井上哲士の発言 (本会議)
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○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
質問に先立ち、昨日、北朝鮮が行ったとする、水爆だとする核実験を厳しく糾弾します。この暴挙は、地域と世界の平和と安定に対する重大な逆行であり、国連安保理決議、六か国協議の共同声明、日朝平壌宣言にも違反しており、断じて許されません。国際社会が一致して、政治的、外交的努力を強め、北朝鮮に核兵器を放棄させるための実効ある措置をとることを強く求めます。
日本共産党を代表して、安倍総理に質問します。
今年は日本国憲法公布七十年です。個人の尊厳を守るために憲法で権力を縛る、この立憲主義の大切さを国政に携わる者は改めて胸に刻むことが必要です。
安倍政権は、昨年の九月十九日の未明、憲法、法律の専門家がこぞって憲法違反と指摘した安保法制、戦争法案をこの議場で強行しました。しかし、国会内で数を頼んで強行しても、国民は決して認めていません。学生、市民、ママたち、学者、文化人、宗教者、労働者と広がった空前の運動は、直ちに、違憲の戦争法は廃止に、立憲主義を取り戻そうの声を上げ、四日の国会召集日も四千人近い市民が国会に駆け付けました。
戦争法は廃止すべきです。総理は、この国民多数の声をどう受け止めているのですか。
安倍内閣の憲法無視の姿勢は一層強まっています。沖縄で、県民の度重なる審判を無視し、私人の権利救済のためにある行政不服審査制度を悪用して工事を再開するなど、辺野古新基地建設を押し付けることは、憲法に定める地方自治の本旨を踏みにじるものです。
さらに、政府は、野党議員による憲法五十三条に基づく臨時国会召集要求を握り潰しました。臨時国会は、閉会中審査では代えられません。召集拒否は、内閣は臨時会の召集を決定しなければならないとした憲法に明白に違反しているではありませんか。立憲主義、民主主義否定を重ねることは許されません。
総理は、海外出張報告で、世界の平和と繁栄のために我が国がどのような貢献ができるのか訴え、大きな成果を上げたと述べました。しかし、その中身は、新日米ガイドラインと戦争法の具体化と一体の、専ら軍事による平和というものであり、原発の輸出推進です。
総理は、十一月の日米首脳会談で、米軍が南シナ海で行った航行の自由作戦への支持を表明しました。その上で、南シナ海での自衛隊活動について、情勢が日本の安全に与える影響を注視しつつ検討すると述べました。オバマ大統領が共同の警戒監視活動への参加を求めたと報じられていますが、総理とオバマ大統領との間でどんなやり取りがあったのですか。情勢次第で警戒監視活動への参加もあり得るということですか。
さらに、総理は大統領に、武器輸出やODAにより関係国を支援する考えを示しました。実際この間行われたのは、オーストラリアの次期潜水艦の共同開発の計画提案や、インド、インドネシアへの飛行艇の輸出、ベトナム、フィリピンへの武器輸出協定の協議など、日本製武器の売り込みです。紛争の地域の当事者に武器を輸出することがなぜ平和の貢献になるのですか。逆に地域の緊張を高めるだけではありませんか。
十月の一日には防衛装備庁が発足しました。経団連は、防衛装備庁の政策に対して産業界の考えを反映させるためとして提言を発表し、安保関連法の成立で自衛隊の国際的な役割の拡大が見込まれる下、武器輸出を国家戦略として推進すべきであると強調しています。憲法九条を持つ日本の国家戦略の基本は平和外交であり、紛争を助長する武器輸出とは反するものです。総理は、この提言に基づき武器輸出を国家戦略として推進するつもりですか、お答えください。
総理は、インドとの間で原発の輸出を可能とする原子力協定締結へ原則合意しました。福島第一原発の事故の原因究明も収束もできない日本が原発を輸出することは、世界の繁栄への貢献どころか、新たな安全神話の輸出にほかならないではありませんか。
被爆七十年のこの年に行われた暴挙に、被爆者からも、広島、長崎の市長からも厳しい批判の声が上がっています。インドは核保有国で、核不拡散条約にも不参加です。インドとの協定締結は核兵器開発に手を貸すことになりかねず、被爆国日本がインドの核保有を認めたと国際社会にメッセージを与えることになります。日印原子力協定は中止すべきです。
一億総活躍社会と補正予算案について聞きます。
まず問われるべきは、アベノミクスの三年間が何だったのかです。
三年間で大企業の経常利益は六割も増え、内部留保は三百兆円を超えました。ところが、国民の所得や消費は実質では三年前を下回ったままです。非正規雇用は初めて四割を超えました。社会保障の削減は暮らしを直撃し、さらに消費税八%増税により、二〇一四年度のGDPはマイナスになりました。ところが、一五年三月期決算では、上場企業は最高益を更新しました。日本経済は一九五五年以降に七回マイナス成長に陥りましたが、マイナス成長なのに企業収益が増益になるという異常な事態は初めてのことです。
なぜ大企業の増益が内部留保に回るだけで経済に還流しないのか。労働法制改悪で正社員が非正規に置き換えられるなど、企業の収益が家計に回る回路が断たれてきたからです。今必要なことは、大企業を応援をすればやがて国民は潤うと言いながら、貧困と格差拡大をもたらしたアベノミクスを一億総活躍などと目先を変えて続けるのではなく、国民の所得を増やし、暮らしを応援をすることに抜本転換することではありませんか。答弁を求めます。
