨年末には、岸田外務大臣が訪韓し、慰安婦問題について最終的かつ不可逆的に解決するという日韓合意が行われました。安倍総理自身の強いリーダーシップの下、様々な意見があることを承知の上での大変大きな決断であったと評価をいたします。
 今回の合意をきっかけに、日韓両政府は真摯な姿勢で未来に向けた関係構築に取り組んでいただきたいと思います。総理の今回の決断に至った経緯、そして今後の展望についてお伺いをいたします。
 また、昨日午前、北朝鮮が初めて水爆の実験を実施したことを発表しました。これは明確な安保理決議違反です。政府も国家安全保障会議を開催し、対処しています。拉致問題を引き起こし、いまだ解決していない状況下で、こうした実験を行いました。まさに危険国家であり、国民を守らなければなりません。
 日米韓を中心とした国際社会との連携体制の下、断固たる姿勢で対処すべきと考えますが、総理の見解をお伺いいたします。
 折しも今年は我が国の国連加盟六十周年に当たる記念の年であり、ちょうど今月から安保理の非常任理事国になりました。五月には伊勢志摩サミットも行われます。このように我が国の外交にとって大変重要な局面を迎えておりますが、これら諸課題に対する外交の基本方針を総理にお伺いいたします。
 次に、TPPに関連して、強い農業の実現について伺います。
 政府は、農産品の輸出額を一兆円にするという目標を二〇二〇年から前倒しで達成することを表明しています。
 農産物の輸出でよく成功例として挙げられるのがオランダです。我が国の九州と同じ面積で人口も一千六百八十万人の国が、農産物の輸出額はアメリカに次いで世界第二位、二〇一四年、円に換算して十一兆二千億円と、日本の三十倍以上に及んでいます。しかし、今から四十年ほど前には、輸出額はほとんど差がなかったとも言われています。オランダの成功の要因は、市場の開放と土地の集約だとも言われています。
 また、更なるジャパン・ブランドの推進も重要です。例えば、我が兵庫県のコウノトリ育むお米は、コウノトリの餌となる生き物を増やし、その生き物が害虫等を食べてくれるため、農薬の使用が抑えられ、コウノトリも育めるという優れた仕組みで栽培されたお米ですが、減農薬や無農薬のお米ということもあり、国内外から非常に高い評価を得ています。我が県では、全国の七割以上を産出している酒造好適米の山田錦についても、芳純な酒ができると評判が高く、世界的な和食ブームを背景に需要が伸びております。
 それ以外にも、インフラ整備を含めた政府全体での取組も重要です。現在、全国各地からの貨物を夜の間に沖縄に運んで、そこから香港などアジア各地に届ける沖縄貨物ハブという仕組みができています。このルートを使えば、今朝取れた野菜が明日の午後には現地のレストランや食卓に並ぶのです。もちろん、野菜以外の地方産品もアジアに翌日配達できるというのは大きな強みであります。二〇〇九年に始まった取組ですが、今では年間の取扱量が二十万トンまで成長しています。こうした仕組みが更に有効に機能するためには、全国各地から拠点となる空港まで、トラックなどによる陸路の輸送を強化する必要があります。したがって、道路の整備も欠かせません。
 我が兵庫県内にも、山陰近畿自動車道、大阪湾岸道路西伸部、播磨臨海地域道路といった高速自動車道、地域高規格道路の事業計画が存在し、各々の超党派の国会議員連盟が存在します。全国各地にこうした社会資本整備の需要が存在していますが、国として一つ一つ着実に対応していくことが重要ではないかと思います。
 TPPに負けない強い農業の実現のため、政府を挙げた支援体制の整備について、改めて総理のお考えをお伺いします。
 先ほども申し上げたとおり、昭和三十一年という年は、我が国が戦後復興の完了を宣言した年であり、念願の国連加盟を果たした年でもあります。当時、私は満一歳、安倍総理は二歳でした。それから六十年という節目を機に、現在の我が国を築いた先人の苦労に思いをはせるとともに、我が国が内政、外交共にますます繁栄していくことを祈念し、私の年頭の質問を終わります。
 御清聴大変ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 119015254X00220160107_011

発言者: 末松信介

speaker_id: 34239

日付: 2016-01-07

院: 参議院

会議名: 本会議