まず、消費税増税の中止です。
八%増税の際、消費の落ち込み等について総理は、この消費税はワンショットでございますと答弁し、一時的な影響との楽観的認識でした。実際は、今も深刻な影響を及ぼしていることをどう反省していますか。
政府・与党は一〇%増税に固執し、軽減税率の実施で負担が下がるかのような誤解が意図的にばらまかれています。しかし、五兆四千億円のうち一兆円の軽減であり、四兆四千億円もの大増税です。一部税率を据え置けば、こんな大増税をしても国民生活に影響がないと考えているのですか。国民生活を本当に心配するならば、増税そのものを中止すべきではありませんか。
一方、六十五歳以上の低所得者への一人三万円の臨時給付金が盛り込まれました。アベノミクスの果実の均てんによる消費喚起だと言いますが、国民の多くはアベノミクスの果実などとは無縁です。
厚労省の国民生活基礎調査の相対的貧困率は一六・一%で、八五年の調査開始以来最悪となり、高齢者世帯とともに青年や若い母子家庭の貧困問題は深刻です。なぜ高齢者だけが対象なのですか。年金を削り介護や医療の負担を上げておいて、参院選前に給付金を配るというのは、選挙対策のためのばらまきそのものではありませんか。
次に、賃上げの問題です。
一億総活躍社会の実現への緊急対策にも賃金引上げを通じた消費の喚起が盛り込まれました。ところが、政策は賃上げとは逆行しています。
労働者派遣法の強行に続き、残業代ゼロ法案が狙われています。賃下げと低賃金労働、不安定雇用を増やす労働法制の改悪はやめ、非正規から正社員への流れをつくる雇用のルール確立に転換すべきであります。
法人税減税で大企業の内部留保が増えても賃上げにはつながりませんでした。さらに、法人税を二・三七%も引き下げ、その財源として外形標準課税を強化することは支離滅裂です。外形標準課税は、赤字で苦しむ中堅企業にも増税になります。さらに、給与総額などに応じて課税されるため、雇用と賃金の抑制につながります。賃上げに相反するではありませんか。大企業優遇の法人税減税の中止を求めます。
総理は年率三%を目途に最低賃金の全国平均時給千円を目指すとしましたが、これでは達成は二三年頃になり、政労使合意も達成できません。また、最低賃金の地域間格差の広がりが地方の経済格差と人口流出にもつながっており、全国一律の最賃制が求められています。最低賃金は、緊急に大幅引上げを図ること、地域間格差を是正すること、賃金助成や税、社会保険料の減免など抜本的な中小企業支援と一体で行うこと、これが必要です。答弁を求めます。
日本経団連は、十月十三日に「新内閣に望む」との文書を発表し、消費税増税や法人税引下げ、原発再稼働、TPP協定の発効、一層の労働法制の規制緩和などを求めました。その上で、見解を発表し、企業献金は企業の社会貢献の一環として重要だとして、会員企業に献金実施を呼びかけています。
第二次安倍政権発足後、自民党への企業献金は年々増え、電力会社や原子力関連企業からの献金は二〇一二年の約三億円から一四年の約七億円に急増しました。まさに政策を金で買うものです。総理はこれが企業の社会貢献だと言うのですか。
大企業が今果たすべき社会的責任は、内部留保の一部を使った賃上げや正社員化、まともな下請単価への是正ではありませんか。自民党への政治献金は断り、大企業の社会的責任こそ果たせと求めるべきではないですか。答弁を求めます。
次に、TPPの問題です。
大筋合意はされましたが、秘密交渉で日本が大幅譲歩した合意内容は日本語概要しかなく、日本語全文は公表されていません。これでは国民も国会も検証できません。交渉の全容や合意の日本語全文を国会に直ちに示すよう強く求めます。
内容も示さないまま、補正予算にTPPの緊急対策費が盛り込まれました。政府の発表したTPPの影響の試算には驚きました。二年前の政府の試算と全く違っています。TPPによる国内総生産の伸びは前回試算の三・二兆円から今回は十四兆円へと四倍以上に膨張、一方、農林水産物の生産額の減少は、二年前の三兆円から千三百億円ないし二千百億円へと大幅に緩和しています。
どうしてこれが信用できるでしょうか。研究者や関係団体が厳しく批判しているように、対策効果を過大に見積もり、農業への影響は過小に見積もったものにほかなりません。影響を小さく見せ、国内対策を急いで国民の批判をそらし、参議院選挙を乗り切ろうというやり方は決して許されません。
TPPはまだ協定の正文も確定しておりません。農業と食の安全、経済主権を売り渡し、国民生活全体に深刻な影響をもたらすTPPは今からでも撤退すべきです。
最後に、選択的夫婦別姓についてです。
最高裁判決は不当にも夫婦同姓の強制は合憲としましたが、制度の在り方については、国会で論ぜられ、判断されるべき事柄と述べ、議論を促しました。個人の尊厳に基づき、国民、女性の願いに応えた民法改正が求められています。答弁を求めます。
夏には参議院選挙が戦われます。立憲主義、民主主義否定の暴挙を重ねる安倍政権を国民は決して許さないでしょう。日本共産党は、先日発足した戦争法の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合を始め広範な人々とともに政治の歴史的な転換に力を尽くすことを表明して、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